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第4話

―コールドウェル辺境伯領 西の森―


 一通り装備を買い揃えた後、俺はイリアさんに西の森に連れて行かれた。

 どうやら直接見て実力を把握したいらしい。


「まぁ、ここらへんでいいかな。

 魔物呼びの香使うから身構えておいて」

「わかりました」


 そう言ってイリアさんは慣れた手つきで香に火をつける。

 周囲に煙が立ちこめ、死臭のような匂いが漂い始める。


「しかし…あなた、本当に初心者用の剣でよかったの?」

「装備一式を全て買って貰うんですからそりゃ遠慮もしますって…」


 そんなこんなしていると、ホブゴブリンとスケルトンウィザードがやって来た。


「私は遠くから見てるから、一人で頑張ってね。

 あ、周囲の被害とか気にせずに本気でやっていいわよ」

「わかりました!」


 そう言ってイリアさんは魔法で空中に飛び上がる。

 どうやら空中から見守るようだ。


「さて…」


 敵に意識を向けると、スケルトンウィザードの周りを守るようにホブゴブリンが半円状に展開している。

 それぞれ10体くらいか。

 早いとこスケルトンウィザード(遠距離持ち)は倒しとかないと。


「少々危険だが…〈瞬天〉」


 地面を強く踏み込み、高速でホブゴブリンの間をすり抜け、一気にスケルトンウィザード集団の背後を取る。

 モンスターがこちらを見失っている今が好機だろう。


「〈烈波斬〉」


 間髪入れずに連続で斬撃を叩き込み、波状となった斬撃でモンスター達は一瞬でバラバラになる。


「ふぅ…こんな所で十分ですかね?」


 敵の殲滅が完了したのでイリアさんに声をかける。


「戦う方の実力は分かったからもう十分よ…」


 若干引いた様子でイリアさんが降りてくる。

 ふと周囲を見てみると、地面は多数の大きな斬撃痕で溢れ、近くにあった木はほぼ全てなぎ倒されている。

 …こりゃ流石にやりすぎたか。


「もう少し奥に行きましょうか、強敵と対峙した際の対応も見ておかないとだし」

「わかりました」


  そう言って、イリアさんと共に森へと潜って行った。

 

―――――――


 森の奥に向かって暫く歩いていると、ふと違和感に気がついた。


「あのー、イリアさん。この辺りモンスタ一を見かける回数がやけに少ない気がするんですが…」

「かなり強力なモンスターがいると、その周りには雑魚モンスターが住み着きにくくなるのよ」


 興味深い生態だな。地球でも川の主は群れないと聞くが、そういうことだろうか。


「そう言えば、イリアさんの職業(ジョブ)ってなんですか?」

「【大魔術師】と【剣豪】よ」

「2個持ちですか?!初めて見ました…凄いですね…」


 そんな事を話していると、ふと遠くから悲鳴のような声が聞こえてきた。


「…今の聞こえました?イリアさん」

「えぇ、声と戦闘音的に冒険者じゃないわね。助けに行きましょうか」

「はい!」


―――――――


「あれは…?!」


 森の中を駆け抜け、声のした方向に向かうと、そこにはスカルドラゴンに襲われている行商人がいた。


 スカルドラゴンはSSランクの魔物であり、S〜Aランクの冒険者が複数人集まってやっと倒せるレベルの魔物である。


 悲鳴の声の主であろう人影が見えないあたり、おそらく死んだか食われたのだろう。


「なぜこんな所に・・・というか助けなきゃ!」

「いえ、ギルバート君は戻って応援を呼んできて欲しい。

 あれは私が食い止めておくわ」

「しかし、それではイリアさんが危険に…」

「私なら…大丈夫」


 イリアさんはそうは言っているが体がすこし震えている。

 大丈夫という言葉も俺を逃がすためであって、確信はないのだろう。


「……わかりました。くれぐれも無理はしないでくださいね?」

「うん、わかってる。Sランク冒険者なんだから当然よ」


 そう言ってイリアさんはスカルドラゴンに向かって駆け出していく。

 遠目から見てもわかるほど激しい戦闘が起きている。


 さて、俺はどうしたものか…。

 死なれても後味が悪いし、正直加勢したほうがいいだろう。

 だが実戦不足な以上足手まといになる可能性もあるしな…。


―イリア・グリムヴァルド視点―


  横目で(ギルバート)が応援に戻った事を確認すると同時に魔法の杖を取り出す。


「まずは木の陰に隠れて様子を伺って…」 

『よそ見か?小娘よ』


 突如低い男性のような声が脳内に響き渡る。おそらくドラゴンの〈念話魔法〉だろう。


 回避…は間に合わないわね。


「〈バリア〉!」


 咄嗟に防御魔法を展開する。

 それと同時に火炎ブレスがドラゴンの口から放たれる。

 熱波と衝撃波が全身に伝う。

 指先が痺れる。

 

 ブレス攻撃が移動と攻撃手段を奪う目的なのは確実として、まだ何か来るはずよね…


『反応速度はいい。が、終わりだ』


 ぼんやりとブレスの中から何か巨大なシルエットが迫るのが視認できる。


「まさか、自らの尻尾を犠牲に防御魔法を?!」

『お察しの通りだ』


 ブレスが止んだ途端、間髪入れずに巨大な尻尾がバリアに叩きつけられる。

 バリアは一瞬で砕け散り、私の真横へと迫る。


「…この距離は流石に即死ね」


 死を覚悟し、ゆっくりと目を閉じようとした時、ふとその声は聞こえた。


「させるかぁっ!〈天地両断〉ッ!」

「あなた、なんでここに?!」

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