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命短し恋せよ、ヒーロー!!『ブラックの場合』

侵略的地球外生命体、通称『怪獣』──。宇宙から現れて破壊活動を行う怪獣から市民を守る為に結成された防衛庁の特務機関。WBC日本支部には人々から黒魔女。ブラック・ウィッチと呼ばれる男性隊員が居る。それが黒井佐葦(サイ)


一度、怪獣が現れたならば戦闘機に乗り込み。最前線で怪獣と勇ましく戦う。性格は果断にして冷静沈着。


一瞬の躊躇いが生死を別つ為、何事も即断即決をよしとする。

凄絶な美貌と柔和な言葉遣い。そして次世代型可変戦闘機。


通称ザ・ウィッチのパイロットであり。次世代型可変戦闘機を自由自在に乗りこなし。

空を縦横無尽に翔け回り数多の怪獣を屠ふってきたことから黒井は黒き魔女。《ブラック・ウィッチ》と謳われている。


WBC日本支部の広報も務め。一般市民からも熱狂的な人気を誇る黒井は恋をしている。WBC日本支部の基地の近くにある小さなパン屋で働く女性店員に───。



怪獣が最初に襲撃したのは小さな島だった。温暖な気候の漁業と観光業で成り立つ小さな島。


若者は少なくて年寄りが多く。人口も減っていく一方だったけど。だからこそ島に生きるすべての人間が家族のようだったことを島の人間だった黒井は今でも覚えている。


その島はもうない。跡形もなく怪獣に破壊の限りを尽くされ島そのものが無くなったのだ。


何故、怪獣が島を襲ったのか。その理由は定かではない。人類が把握していないだけで怪獣には明確な島を襲い。破壊せねばならなかった理由があるのかもしれないが。


この時の襲撃でたった一人。生き残ってしまった子供が居た。それが黒井だった。何故、黒井だけが生き残ってしまったのか。黒井自身その理由はわかっていない。だが生き残ってしまったことの意味を黒井は求めた。


自分だけが生き残ったことに。なにかきっと意味がある筈だと信じて行き着いた先が防衛庁の特務機関。WBC日本支部だ。


怪獣から市民を守る為に世界各国で合同で結成された特務機関。その隊員は。黒井と良く似た経歴の人間ばかりだった。誰もが怪獣によって家族と未来を奪われて人生を狂わされた。


黒井だけではなかったのだ。黒井の身に起きた出来事は怪獣に引き起こされた数ある悲劇の内のひとつでしかなかった。

そして特務機関の隊員たちも黒井同様に自分が生き残った理由を探していた。


だからだろう。特務機関の隊員たちと居ると息がしやすかった。

そんな黒井に官舎の同室で同じ部隊の隊員である赤崎藜はバッサリと傷の舐めあいなんざ俺はごめん被るわと切り捨てた。


傷を舐めあって。傷を広げて痛がってる暇があんなら一匹でも多く怪獣を殺さな。

俺は自分を可哀想がるヤツが嫌いやと暗い目で語る赤崎も怪獣に故郷を壊滅された人間だった。


「あら、奇遇ね。アタシも自分を可哀想がるヤツは嫌いよ。アタシ、百点満点の人間で居たいって常々思ってるの。」


アタシなんかの為に命を賭けてくれた愛しい家族がそれだけの価値がアタシにはあったと思える様なパーフェクトな。完璧な人間で居たい。百点満点のオトコで居たいってね。


「でも、アタシ。執念深いオトコなの。アレを見ると臓腑が捻切れるような憎しみでどうしようもなくアレを。怪獣を殺し尽くさずにはいられない。怒りに歪んだ顔ほど醜いものはないわ。」


怪獣が居る限りアタシは鏡を見る度に自分に-1点を付け続ける嵌めになる。怪獣が存在する限り永遠にアタシは99点のオトコ。完璧にはなれない。


「それが嫌だからアタシはアタシの為に怪獣を殺すわ。」


それがアタシの持つ唯一無二の矜持。完璧なアタシになる為に戦うのよと言い放った黒井に赤崎は目を瞬かせ。くはっと噴き出して笑う。なんや面白いな、あんた。


ま、正義の為。人様の為なんて漠然としたぬるい理由よか。よっぽど理解出来るわと赤崎は笑いを引っ込め。

これからよろしゅう頼むわ、御同類とへらへらと笑った。緩いその笑みに反して瞳は鋭い。


黒井はとらえどころがなく。軟派な態度の下に冷たい毒を隠し持っているだろう赤崎にクラゲみたいなヤツねと肩を竦めた。


それが血濡れ将軍ジェネラル・ルージュ黒魔女ブラック・ウィッチと呼ばれ。恐れられるようになる赤崎と黒井の出逢い、その始まり。


同じ部隊。更には同室とあり。なにかと関わりがあった赤崎が一年前から一人の少女に夢中なことを黒井は把握してる。というか赤崎と同じ部隊の隊員はとっくに気付いていた。嗚呼、コイツ。恋をしているなと。


冷酷非道にして冷徹な司令塔。屠ふった怪獣の数は三桁越え。任務外では軟派な態度を取り。緩いへらへら笑いで周囲の緊張を解き。冗談を飛ばす気安さで女性人気も高いが。この気安さに反して硬派な男。浮いた話はこれまで一切なかった赤崎に。


とうとう春が来たのか!!と特務機関WBC日本支部の基地が揺れに揺れた。なんなら賭け事も始まった。賭けの内容は付き合うようになるまで何日掛かるかだ。日本支部の全員。赤崎がフラれるとは思ってない。


冷静沈着、計算高く。未来視の如き先読み能力を持つ司令塔がフラれるようなヘマはしないという確信があった。赤崎ならば気付かぬ内に外堀ぐらい埋めるし。


息を吸うように思考誘導だってやってのけるわと長年同じ部隊に居る黒井も確信しているので。WBC日本支部基地内の食堂。ボリューム重視。人工肉のカツ丼を食べながら。


二世代前の古い機種のスマホで女性向けの装飾品を扱うショップのサイトを眺める赤崎の前に。黒井は焼き鯖定食の乗ったトレーを手に座り。まだ付き合ってもない相手からいきなり装飾品を渡されたら怖いわよとズバッと切り込む。


赤崎は気を損ねることなく俺もそう思うわとへらりと笑う。この様子だと交際は始まっていないらしい。


黒井のように何事も即断即決をよしとする男が二の足を踏んでいることに黒井は驚き。交際を切り出せない理由があるのだと察し。装飾品が若年層向けな価格帯とデザインなことに気付き。


あらやだ、年下に手を出したのアンタと赤崎に問えば赤崎は噎せ。手は出しとらんわ!!それどころか名前もまだ聞けてへんと顔を赤く染めて言い返す。


「名前も聞けてないだなんて。アンタ、奥手だったのねぇ。意外だわ。」


「奥手とちゃうわ。怖がらせとうないだけや。」


「怖がらせたくない?」


「···話したこともなかったんや。ずーっと眺めてるばかりでな。可愛ええな。ええ子やなってことは俺の方はわかっとるけど。あの子は俺のこと、よう知らん。」


そんな俺にいきなり話し掛けられたりしてみぃ。怖いやろ。怖がられるのはまだ良い。


「俺はあの子には嫌われとうないらしい。」


へらりと。何時もより力のない緩い笑いに黒井はらしくないわねぇと小鉢に入ったひじき煮を食べてから。アンタなら上手く立ち回れるでしょ。


嫌われないように好感を持たせるなんてアンタは簡単に出来る。それにも関わらず二の足を踏んでいるなら。成る程、本気で好きなワケねと空にした小鉢を置く。


アタシたちは明日には死んでいるかもしれない人間よと黒井は定食についてきたサラダの入った小皿を身体が資本なんだから野菜を取りなさいと赤崎の前に置いた。


「···このままだと死ぬ間際に思うことになるわよ。あの時、想いを伝えられていたらってアンタは必ず後悔するわ。」


「わかっとる。」


赤崎は黒井が押し付けたサラダをもそもそと食べる。黒井は肩を竦め。うだうだと手を伸ばさない理由を探している赤崎に発破を掛ける事にした。


「言い方を換えるわ。好きで好きで堪らないその子の隣に自分以外の男が居て。彼女は自分が幸せにしますって。ド定番なコトを言われたらアンタは身を引くタイプじゃないでしょ。」


傷を遺すことになってもアンタは絶対に身を引けない。


「基本的に我が儘で傲岸不遜で計算高く寂しがり屋で執念深いアンタは好きな人には好きで居て欲しいし側に居て貰いたいのよ。」


「貶しとる?」


「あら、これでも褒めたつもりよ。我が儘で良いじゃないの。」


絶対に譲れないモノがあるなんて素敵なコトだわ。アタシたちは色々なモノを失ってきた。握り締めているのは自分の命だけだっていうのに。その命さえも必要とあれば投げ出す。


「そんなアタシたちだからこそ。無くせないモノを作るべきなのよ。きっとそれが生き甲斐になってくれるし。アタシたちの死に意味を持たせるわ。」


愛するひとを守って死ねる。それってアタシたちみたいな人間には最高に贅沢だわと微笑む黒井に赤崎は目を見開き。自分の頬を叩いて吹っ切るように席を立った。


黒井の言う通りやわ。俺らしくなかったなとトレーを持ち。後悔するとこやったわとへらりと笑う。黒井はフラれたら基地の全員で慰めてあげるとからかうように笑えば。


赤崎は馬鹿言いなや。俺はフラれたりせえへんと言い返し。黒井、お前もええ加減に腹を括ったらどうやと赤崎は笑う。黒井は思わず肩を強張らせた。


「なんのことかしら?」


「基地の近くにあるパン屋の店員。」


「······その情報。言い触らしてないわよね?」


「黒魔女さまを敵に回すことはせえへん。せえへんが俺だけやない。基地の全員が知っとる。ようは公然の秘密ってヤツやな。全然進展せんから基地の全員が焦れったいって思ってんのや。黒井もはよ告白せんとなァ?」


黒井はひくりと頬をひきつらせた。赤崎は黒井もはよ。好きやってあの子に伝えんと。うかうかしとると横から拐われてまうでと自分の肩を叩いてトレーを下げに行く赤崎に黒井は額を覆い。


そうね、他人の尻を蹴っ飛ばしてる場合じゃないのよと細く細く息を吐いた。


怪獣を倒し。官舎のシャワールームで汚れを落として。念入りに肌をケアして私服に着替え。鏡の前でアタシは今日も綺麗だわと客観的な事実を口にする。


迷いのない足取りで向かうのは防衛基地近くにある小さなパン屋だ。

軽快なドアベルの音色を控えめに響かせ、木製のドアを開く。パンを見るフリをしてレジの前に黒井はこのパン屋に通い詰める一番の理由である女性店員の姿を確認する。


(───綺麗なのよ、アタシは。何時だってアタシは美人でパーフェクトだわ。でもね、この子はそんなアタシよりも綺麗で可愛くて。とびっきり素敵な女の子なの。魔法にかけられたみたいにアタシには輝いて見えるわ。)


商品棚の合間から不自然ではない仕草で黒井は彼女を眺める。至って普通の女性だ。顔も容姿も平凡で目立つ部類の女性ではない。

けれども黒井にとって彼女は特別なのだ。


常に完璧であれと己を律し。前向き過ぎる程に前向きな黒井だが。そんな黒井でも時にはどうしようもなく気分がどん底に落ちる時がある。その日がまさにそうだった。


怪獣が複数体出現し。連日に渡る戦闘で肌はボロボロ。髪はパサつき。体調は最悪。


加えて防衛基地に詰め掛けた怪獣と共存を訴えるデモ団体の抗議で一睡も出来ない日が続き苛立つなか。SNSで書き込まれた自分に向けられた中傷を見かけた。

何時もなら笑い飛ばせることが自棄に黒井の心を引っ掻いた。


「今すぐ飲みたい気分だわ。泡盛をラッパ飲みしたい。大吟醸でも可。テキーラ。いえ、スピリタスでも構わないわね。」


「今の時間帯で営業してるのは近くのコンビニぐらいや。コンビニ行くなら目立たんようにな。」


「あら、アタシがそんな初歩的なヘマをすると思う?派手に目立ってやろうじゃないの。叩きたいなら幾らでも叩かせてやるわ!!SNSのトレンド一位を美しいアタシが飾るでしょうね。見てなさい。#タグは素っぴんでも美しい黒魔女よ!!」


「俺、毎回思うんやけど黒井はキレ散らかすと十割増しで面白いなァ。」


赤崎に見送られ。官舎を抜け出し。基地に一番近いコンビニに黒井は向かい。天井が崩落し。復旧作業中のコンビニに膝から崩れ落ちた。


(忘れてたわ。この周辺にも避難勧告が出てたってこと···!!)


胸中で怪獣に有らん限りの罵詈雑言を吐く黒井は微かに鼻を掠めた匂いに顔を上げた。小麦粉の焼ける。パンの匂い。導かれるように黒井は匂いを辿り。一軒の小さなパン屋を見つけ出した。


路地裏に誰かがポツンと隠したような佇まい。黒井は木製のドアの前に立つ。


(こんな時間にって。もう夜明け近くだものね。看板はopen。ということは営業中ってコトよね。お腹も空いた事だし。手ぶらで帰るのも癪だもの。)


黒井は思いきってドアを開いた。途端、ふわりと包むパンの焼ける香ばしく、甘い香り。小さな店内には多種多用なパンが並ぶ。トレーを手にトングを装備して。黒井は目に着いたパンを乗せていく。


普段は体重と体型をキープする為に節制している黒井は。今夜は思う存分。好きなモノを食べようと店内いっぱいに並べられたパンを前に決意した。


とは言え三十路前の胃袋には許容量というモノがあるワケで。あれも、これも素敵。


ぜんぶ食べたいわと嬉しい悩みを溢した黒井にパンを補充していた小柄な女性店員がくふくふと笑い。カンパーニュがお勧めですよと。焼き立てだというカンパーニュを見せる。


「なんと新商品です。」


なかにチーズとハチミツがたっぷり入ってて。ミルク感強めのチーズにコクのある甘味の濃いハチミツが絡み合ってすごく美味しいんですよ。パン生地は外側はカリッとしていて。中はもっちり。


「噛めば噛むほど小麦粉の味がよくわかります!!」


「あらやだ。素敵じゃないの!カンパーニュをいただくわ。店内で食べることは出来るかしら?」


「もちろん。お勧めは奥の窓際の席です。」


女性店員の言葉に素直に従い。レジで会計を済ませてイートインスペースの窓際の席に座り。黒井はそこが商店街だったことに気付く。


空が明るくなり。夜の帳が上がるにつれて様々な店が次々にシャッターを開け。店の従業員や店主が挨拶を交わし。段々と活気付いて。賑やかになっていく光景を窓越しに眺めていると。


先程の女性店員がワインは好きですかと黒井に訊ね。ええ、ワインは好きよと返すと。女性店員は敬愛する偉大な黒魔女さまにと恭しく紙のカップに入ったホットワイン。グリューワインを差し出した。


アルコールを飛ばし。ハッカクやクローブ、シナモンを加えられた赤ワインのなかに惜しみ無く林檎とオレンジが漬かっている。添えられたシナモンスティックはマドラー代わりだ。


黒井はこれはと目で問うと女性店員は空を翔け回り。怪獣と戦う黒魔女は私たちの希望の星なんですよと星の形をしたハッカクをグリューワインの入ったカップに添える。


「私が希望の星──?」


「はい。怪獣は何時も簡単に私たちの生活を。日常を壊していく。そのことを悔しく思っていても私たちは怪獣に抗う術はなくて。ただ、嵐が通りすぎるのを祈ることしか出来ない。でも、」


あなたが。あなた達が戦えない私たちの分まで怪獣と戦ってくれていると女性店員は黒井の目を見て、真っ直ぐに語る。


怖さを、苦しみを。ぜんぶ背負って。あなたが戦ってくれるから。私たちも頑張らないとって思えてくるんですと頬を掻く。


「私、怪獣が現れてから空を見ることが怖くなったんです。怪獣は何時も宇宙(ソラ)から現れるから。」


でも、怪獣の合間を縫ってあなたが自由自在に空を翔け回る姿を見ていたら。もう怖くはなくなったんです。空を綺麗だとまた思えたのはあなたのお陰だった。


「何時か偉大な黒魔女さまに会えたなら。私、お礼を言おうと決めてたんです。」


偉大な黒魔女にあらんかぎりの敬愛と感謝を。ありがとうございますと頭を下げ。ドアベルの音に促されて離れる女性店員に。黒井は引き結んだ唇をへの字にする。


あと少し離れるのが遅かったら黒井は涙を見せるところだった。黒井が怪獣と戦うのは自分の為。黒井の為に。黒井を守って死んでいった家族に報いる為。これからもそれに変わりはない。


ああ、けれども。だとしても黒井が居たことで救われた人間が居たという事実にどうしようもなく目頭が熱くなったのだ。


グリューワインを口に含む。口に広がるそれは温かな希望の味がした。


それからどうしてもなにをしてもダメな日が来ると黒井はパン屋を訪れてカンパーニュとグリューワインを買うようになって。女性店員となんてこともない。他愛ない話をする度にささくれだった心を癒されてきた。


黒魔女さまと柔らかな声音に呼ばれると胸が締め付けられたように切なくなる事に気が付いた時にはもう色々と手遅れだった。


「ねぇ、カンパーニュの味を変えたのかしら?」


本日のお勧めとカンパーニュ。そしてグリューワインを注文し。黒井の定位置になったイートインスペースの奥の席で黒井はグリューワインを席まで届けた女性店員に訊ねてみた。


女性店員は落ち着きがなくなり。味、落ちましたか?とおずおず聞くので。反対よ。前も十分美味しかったけど。今日のは格段に美味しいわと黒井は微笑む。


女性店員は黒井の言葉によかったぁと安堵の息を吐く。黒井が目で問うと今日から幾つかのパンとカンパーニュは私が焼くことになりましてと照れ混じりに女性店員は頬を掻く。


「パンは基本。店のオーナー。私のお祖父ちゃんが焼いてるんです。パンの本場。フランスで修行したひとなんで。孫とは言え、厳しーく指導されてます。」


そのお祖父ちゃんからカンパーニュなら店に出せるってお墨付きを貰えたんです!!カンパーニュと言えば黒魔女さま。


「黒魔女さまに美味しいカンパーニュを出せるように練習を重ねてきた甲斐がありました!」


「つまりこの美味しいカンパーニュはアタシの為なのね?」


「えっと、あの。そうですっ。黒魔女さまに出すなら半端なモノは出せませんし。わ、私が作ったカンパーニュを食べて黒魔女さまに笑って欲しいと思ってっ···!!」


気恥ずかしげに頬を染めて。眉を下げて笑う女性店員に黒井は退勤時間を教えてくれるかしらと柔らかに微笑み。デートしましょと告げたのだ。


目をパチリと瞬かせてから。黒井の言葉を咀嚼した女性店員が顔を真っ赤にして狼狽するなか。黒井は愛しげに目を細めて見詰め。その名の様に華麗に大胆不敵に笑った。


命短し恋せよ、ヒーロー!!(ブラックの場合)

【アタシ、貴女に恋をしたみたいなの。この黒魔女の心を奪ったんですもの。貴女もアタシに奪われる覚悟をしなさいな!】 

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