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最強ギルドごと異世界に転移した最強種たち、暇なので世界を滅ぼしてみた  作者: 朝雨 さめ
第二章

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第四話 不安を穿つ槍


種族主という、かつてのゲームにおける、種族王とともに称された理不尽の代名詞。


圧倒的なまでのエネルギー量を誇る根源のコアを破壊できる可能性を秘めているのがその双方でしかおおよそ成しえないことを知る俺たちだからこそ、必然的にこの先に求めていた種族王か、もしくはNPC最強にして、真の種族最強である種族主が存在しているのかもしれないというギャンブルが発生した今、周囲の空気は一変した。


かつての種族王を探しに来たとはいえ、まさか種族主までいるかもしれないとはなぁ……。

考慮してなかったわけじゃないけど、いざそうなるってわかると緊張するというか……。

それに、この世界での種族主の力がどれほどかはまだわからないけれど……もし、本来の力の状態でここにいるとなると、下手したら死ぬ可能性もある、ってことだし……。


などと、そんな風に思っているのは俺だけじゃないようで。

これまで、異世界の観光気分をどこかに漂わせていた道中の雰囲気は霧散し、代わりに肺をじりじりと焼くような重苦しい緊張感が場を支配する。


ゴラクZさんの炎の鬣は警戒を露わにするように激しく火花を散らし、猫バイトさんの岩石の巨体もどこか身構えるようにその硬度を増す。


――だが、そんな停滞した空気を切り裂くように、冷ややかな、けれどどこか楽しげな音が頭に流れ込んできた。


「……ふん。何をそう怯えているんだ? そもそもまだ相手が敵と決まったわけではないだろう?」


その言葉で全員の視線を集めたサクさんは、粘りつくような熱風を物ともせずふわりとたなびく黒のローブをはためかせながら言葉を続けた。


「それに……そもそも存在することが確定したわけでもないが、種族主がいることは俺たちにとっては好都合だろう? 当初の目的を鑑みるに、種族王より遥かに知識はあるだろうしな」


彼はそう告げながらも自身の骨の指先で、百二十万を費やしたという対日の指輪(ソレリウム・シェイド)を無造作に弄りながら眼窟の奥の青い光を退屈そうに揺らしている。

しかしその冷ややかな言葉を聞いたゴラクZさんが思わず声を上げた。


「ウゥム……。サクラノヴァ、そうは言うが、それとこれとは話が別だ。……ここは灼炎種の領域。……つまりここにいるのは―――あの、灼炎の主なんだぞ?」


燃え盛る鬣を静かに揺らしながら腕を組み、重厚な体躯をさらに沈めるようにして足元を確かめる。

その表情は決して怯えているわけではなく、憂慮に満ちた表情が伺えたが、一方の不死の骸骨はそれに対して鼻で笑うように骸の顎を鳴らしただけだった。


とはいえ、だ。


そうして俺はあえて乾いた岩肌を一歩踏みしめ、仲間の背中を追い越すように前に出た。


「……ゴラクZさん。仮にそうだとしてもここで逃げたら何の意味もないよ。それに、火山の停止だって自然に解決するわけじゃないしさ」


言葉を吐き出すたびに、熱を帯びた空気が喉を掠めていく。

……逃げるのは簡単だ。というか、やらなくていいことなら極力俺もやりたくはない。

でも、今、逃げてしまったらこの異世界での手がかりが二度と得られなくなるかもしれない。


「グ……それはそうだが……しかし……」


俺の言葉を聞いたゴラクZさんは、分厚い胸板をさらに沈めるようにして深く息を吐いた。

彼の鬣が抑えきれない焦燥を映すようにパチパチと爆ぜる。

その屈強な拳は固く握りしめられ、武人としての誇りと仲間への危惧の間で激しく葛藤しているのが、長年の付き合いの俺達にはその横顔を見るだけで痛いほどに伝わってきた。


ただ、そんな重苦しい空気をなだめるように、俺は少しだけ肩の力を抜いて苦笑いを浮かべた。


「っていうか、サクさんが煽りすぎなんだよ……。ほら、俺たちは一人で立ち向かうわけじゃないんだからさ」


そう言って俺は、傍らを浮遊する黒い骸骨とその後ろで呑気に構える無機質な巨岩へと視線をやる。


俺たちがこれまで歩んできた戦歴は、いつだって無茶だと言われるようなことの積み重ねだった。

でも、その全てを乗り越えられることができたのは、個性的ながらに頼りがいのあるメンバーが揃っていたからだ。


「うんうんそうそう~! それに、何かあっても僕が何とかしてあげるよ~! まっ、僕は正直サクラノヴァさんと同意見で楽しみって感じだけどさ~!」


猫バイトさんがゴラクZさんの前で岩石でできた重厚な掌をパンと打ち鳴らした。

その重い石同士がぶつかり合う鈍い音が彼に届いたとき、彼の燃え盛る鬣が静かに煙を上げた。


「……それもそうだな……」


―――と、そんな俺たちのやり取りを一番後ろで震えながら見ていた赤い鱗の案内人が、ひどく困惑したように短い首を傾げながらおずおずと言葉を紡いだ。


「えっ、え~っと……? どういうことでしょうか? コレは……?」


まぁ、確かに彼からすれば、山を登っていた途中で急に絆を深めあっているわけだから理解できないのも当然だろう……。


「お前は気にしなくていいから。ってか結構登ったけど、まだなのか?」


そう言いながら斜面から下を見やると、もうすでに気軽に引き返せる距離ではないほどに火山を取り囲むようにした木々が小さな草原のように見える。

……まぁ俺なんかは飛べば一瞬だけど、ゴラクZさんだけは空を飛べないからね……。

これから灼炎種の領域に行くのに、灼炎種の王だけ置き去りにするのは、灼炎種だけに"癪"に障るかもだし……なんてね……ゴホンゴホン。


「いっ、いえいえ!! もう少しで着きますとも!!」


そんなしょうもないことを考えながら発した俺の催促に、サラマンダーはこれ幸いと言わんばかりに姿勢を正し、必死な営業スマイルをその爬虫類顔に張り付けた。


――――そうして、何度目かの岩影を曲がると、明らかに人為的に作られたであろう横穴が、火山の内部に向かって大きく口を開けていた。


すると、ふとその場で立ち止まってこちらを振り返ったサラマンダーは胸を張り、どこか誇らしげに前を指し示した。


「さぁさぁ! この先の洞窟を抜ければすぐに見えてきますとも! わたくしがかつて過ごした――灼炎種の故郷が!」


その言葉に俺たちは再び互いに視線を交わし、無言で頷く。

この先に何が待っているのか――それを知るために今――――洞窟に入り――――。







「止マレッ!!!!!!!」








突如響いた声とともに、俺たちは鋭い槍を突き付けられた―――――――――。

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