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最強ギルドごと異世界に転移した最強種たち、暇なので世界を滅ぼしてみた  作者: 朝雨 さめ
第一章

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エピローグ2 国を滅ぼした先の未来


「ただいま~!!!」


そう口にしながら重厚な扉の中に入った俺たちは、たった一人で城を守ってくれていた仲間であるゴラクZさんに帰還の挨拶を済ませた―――が。


「ウム、思ったよりも早かったな!」

「やや! お早いお帰りで! 王都の問題は……問題なかったようですねぇ!!」


――と、そういえばここにいたもう一体の存在――サラマンダーが、体を気持ち悪いほどクネらせながらこちらを見てそう口にした。


……しかしまぁ俺らはそれを無視してゴラクZさんに話しかける。


「こっちはなんもなかった? あっちに五番隊長だけいなくてさ……なんか知らない?」


そう俺が問いかけると、ゴラクZさんは重々しい声ながらに軽く答えた。


「あぁ、奴は我が力を見て一目散に逃げていったぞ。恐らくもうこの辺りには現れないだろう」

「そっか~! なんか一番強いみたいなことを聞いてたからやりたかったな~!」


そう言うや猫バイトさんは肩をすくめながら笑った。

……とはいえまぁ、一番強いとは言ってもたかが知れているだろうけど……と俺が思っていると、ゴラクZさんが今度は柔らかな優しい声で場を締める。


「ははっ、すまないな。……だが、みなに異常がなくてなによりだ」


うんうん。

大抵こういうイベント事って何かあるのが普通だからね。

何事も、異常もなくて……いや、待てよ?

異常……あったくない???


「いやいや! 異常ありまくりだったよ!? なぁ聞いてよゴラクZさん! サクさんがさぁっ――――」


ふと先日のクソ指輪事件について必死に事の顛末を語ろうとする俺だったが、サクラノヴァさんはこちらを睨み返し、骸骨の顎をカタカタと鳴らす。


「……マスター。余計なことを口にすれば早めに消すぞ……」

「いやこっわ! それ仲間に言っていいセリフじゃないでしょ!?」

「ハハッ、まぁとにかく生きていれば何でもいいさ!」

「それは確かに~!」


―――などとまぁ色々と言いたいことはあるけども。

この城に、かつての俺たちの空気が戻っていたことに俺は思わず笑みを浮かべるのだった―――。



◆◇◆



《オルディレスト城》会議室にて―――。


石造りの広間に、再び俺たち四人の影が魔力灯の光に揺れていた。

先の軽い雰囲気から一転、少し重苦しい空気に包まれる会議室で俺は腕を組みながら口を開いた。


「なんだかんだ呆気なく終わったわけだけど、この後はどうする? 元の世界に戻ろうにもそんな兆しはまったく見えなかったわけだし……」


そう言葉にした途端、場の空気がさらに沈むのを感じた。

誰もが心の奥で同じ不安を抱えているのだろう。


今回の王都の件で知り得たものは大きく分けて二つ。


一つはこの世界は《ユグ:ドライアス》と同じ世界観を持ちながらも、異なる点がいくつかあること。

そしてもう一つは……サラマンダーや王の発言からこの世界は、俺らが来る前から存在していたこと。

……要するに、ここが完全に"異世界"であること。


王都に異世界転移に関する情報が全くなかったということはつまり、俺たちは未だ現実世界に帰る手段が見つかっていないってことで……。

これが夢であったならどれだけ良かったのかとも思うけれど……今はそれを言っても仕方がない。


――と、俺の問いに今度は対面に座る骸骨姿――サクラノヴァさんが顎に手を添え、冷静な声で応じる。


「……ふん、今回ばかりは仕方ない。王都にいた人間の王とやらはどうやら俺たちの思っていた王ではなかったようだしな……」


確かに。

俺たちが剣聖から王がいると聞いて、一番最初に思い浮かべたのは、俺たちと同じ"種族王"だった。

王都という人間種の多くが住む巨大な国を統括、支配できる能力は"人間種"の"種族王"に備わる力でもあったから、もしかするとそうなのかもしれないと思っていたのだけど……結果としては、ストーリー上よくあるような悪逆非道な偽の王。

言ってしまえば拍子抜け。


彼の言葉にしばらく沈黙が場を包んだけれど、再びサクラノヴァさんが言葉を続けた。


「だが、本来の―――俺たち以外の“種族王”を見つけることができれば、俺たちに起きたことも少しは分かるのではないかと考えている。……故に、次はそれらの情報を探ることを優先にしていくぞ」


その言葉に今度は岩の巨人――猫バイトさんが肩をすくめて笑った。


「でもさぁ、人間種の王都ですらあの偽物の王しかいなかったワケじゃん~? この世界に種族王自体がいるかどうかも怪しいと思うけど~?」


軽口に似合わず鋭い指摘に、あのサクラノヴァさんも顎に手を当てて考えようとしていた中、燃える鬣を持つライオン――ゴラクZさんが低く唸り声を漏らした。

炎の鬣が揺れ、熱気がわずかに広間を満たす。


「……その点で少し話があるのだが。……いいか?」

「おぉ、どうした?」


重い空気を断ち切るように紡いだゴラクZさんの一言に全員が顔を向け、次の言葉を待つ。

やがてゴラクZさんはみんなの顔を順に見ながら重々しく口を開いた。


「……皆が出払っているとき、サラマンダーから俺たち灼炎種の住処である火山地帯の異常を聞いたんだが……聞くところによれば、我々が転移する数日前より火山地帯の噴火が減少し、そして――我らがこの世界に現れた日に、火山の噴火は完全に停止したという……サクラノヴァ、これをどう思う?」


その言葉に俺は思わず息を呑む。

猫バイトさんも同じように驚きの表情を浮かべ、視線をサクラノヴァさんへと向けていた。

やがて骸骨の王は顎に手を添え、しばし沈黙した後、淡い蒼光を宿す眼窩を僅かに光らせながら言葉を紡ぎ―――。


「……なるほど。偶然として片づけるには確かに少し怪しさがある……だが、それと種族王に何の関係がある? 今の灼炎種の王がここにいる以上――」


―――彼はそこまで言いかけた瞬間、ふと何かに気づいたように顎を鳴らし、燃える鬣を持つ男へと視線を向けた


「――いや、ゴラクZ……そういうことか?」


そして彼のその問いに、ゴラクZさんもまた頷いた。


「……あぁ。……サラマンダーは俺を新たな王だと言っていた。……つまり―――」


――と、そこでようやく遅れて俺たちも気が付いた。


「なるほど~! 確かに僕たちより前の種族王がいる可能性があるのか~!!」

「うん……それなら火山地帯に行ってみる価値はある、ってことだね」


俺らが揃って納得の表情を浮かべていると、ゴラクZさんは炎を纏う腕を組み直し、重々しく続ける。


「ウム……だが、確実にいるかは保証できん。サラマンダー同様に王がすでに火山地帯を離れている可能性もあるからな。……だが、どうにも一介の灼炎種として放っておけなくてな……俺の私情ですまないのだが、どうだろうか?」


ゴラクZさんの低く響く声には、王としての誇りと仲間を思う真摯さが込められていた。

故に、その問いは俺や猫バイトさんは勿論、私情を嫌うサクラノヴァさんにさえ反論を許さなかった。

……いや、というよりあまり自分の意思を表に出さない彼の珍しい行動に、そもそも誰も否定する気などなかったというのが正しいだろうか。

ていうか既に手詰まり状態だし、時間に追われているわけでもないから行く以外の選択肢もないんだけどね。


「もちろん! ってなると誰がこの城に残るかだけど……」


―――と、流石に城を開けるのは問題があることから提案した俺のその言葉に、猫バイトさんが「あっ!」と声を上げ、思い出したように手を打った。


「それなら心配しなくていいよ~! 前回は使えること自体忘れてたんだけど……僕の分身をここに置いていくってのはどうかな?」


あぁそっか! そういえば猫バイトさんは分身が使えたっけ! 使う機会なさすぎて俺も忘れてたな……。

うーん、となると確かにそれで守りは十分か……?

そもそも近くには王都しかないし……王都の問題も解決した今、懸念事項もそんなないだろうけど……。


「うん、いいんじゃないかな? ん~、でも一応もう少しだけ対応できる手数は残しておいたほうが安心かも……あ、サクさんも眷属出せるよね?」


かつてサラマンダ―と出会った洞窟にて披露した最悪の召喚スキルを思い出した俺の問いに、サクラノヴァさんは頷きながら答える―――が。


「……あぁ。出せるものは様々だが……念のためとあれば【吸血鬼王(ロードオブヴァンプ)】を残しておけば十分だろう」

「【吸血鬼王(ロードオブヴァンプ)】!? いや、ゾンビとかで良かったんだけど……いや、まぁいいか……」


――正直、それは流石に過剰戦力じゃない……? という疑問はしかし口にしないでおいた。

まぁ防衛戦力が高いに越したことはないからね……。

にしたって【吸血鬼王(ロードオブヴァンプ)】って言えば、不死種の眷属の中でも最強に近い……いや、考えるのはもうやめよう。


「よし、じゃあ決まりだな!」


先の邪念を振り切るように俺がそう言うと、ふと、ゴラクZさんの傍らで控えていたサラマンダーが慌てて声を上げた。


「よ、よろしいのですか!? 王の予定を踏み倒してまでわたくしの故郷に来ていただくなど……」


そう語るサラマンダーは普段の調子からは想像できないほどに申し訳なさを浮かべていたが、それをゴラクZさんは制し、武骨な笑みを浮かべながら答えた。


「ウム、元より我が気になったのだ。我が種族の危機を、王である俺が放っておくことはできないからな……!」


そして、その言葉にサラマンダーは感極まったように尾をぴんと立て、叫ぶ。


「オウ……!」


そんなやり取りに場の空気が少し熱を帯びたその瞬間、猫バイトさんが軽口を叩いて場を和ませる。


「はいそこ、ときめかないよ~! 今時、ライオン×サラマンダーは流行らないからね~!」

「サラ×ライは?」

「……論外だ」


―――なんて会話もそこそこに。


「さてさて、じゃあ明日は予定通り火山地帯にみんなで向かうか!」


俺の言葉に仲間たちはそれぞれ頷いた。

ゴラクZさんの炎の鬣が揺れ、猫バイトさんは分身を残す準備を楽しげに語り、サクラノヴァさんは冷静に今後の対応を考えている。


――かくして俺たちはゴラクZさんの種族――灼炎種の住処であった火山地帯―――《カディオール火山》へと向かう準備を進め始めるのだった――――。






















―――ただ、その時の俺たちはまだ知る由もなかったんだ。


火山の噴火が止まった理由が俺たちにとって。

……いや、俺にとって決して無視できないことだったことを。


そしてその地に眠る異端の影が、俺が世界を滅ぼす原因になるとは、まだ誰も知らなかった――――。














――第一章 完。


ここまでご愛読いただき、ありがとうございました!

第一章としては丸く収まったんじゃないかなと思います……多分……。


第二章は現在執筆中ですので、そちらが完結次第再び毎日、今度は朝7時に投稿をしようと考えています!

(とりあえず顔見せ程度に二章の一話を明日投稿します……が、そこからは何卒ご容赦を……)

ので、ここまで面白かった! 次も気になる!という方がいれば、ぜひ評価やブクマ、感想をいただけると今後のやる気に繋がりますので、どうかよろしくお願いいたします!


改めて、"最強ギルドごと異世界に転移した最強種たち、暇なので世界を滅ぼしてみた"を今後も応援よろしくお願いします!


一応、話は完結済みにしていますが、二章投稿時には連載に変えますので、ご了承ください。


それでは次回更新をお楽しみに~!

(完結しきれずとも二月中には必ず出します……!)

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