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最強ギルドごと異世界に転移した最強種たち、暇なので世界を滅ぼしてみた  作者: 朝雨 さめ
第一章

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第三十七話 瞬きの間に起きた出来事



―――王は瞬きをした。


いくら何百何千何万もの民を支配する王といえど、一人の人間種。

生理現象というのは必ず訪れるもので、その一つに瞬きがある。


王は自身が抱える力を驕っていた。

驕ってはいたが、しかし油断はしていなかった。

いくらかつての守護隊長に対抗するために手駒にした近衛兵がいたとしても。

いくら全てを蹂躙する最恐の魔獣がいたとしても。

生きていれば想定外の事態というのは訪れるものだから。


再度言おう。

王は油断など全くしていなかった。


当然だろう。

目の前に自身に仇なす強敵がいるのだから。


当然だろう。

未知の海獣種と手を組み、各守護隊長を退けてここまで現れたのだから。


当然だろう。

瞬き一つの間に、王都最恐の自慢の魔獣が倒されるなど―――誰も考えないのだから。


近衛兵に命令を下し、かつての守護隊長たちはそれに対応する。

しかし残る海獣種は何も語らず、ただぼーっと立ち尽くしているのみ―――そのはずだった。


生理現象によって両の目を閉じる、僅かな間。

その言葉が示すように、秒にも満たない僅かな瞬きの間に、その姿は視界から消え――。

突如後方の檻が激しく軋む音とともに、巨大な何かが倒れる音と振動が玉座の間を震わせた。


その音に、衝撃に。

急速に嫌な予感が背筋を流れ、大きな唾を飲み込む。


嘘だ、そんなはずはない。


自身にそう言い聞かせるしかできない王は、ゆっくりと振り返り……。


「……なっ!? そ、そんな馬鹿なッ!? 貴様、なにをしたッ!?」


先までは細く、冷たさを帯びていた目は今や大きく見開かれ、その事実をしかと理解するために左右に揺れる。

王が目にしたのは、自身が闇の商人から買った魔獣の子供から密かに育て、畏怖の象徴として君臨させていた魔獣が泡を吹いて倒れ伏した姿と、その前で立ち尽くす一体の海獣種……いや待て海獣種か?

よく見れば下半身は人間のようだが……いや、まぁそんなことはどうだってよい!


理解はできるが、脳が理屈を拒む。


陸に現れた海獣種もどきがなぜ? どうやって!? いつのまに!!??


ただそれだけが王の思考に駆け巡るも、既に事は終えているが故にいくら考えても答えは現れない。

唯一の手掛かりは、倒れた魔獣の傍らで、なにやら当の本人が"うわ、くりてかるでちゃった……最悪……"などと呟いているが、意味が分からない。

しばらく困惑し、手を震わせていた王だったが、そこで初めて異端の存在である海獣種のようなものがこちらを振り返って言葉を発した。


「なぁ、こっちばっかり見てないで、そろそろ兵士たちのほうを見たほうがいいんじゃないかー?」

「……なに……?」


ふん、いきなり何を言うかと思えば……。

あの兵士たちは彼らに対抗すべく雇った選りすぐりの兵士たちだぞ?

見るまでもなく、奴らを葬っておるに違いな――――!


そう、王が思いながらも振り向こうとしたその時。


「――――どこを見ている?」


グッ、と肩を引かれ、無理やり視界が急転した先に見えたのは―――。

無傷でこちらに剣を向ける剣聖の姿と、かつての信頼できる暗殺者の姿だった――――。



◇◆◇



剣聖が王に刃を向ける数分前。


「―――来るぞ!」

「……ああ!」


王が仕向けた近衛兵は、王の指示とともに自身が持つ固有魔法を放つ。


王――ゼルファリオ=マギステリアは、傲慢で、残酷で、支配に酔った男だったが、決して無能ではない。

彼はすでにソフィアが裏切る可能性も、シェイドが内に何かを隠していることも何となく察知していた。

だからこそ――彼らに対抗できる固有魔法を持つ兵士をあらかじめ選び抜いて配置していた。


一人は、ソフィアの反応速度や動きを制限させる【重力磁場(グラビティック)】――対象の思考速度や動きそのものを強制的に遅らせることができる魔法を持つ。

一人は、シェイドの強制的に各能力値を平均にさせる能力に影響されない【鉄強鎧(アイアンフォールス)】――自身の体を能力値に頼らずに鋼鉄のように固くすることが可能な魔法を持つ。


その上、王直属に引き抜かれるほどには身体技術についても申し分なく、一介の兵士としてでいえばその力は圧倒的であると言えた。


……だが。



―――敗因は、王が直接、剣聖やシェイドの本気の戦闘を目にしたことがなかったことだろう。



剣聖の本気の速さは、かの大人気ゲームにおいて最強の証である竜種の王にまで上り詰めた男を僅かながらにでも驚かせるほどで、それはつまり、一介の兵士が目に追えるものではないことを意味する。


つまり―――。


「はぁっ!!!」


彼女の踏み込みは、彼らが魔法を発動させきる間もなく距離を詰め―――兵士が驚愕の声を漏らす間もなく剣閃が走り、兵士の鎧が砕ける音が響く。


「ぐあぁあああああっ!」


肩口から胸へと斜めに深々と切り裂かれた傷口から、 鮮血が噴き出す。

豪奢な鎧を纏い、王城を守護する誇りを持っていたはずの男が―― まるで紙細工のように崩れ落ちた。


そして、残されたもう一人の兵士は、仲間の最期を目の当たりにしながら、震える手で魔法を完成させようと必死だった。


「―――【鉄強鎧(アイアンフォールス)】ッ!!」


――瞬間、彼の肌は鈍色に染まり、鎧の隙間から見える筋肉の線が鎧のように硬質化していく。

剣で斬られようとも、槍で突かれようとも、容易には傷つかぬ肉体へと変わりゆく中―――。


「――遅い」


冷ややかな声とともに、短剣が兵士の首筋に奔った。

独特の歩法によって、音すら出さぬ動きで鋼鉄の肉体へと化しきれていない箇所を正確になぞる。


「がはっ……!」


刃は容赦なく肉を裂き、そして――。

彼が短剣を払うと同時に兵士の体は音を立てて床に崩れ落ちた。


「まったく……気を引き締めたのが馬鹿らしいな……」


そして、それを見ていたソフィアがシェイドに歩み寄りながら彼らの亡骸を見つめ、シェイドもまた冷ややかに肩をすくめながら短剣を腰に仕舞う。


「……ふん……俺たちの力を間近で見てこなかったツケが回ってきたんだ……当然だろう」


その瞳は鋭く、床に倒れた兵士を一瞥するだけでもう興味を失っていた。

やがてソフィアは切り替えるように視線を前方へ移す―――が。


「……あぁ、あとは……って、まったく、あの人は本当に凄まじいな!」


自分たちが兵士を倒すのは一瞬だっただろう。

しかし、その僅かな時間でかつて私たちが恐れた王都の魔獣を平伏させて傍に立つ男の姿を目にし、その声には自然と熱が宿り、シェイドもまた彼の姿を見てわずかに口元を歪めた。


「……はっ、一瞬でも彼の力を疑った俺が情けなく思えるな……」


低く吐き出すその言葉には、悔恨と同時に誇りが混じっていた。

かつて彼の力を信じ切れなかった自分を恥じながらも、しかし今はその背中を信じることに迷いはない。

そしてその言葉にソフィアは強く頷き、自身の決意を示すために、強く呟いた。


「彼が築いてくれた希望を無駄にはしない……。最後は私らの手で終わりにしよう……!」

「そうだな……。行くぞ、この国を変えに……!」


彼らはその決意とともに王へと迫り――――自身の誇りと剣を突きつけた―――――――。


【応援お願いします!】


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!

 

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何卒よろしくお願いいたします!

 

更新は第一章は毎日【AM1時】更新予定です!

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