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最強ギルドごと異世界に転移した最強種たち、暇なので世界を滅ぼしてみた  作者: 朝雨 さめ
第一章

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第三十三話 VS王都守護二番隊長……?



ゴラクZが《オルディレスト城》前にてホッグスと相対する頃。


一方の王都地下水路では、銀の閃光が壁に突き刺さった直後―――水路の空気が一変した。

闇の奥から朧げに見え隠れしていたのは、漆黒の装束に身を包み、顔半分を仮面で隠した男。


「……剣聖……貴様らは今日、ここで死ぬことになる……!」


その低く冷たい声が水路に響いた瞬間、その輪郭が揺れ、空間が歪むような錯覚が走る。


「……来るぞ、マスター! 奴が王都守護二番隊長のシェイドだ!」


ソフィアの声が緊張を帯びる。

その剣先がわずかに震えているのは、かつて刃を交えた者としての警戒心だろうか。

俺もまた、先にソフィアさんから聞いていた話を思い出して僅かに口元を歪めた。


「いや~、やっぱこういう展開はお約束、ってか~?」


俺は軽口を叩きながらも彼女の前に一歩進み出る。

水路の濁流が、まるで戦の始まりを告げる太鼓のように低く唸る―――その瞬間だった。


「っ、マスター殿!」


ソフィアの声と同時に俺たちの足元に淡い光が走った。

濁流の水面に浮かび上がったのは、幾何学的な紋様が幾重にも重なり合う魔法陣。

そして次の瞬間、全身に強い違和感が走った。


「おっ? ……なるほど。これが話に聞いてた固有魔法か……。予備動作が全くないなんて、ちょっと厄介だね」


体が急に軽くなり、まるで全身の力が沸き立つような高揚感が襲う。

あらゆる状態異常の抵抗を持つ自身の力さえ貫通したそれは―――王都守護二番隊長、シェイドの固有魔法。

――――【均衡分配(ディヴィランス)】。

その効果は、対象の肉体に宿る力を自身を含めて強制的に分配し、均等化するという簡素なもの。

だが、その効果は相手が自身よりも強ければ強いほどの効力を増す。

筋力も、魔力も、敏捷性でさえ、全てが均一化されるというこの魔法の本質は"強者を自身と同じ領域に強制的に引きずり下ろせる"ことにある。


そしてソフィアさん曰く。

この二番隊長――シェイドという男は素の反応速度が異常に速く、独特の歩法によって他者よりも早く動けるという力を持っているらしい。

それは、剣聖でさえ見切ることは至難なほど。

相手と自らの力を均一化したうえで、自分だけは相手よりも早く動いて優位に立つ――それが彼の戦術ということなのだろうが……。


「……ふん……その余裕がいつまで続くか見させてもらおう……!!」


そう言い放ち、水面を蹴って突撃してきた彼は―――。


「……?」


――――あまりにも緩慢な動きだった。

水飛沫は派手に散るのに肝心の彼の身体は鈍く、まるで重りを背負っているかのように遅かった。

例えるなら……そう、水辺で足を取られながらも必死に走ろうとしている人のような?


そしてそのあまりにも憐れな姿に俺は思わずソフィアさんに問いかけてしまった。


「……あの……あれ? ……ソフィアさん、彼って本物、ですよね?」

「え、えぇ……そのはず……ですが……確かにおかしいですね……」


しかし、ソフィアさん自身も彼の実力をよく知るが故に信じ切れていない様子を見せ、いつしか剣の揺れは完全に収まっていた。

そして、彼自身もその違和感に途中で気が付いたようで、自身の手のひらを見つめながら不思議そうに叫ぶ。


「―――ッ!? なんだこの遅さは!? 俺はしかと剣聖と奴を含めて魔法を発動したはず……! ……まさか貴様……!?」


そう叫ぶや、仮面の奥から見える鋭い視線が俺に突き刺さる。

……が、当然何のことか俺は分からない。


そもそも俺の動体視力があまりにも良すぎるせいで彼の動きが遅く見えている可能性は考慮したけれど、それだとソフィアさんも同じ感情を抱いている説明がつかない。


というか彼の魔法を喰らった時点で俺自身にも変化が―――と、そこで気づく。


……いや、待てよ?

彼の固有魔法が"対象との力の均一化"の魔法なら、なんで一番強いであろう俺が強化されたような感覚に満ちたんだ……? と。

そもそもあの時に受けるべき感覚としては、普通なら高揚感ではなく虚脱感とかではないだろうか?

ん~、でも確かにこれが俺の力かって言われるとあまりにも弱すぎるし……。


そして俺は自身の力を確かめるために手を何度か握る。


「……ん?」


―――そして。


あれ? 俺ってこんな腕輪持ってたっけ?

あれ? そういえば指輪もつけて――――。


「――――あ」

「マスター殿? ……どうかしましたか?」


―――と、俺が突然上げた拍子抜けした声に、後ろにいるソフィアさんが驚いたように声を上げ、困惑の表情を浮かべた。


……いや、彼女がその表情をするのは当然か。


俺が今しがたつけているこの腕輪と指輪は、あくまで彼女との決闘の際にこちら側の都合でつけたもので、彼女的には俺の普通の装備品だと考えているのだから。


そしてそこで全ての点と点が繋がり、線を結ぶ。


俺が強化され、シェイドが弱体化したただ一つの要因。

それは、俺が付けているこの"弱体化用"の指輪―――つまり、レベルを初期化し、全てのステータスをも初期化するクソ装備によって、今の俺自身のステータスはほとんど通常の人間……いや、多分この世界基準で言うなら少し低めの値になってしまったが故に、俺の力は彼らと均一化され大幅に強化され、対して彼は大幅に弱体化したということで……。


「うわ、これサクさん絶対気が付いてただろうに……質が悪いぜあの人……」


そして、俺がこの場で誰にも理解されぬ嘆きを上げた時、シェイドは懐からナイフを取り出し、再びこちらに向かって走り出した。


「―――くっ、だが、それでもなお俺のほうが早く動くことができるぞ……!」


……などと強がってはいるものの……。

彼は自身の力を過信していたのか、意外と俺らから遠い位置にいた。

普通なら一瞬にして詰めてくるであろう距離に、しかし独特な歩法もなんとやら……バシャバシャと派手な水音を響かせながらも何歩もかけてようやく間合いに入り、ゆっくりとナイフを振り抜く―――。


「……おっと……」


―――が、あまりにも遅すぎるそれを、俺は気軽に避ける。

幸運だったのは、彼の固有魔法の制限に反射神経と動体視力が入っていないこと。

そして、この腕輪の効果にもそれらの制限はないために、今や彼の動きはまるでスローモーションのようなものであり、同じ力である以上、見切ることができれば避けることも容易い。


この分なら負けることは考えられない……のだが、一つだけ俺にとっての誤算があるとしたら……。


……こんなの……!


「こんなの……思ってた戦いじゃねぇ~~~~~~!!!!」


異世界にきて初めてのイベント戦。

それも、王都という大層な場所にいる二番隊長との一戦。

待ちに待っていたこの戦闘への期待感から生まれた落差……。


しかし、そう叫んだ俺の声は、空しく水路に反響していったのだった――――。



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何卒よろしくお願いいたします!

 

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