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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第五章 11人の堕天使と2大陸縦断英雄列車

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第172話 一方、その頃~両雄~

~前回までのリハネ~


ストームドラゴンに返り討ちにあった私は、カナミアに助けられた。

魔走車の中で一人、考える。私は、どうすべきなのか。

結論は変わらない。カナミア達と協力して、ストームドラゴンは、ここで倒す。


◇登場人物◇ ※●が視点者

●リハネ    :ゾトの勇者

〇ミュナ    :ゾトの勇者パーティー

〇トドゥン   :ゾトの勇者パーティー


〇カナミア   :アイーホルの勇者

〇アクス    :アイーホルの勇者パーティー

〇ギリュウ   :アイーホルの勇者パーティー


□キラークラウド:ストームドラゴン

 1時間後の午後7時。

 間もなく作戦が開始される。


 作戦は、全部で5行程。


 まずは1行程目。

 『ドラゴンの誘導を開始する。』


 ドラゴンにも色々いるらしい。

 肉食の奴も、草食の奴も、雑食の奴も。


 そしてこの、ストームドラゴンという奴は。

 魔力を喰って生きている。

 周辺の魔力を皮膚から取り込んでいるそうだ。


 風を操って集めているのか、集める過程で風が発生しているのかは定かではないが。

 あんなにデカい竜巻を発生させているんだ。

 食い意地が張っている奴には変わりないだろう。


 だから。

 極上の餌を用意した。


 ヨダーシル製の、魔改造魔走車。

 車の部品の一部と動力に使われているのは、超高濃度の魔鉱石。


 私達は。

 これを一台、お釈迦にした。


 海上の黒い竜巻に、出来るだけ近い崖の上。

 魔走車から取り出した魔鉱石を、山のように積み上げた。


 その近くに、ミュナとトドゥンが身を隠している。


 第1工程と第2行程をやってもらうのは、この二人だ。

 私は別の場所で待機しながら、双眼鏡を覗く。


 (…時間だ。)


 たいまつに火を着けたトドゥンが、魔鉱石を炙る。

 気化した魔力を、ミュナが風魔法で運ぶ。


 ストームドラゴンの方へ。


 6人の中で風魔法が使えるのは、カナミアとミュナの二人だ。


 カナミアは第4工程と第5工程に必要で。

 だから自然と、ミュナの出番はここになった。


 話をした時。

 ミュナは顔が引きつっていた。


 あいつは日ごろから、楽して儲けたいとか言っていて。

 面倒事は誰かに押し付けて、美味しいところだけを持っていきたいと考えている。


 一番槍。

 しかもストームドラゴンの誘導、ペチャンコにされてしまう可能性だって高い。

 そりゃあ、やりたくないよな。


 それでも。

 彼女は引き受けてくれた。


 決まるまでは文句を言いまくるけど、決まった後は腹を括る。

 土壇場で逃げるような事はしない。


 いつもそうだった。

 ミュナは、一度も私達を裏切った事はない。


 私を、信じてくれているから。

 私が、勝てると言ったから。


 (私も信じてるぞ、ミュナ。)


 誕生日に彼女に貰った、トカゲのリングを握りしめる。


 (動いた!)


 初動は、ひどくゆっくりとしたものだ。

 しかし一度動けば、止まらない。


 山が崩れるように。

 竜巻の形が崩れる。


 中央が引っ張られる感じで、こちらに近づいてきた。


 (誘導に成功した!第1工程クリアだ。)


 続いて、第2行程目。

 『ドラゴンを落とし穴まで連れていく。』


 簡単に抜け出せてしまう穴では意味がない。

 抜け出せないような仕組みが必要で。

 その仕組みを、ちゃんと造れる場所を探した。


 その為に距離は離れてしまって、連れてくるという行程が必要となった訳だが。


 (…どうした?なぜ、逃げない!?)


 二人と魔鉱石が、動かない。


 (トラブル!?いや、ないだろ!

 だって、トドゥンの魔法で運ぶんだろ!?なのに、なんで!?)


 思わず飛び出しそうになった時。

 気づいた。


 魔走車は、残り一台。

 レーグ半島を目指す為に、必要だ。


 つまり、この作戦に二度目はない。


 今、ドラゴンは。

 少し興味を持ったくらいだから。


 しっかりと、確認させないといけない。

 これは、ご馳走であると。


 この後、このご馳走は逃げる。

 魔鉱石としては、明らかに不自然な動き。


 でも、そんなのは些細な問題であると。

 追いかけてでも喰らいたい、と思わせないとならない。


 だから、待っているのだ。

 ドラゴンが、涎を垂らしながら口を開けるのを。


 …砕いて皮膚から取り込むから、口は開けないはずだけど。


 (…!)


 咆哮と共に、風の殻が破られて。

 ドラゴンが、その姿を現した。


 振り下ろすのは大木のような腕。

 崖の先端が抉られて消える。


 砕かれた大地の破片が、宙を舞い。

 それに紛れて、加速する影。


 トドゥンだ。

 自分とミュナと魔鉱石を、切り取った地面ごと運ぶ。


 それを。

 ストームドラゴンは追いかけた。


 (やった…!)


 風の刃ではなく、自らの腕で潰しにきた。

 余すことなく喰らいたいと思わせられた証拠だ。


 後は、このまま。

 逃げ切れる事さえ、出来れば。


 (!!)


 星明りが、消える。

 それを認識するのと同時、水滴が落ちた。


 雨。

 当然、ストームドラゴンの仕業だろう。


 あっという間に土砂降りだ。


 (いまさら雨を降らせるくらいで驚かない!

 けど、本気過ぎるだろ!攻撃を受ける前から、これって!

 どんだけ食いしん坊なんだよ!?)


 強風と無数の水弾が、ミュナ達を襲う。


 ミュナが頑張っているが、防ぎきれるレベルじゃない。

 いくつかの魔鉱石が砕かれて、奴に吸い込まれていく。


 トドゥンは。

 私の師匠と言ってもいい人だ。


 知り合ったのはサーチェの方が先だけど。

 一緒にいた時間は、彼の方が長いと思う。


 だから。

 彼の事は、よく知っている。


 無口で不愛想。

 歳だから、体力はない。攻撃力も、そこまでじゃない。

 少し前、勇者隊の模擬戦でポノに負けた。


 でも。

 彼の凄さは、別にある。


 まず、高い魔法精度。

 魔力量を制限した、勇者隊内での小物アクセサリー制作大会。

 優勝者はトドゥンだ。


 そして、胆力。

 こんな状況でも、彼は冷静。

 全ての攻撃を躱すなんて出来ないけど、致命的な一撃は避けている。


 視野も広く、自分の出来る事を理解している彼にとって。


 (この距離を、ドラゴンから逃げるくらい、楽勝だよな!)


 次の瞬間。


 トドゥン達の乗る地面が砕かれた。


 魔鉱石が、ばら撒かれ。 

 ミュナがトドゥンを抱えて横に飛ぶ。


 大丈夫、予定通り。

 ここが、目標地点だ。


 第3行程目。

 『ドラゴンを、落とし穴に落とす。』


 私は飛び出した。

 マシンDFドラゴンフォームを起動し、朱色の鎧を身に纏いながら。


 狙いは、翼。


「ブレイズフェニックス!」


 全力で渾身の体当たり。

 二人の頑張りにより、成功した奇襲。


 翼を破く事は出来なかったが、バランスは確実に崩せた。


 更に、別方向から飛び出したアクスとギリュウによる追撃。


 仰向けになったドラゴンの巨体が、地に落ちる。

 そして地に沈む。


 (第4行程目!頼んだ、カナミア!)


 閃光が走る。


 何とか脱しようと、暴れるドラゴンの腹の上に。

 カナミアは降り立つ。


マシンDFドラゴンフォーム、起動。』


 それは、カナミアのライトニングレイジドラゴンから聞こえた声。

 でもそれは、カナミアの腕には着けられていない。


 起動させたのは、ストームドラゴン。


 マシンDFドラゴンフォームは、一定の魔力を流し込む事で起動する。


 必死なドラゴンは、当然力んでいるし。

 起動に必要な魔力を垂れ流していた訳だ。


 マシンDFドラゴンフォームは、強力な魔力増幅器。

 魔力を、何倍にも出来たりする。


 ただ、それをする為に。


 最初に魔力の質を、増幅させやすい物へと変える。

 これが、めちゃくちゃ気持ち悪い。


 魔力制御レベルが高いと耐えられるって話もあるらしいけど。

 ブレイズブレイブドラゴンを試したリガーナが泡を吹いて倒れたから、一番重要なのは相性なのだ。

 ディオルも吐き気がするって言っていたし。


 カナミアと、ライトニングレイジドラゴンは相性が悪くなく。

 カナミア的に、ストームドラゴンと自分は魔力の質が全然違いそうだって話。


 という事は。

 ストームドラゴンとライトニングレイジドラゴンの相性は、悪いはずだ。


 (ゾトの魔王を昏倒させた魔力の変質。お前は耐えられるかな!?)


 ストームドラゴンを、魔力の膜が覆う。


 一瞬、ライトニングレイジドラゴンになるんじゃないかとヒヤッとしたが。


 もちろん、杞憂。


 膜は弾け、ドラゴンの動きが止まる。

 その眼は、虚ろ。


 作戦は、成功だ。


 第5行程目。

 『ドラゴンを蛸殴りにして、倒す。』


 これで、決める。


 魔力を集中させ、両手から火球ファイアーボールを連続発射。


 別の2方向からも、火球ファイアーボールが飛んでくる。

 アクスとギリュウだ。


 更に別の方向からは、風刃ウインドカッター石槍ストーンランス

 ミュナとトドゥン。


 そして。

 私の隣に、白銀の鎧が降り立った。


 言葉はない。

 まだ、終わっていないから。

 やるべきことは、分かっているから。


 カナミアから、流れるように放たれる雷の矢は。

 ドラゴンの急所を射抜いていく。


 (いける!)


 燃え盛る炎剣を、私は掲げた。


「ブレイブ…!」


 炎鳥を放つ為、左脚を踏み込んだ時。


 ぞわりとした。


 それは、ドラゴンから放たれた強烈な殺気。

 逃げなければと本能的に思う。


 しかし、今が絶好のチャンス。

 確実にダメージは与えられているし、この機を逃せばこちらが不利。

 このまま押し切るべきだ、とも思う。


 その、相反する思考により。

 一瞬、私の身体は硬直してしまい。


 私は突き飛ばされた。




 目を、開ける。

 つまり、意識は飛んでいた。


 周りは、酷い有様だ。


 ミュナとトドゥン、アクスとギリュウ。

 そしてカナミア。


 皆、倒れている。


 落とし穴のあった場所。

 そこは抉り取られたように、より大きな穴が空いていた。


 その上に。

 ストームドラゴンが浮いている。


 (…。)


 ドラゴンの攻撃で、全員吹き飛んだのは分かる。

 そして私が、カナミアに庇われたというのも分かる。


 カナミアは私同様、マシンDFドラゴンフォームは解除された状態だ。

 ピクリとも動かない。


 私は、立ち上がる。

 ドラゴンを睨む。


 ドラゴンが追撃もせず大人しくしている理由は、おそらく二つ。


 一つは、先程の攻撃。

 死に物狂いの一撃だったのだろう。

 魔力と体力を大量に消費してしまい、追撃まで出来なかった。


 そしてもう一つは…。


 (…すげー、傷だ。)


 初めて、まじまじとドラゴンを見た。

 身体のあちこちに傷がある。


 私達がつけたやつではない。

 もっと、古いものだ。


 このドラゴンは、レスガー大橋に現れたのと同じかもしれない。

 当時の英雄達と、激闘を繰り広げたのかもしれない。


 ひょっとしたら、もっと前から。

 それこそ本当に400年、11回。

 人間と、戦ってきたのかもしれない。


 (今まで、こいつと戦って。

 届かなかった者達の、無念を背負って戦う、なんて。

 そんな偉そうな事は、言わない。)


 数時間前に教えてもらって、知った話だ。

 戦った者の想いなんて、きっと1mmも理解できていない。


 (…それでも、感謝はする。)


 追い詰められた人間の恐ろしさを、こいつに刻み込んでくれたから。


 だからこいつは、警戒している。


 まだ、何かを隠しているのではないか?やられたフリをしているだけで、起き上がるのではないか?


 そう考えたから、様子を見ていたのだ。


 お陰で。

 私は、まだ戦える。


 マシンDFドラゴンフォームを起動させられるだけの魔力はあると思う。

 ブレイズフェニックス、一回くらいなら可能なはずだ。


 風は、ほとんど感じない。雨の勢いも、弱まっていると思う。

 弱っているのは確実。


 それでも。

 一撃で倒せる気がしない。


 だって、こいつの眼は。

 こんなにも、ギラギラしている。


 (そうだよな、お前は歴戦の勝者だ。)


 なら。

 私の、私達の勝機は。


 噴出炎ジェットファイアーで突っ込み、剣を振り下ろす。

 迫る腕に阻まれ、弾かれる。


 (まだまだ!)


 魔力温存の為、マシンDFドラゴンフォームは起動させない。


 再び、噴出炎ジェットファイアー


 私は、この一刀で切断してやるという気迫と共に剣を振る。

 しかし、固い鱗に阻まれてしまう。


 それでも私は、突っ込む。

 何度、弾かれようとも、諦めずに。


 そして、また。

 剣と鱗がぶつかって、大きな音を響かせた。


「…待ってたよ。」


 私の背後から、土の槍が飛んできて。

 それがドラゴンに直撃する。


 私は。

 例えば、カナミアのように。


 事前準備は、あそこまでやらない。

 綿密な作戦なんてのも、立てた事はない。


 私が出来るのは。

 先陣を切る事。ただ、前を走る事。


 とても、ありがたい事に。

 そうすれば私の仲間は、ついてきてくれた。


 石槍ストーンランスに、風刃ウインドカッターが加わる。

 そして、火球ファイアーボールも。


 トドゥンに続き、ミュナとアクスも起きた。

 ギリュウも、攻撃は出来てないが動いているのが見える。


 こちらも歴戦の勇士達。あれで終わる訳がないと信じていた。


 時間稼ぎつつ、大音量の目覚まし音を響かせれば。

 こうして戦線に復帰してくれる。


「これで!」


 形勢は、こちらに大きく傾いた。

 このまま決めようと、最後の魔力を振り絞る。


 しかしその時。

 ドラゴンが、高度を上げた。


 (!?…逃走!)


 考えてみれば、それは当然の事。


 ドラゴンは魔物ではない。

 危ないと感じれば逃げる。


 (不味い!)


 手負いのドラゴンを野に放つ、なんて。

 魔力を回復させる為に、町を襲撃するに決まっている。


 手あたり次第すりつぶして魔力を回収。

 それを傷が癒えるまで続ける気だ。


 (させるか!)


 仲間達も気づいた。

 とにかく高度を上げさせないように牽制する。


 だから。

 弾幕の薄い場所が、逃走経路が出来てしまう。


 ストームドラゴンが、加速。

 この戦闘区域を、一気に飛び去ろうとした。


 それを。


 雷の巨人が、その身体で止めた。


「今です!!」


 雷巨人ライトニングジャイアント

 カナミアの魔法。


 噴出炎ジェットファイアーで追いついた私は。

 炎剣を掲げ、全ての魔力を注ぎこむ。


「ブレイブ…。」


 ストームドラゴンに挑んだ、数多の戦士達。


 想像の域はでないけど。

 それだけじゃあ無いかもだけど。


 守りたい人がいて。

 だから戦ったんじゃないかと、思う。


 それは、私にも分かる話だ。


「フェニックス!!」


 長く。

 本当に長く続いたストームドラゴンの脅威。


 それは、これで終わった。

 奴に殺される人は、もういない。


 別個体がいるかどうかは知らないが。

 ひとまずは、ね。




 目を覚ますと、そこは魔走車の中で。

 隣にはポノがいた。


 日時を聞いたら、翌日の午前7時。


 あの後。


 雷の巨人の掌の上から焼け落ちたドラゴンの亡骸を確認して、私は気を失った。


 仲間達は近くの町へ行き、キラークラウドの討伐と亡骸の場所を報告。

 発生した報酬のお金で、亡骸の処理も依頼。


 放置して魔物化なんてしたら、それこそ大惨事だから。


 そして、その時にポノ達の手紙を見たらしい。


 「魔走車が故障して動かなくなったから、これを読んだら拾っていってほしい。」と。

 伝書鳥で、近隣の町すべての役場に送っていたそうだ。

 もしもゾトの勇者かアイーホルの勇者が来たら渡してほしいと、マーアの勇者の名で。


 ポノ達が、これほど先行していた事にも驚いたが。

 私達が、その手紙を読めた事にも驚きだ。


 キラークラウドの件がなければ、町にも役場にも寄らなかっただろう。


 (ポノも、持ってるじゃないか。)


 勇者の、運。みたいのを。


 ともかくそんな感じで、三国の勇者パーティーが合流。


 総勢9名。

 一台の魔走車で、レーグ半島を目指す。


 現在は、バクー王国領土内。

 朝食休憩の為、停車中とのこと。


「起きましたか、リハネ。」


 カナミアだ。ご飯を持ってきてくれた。


 ポノが会釈して、何故か、そそくさと出て行く。


「ああ、おはよう。

 …色々、世話になったっぽいな、ありがとう。」


「いえ、こちらこそ。」


 カナミアが、私の隣に座る。


「最後の一撃、見事でした。

 勝てたのは、あなたのお陰です。」


「いや、それを言ったら、こちらこそだよ。

 悪かった、生意気な事を言って。

 お前達がいなかったら、きっと勝てなかった。」


 貰った汁物を口に運ぶ。

 おお、美味いじゃないか。誰が作ったんだろう?


 黙々と食べる。

 美味い飯があって、それを食べているんだから、おかしい事は何もない。


 のに。

 なぜか、カナミアの視線が痛い。


「…にしても、あれだな。

 全員集まってしまったから、勝負は無効だな。」


 耐えかねて。

 適当な話を振ってみる。


「元々、勝負はついでだったはずです。

 本来の目的は、襲撃で一網打尽にされない事。

 でも、それも心配ありません。

 前の町で、『オーズンの目』に接触されました。

 彼によると、ガットル達が所在不明の三人の堕天使を撃破したとの事。

 つまり別行動の意味がなく、固まって動いた方が効率的です。」


 そういえばユンゼスが言っていた。

 進展があれば、連絡をくれるって。


「ガットル達も頑張ってるみたいだな。」


「ええ。トスーチェ、ネクーツでも勝利したようです。

 今頃は、フラスカ駅を目指している頃でしょう。」


「負けてられないな。」


「はい。決戦まで23時間。

 それまでに、魔力と体力を回復させておいてください。」


「OK。」


 別の場所で戦う仲間達の話を聞いて、気合が入る。


 そう、本番はこれから。

 私達の目標は、解放の魔王だ。


 残りのご飯を平らげて。

 食器を片付けようと、魔走車を降りようとした時。


 カナミアと目が合った。


「今日の朝食、めちゃくちゃ美味かったな。

 いや、毎日でも食べたいくらいだったよ。」


 やはり沈黙が怖かったから。

 またしても、適当な話題を振った。


 変でもないし、嘘でもない。無難な日常会話だったはずだ。


 なのに。

 気のせいか、カナミアの顔が、赤く…。


「回復しておいてと言ったはずです!

 食器は私が片付けますから、そこで休んでいて下さい!!」


 え、そんなに怒らなくても、よくない?


 私は、首を傾げつつ。

 その後ろ姿を見送った。

トワ「鈍感系じゃない僕は分かる、朝食を作ったのはカナミアだよ。感想が欲しくてチラ見して、褒められて照れるなんて、実に可愛い反応じゃないか。まったく、リハネは酷いやつだね。」

クレスタ「…あなたは、それ以前の問題で酷いやつよ。」


リハネ&カナミア編、おしまい。

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