第164話 2/6:トスーチェ周辺~空の道~
~前回までのサニア~
私は、ミフダとの戦闘を開始した。
予想はしていたけど、私の攻撃は躱されてしまう。
逆にこっちは結構なダメージも受けてしまった。だけど、私は諦めない。
◇登場人物◇ ※●が視点者
●サニア :勇者隊メンバー
〇ガットル :勇者隊メンバー
〇ロストン :勇者隊メンバー
●ミフダ :堕天使
*サニア視点*前日、ヨダーシルに向かう車両内にて
「サニアは…。」
ガットルだ。
彼は思い出すように、言葉を選びながら続ける。
「模擬戦をやっていて思う。
反応速度は、勇者隊の中でもトップクラスなんだ。
例えば、ディオル。
あいつは、こちらの動きを予測しながら戦っていると思う。
先を読んで攻撃してくるから、とても速い。
その対策として、こっちは攻撃パターンを増やすんだ。
簡単に読ませないように。
意表をつくような技も効果的だ。様子見で距離を取ったりするし。
まあ、その後、あっさり返されてダメ出しされる事も多いんだけど。
比べて、サニアはそうじゃない。
攻撃を見た後に動いて避けているんだ。
集中した時なんか、新技にも、奇襲にも、カウンターを狙ってくる。
体幹が強くて、バランスも崩しにくいし。」
最初は、自信なさげな弱々しい声だったけど。
次第にハッキリとしてきて、最終的には私を見る。
「勇者隊には、トワっていう近距離戦『後出しジャンケンのエキスパート』がいる。
あいつの『無剣』の間合いに入って、勝利できた人はいない。
あくまで俺の感想だけど。
サニアの動きは、それに近いんじゃないかと思ってる。」
「そう言えば、トワが言ってたな。
サニアとの模擬戦が、一番緊張するって。
ライバルだから負けたくないっていうのもあるだろうけどさ。
サニアとの戦いは近接戦になる。
そうなれば無剣を使わないと手抜きになるし、使って負けるわけにはいかない。
あいつの無剣は、勇者の必殺剣の名に恥じない精度。不敗の技だ。
なのに緊張するって事は。
迫れているんだろうな、少なくとも勇者隊の中では一番。
実際、無剣の間合い内だとディオルより粘れていると思う。」
(そうだったの?…そこは気にしてなかった。)
ロストンも同意見と知って、ガットルは前のめりになって続ける。
「止まって、集中して、敵の攻撃を捌き続けるっていうのはどうだろう?
攻めながら避けるのと避けるのに専念するのでは、回避性能は変わってくるだろう?
もちろん攻撃しなければ勝てないし、だから避けながら突っ込めるっていうのはサニアの強みだけど。
堕天使相手では分が悪い。だから、戦い方を変えるんだ。
もしも堕天使と、1対1で戦うなんて事になったら。
その場から動かず、とにかく攻撃を避けるんだ。
イメージとしては、1対2。内1人は、ステルス性能の高い敵の想定で。
攻撃が当たらなければ相手は焦れる、そうすれば隙が出来るはずだ。
…いや、でも、それだけだと弱いか。
短気な敵ならそれでいいけど、慎重な敵は遠距離攻撃でサニアの体力と集中力が切れるのを待つはずで…。
そうだよ、静と動を組み合わせるんだ。
元々サニアは、動く方が得意だし。
うん。
『今は止まって攻撃を避けてるけど、この距離なら一瞬で詰めてくるかもしれない。』
そう相手に思わせる。
そんな状態で攻撃を続けるのは、精神的にかなりキツイ。
焦れるぞ、敵は!」
興奮のあまり、ガットルは立ち上がった。
「なんか、凄い戦術を思いついたぞって顔してるけどさ。
敵に突っ込んで、こいつは突っ込んでくるぞと思わせておいて、その場に留まって回避に専念して。
で、隙を見てまた突っ込む?
見極めというか、実践難易度は高いぞ、それ。
第一それが出来るのは、フィジカルで勝ってる場合じゃないのか?」
横からのロストンの意見に、着席するガットル。
「でも、それはさ…。」
彼はまた口を開いて、ロストンと意見をぶつけ合う。
(…なんか、嬉しいわね。)
私の為に、ここまで熱くなってくれて。
(止まる、か。)
その発想はなかった。
私は。
ずっと先を歩くレーラスに、少しでも追いつきたかった。
魔王との戦いが終わった後も、私の前にはトワとディオルがいて。
後ろにはガットルもいて。
だから。
止まる訳にはいかなかった。
(止まってみるのも、いいかもね。)
話続ける二人と、動き続ける景色を眺めながら。
私は、冷めたコーヒーを飲んだ。
*サニア視点*現在
「来ないのかい?」
ミフダの、相変わらず見下したような声。
「いや、来れないんだろ?
もう君は限界なんだ。かなり我慢しながら立っている。
もう諦めなよ。
君では勝てない。」
折角の挑発だけど。
相手をしてあげるだけの余裕がない。
全神経を、集中させないといけないから。
「…。」
反応の無い私を眺めて。
ミフダは、つまらなそうに魔法を使う。
左斜め後ろ。
今度も、死角から放たれたそれを。
私は身体を右に傾けて躱す。
「…。」
真上と、右。
時間差で飛んでくる石を、後ろに一歩下がって避ける。
「は~~。まっ…!!」
「全く、粘るねぇ」とか「全く、しつこいねぇ」とか言いたかったのだと思うけど。
油断しきってたみたいだから、ナイフを投げさせてもらった。
転移で躱されたけど。
セリフを切る事には成功したし、ちょっと面白い表情も見れた。
(悪趣味とか、嫌いとか。
悪態をついていたけれど…。
少しだけ、わかっちゃったかな。彼の気持ち。)
上がりそうになる口角を下げて、再度集中する。
きっと猛攻がくるから、それを捌かないといけない。
「なるほど、なるほど。」
彼の周り、いえ、ここら一帯の魔力が上がった気がする。
「まだ元気なんだね!!なら、もっと楽しませてよ!!!」
前後左右、そして上から鎖が伸びる。
時間差で迫るそれらを、一つずつ避けていく。
(…。)
いつもなら、このタイミングで駆け出している。
攻撃を躱したのなら、攻めるチャンスだから。
でも今回は。
留まり、回避に専念する。
(躱す動きは最小限に。次の攻撃に対応できるように。)
飛び出してくる槍を右に避けて、割れる地面を左に避ける。
ミフダの高笑いと共に、石雨が放たれた。
上空から、石の礫が降り注ぐ。
(いつもなら、範囲外まで走るのだけど。)
両手を上にして、魔力を込める。
タイミングよく、火を使う。
無傷、という訳にはいかない。
多少の石は当たり、手もちょっとヒリヒリする。
それでも、私の爆炎の傘は。
多くの石を防いだ。ぶっつけ本番にしては上出来だろう。
「…。」
ミフダは、もう笑っていない。
無表情で魔法を放つ。
それを私は、ひたすら避ける。
まるで、その場で踊るように。
だんだんと、攻撃を避けるのにも慣れてきて。
隙を見つけては、ナイフを投げた。
「なんだよ、そのナイフ!いくつ持ってるんだ!?」
「さあ?どれくらいかな。」
ミフダは、明らかにイラついている。
ガットルの読み通りだ。
(そうよね。
あなたは戦うのが好きじゃなくて。相手をぶちのめして優越感に浸りたいだけなんだから。)
こんな戦い、一刻も早く終わらせて。
女の子と遊びに行きたいに違いない。
だから。
もっと煽る。
「ようやく楽しくなってきたわ。もっと私に付き合ってよ!」
「俺は楽しくねーよ!!」
攻撃が大雑把になってくる。
より、避けやすくなっていく。
(気づいた事がある。)
魔法制御範囲というのは、その人が魔法を発射できる範囲だ。
二人の人物がいて、魔法制御範囲が重なった場所。
その主導権を握れるのは、魔法制御能力が高い方。
彼は私よりも、魔法制御能力が高い。
というより、私の魔法制御範囲は広くない。
要は。
この辺りは全部、ミフダの魔法制御範囲内だ。
私が防御に専念し始めてから、ミフダは攻撃に転移を使ってこない。
転移が制限されている今、転移を使っても精々死角から攻撃するくらいしか出来なくて。
魔法制御範囲内でなら、死角からの魔法攻撃が可能だから。
だから、転移による攻撃の意味が薄い訳だ。
逆にこちらの攻撃を避ける時は、ほぼ転移を使っている。
おそらくは、癖。身体に染みついているんだ。
転移による回避は、体勢を崩さないという最大の利点があり。
攻撃を空ぶった相手は、特大の隙をみせてしまう。
(つまり彼の必勝の戦術は、カウンター攻撃!)
だから、いつもの私の戦闘スタイルでは歯が立たず。
攻めなくなった途端、こんなにも優位に戦いを進められている。
(本当に私達は、相性が悪かったのね。)
「!!」
ミフダがナイフを、転移ではなく身を捻って躱した。
透かさず、もう一本投げる。大きな動きだったし、隙だったから。
それは転移で躱された訳だけど。
(天力を、温存しだした!)
私は、駆け出す。
転移は、天力の消費が激しいと聞いている。
イラついているのは、単に我慢が出来なくなっているだけではなくて。
天力が減ってきて、焦りが見えてきたからではないだろうか。
もちろん、これは彼の作戦の可能性だってある。
埒を明ける為の罠かもしれない。
それでも突っ込んだのは。
ここが勝機だと、私の直感が告げたから。
…まあ、さっきのでナイフが無くなったっていうのもあるけど。
「魔法『土遁、巨大迷宮の術』!」
あと数歩。
それで、私の攻撃が届く距離だったのだけど。
目の前に巨大な壁が現れて、おもわず後ろに下がって避ける。
すると何かにぶつかった。後ろにも、いつの間にか壁がある。
そして上も塞がれた。
星明りが遮断され、当たりは真っ暗。
(…閉じ込められた?)
左右は、塞がれていないようだけど。
「とある異世界の遺跡の一つに、俺のお気に入りの場所がある。」
ミフダの声が響く。
「巨大な建造物でさ。
中は侵入者対策で、迷路みたいに入り組んでいるんだ。
それだけでも楽しいんだけど、壁一面に彫られた壁画が圧巻なんだよ。
仲良くなった子を案内したいんだけど、そこまで転移するのは大変で。
だから、再現できるように頑張ってるんだ。
まだ1割にも満たないけれど、そこそこ自信がある。」
壁に触れてみると、デコボコしている。
まるで何かが彫られているように。
見えないけれど。
口ぶりからして、その壁画まで再現しているのだろう。
見事な、技術力だ。
感心しつつも触れている右手に魔力を込めて。
爆音と共に空いた穴を進む。
壁を三枚壊した先に。
ミフダがいた。
「…芸術は、その意味が分からなくてもさ。
触れるという事に意味があると思わないかい?」
「凄いと思うし、明るい所で見てみたいとは思ったよ?
でも、今じゃないでしょう?」
「それは、まあ。一理あるね。」
そう言い残して、ミフダは消えた。
*ミフダ視点*
自分で作った物だ。
場所の把握は出来ている。
真っ暗な中を全力疾走。
転移も五回つかって、迷宮の外へ出て。
石で建てた柱の上に立つ。
「崩壊!」
土の壁に、罅が入る。
その罅は、徐々に大きくなっていって。
やがて、轟音と共に。
俺の造った巨大迷宮は倒壊していく。
(…。)
眼下に広がる光景を眺めながら、汗を拭う。
巨大迷宮を造り壊すのに、魔力を使い果たした。
転生分の天力を考えれば、これ以上の転移は不可能。
(まさか、ここまで追い詰められるなんて。)
思ってもみなかった。正直、舐めていた。
(可愛かったのになぁ…。)
もっと弱くて素直でいてくれれば、楽しく遊ぶ事だって出来たのに。
(結局、命乞いも断末魔も聞けなかったし。)
残念ではあるけれど。
終わった話だ。切り替えよう。
ポケットから飴を取り出す。魔力の回復効果があるやつ。
一度に沢山食えば、それだけ回復できるのだけど。
苦いから一つずつ。今は、緊急を要していないし。
(魔力が少し回復したら、近くの町に行ってゆっくり休もう。
で、無差別攻撃開始の指示がくるまでは暇だから~。
可愛い子を誘って…。)
勝つ為に、これだけの音を轟かせてしまったのだ。
仮に、サニアの仲間が近くにいたら集まってきてしまうだろう。
だから索敵と奇襲対策の為に、高い柱の上にいる。
そう、俺は。
休憩しつつも、油断していた訳ではない。
なのに。
(…なんだ、これ?)
対応が遅れたのは。
それが、何だか分からなかったから。
雲、だと思った。最初。
でも雲にしては、魔力が多くないか?と。
不思議に思って、それを注視して。
視野が狭くなっていた。
「!?」
奇襲は、背後からだった。
思い切り蹴られて、バランスを崩し柱から落ちる。
この高さから落ちれば致命傷な訳だけど。
それよりも、大きな問題があって。
「サ、サニア!?」
「零…」
振り上げた右手を、振り下ろそうとする彼女が。
俺と共に落下、というより。
眼前まで迫っている!
「爆発!」
*サニア視点*
戦いは、終わった。
ミフダは私の前に仰向けで倒れていて、光の粒子みたいになって消えかけている。
「…どうやって、あれから逃げれたの?」
あれ、とは。
おそらく迷宮の倒壊の事だろう。
「見える?あそこ。」
私が指さしたのは、列車の線路。
「ヨダーシルの技術の粋で造られたレールには、これでもかっていうほどの魔法防御があるの。
あなたほどの実力者が本気で壊そうとしたなら分からないけど、今回はそうじゃない。
だから。
あなたの魔法は、線路より向こうには及んでいないと思ったわ。」
巨大迷宮に閉じ込められた時。
崩れたら嫌だなとは、最初に思った。
脱出を考えた訳だけど。
広さが分からないから、どの方向に行けば助かるのかは分からなかった。
何かないかと、考えて。
それで、線路を思い出した。
攻撃を避けている最中、星明りに照らされて薄っすらと光っていたのが見えたから。
線路の方角に向かって、壁を壊して進んで。
途中でミフダを見つけて。
彼が転移したから、いよいよヤバイと思って全力で壁を壊して進んだ。
結果。
私の予想通り巨大迷宮は、線路を越えられてはいなかった。
「…なるほど。
気づかなかったよ。
暗かったし、その発想はなかった。」
「もう一つあるわ。
あなたの迷宮が、頑丈だったの。
崩れるまでに、私が逃げれる時間があった。」
「…それは、喜んでいいか微妙だね…。」
あれだけの物を短時間で造れるのだから。
十分誇っていいと思う。
でも、言わない。
それで敵を逃して負けたのだから、私が言ったら皮肉だろう。
「…最後のは、どういうカラクリだい?」
ここまで素直に答えてきて。
そういえば教えてあげる義理はない事に気づく。
と、いうよりだ。
実は天力は残っていて、私から情報を聞き出して過去へ戻るつもりではないだろうか?
(…。)
少し考えて。
私は口を開く。
これも直感なのだけど。
彼に、もう戦意は残っていない。
例え天力が残っていても、私と戦う事はないだろう。
そう、思ったから。
「スカイロードっていう魔道具よ。
こうやって使うの。」
私は、小石ほどの大きさの魔道具を投げる。
それは、雲のような跡を残して飛んで行く。
私は残った雲のような物に近づいて、軽く叩いて見せた。
コンコンという音が出る。
「魔力を固めて、足場に出来るの。少ししたら戻っちゃうけどね。
迷宮の倒壊から逃れた私は、柱の上のあなたを見つけたわ。
デコイを投げた後に、これを登ってあなたに近づいたのよ。」
「…へぇ、それもヨダーシル製?」
「違うわ。」
私は、得意げに言ってやる。
「私の仲間が、私の為に作ってくれた物なのよ。」
クーランは急斜面が多くて、まともな平地なんてない。
クーラン問題が片付いた後は断海を目指すはず。そうなれば戦場は海の上だ。
私は空を飛ぶ事も、遠距離攻撃も出来ない。
地面を蹴って戦うしかない私は、今後の戦いに力を発揮できないのだ。
だからクレスタが、これを作ってくれた。
まだ、練習途中だけど。
スカイロードを使いこなせれば、私は空を駆けながら戦える。
「…なんだよ。」
ミフダが笑う。
戦闘中の醜悪なものではなく、少し残念そうに。
「得意げに笑う顔は、やっぱり可愛いじゃん…。」
そのセリフを最後に。
ミフダは消えた。
私は、深く息を吐いて。
その場にへたり込む。
(…疲れた。)
まさに、激闘。ギリギリの勝利だった。
(…少しだけ休んで。そしたら、ヨダーシルまで歩く…。
ああ、ナイフも回収しないと…。)
今、私がいる場所。
正確な情報はないけれど、安全という訳ではないだろう。
きっと魔物は出るし、場合によっては盗賊だって出るはずだ。
なのに。
(…眠い。)
緊張の糸がきれ、敵を倒した安心感が押し寄せてくる。
こんな所で寝てしまっては、自殺行為だと分かるのに。
さっきまで魔物も盗賊もいなかったじゃない。
少しだけなら大丈夫よ。
そんな甘言が、聞こえてくる。
「ほら、やっぱりサニアだよ。」
その声も。
幻聴だと思った。
だって。
こんな所に、いる訳がないから。
でも。
「頑張ったね、サニア。」
私を抱きしめてくれる、この感触が。
幻なんて事が、あるだろうか?
「頑張ったのよ、トワ。」
私は、甘えるように力を抜いて寄りかかる。
トワは、しっかりと支えてくれた。
でも、なんでここに?
そう聞こうとした所で、クレスタと目が合った。
「えっと、トスーチェにいたんだけど、堕天使に喧嘩を売られたって連絡が来て、ゲームBに参加する事になって、一旦ヨダーシルに行って、改造魔走車を借りて、レーグ半島を目指してたんだけど、その途中でトワが凄い音がしたって言いだして、様子を見にきたら、サニアちゃんがいたって訳よ。」
なぜか、誤魔化すような早口で説明してくれる。
凄い音というのは、巨大迷宮が倒壊する音だろう。
トワの音制御の精度が凄いのは知っているけど、よく聞こえたものだ。
「これは絆の力だね。」
トワがそんな事を言いながら、私を魔走車まで運んでくれた。お姫様抱っこで。
「あ、ごめん。ナイフ…。」
「OK、拾ってくるよ。」
トワが嬉しそうに走っていく。
「いや~、大変だったみたいね。」
入れ違いに、クレスタが話しかけてくれた。
「まずは、ゆっくり休んでいいわ。
落ち着いたら、事情を話してね。
列車に乗っていたサニアちゃんが、なんでこんな所にいるのか、とか。」
クレスタは、私の様子から緊急性を感じなかったようだ。
実際、その通りで。今更、列車には追いつけない。
「ごめん、お言葉に甘えるわ。
あ、でも、一個だけ。」
忘れないうちに。
「クレスタ、ナイフ凄く便利だった。」
クレスタがヨダーシルに行って、インスパイアされた事で誕生したとされる『魔法切りナイフ』。
投げナイフとしても優秀で、今回の戦いでは大活躍だった。
「それは、よかったわ~。」
安心するようなクレスタの笑顔を見ながら、私は目を閉じる。
ゲームAからは脱落したけど、このまま私はゲームBに参加する事になると思う。
でも、そう言った話は。ひと眠りした後だ。
(私は、いい仲間に恵まれたわ。)
その事に、改めて感謝して。
私の意識は沈んでいった。
相変わらず文字数のバランスが悪くてすみません。
駆け抜けたかったんです。




