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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第五章 11人の堕天使と2大陸縦断英雄列車

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第160話 1/6:ヨダーシル周辺~3人の堕天使、3つのゲーム~

~前回までのガットル~


チヨカ村にいる勇者隊の前に、バルドラッシュと名乗る男が現れる。

彼は俺達に宣戦布告。ディオルとリガーナの攻撃を躱し、去って行った。

その後に現れたのがエンビッケと名乗る天使。事情を説明してくれるらしいけど…?


◇登場人物◇ ※●が視点者

●ガットル   :勇者隊メンバー

〇ディオル   :レーグの魔王

〇リガーナ   :ゾトの魔王


〇エンビッケ  :天使


〇バルドラッシュ:堕天使

〇ザリキルダ  :堕天使

〇セウオン   :堕天使


 エンビッケは語った。

 俺達の敵は、11人の堕天使だと。


 その中の、3人の堕天使は別格の強さを誇ると。




 1人目。

 名前は、バルドラッシュ。


 単身でチヨカ村に侵入し、宣戦布告をしてきたやつだ。


 その目的は、リガーナへの復讐。

 彼女が並行世界を旅する中で、因縁が生まれたらしい。


 リガーナは最初、不思議そうな顔をしていたが、エンビッケに何か言われた後、ショックを受けた様子だった。


 悪意の無い行動でも、相手を傷つけてしまう事はある。

 詳しくは聞かなかったけど、おそらく、そういう事なのだろう。


 ともかく、バルドラッシュはリガーナの命を奪うつもりだ。


 彼女は、罰を受けたり罪を償ったりが必要なのかもしれない。

 なら、そうするべきだとは思う。


 でもそれは、死ぬこと以外でだ。

 俺達は、仲間をみすみす殺させはしない。


 ロストンはもちろん、勇者隊全員がリガーナの味方。

 そしてリガーナ自身も、魔王に恥じない実力を持っている。


 バルドラッシュも、かなりの実力を持っていると思うけど。

 彼一人なら、負ける気はしない。


 仮に。

 勇者隊が敗れたり、出し抜かれてリガーナが殺されたとする。


 でも彼女は、転生が可能だ。天力がある限り。


 俺達からしたら二度と会えないし、死別と変わらないから嫌な訳だが。

 それでも別の世界で、追っかけて行くロストンと仲良くやっていくはずなのだ。


 つまり。

 バルドラッシュが目的を遂げる為には、2つの力が必要だった。


 リガーナを完全に殺せる力と。

 勇者隊を突破できる力が。




 2人目。

 名前は、ザリキルダ。


 天使殺しの異名を持つ、その道では有名な堕天使。


 元々は、エンビッケと同じ役職持ち。

 しかも、模範的な管理者だったらしい。


 その彼が、堕天した理由。

 呪われてしまった大事な人を助ける為、だったらしい。


 そもそも『呪い』とは何か?

 それは魔力暴走の一種らしい。


 だから魔力は正常に働かず、回復魔法では治せない。

 そして症状が進行すると、身体が動かなくなったり、命を落としたり、魔物になってしまうなんて事もある。


 魔力、天力なんて呼び方を分けてはいるけれど。


 天力は、天上の国の魔力の事。

 だから、無くはない。暴走する事も、呪われてしまう事も。


 呪いは、原因不明の奇病扱いされる事もあり、恐れられているものだけど。


 助かった事例はある。

 ロストンの仲間や、フレン王国の王女様がそうだ。


 解呪の方法は、主に二つ。


 一つが、エリクシルと言われる薬。

 暴走した魔力を正常に戻す効果がある。


 もう一つは、天法。

 封印シールと呼ばれるそれは、魔力暴走を治せる。

 ついでに、カースなんていう魔力暴走を誘発させるのもあるそうだ。


 しかし呪いとは、厄介なもので。

 軽い物もあれば、重いものもあるのだ。


 天上の国基準だと、レベル分けされている。

 範囲はレベル1からレベル5で、数値が大きいほど重い。


 現在。

 エリクシルや封印シールで何とか出来るレベルは、3までと言われている。

 運がよければ、なんとかなる場合もあるレベルが4で。

 レベル5は、絶望的。


 その、レベル5の呪いに。

 ザリキルダの大事な人は、かかってしまった。


 彼は助ける方法を探して、いくつもの世界を巡った。


 なりふり構っていられない。

 管理者としての責務も放棄、天上の国のルールだって破っていく。


 その過程で。

 止めに来た同僚も手にかけた。


 天上の国の住民。

 天使や堕天使は、天力が無くなると死亡する。

 当然、それを承知の上で。

 天力を刈り取る魔法、ソウルブレイカーを使用したのだ。


 それでも。

 そうまでしても。


 大事な人を、助ける事は出来なかった。


 ザリキルダは抜け殻のようになり、あっさりと投獄されたらしい。


 余談だが。

 ここで、俺達には疑問があった。


 リガーナは転生する時、時間を遡っている。


 一定時期より前には戻れないそうだが、それは完全な転生ではないからで。

 本来の、天上の国の転生や転移はそういった制限はないそうだ。


 例えば。

 今この場に、死んでしまったレーラスや、勇者隊の誰かの子孫を連れてくる事が出来るらしい。


 大量の天力が必要になる上に、天上の国のルール上よろしくないとの事。

 なので実際に行われる事はない、と言っていたが技術的には可能な訳だ。


 いくつもの世界を巡ったザリキルダは、この完全な転移が使えるはずで。


 なら。

 『とりあえずレベル5の呪いを解く事の手段を探して。

 見つかったら、大事な人が生きている時間に、並行世界に行き助ける。

 そんな事が可能ではないか?』


 というより、『呪いにかかる前に原因を取り除くなんて事すら可能ではないか?』

 ひょっとして、『それはあくまで並行世界の人だから、厳密には他人だと思ったのだろうか?』


 それらの疑問の答えとしては。


 世界も、レベル分けされているそうだ。呪いと同じように。

 俺達の世界はレベル2で、天上の国のレベルは5。


 時間も好きに出来るような完全な転移・転生は、レベル5未満の世界でしか使用できない。

 その影響を受けるのも、レベル5未満の世界で生まれた者達だけらしい。


 難しい話なのだが、仮に今、世界が二つに分かれたとする。

 世界Aと世界Bになったとする。


 そうすると、俺も二人に増える。

 世界Aに俺がいて、世界Bにも俺がいるから。


 しかし天上の国出身のエンビッケは、増えないそうなのだ。

 新しく出来た世界Bにはいるけど、前の世界である世界Aからは突然消えてしまう。

 …らしい。


 ザリキルダの大事な人は、天上の国の住民。

 天力が暴走し、消滅してしまったこの人は。


 天上の国ほどの次元が違う力があっても、どうにもならないそうなのだ。


 閑話休題。


 リガーナは天使じゃない。

 天力がゼロになっても死んだりしない。


 でも天力がゼロの時、命を落としたら。

 転生は出来ない。本当の死を迎える。


 つまり、ソウルブレイカーは。

 バルドラッシュの求める力だ。


 長らく投獄されていたザリキルダの前に、バルドラッシュが現れる。

 そして告げた。


 『レベル5の呪いを解呪できるエリクシルが作られた。』と。


 ワイバン大陸の南、ドンハにて。


 今更、手に入った所で、意味の無い事。

 それでも。


 興味はあったそうだ。


 当然、並行世界のドンハには行った。

 もちろん、無かった。


 それが。

 どこを探しても見つからず、だから存在しない物と諦めた物が。


 本当に、あるのか、どうか。


 確認したくて、たまらなくなったらしい。


 ザリキルダは、バルドラッシュの手を借りて脱獄。


 二人は協力関係になる。


 ザリキルダは、情報を。

 バルドラッシュは、リガーナを完全に殺せる力を手に入れた。




 3人目。

 名前は、セウオン。


 堕天使集団、解放の輝旗のリーダー。


 輝旗のメンバーには、共通の欲求があった。

 自らの力を存分に発揮したい。縛られる事なく思う存分暴れたい。敵を圧倒的な力で蹂躙したい。そういうモノだ。


 だから天上の国から離反した。

 何かと制約が多く、それがストレスだったから。


 ルールを破っている訳だから、当然、止めに来る者がいる。

 それが天上の国の管理者、エンビッケ。


 連中が悪さをすると、すっ飛んでいったそうだ。


 管理者は、例え何度殺されようと。

 天力が続く限り、対象を追い回す。


 そして対象を殺害する。

 そしたら、魂のようなものが天上の国に帰ろうとするから。

 そこを捕まえるらしい。専用の捕縛縄で。


 自業自得ではあるけれど。

 輝旗側からしたら、たまったもんじゃない。


 敵は何度でも復活するのに、こちらはワンアウトで即ゲームオーバー。

 それはもう、エンビッケが邪魔だった事だろう。


 だから。

 ソウルブレイカーを使えるザリキルダを仲間に加えたバルドラッシュは、輝旗に接触。

 エンビッケの殺害を条件に、勇者隊と共に戦うよう依頼した。


 仮にエンビッケを殺せても、次の管理者が来るだけでは?

 とも思ったが。


 エンビッケ曰く、管理者は不足していて。

 後釜になりそうな男は、やる気のない奴らしい。


 だからそうなれば、輝旗は好き勝手しやすくなる。


 それに、エンビッケ個人に対しての怒りも凄い。

 奴を殺せるなら喜んで協力する、みたいなノリらしい。


 更に。

 勇者隊とかいう、ある異世界で最強とも言われている連中がいる。

 少しは楽しめるだろうし、ついでに鼻っ柱をへし折ってやろう、なんてノリでもあるそうだ。


 そうして3人の堕天使と、セウオンの仲間の8人の堕天使は手を組む事となる。


 バルドラッシュは解放の輝旗という、勇者隊を突破できる力を手に入れた。




 いきなり現れた、自称魔王で天使の男。

 その話を無条件で信じる事は出来ない。まずは真偽を確かめないといけない。


 本来なら時間がかかる事。でも今回は早かった。

 理由はエンビッケと共にやって来た、ウルシェドという名の男だ。


 元ヨルタムアーの魔王にして、ヨダーシルの前都市長オーズン。

 彼の、世界中にいたとされる協力者の一人。


 オーズン没後は、エンビッケに協力していたそうで。


 ディオルとリガーナは、エンビッケの事は知らなかった。

 でもウルシェドとは知り合いで、信用していい人物らしい。


 そのウルシェドが言うのだから、エンビッケの話も事実だろう。

 そう判断した訳だ。


 エンビッケに協力する事になった俺達は、そのまま作戦会議をして。

 大急ぎで準備を行う。


 ディオルが受け取った封筒の中身。

 ゲームの日時やルールが書いてあったのだが、それがとんでもないタイトなスケジュールだったのだ。


 現在、綺麗な星空の下。

 俺は一人で適当な所に腰掛けて、馬車と仲間の準備が終わるのを待っていた。


 こっちの準備は終わっているから、手伝いたいなとは思ったけども。

 不要との事なので、大人しくしている。


 俺を含めた9人のメンバーは、このままマーアの駅まで行ってヨダーシルに向かう。

 ちなみに、列車の予定発車時刻は朝の6時。


「流石はフフゴケ商会だな、何とかなりそうじゃないか。」


 見送りにきたディオルに、声をかけられる。


「本当だよ。

 でも、なんで輝旗はこんなに忙しい計画にしたんだ?

 俺達とゲームがしたいんじゃないのか?

 下手をしたら、ゲームが始められないじゃないか。」


「複数の思惑があるからだろう。

 バルドラッシュと輝旗、ザリキルダは、協力関係ではあるが微妙に目的が違う。

 バルドラッシュの狙いはリガーナの命。

 だから障害となる勇者隊は分散させたいし、準備する時間も与えたくない。

 俺達がヨダーシルと繋がりがあるのを知っていて、あの国の協力があればギリギリ可能なラインを設定した。

 そして輝旗は、それこそ1人ずつ勇者隊と戦いたいんだろうな。

 その方が暴れられると考えたのだろう。

 …ザリキルダは、エリクシルの確認か。

 三方の希望を叶えようとして、こんなのになったんだろうな。」


 ディオルがひらひらさせているのは、例のルールが書かれた紙だ。

 俺達が参加させられる、3つのゲームの。




 【ゲームA:エリクシル強奪戦】


 参加人数:自由

 特記事項:時間と場所厳守(別紙記載)


 パルケという人物が、エリクシルを持ってヨダーシルへやってくる。

 参加者は同じ列車に乗る事。


 トスーチェ、ネクーツ、フラスカ、マーア、ジドル。

 それぞれの国で、駅を一つ指定する。

 そこに一人ずつ、堕天使が配置されている。


 配置された堕天使を倒したら次の駅に進む事が可能。


 参加者が全滅した場合、エリクシルは貰う。




 【ゲームB:解放の魔王の誕生】


 参加人数:自由

 会場  :ワイバン大陸東部、旧レーグ領の魔王城跡地

 特記事項:時間制限在り(別紙記載)


 私、解放の輝旗のリーダーであるセウオンは。

 この度、解放の魔王になる事にしました。


 倒壊した魔王城を建て直し、盛大な就任式を行う予定です。

 その後は魔王らしく、町や村や国を気ままに焼き払っていきたいと思います。


 異のある方は、どうぞお越しください。




 【ゲームC:因縁の清算】


 参加人数:自由

 会場  :クーラン巡起山、頂上付近

 特記事項:リガーナとエンビッケは、必ず参加する事


 ゲームAとゲームBが終わり次第、開始。

 会場で待機しておく事。




「特記事項を破った場合、無差別攻撃が開始されるとも書かれている。

 なら、俺達は従うしかない。

 従った上で、叩き潰すまでだ。」


 ディオルの言う通りではある、けど。


「…連中はさ…。」


 本当に、町を焼いたり、無差別攻撃をするのか?

 暴れたいという理由だけで。


 疑問に思って、そう聞こうとして。

 けど止めた。


 ディオルに聞いても仕方ないし、それに。

 多分、やるんだろうな、と納得してしまったから。


 堕天使達、そして天使達にとって俺達は。

 数ある並行世界にいる、数ある一人でしかない。


 きっと、『ガットル』というやつは沢山いて。

 見わけもつかないから、代替えが可能だと思われているかもしれない。


 もちろん、天上の国の住民全員がそういう考えとは思わないし。

 どう思われようと、俺は俺だ。

 自分だけの人生を歩んできたんだ。


 それでも。

 それを、いくら主張しても。


 分かってもらう事は、出来ないんじゃないか。

 前提が、根本が、違い過ぎて。


「気になるなら、聞いてみるといい。

 言葉は通じるようだしな。

 それで判断しろ。

 連中が、洞窟のドラゴンなのかどうか。」


 意思疎通が可能な相手かどうか。


「そうだな。

 聞けそうなら、聞いてみるよ。

 …それで戦う覚悟を決めたなら、全力で戦う。

 それで勝つ。」


 エンビッケも、輝旗との鬼ごっこを終わりにしたいらしい。

 だから、長大な捕縛網を用意した。


 堕天使の肉体を破壊、つまり殺す事で捕縛が出来る。

 別の世界に逃げようと異世界転移をしようとしても、その網にかかる。


 デメリットは二つ。


 近づけ過ぎると世界に影響がでるとかで、網を設置した場所は少し離れているらしい。

 その為、すぐ近くの並行世界への転移は出来てしまう。


 どういう事かというと。


 じゃんけんで、こちらがグー、相手がチョキで勝った場合。

 相手は数秒前の世界へ転移して、パーを出してくる。


 そういう事を戦闘中にやってくる。天力が続く限り。


 もう一つは、網がデカすぎる事。


 回収したら、再び広げられない。

 だから11人の堕天使全員を捕まえないと、回収不可。


 エンビッケが死んだりすると網が破れて、捕まえた堕天使が解放される。


 だから俺達は、エンビッケが生きている状態で堕天使の全滅を目指さないといけない。


「それでいい。

 強くなければ、守れない。それを知っていたから。

 俺達は、強くなったんだ。」


 暗くて表情は見えないけど。

 ディオルは、燃えている。


 歴代のレーグの魔王、及び集まった者達は。

 天上の国からの攻撃に備えて、強さを求めたんだ。


 国を挙げて攻められた訳ではないけど。

 敵は、天上の国の出身者だから。


 この戦いは、負けられない。

 守りたいものを、守る為に。


「ガットル!」


 名前を呼ばれる。

 どうやら準備が終わったようだ。


「健闘を祈る。」


 差し出された拳に、拳をぶつける。


「ディオルも、負けるなよ。」


 俺はゲームAで、ディオルはゲームCに参加する。


 互いの勝利を信じて。

 俺達は別方向に歩き出した。

ルール説明、終了。

小難しくてごめんなさい。

書く側はルールを守るので、見てもらえる方は雰囲気で大丈夫です。


この後、ヨダーシルに行って、パルケと合流して、列車に乗ります。

つまり次回は、2話の後の話です。

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