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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第四章 理想家オーズンの四人の後継者

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第152話 未来~情報戦~

~前回までの状況~


リハネは洗脳の解けたカナミアを抱えて、クレスタ達との合流を急いだ。

ワッポノはロミスオッドを追い詰めた。


◇登場人物◇ ※●が視点者

__ヨダーシル・南区

●ユンゼス  :南区の区長

〇クレスタ  :ワッポノ捜索隊

〇ツツジ   :ワッポノ捜索隊

〇ワッポノ  :マーアの勇者


__ヨダーシル・北区

〇ロミスオッド:北区の区長


__ヨダーシル・東区

〇リハネ   :ゾトの勇者

〇ラデューム :東区の区長


__ヨダーシル・西区

〇カナミア  :アイーホルの勇者


□セイ    :色々できる腕輪型のデバイス。人工知能(AI)搭載

*ユンゼス視点*


「一先ず、合流できた事を喜ぼうか。」


 魔王城内、兵舎らしき建物の中に俺達は集まった。


 メンバーは、俺、クレスタ、ツツジ、リハネ、カナミア。


「あれが、クレイジーマシンドラゴンって事であってるか?」


 リハネが、窓の外を睨みながら聞いてくる。


「あってる。

 …まずは、状況確認をしよう。ずっと別行動だったからね。」


 俺達は共有する。


 カナミアの洗脳が解けた事。

 ワッポノ君を改造した事。

 その事でワッポノ君が凄まじいパワーアップを果たした事、を。


 実際に、パワーアップした彼を見たわけだけど。

 それでも信じられないというのが、正直な感想だ。


 理屈は分かる。


 魔力で、身体を動かす事は可能だから。

 神経はなくとも、魔道さえちゃんとしていれば義手は動く。


 とはいえ、あんな短時間で。

 しかも、パワーアップまで。


 (ダークネスフレアドラゴンとの相性が凄く良かった…。

 更に幾度も起動させた事により、少しずつ、彼自身もダークネスフレアドラゴンに近づいていた…?)


 マシンDFドラゴンフォームは、テスト期間で開発が中止になった。

 だから、継続使用による影響のデータは少ない。


 改めて調査した方がいいかもしれない。

 もちろん、事態が収束した後で。


「…ロミスオッドの目的は、ある人物に復讐する事。

 ヨダーシルの都市長になりたいのは、ヨダーシルの力が欲しいから。

 あいつの意思は固く、戦いになって、それで俺は負けた。

 そして、ワッポノ君に助けられたんだ。

 ワッポノ君は、復讐を手伝うからヨダーシルから手を引けと、ロミスオッドと交渉して、決裂。いや、交渉中かな。

 彼に力を見せる為に戦いを始めた。」


「ポノは、復讐を手伝うつもりなの?」


 ツツジだ。顔に反対と書いてある。


「ワッポノ君の真意は不明だよ。

 別の狙いがあるかもしれない。

 ただ、もし本心なら止めるよ。

 彼に復讐の手伝いなんてさせるつもりはないからね。」


 仮に、ワッポノ君の提案をロミスオッドが受け入れたとする。

 そうなれば、まずクレイジーマシンドラゴンが止まるはず。


 あれが動いている以上、進展はない。

 ワッポノ君と話をするチャンスはまだある。

 だから、あれの対応が最優先。


「凄い爆発音を聞いた。ポノか?」


 リハネが、先を促してくる。


「そう。

 彼は強かった。ロミスオッドを圧倒した。

 あの爆発で、決着がついたかと思ったんだけど。

 ロミスオッドは、あのワッポノ君の攻撃に耐えた。

 奴も、インベージョンクリアドラゴンも。

 俺が知るより、全然強かった。

 まあ、流石にダメージは大きかったみたいだから、ロミスオッドは撤退。

 ワッポノ君がそれを追跡。

 俺は足手まといだから置いて行かれた感じだね。」


 セイを操作して、皆と映像を共有できるようにする。

 これだけ近ければ有線でのやりとりが可能だ。


「ワッポノ君に、フフゴケ商会の映像送信装置を渡したんだ。

 額の位置に着けてもらってる。

 受信機をセイに繋げて、リアルタイムで確認できる状態にしてあって…。

 ほら。

 彼は今、クレイジーマシンドラゴンの前にいる。」


 映し出された、それは。


 城壁を遥かに上回るほど巨大な物体。


 ガラクタを無理やりくっつけたような、用途も分からないような機械の、塊。

 取り繕う事を止めたような、無機質な姿。


 無慈悲の象徴。

 機械の、翼の無いドラゴン。

 その上半身が、地面から突きでたような見た目だ。


「すげーな、ポノ。

 たった一人で、あんなデカ物と対峙してる。

 まさに、勇者じゃないか。」


 確かに絵になってるけど、言ってる場合じゃない。


「要塞の半分が、あれに変形した。

 合流している時に地面が凄く揺れたのは、その影響だよ。

 しかも、まだ変形途中。

 魔力不足で進行が遅いけど、最終的には要塞全てがあれになると思う。

 つまり、今いるこの場所も危ない。

 逃げないと俺達は、あれに取り込まれる。」


「確かか?」


「確か。

 ロミスオッドから、データが送られてきたんだよ。」


 その時、ポノ君から受信している映像が切り替わった。

 ロミスオッドの顔が、画面に映る。


『やあ、皆さん。元気そうで何よりです。』


 その声は。

 この場にいる者、全員のセイから聞こえた。


 どうやら、ジャックされたらしい。


『状況の確認は出来ましたか?

 あなた方は予想よりも強かったです。

 ですのでこちらは、切り札を切らせてもらいました。

 流石にこの質量はどうにも出来ないでしょう?

 大人しく、投降してください。』


「投降はしない。」


 リハネが言い切った。


「確かに、あれを破壊するのは骨が折れそうだ。

 くそデカい両腕を振り回したり、全身から魔力弾を出したり、戦闘力もありそうだしな。

 でも、魔力消費が激し過ぎる。

 あの場から動くどころか、変形だって中途半端。

 だから出し渋ってたんだ。本当は使いたくなかった。

 でも、使わざるを得ないほど、追い詰められている。

 投降するのはお前の方だな。

 しないなら、私達は少し離れて様子見だ。

 お前が逃げないように見張りながら、あのデカ物の魔力が尽きるのを待てばいい。

 もう勝ち目はないぞ?」


『流石はゾトの勇者様。

 クレイジーマシンドラゴンの見立ては完璧です。

 魔力が足りなくて、だから使いたくなかった。

 しかし、それでも使ったのは。

 勝てると思ったからですよ。』


 映像が切り替わる。


 映し出されたのは、柱に括られたラデューム。

 傷だらけで、ぐったりしている。


 最初に、フェイク映像を疑った。


 ただ、本物の可能性はある。


 クレイジーマシンドラゴンでワッポノ君の注意を引き、本隊を強襲。

 インベージョンクリアドラゴンなら不可能ではないから。


 本隊と連絡がとれない現状、確かな事は言えないけど。

 ただ、なんとなく。本物な気がする。


『ご覧の通りです。

 あなた方の総大将は捕まえました。

 ちなみに、ちゃんとまだ生きていますよ。

 あなた方にも、彼にも。

 危害は加えません。

 投降さえしてくれればね。』


「断る。」


 リハネは、迷いなく返事をした。


「ストップ!リハネ!ストップ!!」


 クレスタが、そんなリハネを連れて部屋の隅まで連れて行く。


「いいか。

 私達は、ロミスオッドを捕える為に戦っているんだ。

 なぜか?

 ヨダーシルを、あいつの好き勝手にさせない為だ。

 ラデュームは、覚悟を持って戦場に出てきたんだよ。

 守りきれなかったのは、すまないと思う。

 でも、あいつが死んでも、ロミスオッドを捕える事さえ出来れば、ヨダーシルは立て直せる。

 ユンゼスも、ソルテローラもいるからな。

 あいつのお陰で、私達は邪魔されずに戦えた。そして、勝った。

 それでいいんだよ。

 折角ここまで追い詰めて、自分の所為で負けたとなったら、あいつは死んでも死にきれない。」


 クレスタの声は聞こえないけど、リハネの声は聞こえる。


 ちょっと嬉しい。

 リハネが、ラデュームを理解してくれて。


 リハネの主張は正しい。


 でも。

 それでも俺は、ラデュームに死んでほしくない。


「ロミスオッド、すまない。

 10分くれないか?

 見ての通り意見が割れている。

 話し合いの時間をくれ。」


 くれるはずだ。


 だってラデュームが死んだら、俺達はリハネの言ったようにする。

 ロミスオッドの逃走を警戒しつつ、クレイジーマシンドラゴンの魔力切れを狙う。


 だからラデュームは、まだ殺されないはず。


『まあ、いいでしょう。』


 ほっとした。

 浮かせていた腰を下ろす。


 俺達は投降する。そして、逆にロミスオッドを捕まえる。

 その下準備を、この10分間で行う。


 大丈夫だ。

 あと数分で、彼女はきてくれるから。


『ラデュームはそこまで脅威だとは思っていませんでした。

 私の敵は、ソルテローラさん。

 いえ、あなたと組んだソルテローラさんです。』


 違和感。

 会話に、ずれがある。


「すまない、何の話だ?」


『私は、ヨダーシルの新都市長になりたいんですよ。』


 知ってる。


『都市長になるには、選挙に勝つ必要があるじゃないですか?

 今まで選挙活動をサボっていたので、ここから頑張って支持率を上げないと。

 あれ、ひょっとして。

 他の候補者を全員潰してなる気だと思ってました?』


 思ってたよ。


「この状況で選挙活動の心配だと?出来るつもりでいるのか?」


 リハネが、クレスタと共に戻ってきた。


『ええ。寧ろ、絶好のチャンスだと思っています。』


 映像が、また切り替わった。

 映し出されたのは、知らない女性。


 …個人の感想で申し訳ないが、とんでもない美人だ。

 その彼女が、口を開く。


『いきなりで、驚かせてごめんなさい。

 私は、北区区長、ロミスオッドです。』


「は?」

「え?」

「ん?」


 周りからあがる疑問の声。


「えっと、ユンゼスさん?」


「いや、北区の区長のロミスオッドは、さっきまで話していた男の方だよ。

 こんな人は知らない。」


 困惑する俺達を放置して、彼女の話は続く。


『今、私達は戦っています。

 敵は、一昨日、西区を襲撃した断罪者を名乗る者です。』


 データが送られてきた。


 それは西区襲撃後に、断罪者が都市民に送ったデータ。

 その矛盾点を指摘するものだった。


「これ、ヨダーシル都市民全員に送られているのね。」


 呟くようにクレスタが言う。


 それで俺も、奴の狙いに気づく。


『断罪者の狙いは、ヨダーシルの技術を盗む事。

 その為に、ヨダーシルを混乱に陥れようとしました。

 西区襲撃を北区の仕業に偽装し、東区、南区と争わせたのです。』


 セイを操作する。

 この映像送信を止める為に。これは、続けさせたら不味いやつだ。


 可能なはず。

 向こうから送信できる状態の、今なら。


『私達北区は潔白の証明に成功し、両区と和解。

 そのまま、元凶である断罪者を共に攻めました。

 しかし…。』


 画面が動いて。

 自称ロミスオッドと、横たわるラデュームが映った。


『断罪者は強敵です。

 私達は徐々に追い詰められ、ユンゼスさんは行方不明。

 ラデュームさんは、重傷を負いました。』


「こいつ…。」


 リハネが怒る。

 ラデュームが利用されて。


『お願いです、皆さん。

 私達に力を貸してください!』


 画面が、ワッポノ君を映す。


 彼は、必死に戦っている。

 俺達には、よく伝わる。


 しかし、彼の姿は。

 漆黒の鎧に、獣のような咆哮をあげる様は。


 暴れ回る化け物に見える事だろう。


『今は、北門の要塞内で、何とか食い止められています。

 しかし、ここが突破されれば、一昨日以上の被害を出してしまう!』


 映像に、クレイジーマシンドラゴンは映らない。

 変わりに、必死に抵抗する東区の兵士の姿が映る。


 編集だ。

 リアルタイムではなく、数秒前の、作られた映像だ。


『まだ、我々には秘密兵器があります!

 それならば敵に、断罪者に勝てます!

 でも、起動するには魔力が足りない!』


 ダメだ。

 セイのコントロールを奪えない。


『皆さんの魔力を、分けて下さい!』


 魔力の譲渡を行いますか?

 【は い】【いいえ】


 それが、画面に表示されていた。

リハネを『呼び捨て』で、カナミアを『さん付け』したら、差をつけられたみたいに感じてリハネが不機嫌になった。

だからユンゼスは、カナミアも『呼び捨て』にするようにした。


というやり取りは、テンポの都合により省略しました。

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