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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第四章 理想家オーズンの四人の後継者

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第148話 激突~業~

~前回までのクレスタ~


決戦の舞台は、北門の大要塞。

そこにリハネが突っ込んで行って…。

私達は、要塞に忍び込んだ。


◇登場人物◇ ※●が視点者

__ヨダーシル・南区

●クレスタ  :ワッポノ捜索隊

〇ツツジ   :ワッポノ捜索隊

〇ユンゼス  :南区の区長


□セイ    :色々できる腕輪型のデバイス。人工知能(AI)搭載

□アニサ   :クレスタがカスタマイズしたセイ


__ヨダーシル・東区

〇リハネ   :ゾトの勇者

〇ラデューム :東区の区長


__ヨダーシル・北区

〇ワッポノ  :マーアの勇者

*クレスタ視点*


 ヨダーシル北門周辺の大要塞。

 通称、魔王城。


 その、前に。


 東区本隊。

 ラデュームさんやミーサ達、そして22機の竜機兵りゅうきへいが陣取る。


 本当は包囲したかったはずだけど、さすがに大きすぎて無理だから。


 内部への突入はしない。

 この場から、遠距離魔法で魔王城の破壊を試みる。


 最初にその旨を伝え、降伏勧告を行った後。

 攻撃が開始された。


 ここはヨダーシルの防衛施設。

 本気で破壊するつもりなんてないのでは?

 そんなふうに高を括っていると、本当に崩れる。


 その覚悟で。

 ラデュームさんは、ここにいる。


 そして、魔王城の魔防壁に亀裂が入った頃。

 相手も、本格的な防衛を開始。


 竜機兵りゅうきへいや、アーミーマシンドラゴンが、ワラワラ出てくる。


 でも、これこそが。

 敵の防衛戦力を、ここに集結させる事が本来の作戦。


 真っ先に内部へ突っ込んだリハネと。

 後を追うように突入したユンゼスさん。


 二人が。

 余計な邪魔をされずに、それぞれの相手と出会えるように。




「…ここまでは、順調っと。」


 私とツツジちゃんは、ユンゼスさんと同じタイミングで侵入に成功。

 リハネが大暴れしてくれたお陰で、いい感じに隙をつけた。


 今は、要塞内を徘徊しているアーミーマシンドラゴンから身を隠している状態。


 二人共、レインコートみたいのを着ている。

 うちの自慢の新商品、対熱、対魔力探知機能のある優れモノ。


 …難点は、動きにくく走りにくい所。戦闘には不向きなのだ。


 私達は強くない。

 万全の状態で戦っても、勝てないだろう。


 だから、発見されない事を重視しての装備。


 アニサちゃんの情報によると。

 アーミーマシンドラゴンは、熱、魔力、音、動きに関しての探知機能があるみたいで。


 本当に、着て来てよかった。


 (クレスタ。)

 (ええ、分かってる。)


 ツツジちゃんにバレないように、アニサちゃんと状況確認。


 少し前。

 リハネから、ポノ君がいる座標を教えてもらった。状況も軽く。


 彼と戦闘になり、撃破。今は、気を失っていると。


 (流石に、ポノ君は狙われないはず。

 アーミーマシンドラゴンに、人を運ぶなんて機能はない。

 流れ弾が怖いけど、一応リハネは離れてくれてるみたいだし…。)


 もちろん、長時間の放置なんて出来ないけど。


 第一優先は、見つからない事。


 見つかって、仲間を呼ばれたら。

 ポノくんの元へ辿りつけても説得どころではない。


 正直、こんなにうろつかれているとは思わなかった。

 リハネがそれなりの量を壊して、本隊の方へ大半が向かったはずなのに。


 (予定変更。

 気を失っているポノ君を回収、その後、要塞を脱出して、説得は、その後…。)


 ツツジちゃんの様子を確認。

 大人しくしてくれている。


 その横顔を見ながら。

 昨日の出来事を思い出した。




『ポノは、私が連れ戻します。』


 ユンゼスさんを休ませて。

 新たにテントを立てている時、ツツジちゃんはやってきた。


 開口一番に、それ。


『リハネさんも、ユンゼスさんも。

 「いい顔してる」とか、「強くなった」とか、「約束を果たさせてくれないか」とか!

 そんな事より、真っ先に言う事があります!』


 リハネとユンゼスさんの、セイが記録した映像を見ての感想だろう。


 怒っている、と。

 全面に出しながらツツジちゃんが続ける。


 私は、口を挟まず、作業の手を止めて向き直り、彼女をちゃんと見る。

 しっかり、聞いているし、そのアピールの為に。


『何でそんな所にいるんだ!?

 北区は悪い事をしたんだぞ!?

 それに加担するなんて、何事だ!?

 …最初に言うのは、そういう事でしょう…。』


 ツツジちゃんにとって。

 北区は悪。


 それは、そう。

 いきなり西区を襲撃してきたのだから。


 (あ~、大人組にとってポノ君は、そそのかされた被害者で。

 だから責めたりはしない。

 でも、ツツジちゃん視点からしたらそうじゃない。

 ポノ君は、そういうの、ちゃんと判断できる人で。

 だから、悪に加担しているのが許せない。

 そのままの現状も。

 何も出来ない、自分の無力も。)


『ポノは、今、視野が凄く狭くなっています。

 きっと自分が、間違った事をしているなんて思ってない。

 だから、ちゃんと言ってあげないと、気づけない。

 お前は、間違っているんだぞって!』


 作業用の手袋と、上着を脱いで立ち上がる。

 そして、その手を取る。


『わかったわ。明日は一緒に行きましょう。

 それで、ポノ君に、言ってやりましょう。』


 たぶん。

 ポノ君は戦場には出てくると思う。


 でも、リハネもユンゼスさんも。

 ポノ君には構っていられないはず。


 適当にぶちのめして、戦闘終了後に回収。

 その後、説得。


 そういう流れを考えていると思う。

 そういう流れにするしか、ないと。


 そして。

 ツツジちゃんも、それは分かっている。


 だから自分が、連れ戻すしかないと言ってきた。


 それは、ポノ君自身に。

 一刻も早く、悪に協力するのを止めてもらいたいという気持ち。


 そして、もう一つ。


 やはり、心配なのだ。


 戦いは激しさを増している。

 乱戦ともなれば、事故だって起こる。


 その気がなくとも。

 ポノ君が、誰かの命を奪う結果になってしまうかもしれないし。

 ポノ君が、死んでしまうかもしれない。


 そんな中で。

 じっと待つなんて、出来ない。


 彼女は、そう思って。

 どうすれば、実現可能かを考えて。


 それで、私の元へ来た。


 レーグの魔王討伐メンバーで、さっきもインベージョンクリアドラゴンから逃げ切った。


 私の協力があれば、ポノ君を連れ戻せるんじゃないかと。


 (まったく。頼りにされるなんて、嬉しいじゃない。)


 私は、ヨダーシルに来る前に決めた。

 二人の応援をすると。


 その気持ちは、当然、今も変わらない。


『あ、あの!ごめんなさい、実は、私、クレスタさんを…。』


『いいのよ。私がそうしたいんだから。』


 仮に。

 私一人が行ったとする。


 おそらく、ポノ君の所までは辿り着ける。自信がある。


 不意打ちはしない。

 堂々と姿を現す。


 ポノ君も。

 私に、いきなり攻撃なんてしない。彼は悪人ではないから。


 説得しようとするけど、私では無理。

 彼は私を置いて、さっさとどっかへ行ってしまう。


 だからそれだと、意味がない。


 でも、ツツジちゃんも一緒なら?


 その場で説得が出来れば、言う事はない。


 無理でも。ツツジちゃんを完全無視なんて出来ないはず。


 動揺する、隙が生まれる。そんな状態なら、私でも捕縛できる。

 ダメージだって、残っているだろうし。


 その後は。

 二人で、星でも見ながら語り合えばいい。


 (利用するのは、お互い様って事で~。)


 簡単な打ち合わせをして、ツツジちゃんは戻って行った。


 具体的な動きは、本隊や、ユンゼスさんの動きを聞いてから改めて決める。


 (…さて、気合いれないとね。)


 当然、リスクのある動きだ。


 もし、ツツジちゃんが死んでしまったら。

 私にとっては、申し訳ないけどヨダーシルが滅ぶより最悪だ。


 (それでも、最善手だとは思う。)


 例えば。

 私が行くから、ツツジちゃんは待つように言ったとする。


 この場では、納得してくれるかもしれない。


 でも、土壇場で。

 やっぱり、気持ちが抑えられなくて。


 一人でポノ君の元へ行ってしまったら?


 それこそ、もう、打つ手がない。


 (私一人だと、守れるか不安だから、リハネに来てもらったんだけどな~。)


 仕方がない。

 皆が笑える世界がいいんだから。


 そんな事を考えながら、テントの組み立てに戻るのだった。




 (…いた。)


 倒れているポノ君を発見。

 その周辺に、3、いや、4機のアーミーマシンドラゴン


 (アニサちゃん?)

 (4機で間違いないわ。でも、少し離れた所に3機いる。

 仲間の信号を受信したら、すっ飛んでくるわ。到達まで10秒ね。)


 (4機倒して、次の3機も倒して。でもきっと次がくるわよね?)

 (ちょっと待ってね。…1分以内に、30機倒せれば、次がくるまでに5分の猶予が出来るわ。)


 (う~ん。…別のプランをお願い。)

 (侵入者発見の信号を、仲間に送信される前に倒す。暗殺者みたいに。)


 どっちが現実的かと言われれば。

 …いや、どっちもどっちでは?


 (このままこの付近で、隠れて様子を見ていれば、好転すると思う?)


 (…リハネがカナミアを倒して、戻って来てくれれば好転すると思う。

 でも、それをするなら、要塞から逃げる事を推奨するわ。

 敵の数が増えて、退路がなくなる可能性もあるから。)


 撤退。

 それも、手ではある。


 見込みより敵の数が多すぎたのだから、仕方が無い。


 ツツジちゃんを確認する。

 恐怖に耐えながらも、強い目だ。


 ポノ君を、絶対に連れ帰ると。覚悟を決めている。


 (私も決断する時であり、覚悟を決める時か。)


「ツツジちゃん。」


 その名を、呼ぶ。

 気づかれないように、気を付けながら。


「ポノ君がいた。彼は気を失っていて、周りには敵。」


 声を上げずに、聞いてくれる。


「今から、作戦を伝えるわ。

 まず、プランA。

 ツツジちゃんは、一旦待機。

 私は、少し移動して、敵を狙撃する。

 バレずに4機、落とせたら勝ち。

 戻って来るから、一緒にポノ君を運びましょう。」


 バッグから取り出した物に、魔力反応を検知されないように魔力を入れる。


 それは膨らみ、クッションみたいになった。

 車輪もついていて、魔力という動力もある。

 例え一人でも、人間一人を楽々運べる優れもの。


 二年前。

 これを使って、ガットル君と二人でお尋ね者を運んだのも懐かしい。


「もし、私の事が敵にバレたら。

 そこからは、プランBよ。

 私は全力で逃げる。敵を引きつけながら。

 十分に引きつけられたら、ツツジちゃんのセイが教えてくれる。

 後は指示に従って。

 要塞の外に出て、可能なら本隊に合流。戦闘真っ最中なら、東区を目指してもいい。

 その辺りも、セイの指示に従ってね。」


「クレスタさんは?」


「私なら大丈夫よ。魔王の炎槍ファイアーランスに比べれば、全然マシ。

 最後まで傍にいられないのは残念だけど。

 お互い頑張って、後で落ち合いましょう。」


 ツツジちゃんは。

 頷く。


 いい子で、強い子だ。


 さて、決定したのだから、後は迅速に動くのみ。


 私は屈みながら、狙撃しやすそうな位置へ移動する。


 (タン、タン、フー、タン、タン…。)


 シミュレーションする。


 使用するのは、土属性の基礎魔法のストーン

 腕輪による強化のみ。特殊薬の使用は無し。


 一発撃ったら、後は続けて撃つしかない。

 一撃で仕留めつつ、2機目と3機目が少し離れているから、そこは注意して。


 コートはすぐ脱げるように。

 仕留めそこなった瞬間、脱いで走る。


 深呼吸して。


 運命の一発を、放つ。


 命中。

 続けて、放つ。


 命中。


 敵、残機に反応あり。

 異変には気づいた。


 が、敵襲だとはバレていない。


 次弾発射。


 命中。


 (ラスト!)


 それは、狙い通りの軌道を描き飛んで行く。


 しかし、僅かに。

 敵が先に動いた。


 命中はしたが、着弾個所がズレる。

 一撃で、破壊しそこなう。


 続けて発射した石弾で、完全に機能は停止する。

 でも、止まる瞬間、確かに見た。


 赤いランプが、点灯したのを。


 (プランB!!)


 私は、コートを脱ぎ棄て走り出す。


 ツツジちゃんの無事を祈りながら。


 (クレスタ!)

 (はいよ!)


 飛び掛かってきた1機を、撃ち落とす。


 (囲まれたら終わりよ。まずは、このルートに従って…。)


 繰り返すが。

 私は、強くない。


 狙撃にはそれなりの自信があるけど、接近戦とかは無理。


 だから、言い訳にはなってしまうのだけど。


 周囲を警戒しながら。

 全力で走りながら。

 飛び掛かってくる敵を攻撃しながら。

 アニサちゃんを確認する。


 そんな事、完璧に出来る訳もなく。

 結果、無理をする事になり。

 足元がお留守になり。


 私は、つまずいた。


 (やっべ!)


 バランスを崩して。

 でも、なんとか転倒は避けられて。


 それでも、大きすぎる隙となる。


 左右両方から飛び出してくるアーミーマシンドラゴン


 反射的に、右の奴を撃ち落として。


 (南無三!)


 よく意味も分かっていない言葉を、心の中で絶叫しながら身を屈める。


 その私の頭の上を、魔力を纏う刃が通り過ぎた。


 完全に、ただの運。


 しかし、攻撃を躱す事には成功。

 至近距離からのストーンで、破壊する事にも成功。


 まさに、超、ファインプレー。

 自分の可能性に感動する。


 しかし敵は、残り23機。

 全然気は抜けないし、寧ろ、ここからが本番まである。


 (上等よ!このまま全部、ぶっ壊してやるわ!)


 絶望的な状況。

 だからこそ自分を鼓舞し、勢いよく顔を上げる。


 顔を上げたから。


 少し離れた所にいる、ツツジちゃんと目があった。


 彼女は、ほっとした表情だ。


 一瞬。

 現実逃避しかけた。なんで?とか思ってしまった。


 でも、すぐに理解して。

 だから走る。ツツジちゃんの元へ。


 私は、まだ碌に距離を離せていない。

 最序盤でピンチになった。


 だから、その姿は。

 バッチリ、ツツジちゃんに見られていて。


 さっきの。

 私が屈んで避けたシーン。


 私が切り裂かれたように見えた事だろう。


 だから、ツツジちゃんは。

 出て来てしまったのだ。


 私を、心配して。


 そして、私が無事で安堵した。


 確かにツツジちゃんは、対熱、対魔力探知機能のあるコートを着ている。


 でも、アーミーマシンドラゴンは。

 音にも、動きにも反応する。


 私を心配して出て来てしまった彼女は。

 そこまで動いてしまったという事で。


 敵は、今、集結している最中だ。


「!!」


 構える。


 ツツジちゃんに向かっていく、アーミーマシンドラゴンを見つけたから。


 しかし位置が悪い。


 やってきたのは、私の前方。


 つまり、射線上にツツジちゃんがいる。


「!?」


 魔法を撃てず、固まる私は。

 見た。


 ポノ君が。


 ツツジちゃんを突き飛ばし。


 その背に、アーミーマシンドラゴンの刃を受けて。


 それは、彼の身体を貫いて。


 引き抜かれ。


 ポノ君が。


 大量の血をまき散らしながら、倒れる様を。

~戦況まとめ~

リハネ     :カナミアと交戦

クレスタ・ツツジ:ワッポノと合流…

ユンゼス    :???

ラデューム   :要塞に直接攻撃

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