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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第四章 理想家オーズンの四人の後継者

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第140話 北区VS東区~戦略~

~現在の状況~


北区と東区が激突。

結果、北区は撤退。

東区は、被害状況の確認と追撃の準備を進める。


◇登場人物◇ ※●が視点者

__ヨダーシル・南区

●クレスタ  :ワッポノ捜索隊

〇ユンゼス  :南区の区長


__ヨダーシル・北区

〇ワッポノ  :マーアの勇者

〇ロミスオッド:北区の区長

〇カナミア  :アイーホルの勇者。洗脳状態


__ヨダーシル・東区

〇リハネ   :ゾトの勇者

〇ラデューム :東区の区長

〇スーマミーサ:ラデュームの秘書。愛称はミーサ

〇ティルム  :ラデュームの秘書


□セイ    :色々できる腕輪型のデバイス。人工知能(AI)搭載

*クレスタ視点*前日、三人の話し合いの続き。


「そして、未完成のマシンDFドラゴンフォームを持っているのも俺だよ。南区に保管してある。」


「それ、完成度はどれくらいだ?

 使えるようにならないか、リハネとかが。」


 確かに。

 使えれば頼もしいけど。


「90%、かな。

 最終調整前に、中止になったんだ。

 流石に、明日は使えないと思うけど…。

 …そうだね。

 ルムリートに相談してみるよ。」


 そうなると。


「えっと、ごめんなさい。

 ユンゼスさんは、戦力と考えていいのかしら?」


「うん。

 長期戦は無理だけど、短期戦ならいける。

 そして、こいつのパワーなら短期決着が可能だと思う。

 ワッポノ君か、ロミスオッドなら押さえてみせるよ。」


 まあ、ここは。

 ユンゼスさんを信じましょうか。


「敵の戦力は、マシンDFドラゴンフォームが3機。

 1機はリハネがなんとかして、1機はユンゼスさんがなんとかする。

 そして最後の1機は、物量で押さえ込む。

 マシンDFドラゴンフォーム以外の戦力も物量でなんとか出来れば、東区は北区に勝てる?」


 どこか一か所なんとかならなかった場合、総崩れになる可能性もある綱渡り。

 カナミアの力は未知数だし、分の悪い賭けみたいな戦い。


 それでも。

 一応の勝ち筋は、ある訳か。


「そう考えると、やっぱりおかしいのよね。」


 二人の様子を見る。

 大丈夫そうだから、続けましょう。


「敵は、長い期間準備をしているの。

 勝負を仕掛けるタイミングを計っていたはずよ。

 勝てるかもしれないし、負けるかもしれない。

 そんな状況なら、仕掛ける訳がない。」


 インディビジュアルクリアドラゴンの存在を見落としていた?

 3機のマシンDFドラゴンフォームを所持していて、それはない。


「でも、実際に仕掛けてきた。

 つまり、まだ奥の手があるって訳だな。

 確実に勝てると思える手が。」


 ラデュームさんの言葉に、私は頷く。


「その存在を放置するのは、危険だわ。

 だから私が、調べてこようと思うのだけど?」


 セイで調べられるのであれば、ユンゼスさんが発見できている。

 だから直接北区に潜入して、自分の目で確認するしかない。


「一人でか?」


「何人か、ついてきてもらえると助かるわ。…ミーサとか。」


 ロミスオッドの奥の手。

 ノーガードなんて事はないでしょう。


 それこそ、本人が守っていてもおかしくない。


「大きく分けて、2つのパターンが考えられるな。」


 ラデュームさんから、北区の地図が送られてくる。


「東区からゲートを通って北区にいくと、最初に丘がある。

 その丘を越えると、戦うには丁度よさそうな平野だ。

 おそらく、敵はここに陣取っている。」


 まさか、市街戦をやりたいとは思わないでしょうしね。


「一つ目は、ここに敵の全戦力が集結されているパターンだ。

 その場合は、クレスタ別動隊の出番はない。

 3機のマシンDFドラゴンフォームと、奥の手もここにいるはずだからな。

 奥の手が、独自に開発した4機目のマシンDFドラゴンフォームとかならありえる話だろう。

 その場合、一応は交戦する。

 見掛け倒しのハッタリの可能性もあるからな。

 でも、確かな力があるならば撤退だ。

 被害拡大を防ぐ為に、早期決着させる為に仕掛けるんだ。

 甚大な被害を出す訳にもいかない。」


「…なあ、撤退を視野に入れるなら明日攻めるのを中止にしないか?

 実際戦ってみて、相手の実力を把握したいのもわかる。

 けど、情報収集なら別に戦わなくても出来るんだ。

 来週の投票日を延期させて、しっかり防御を固めて、情報収集に努める。

 長期戦なら、物資のあるこちらが絶対に勝てる。」


「ごめんなさいユンゼスさん。

 私は、ラデュームさんと同意見。

 初めから長期戦を仕掛けるのはよくないと思うのよ。」


 ロミスオッドという人物の事は知らない。

 だから、これは私の想像。可能性の話。


「ユンゼスさんも言ったように、敵の。

 並行世界から来たかもしれないロミスオッドさんの目的は、私も分からない。

 けど、分かる事もあるわ。

 きっと力を、武力を求めているのよ。

 マシンDFドラゴンフォームを所持しているのは、この戦いの為だけじゃない。

 新都市長になりたいのも、ヨダーシルの力を手に入れたいからよ。

 ヨダーシルを守る為に、力を求めているという事は絶対にない。

 だって、そうなら。

 西区を襲撃するはずがないから。」


 今の体制を壊したかった?

 そんな訳ない。


 ここまでセイを使いこなせる人物よ?

 他にやりようは、沢山ある。


 手に入れた力を試したかった。

 それ以外の理由がある?


 ここまでやっておいて、『一度、王様になってみたかっただけなんだ~。』みたいな落ちは無いでしょう。


「ヨダーシルの力に興味があるけど、ヨダーシル自体には興味がない。

 もし自分が負けそうになれば、逃げるでしょうね。一人で。

 そして、その時。

 自分が手に入れられなかったヨダーシルを、そのままにしておくかしら?

 今回の件を諸外国が知ったら、どうなると思う?

 ユンゼスさん。」


「それは…。

 まずは、事実確認じゃないか?

 問い合わせが来ると思う。俺達に。」


「そう。

 それぞれの区は、関係性の高い国があったはず。

 南区なら、ワイバン大陸の南側3国。

 東区なら、ヨダーシルの北と東の3国とか。

 そこから、懇意にしている区長に問い合わせが殺到する。

 きっと対応に追われて、それどころじゃなくなってしまうわ。」


 北区に、そういう国はない。


「その混乱に乗じて、逃げるつもりか?」


「それだけなら、いいのよ。

 最悪なのは、焚きつけられた諸外国が、ヨダーシルを攻めるケースね。

 防衛システムの情報や、セイへのハッキングコードをプレゼントされて、大義名分まで用意されたら、どう?」


 例えば。

 ヨダーシル北方の国、ネクーツ。

 表では東区と仲良くしていて、裏で北区と繋がっている。

 どちらが勝っても、うまい汁を吸おうとしているのは、ありそう。


 ヨダーシルは、強い。

 でも、その主戦力はセイや無人機なのだ。

 システムが乗っ取られて、ネクーツに攻め込まれたりしたら…。


「自分はその隙に逃げられるし、ヨダーシルも滅びる。

 追撃される心配もないし、ヨダーシルの武力は失われる。

 自分が手に入れられないのは残念だと思うけど、敵の手に渡る心配もないわ。」


 力を求めるという事は、敵がいるはず。

 敵、が誰かはわからないけど。


「長期戦なら、私達は勝てる。

 でも、この手を使われる可能性が出てくる。

 使わせない為には。

 相手に、勝ちの目があると思わせておかないといけない。

 相手のベストは、新都市長になってヨダーシルを手に入れる事だから、有利だと思っている内は、逃走を考えない。

 売国は、しない。」


 長期戦になった時。

 敵が売国をちらつかせて交渉してくるかもしれない。

 それで強制的に戦闘をしなければならなくなって、より不利な状況で戦う事になるとか。


 でも、それもマシな話で。

 いきなり手札を切ってくるなんて事が、ありえてしまうのだ。


「一気に決められなかった場合。

 小規模戦闘を繰り返し、敵にバレる事なく、追加戦力を確保する戦いだ。

 それで長期化するようなら、俺は第二ヨダーシルまで逃げる。

 俺達の敗北となるが、ヨダーシルを滅ぼされるよりはマシ。

 その後は、ロミスオッドの出方次第だな。」


 多分、ユンゼスさんとソルテローラさんも第二ヨダーシルにいくでしょうね。


 私達の目的は、ポノ君を連れ帰る事だから。

 負けた時は、ダメ元でロミスオッドさんと交渉か。


 リハネが暴れすぎるのは、まずいかも。


 (いやいや、心配する所はそこじゃないでしょうに。)


 私と、ツツジちゃんと、リハネと、ポノ君。

 カナミア達や、ユンゼスさん達、ヨダーシルの住民達。


 この際、怪我は仕方ない。

 でも、命を落とす事がないように。


 その為にも。

 戦闘の激化や泥沼化は、避けたい。


「で、次は奥の手を隠しているパターンだな。

 会敵した際に、知らないものが無い場合だ。

 ハッタリや未完成だからという希望的観測もあるが、そうでない時。

 使った場合のリスクがあるから、出来れば使いたくない。

 それか、単純に動かせない。という事が考えられる。」


 持ってきたけど、リスクがあるから使いたくない。

 ていうのは、一つ目のパターンの方ね。


「これなら、クレスタの言う通りだ。

 存在を放置するのは危険すぎる。

 奥の手が。

 例えば、ヨダーシルを吹っ飛ばせる高性能爆弾だったら。

 解除手段がない状態で追い詰めてしまえば、それで終わりだ。

 例えば、強力な催眠波だったら。

 本丸に攻め込んだ全員、幻惑魔法にかかるなんて事になる。

 北区全域なんてのは無理だろうが、王宮の敷地くらいの範囲なら出来てもおかしくないからな。」


 噂に過ぎなかった、オーズンの遺産である凶悪兵器。

 一気に現実味が出てきたわね。


「私達別動隊は、西区のゲートから北区に侵入して待機。

 東区のゲートから突入する本体が、敵の布陣を確認。

 最初のパターンなら、私達は本体に合流。

 2つ目のパターンなら、奥の手を探る為に北区の中枢を目指す。

 探っているとバレないように。

 って事でいいかしら。」


「そういう事だ。

 ゲートでなら情報のやり取りが出来る。

 ゲートを離れた北区内では、おそらく通信は不可能。

 セイのネットワークは区ごとに分かれている。

 設定は変えられているはずだ。

 セイ自体を使う事は可能だろうが、無線での受信、送信は使えない。」


 フフゴケ商会の通信機。

 2年前より性能は上がっているとはいえ、北区全域をカバーなんて出来ない。


 作戦が開始されたら、連絡はとれないという訳ね。


「最善の結果は、ロミスオッドの捕縛。

 やむを得ない場合は、ヨダーシルからの撤退。

 最悪の結果は、ヨダーシルの滅亡。

 最悪を避けつつ、最善を狙える作戦だと思うが、どうだ、ユンゼス?」


「…わかった。それでいこう。

 人の配置とか、具体的な戦術を考えようか。」


 それからもう少し。

 私達は、話し合った。




*クレスタ視点*現在


 そして結果は。


「ダメだったわ~。」


 東区ゲートから北西。

 丘を越えた平原に、東区本隊の野営地がある。


 私と、ミーサと、ティルム。

 敵の奥の手の調査隊は、そこに合流。


 もう夕暮れ時だ。


 情けない話。

 早々に敵に見つかってしまい、ろくな調査が出来なかった。


 流石に手ぶらでは帰れないと、市街地で聞き込みとかを頑張って。


 まあ、それでわかるはずもなく。


 (…やってしまった。)


 自分からやると言っておいて、この様とは。

 ミーサ達に手伝ってもらったのに…。


 そんな感じで。

 自分のテントで凹んでいると、ユンゼスさんが訪ねて来た。


「全員無事で何よりだよ。

 スーマミーサさんも言っていたよ?

 クレスタのお陰で生き残れたって。」


 私も、ミーサがいなかったら死んでいたかもしれない。


 持ってきた商会の魔道具に、ここで買ったヨダーシルの魔道具もガンガン使って。

 それで、何とか逃げ切れた感じだ。


 まったく、しつこい男だった。

 ロミスオッドという奴は。


「それに、何も掴めなかった訳じゃない。

 敵の奥の手の名前は、クレイジー・マシン・ドラゴン(CMD)。

 マシンDFドラゴンフォームの一種なのか、竜機兵りゅうきへいみたいな無人機なのかは分からないけど。

 名前的に、幻惑魔法系の洗脳装置ではなさそうだよね。

 爆弾でもないんじゃないかな。

 クレイジードラゴンなら可能性があるけど、名前にマシンが入ってるからね。

 あ、でもそうなると、マシンDFドラゴンフォームでもないかもな。

 マシンが被ってるよ。」


 名前だけで判断していい訳がない。


 それでも、唯一の成果を喜んでくれている。


 あんなに苦労して名前しか分からなかったなんて、悔しすぎる。


 それでも。

 ここまで気を遣わせているのだから、これ以上は言うまい。


 私も、切り替えよう。


 一応事情は、簡単に聞いた。


 北区との緒戦は、辛勝。


 リハネの消耗がやばい。

 本人は、いけるって言っていたみたいだけど、魔力消費、ダメージ共にデカすぎる。


 最後カナミアに、こっぴどくやられそうで。


 まあ、向こうもマシンDFドラゴンフォームに慣れていなくて、ガス欠で戦闘続行不能状態。

 そこを、ロミスオッドに回収されていったらしい。


 もう少し戦闘が続いていれば、やられていたかもしれない。


 (現状、リハネ、カナミア、ポノ君の3人の勇者が戦闘不能…。)


 敵の主力は。

 ロミスオッドのインベージョンクリアドラゴン

 そして奥の手のクレイジーマシンドラゴン


 対してこちらは。

 ユンゼスさんのインディビジュアルクリアドラゴン

 そして、竜機兵りゅうきへいタイプC、22機。


 私やミーサ、兵隊さんもいるけど、戦況を決めるのは竜、ドラゴンの名を冠するモノ達だ。


 (たぶんラデュームさんは、私達、調査隊を待っていた。

 これで私達が、相手の奥の手を無効化できるような何かを持って帰れていたら、迷わず追撃できたんでしょうね…。)


 でも、持って帰れなかった。

 一度、東区に撤退はあるかもしれない。


「そうだ、クレスタさん。

 伝えに来たんだよ。

 俺達は、このままここに居座る。

 リハネさんの回復を待って、追撃開始だ。」


「東区に、退かないの?」


「うん。

 リハネ、回復力には自信があるらしい。

 ヨダーシル製の回復薬だってある。

 明日の朝には戦えるってさ。

 そして、それだけの時間があれば調整も終わる。

 相性も悪くはない。数%かもだけど上昇が見込めたんだ。

 明日はきっと、マシンDFドラゴンフォームを使うリハネが暴れてくれる。」


 出来たとして、ほぼ、ぶっつけ本番。


 でもリハネは、そういうの得意そうよね。

 トリッキーシューターの時もそうだった。


 そういう器用さがある。


「カナミアさんも、こういう無茶多そうだし、回復してくると思う。

 そこは、リベンジに燃えるリハネになんとかしてもらって。

 ワッポノ君は…。」


 ばつが悪そうな、ユンゼスさん。


「その、思いっきり殴ったから、一日じゃあ回復できないと思う。

 リハネがカナミアさんを押さえて、俺がロミスオッドを倒す。

 ロミスオッドを倒せれば戦いは終わるはず。

 悪あがきで、クレイジーマシンドラゴンが暴れだすかもだけど、それを俺とリハネで、なんとか出来れば。

 それで、この戦いは勝てる。」


 そう上手くいくとは思わないけど、やるしかない。


 そんな表情。


「えい!」


 掛け声は、勇ましく。

 でも軽めに、彼の肩を叩く。


「!!?!?」


 とてもコミカルな表情をした後、平静を装うユンゼスさん。


「相当辛いみたいね。」


 インディビジュアルクリアドラゴンの反動で。


「ポーカーフェイス、自信があったんだけどな…。」


「いや~、うちには、そういう子が多くて。」


 無理して頑張って、心配させまいと我慢する子が。


「ほら、ちょっと横になってってよ。」


 置いてあるベッドを、バンバン叩く。


 ユンゼスさんは、困った顔で少し考えて。


「…じゃあ、少しだけ失礼するよ。」


 横になってくれる。


 実際辛くて。

 でも、ラデュームさんや、他の皆に心配させたくなくて。


 だから休むなら、もうバレてしまった私の所が一番なのだ。


「じゃ~ん。」


 塗り薬、飲み薬、シップ、お香。

 所謂、回復系アイテムを沢山見せる。


「随分、沢山だね。

 そう言えば、このテントも、東区の物じゃない?」


「そう。

 これらは全部、うちの商品よ。

 どうなるか分からなかったから、いろいろ列車で持ってきていてね。

 ツツジちゃんに、ここまで運んでもらったのよ。魔走車で。」


 ツツジちゃんは、技術発表会の準備の時、魔走車の運転を覚えた。


 そんな彼女は、東区本隊のサポート要員として同行してもらっている。

 今は、リハネの治療に協力しているはずだ。


「ねえ、ユンゼスさん。」


 お香の準備をしながら、話しかける。


「3機目のマシンDFドラゴンフォームの存在とか、カナミアが洗脳されている事とか、相手の奥の手の事とか。

 最初から可能性に気づいていたでしょう。

 気づいていながら、話題に出さなかったでしょう?」


「…。」


「私達は別動隊とか作らないで、全軍で北区に攻め込んで。

 様子見とかしないで、全力でぶつかる。

 でも突然現れるカナミアに崩されて、慌てふためいて散り散りに逃げるのよ。

 相手にとって、絶好のチャンス。

 一気に決める為、ロミスオッドさんも前に出てくる。

 そこを、狙うつもりだったんでしょう?

 ユンゼスさんは、ロミスオッドさんに奇襲をかける。

 ロミスオッドさんは勝負に出ている訳だから、退いたりはしない。

 カナミアや、奥の手も呼んで、ユンゼスさんを潰しにくる。

 それでも。

 インディビジュアルクリアドラゴンなら、勝てる計算だったんでしょう?」


 インディビジュアルクリアドラゴン

 最初に造って、さじ加減がわからなくて、魔力上昇率と人体への影響が大きい。

 たぶん、嘘じゃない。

 でも、かなり、ぼかしていると思う。


 想像だけど。

 本当に、どこまでも魔力は上がるんじゃないかしら。

 使用者の魔力が、命が尽きるまで。


 そう、彼は。

 自分の命を代償に、ロミスオッドを止める気だったのだ。


「ねえ、ユンゼスさん。」


 どうして、そこまでしようとしたのか。

 ロミスオッドと、何があったのか。


 どうしてマシンDFドラゴンフォームを造ったのか。

 どうしてそれを、破棄しなかったのか。


「聞きたいな、話。」


 ユンゼスさんは。

 目を閉じて、しばらくそのままで。


 それから、ゆっくり口を開いた。

そんな訳で。

次回から、ユンゼスの話。

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