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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第四章 理想家オーズンの四人の後継者

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第125話 城塞都市ヨダーシル~西区~

~前回までのクレスタ~


ヨダーシルに着いた私達は、南区の区長ユンゼスさんと会った。

南区にポノ君がいないのは調べてもらえたから、私達は西区へ向かう。

AI搭載の腕輪も渡された。ヨダーシルにいる間はよろしくね、アニサちゃん。


◇登場人物◇ ※●が視点者

__勇者捜索隊

●クレスタ  :フフゴケ商会、商会員

〇ツツジ   :勇者隊、サポート員

〇リハネ   :ゾトの勇者


□セイ    :色々できる腕輪型のデバイス。人工知能(AI)搭載

□アニサ   :クレスタがカスタマイズしたセイ


__行方不明

〇ワッポノ  :マーアの勇者


__ヨダーシル

〇ユンゼス  :南区の区長

〇ソルテローラ:西区の区長

〇カナミア  :アイーホルの勇者

「ようこそ西区へ。

 ユンゼスさんから、大まかな事情は聞いています。

 まずは区役所に案内しますから、ついて来て下さい。」


 ヨダーシルの四区は、物理的な壁で別れている。


 壁には区間を移動する為の門、ゲートがあって。

 私達三人は、そのゲートを通り南区から西区へやって来た。


 すると案内人の方が待っていてくれた訳だけど。


「久しぶりね、カナミア。」

「ええ。お会いできて嬉しいですよ、クレスタさん。」


 知っている顔だとは思わなかった。


 (まさか、ここで再会するなんてねぇ…。)


 だいぶ白っぽい青のロングコートを着た、金色の短髪で小柄な女性。

 ガットル君と同年齢だったはずだから、今は20歳。


 ワイバン大陸西側の国、アイーホル。

 その勇者カナミア。


 二年前。魔王討伐の旅の途中。

 ワイバン大陸東側、バクー王国、パーレの町で私達は出会った。


 まあ、私がカナミアと喋ったのは別れ際だけ。

 個人的接点は、ほとんどない。


 でも彼女は、私達の勇者と友達の関係。

 初対面時はお互いの印象が最悪で、そこからトラブルを経て仲良くなったタイプの。


 ウーイングとアイーホルの勇者パーティーは良好な関係。

 そのメンバーが、異国で再開。

 ドラマチックでいいじゃない。


 でも。

 (めちゃくちゃ気まずい…。)


 ちょっと事情が複雑で。


 ウーイングの勇者とカナミアは、再会の約束をした。

 お酒を飲みながら語り合おうと。

 そして、旅の無事、魔王討伐の成功を祈り別れた。


 結果、ウーイングの勇者は魔王討伐を果たすも、相打ちで命を落とす。

 という事になっている。


 実際は生きている。トワという別人になって。

 というか、元々はトワという人物で、訳あってウーイングの勇者を演じる事になり、魔王討伐という節目を迎え勇者を演じるのをやめた、っていう感じかな。


 つまり。

 カナミアは友達を亡くしている。

 私は死んだ友達の仲間だ。


 (最期の勇姿とか、聞きたいわよね…。)


 設定は、ちゃんと考えてある。

 仲間との混合天法、シャイニングソードで魔王を打倒したのだ。


 実際、多くの人に聞かれたし、その都度まじめに答えた。

 伝聞で更に広がるように、みっちりと。


 (でもカナミアにも、それを言うの?)


 罪悪感が半端ない。


 勇者の扱いをどうするかの、トワがこのまま名乗り続けるかどうかの話し合いの時。


 カナミアの話題は、ちょっと出た。

 私達は、友達なのも約束の事も知っていたし。


 でも、そういう事もある世界だから。

 それに、接点があったのは三日間で、話した時間は数時間のはずだから。

 何より、トワが『そこは、大丈夫だよ。』って言ったから。


 なのに。


 風の噂で聞いた彼女の様子は。


 ウーイングの勇者の訃報を知ると、三日三晩泣き崩れた。とか。

 依頼全てをすっぽかし、一か月以上引きこもり家から出てこなかった。とか。

 ウーイングの勇者をバカにした退治屋は、彼女に睨まれ、すくみ上がり、以降、行方不明だとか。


 もちろん、全てが本当かは分からない。

 でも、私達の想像以上に、激重感情を抱いていたのは確か。


 いや、嬉しいけどね?

 私達の仲間を、そこまで大事に思ってくれて。


 だからこそ。

 彼女に嘘を伝えたくない。

 まあ、本当の事も言えないんだけど。


 (トワは、『ウーイングの勇者の仲間の一人として、手紙を送った』って言っていたけど、何て説明したのかしら…。)


 あの子のこういう所は、本当によくないと思う。


 現在私達は、カナミアの西区の説明を聞きながら、区役所を目指している。

 彼女の様子は、普通だ。

 寧ろ、前の印象より、かなり明るい。


 (もしその話題になったら、直接話したいと言ってる子がいるからと言って、お茶を濁す。トワが自分で説明するべきよ。)


 などと考えながら、私達は西区を歩く。




「ようこそ、西区へ。区長を務めている、ソルテローラです。

 よろしくお願いします。」


 区役所の区長室で区長に、丁寧に挨拶された。

 慌てて私達も頭を下げ、自己紹介。


 銀の長髪に、白のストール。

 カナミアのロングコートと似たような色の、ゆったりとした服。


 おっとりした雰囲気の、優しそうな人だ。

 大人の余裕を得たツツジちゃん、みたいな。身長も同じくらいだし。


「なんでも、マーアの勇者様をお探しだとか。

 もう少しお待ちくださいね。

 西区にいる住民の照合が、あとちょっとで終わります。」


 彼女も私達と同じような腕輪を着けていて、それを操作している。


「ユンゼスさんも、もっと早く言ってくれればいいのに。

 誰もがユンゼスさんと同じくらいセイを使いこなせると思ったら大間違いです。」


 怒っている。訳ではなさそう。

 きっと、いつもの事なのだろう。


 (ユンゼスさんは私達の事を説明しても、探すのを頼んではいないはず。

 自主的に探してくれている。

 いい人なのか、何か思惑があるのか。

 まあ私達は助かるから、ありがたいけど。)


 ソファーに座らせてもらい待っていると、カナミアがお茶を運んできてくれた。

 なんだか秘書みたい。


「なあ、アイーホルの勇者は何でここにいるんだ?」


 ゾトの勇者が訪ねる。


「アイーホルとアスゴフソアは同盟国。

 アスゴフソアは、ヨダーシルの西区と友好関係。

 今回、西区の区長が都市長選を戦われるという事で、その応援です。」


 リハネとカナミアは、今回が初対面。

 同じ勇者という事で、お互いかなり意識してそうだ。


 見えない火花が見える。


「そうなんですよ!」


 その様子を知ってか知らずか、ソルテローラさんが明るく言う。


「半年くらい前、アスゴフソアの東に魔物が現れまして。」


 ぐいっと距離を詰めてきた彼女に対し、リハネがちょっと身を引く。

 同時に威圧的な態度が崩れる。


 おっと、これはペースを握られたかな?


「魔物の名は、沼喰スワンプイーター

 厄介は奴でした。

 沼に潜んで獲物を狙うタイプだと思われていたんですが、実は沼自体が魔物でして。

 西区への輸送隊にも被害が出ていて。

 それを討伐してくれたのが、カナミア様達、アイーホルの勇者パーティーです。」


 鼻息荒く捲し立てるソルテローラさん。


 彼女は自慢しているのだ。自分の推しの勇者の事を。

 あの子の友達を好意的に見てくれて、私も嬉しい。


「討伐するまでの期間、西区にお世話になったんです。

 だからというのもありますね。」


 カナミアが補足をする。

 するとソルテローラさんが、当時の様子を嬉しそうに喋り出す。


 それを聞きながら、私はアニサちゃんを使って調べもの。

 気になる事があったから。


 (…なるほどね。)


 今や、ヨダーシルが世界に与える影響は計り知れない。

 その都市長選ともなれば、当然、各国も注目する。


 アスゴフソアより西、つまりワイバン大陸の西側6国は、西区支持。


 ムアーより南、ワイバン大陸の南側3国は、南区支持。

 マーア支援により、ライダ大陸クーランを除く3国も南区支持。


 (ネクーツ、フラスカ、トスーチェ。北と東は東区支持か。)


 アッブドーメンより東、ワイバン大陸東側4国は様子見。

 まあ、あそこは、レーグの領土問題で揉めてるから、それどころではないのかもしれない。


 (レーグが滅亡して21国。

 クーランとワイバン大陸東側の合計5国を除いた15国が、ヨダーシル3区のいずれかを支持か…。)


 自分が支持しなかった区の長が都市長になったからって世界大戦になる、とか。

 もちろん、そんな事にはならないはずだけど。


 それぞれ思惑は、ある。

 この選挙の後、また世界は、大きく動く事になる。


 (現在の世界の中心は、ここなのかもね…。)


 どの国にも支持されていない北区に不気味さを感じつつ、そんな事を考えていると。


「なら、その凄い勇者様と手合わせしたいんだが?」


 区長の惚気話を遮るように、リハネが言った。


「確かに!

 アイーホルの勇者様とゾトの勇者様の手合わせ、私もぜひ、見たいです。

 …ただ。」


 区長は悩む仕草をする。

 けど、ポーズだけだ。たぶん結論は、最初から出ている。


「カナミア様の実力は、よく知っていますし、リハネ様の実力も聞いています。

 ゾトの魔王討伐、そして先程、ヨダーシル付近の魔物を焼き払ってくれたとか。

 竜機兵りゅうきへいの装甲を熔かせる威力だったとも。

 そんな二人が全力で戦える場所は、残念ながら西区にはありません。」


「南区によさそうな場所があった。そこでやろう。

 なんなら、ヨダーシルの外でもいい。魔物を討伐した場所とかならいいだろう。」


「いえ、現状、私もカナミア様も西区を離れる訳には…。

 そうだ!」


 個人的な、直感的な意見なのだけど。


 区長は、カナミアの自慢話をしている時が素。

 今は、そういうキャラを演じながら会話の誘導をしている。


 そんな気がする。


「トリッキーシューターで勝負をするなんてどうでしょう?」

「いや、流石にそれは…。」


 さも名案を閃いたと言わんばかりの区長を、カナミアが否定する。


 ルールを知っている身からすれば、カナミアが正しい。

 あれはスタートラインに立つまでが大変な競技で、やり方を聞いて直ぐに出来るものではない。


 だからカナミアも、その勝負は不公平だろうと、言わば善意からの発言だ。


 しかし、その態度が。

 リハネは面白くない。


 なに勝負もしないで勝った気でいる?私を舐めているのか?

 そういう彼女の、負けず嫌い精神に火がつく。


「勝負が出来るならそれでいい。やろうじゃないか。」

「案内します、ついて来て下さいね。」


 こうして私達五人は、移動を開始する。


 (…うわぁ。)


 アニサちゃんで調べる。

 カナミアは、トリッキーシューターの西区のクイーンらしい。


 (ゾトの勇者に勝負を挑まれ、アイーホルの勇者はそれに圧勝…。)


 格付け。

 それが狙いで、ここまでが計算。

 ソルテローラとは、かなりしたたかな人物。


 (そういうイメージ。

 まあ、あくまで一面に過ぎないとか、私の勘違いの可能性だってあるけど。)


 カナミアの様子を見る。

 やれやれと言った感じか。


 (リハネのフォローでも考えとこっかな。)


 私達はソルテローラさんについていく。

マーアの勇者を探して、ゾトの勇者がヨダーシルにくると、アイーホルの勇者がいました。

第4章は、勇者の話でもあります。

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