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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第三章 王女レフィアラと王国滅亡の預言

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第116話 預言~天竜~

~前回までのゼユウ~


俺の考えだと、サダキが天獣で、ビッケが天使だ。

そして、サダキを人間に出来ればフレン王国は滅亡しない。

それを聞いた、ビッケは。


◇登場人物◇

●ゼユウ:トリド●ホーメナ:賢者●クーノ:天使●ビッケ:天使●サダキ:天獣

〇レンちゃん&シン君:サダキの友達

「…本気、かい?」

「勿論だ。そうすれば、爆発もしないし、死ななくてすむ。」


「可能だとでも?」

「実験用のネズミを一匹貰った。

 無責任で申し訳ないが、彼の今後の『馬生』に幸あれと、祈らせてもらった。」


 あのメタモルフォーゼの後、物を食べれていない。

 食べた物、全部、出してる。まあ、腹が減ってないからいいんだが。


 本当はネズミに戻してやりたいが、そう何度も使える気がしない。

 だから、サダキを優先させてほしい。


「サダキは、ゼユウを信じます!」


 ここでサダキが口を開けた。


「クーノもホーメナも、ゼユウを信じました。

 サダキは、今日、人間になって、旅行に出かけるんです。

 二人にお土産を買う約束もしました。」


 サダキが、ビッケに手を伸ばす。


「一緒に行きましょう、ビッケ。三人なら、きっと楽しいです。」


「…。」


 ビッケは何も言わない。

 あのビッケが長考、悩んでいる?


「俺も、失敗する気はない。でも、もしもの事も考えられる。」


 そのビッケに伝える。


「最悪は、ここで大爆発だ。

 それに備えて、クーノとホーメナは、魔法塔の中で待機してもらっている。

 魔法マジック聖域サンクチュアリをいつでも発動できるように。」


 ビッケに、選択させる。


「出来ればビッケにも協力してもらって、そのまま旅に出発と行きたいけどさ。

 こんな危険地帯に残ってくれとは言えない。ビッケは、王都へ戻ってもいい。

 サダキが人間になった後で、また誘いに行くよ。

 その時も、断ったっていい。」


 ビッケは、まだ何も言わない。

 俺とサダキは待つ。ビッケが選択するまで。


「…なるほどねぇ…。」


 呟くような、声が聞こえた。


「証拠はないけど、ゼユウさんは自分の言い分に自信があって、しかも、仲間は全員、それを信じた訳だ。

 違ったら、大惨事。それでも。」


 ビッケは手を叩く。拍手だ。


「満点ではない推理で、信用を勝ち取ったんだ。

 人柄?絆の力とでもいうのかな?

 いやはや、見事だよ。少なくとも、僕には出来そうもない。

 内容もさ、僕は好きだよ?上手くいけば、最高の落としどころじゃないかな?」


 ビッケが立った。


「その上で、言うんだけどさ。」


 帽子の角度を調整する。


「君の計画は許可できない。そんな危ない橋は渡れない。」


 辺りが、一瞬にして明るくなった。

 ビッケの頭上に、光輪がある。クーノと、同じように。


「ゼユウさん。君の推理はね、ほぼ正解さ。

 王宮に協力者なんていない。

 僕は天使だ。

 ルートレスの魔王って実はね。

 昔から天使がやってるんだよ。この世界を監視する為に。」


「…魔王で天使が好きな奴はいないって言ってたな。

 クーランの魔王に嫌われている理由ってこれだろ?」


「大正解。」


 ビッケは笑う。

 その表情はいつも通りなのに、圧迫感が全然違う。


「僕は、っていうか、ルートレスの魔王になる天使は、役職持ちなんだよ。

 一般天使より偉いって思ってくれればいい。

 で、そんな僕がこの国に来た本当の理由。

 クーノさんの様子を見に来たんだ。

 長期滞在する天使って、変な事を考えてる奴が多いからね。

 案の定、黒だったよ。

 彼女に、同一世界軸記憶保持転生を行う権利なんて無い。

 更にヤバイのは、サダキさん。」


 ビッケに睨まれたサダキは、小さな悲鳴を上げて、俺の後ろに隠れた。


「ゼユウさんの天獣っていいね。僕もそう呼ばせてもらうよ。

 ほんとはもっと長くて、可愛げのない名前だから。

 まあ、そんな感じで、彼女はとんでもないモノを盗んでしまったのさ。

 対応を間違えると、彼女は死ぬ。死刑ってやつさ。」


「…死…。」


 この世界で死んでも平気らしい天使だが、天力切れで死亡するという事実を知った。

 当然、死の概念がある。


「僕の立場も危険な状態なんだよ。

 天獣問題は、デリケートでね。

 しれっと回収して誤魔化せればよかったんだけど、それは無理。

 僕に治せないほど、壊れてしまったからね。

 持ち帰ったら、天上の国に被害が出る。

 なら、爆発させてしまうしかない。

 本当は、断海に捨てようと思ったよ。そうすれば、被害は出ないからさ。

 でも、あそこは天使にとっても危ない所でね。

 あの周辺は、異界化しているんだよ。

 天道に影響が出るかもしれなくて、そうなると生命活動に影響がでる。

 リスクがあるんだよ。行きたくないんだ。

 で、だ。

 クーノさんを召喚したのは、この国。

 クーノさんの口車に乗ったのも、この国。

 天獣を壊したのも、この国。

 そんな国の為に、なんで僕が危険を冒さないといけないんだよ。

 そういう思考にいきつく訳。

 どの道、始末書は書かないとだし、イラついてる。

 積極的に滅ぼしたいとは思わない。が、助けてやる義理はない。」


「積極的に滅ぼしたい訳じゃないなら、いいじゃないか。

 俺のメタモルフォーゼなら、解決できる。

 もし、天獣を人間にするのがダメだっていうのなら、別の方法を考えたっていい。

 今は天獣の知識がないから、壊れた天獣を正常な天獣にっていうのは難しいと思う。

 でも、一回、人間を挟んで。

 そうだよ、旅行中、ビッケから学ぶよ。天獣について。

 帰ってきたら、再チャレンジだ。人間のサダキを天獣に戻してみせる。」


 サダキに手を掴まれた。目が潤んでいるように見える。


 (…すまない、そうだったな。)


 サダキを人間にする云々の話の時、話題に出た。

 サダキはクーノと一緒に天上の国へ帰ったとしても、一緒にはいられないだろうって話。


 故郷にいい思い出はないらしい。だったら天獣を止めて、この世界に残って。

 俺やホーメナ、レンちゃん、シン君と一緒がいいって、そういう話。


「残念だけど、君のそのメタモルフォーゼを信用できない。」


 …確かに、得体の知れないモノではある。


「天獣は厄介この上ないけど、特性が分かっているから対処が出来る。

 本当に最悪なのは、サダキさんが得体の知れない何かになってしまう事なんだ。

 見た目が人間なら、尚更ヤバい。

 シンプルに、死んだ時の爆発威力が上がる可能性だってある。

 国どころか、世界が吹っ飛ぶくらいのね。

 だからさ、正直、このまま爆発してくれるのが、一番リスクが少ない。

 僕的にも、クーノさん的にも、天上の国的にも、この世界的にもね。」


「それじゃあ、フレン王国は滅ぶし、サダキも助からない。」

「君の方法でも、フレン王国やサダキさんが助かる保障が無いと言っているんだよ。」


 こうなるともう、ダメだ。

 俺はビッケを説得できない。


「なら、仕方ないよな。」

「その可能性も、しっかり考えたから、魔王城ここを選んだんだろう?」


「…ニードルは…。」

「ステージギミックだよ。好きに使いな。」


 サダキを下がらせた。


 魔力を練る。魔法を使う。

 風鎧ウインドアーマーを展開、ウイングを発動、風剣ウインドソードを両手に。


「力尽くで、やらせてもらう。」


 ビッケは、帽子を取る。ウイングと、気竜エアドラゴンを使う。

 いや、違った。ウイングでも、気竜エアドラゴンでもない。


 薄っすらと見える程度だった風の鎧は、濃く白く発光していて。

 背中の翼も同様だ、全然、不可視じゃない。圧倒的な存在感。


 五本の竜頭、輝き続ける光輪。これが、ビッケの本気。


「やってみるといい。天上の魔王が相手をするよ。」


 五本の竜頭から放たれた竜巻トルネードを飛んで躱す。

 追って来るそれらから、逃げるように飛び続ける。


 逃げてるだけでは勝てない。

 風刃ウインドカッターを放ってみるが、奴の暴風にあっけなく飲まれる。


 (火力が足りないって?なら、使わせてもらうぞ!)


 風縄ウインドロープで、ニードルを一つ回収。


 そのまま投げつける。奴の竜巻トルネードの中に吸い込まれ、消えていく。


 そして、爆発が起きた。

 飛んでいる俺にも、衝撃がぶち当たる。


 一瞬意識が飛んで、もう少しで墜落する所だった。


 (これが、1000個で一国の領土を更地に出来る爆弾…。)


 こんなのが、あと、199個。

 なんて怖い事実だろう。


 しかし、もっと怖いのは。

 その爆発を俺よりも近い位置で感じたであろう男が、花火ではしゃぐ子供のように喜んでいる事だ。


「いいね!盛り上がってきた!

 やっぱ派手なのがいいよ!」


 目の端で、ニードルが複数、浮かび上がった。

 あいつだって、風縄ウイングロープぐらい使える。


「なに!?」


 気づけば、俺の脚にも風縄ウイングロープが巻き付いていて、移動が制限されてしまう。


 ニードルに気を取られてしまった。

 あまりの威力だったから。


「この!」


 脚に巻き付く風の縄を斬ろうと、風剣ウインドソードを振り回す。

 しかし、流石は魔王の風縄ウイングロープ。容易く斬れるものではない。


 そうこうしているうちに、ニードルが、俺めがけて飛んできた。


 (冗談じゃない!あんなに啖呵を切って、こんなにあっさりやられたのでは間抜け過ぎる!)


 ニードルは硬い。風刃ウインドカッターでは破壊できない。

 かと言って、輝刃ブレイズブレイドの射程距離で破壊すれば、俺も無事では済まない。


 俺は竜巻トルネードを放つ。が、ニードルは爆発する事なく、接近し続け…。


 (どんだけ硬いんだよ!)


 俺は左手を向け、メタモルフォーゼを使った。

 メタモルフォーゼの射程は、輝刃ブレイズブレイドと同じくらい。


 向かってきた全ての極悪爆弾は羽になり、どこかへ飛んで行く。


 それはいいのだが。


 (あ。)


 強烈な頭痛を感じて、魔力のコントロールを失った。


 具体的にいうと、風鎧ウインドアーマーと、ウイングと、右手に持っていた風剣ウインドソードが消滅した。


 これらの魔法は持続型と呼ばれるやつだ。一度発動すれば後は魔力を流し込むだけ。

 維持するだけなら、呼吸するように簡単なのに。


 それすら出来なくて。


 落ちる。


 いや、脚に巻き付いたロープに引っ張られて。


 強い衝撃。


 壁に激突。した訳ではない。

 落下して地面に激突もしなかった。


 俺は、今。

 巨大な鳥の背の上に、乗っている!


「助かった、サダキ…。」


 かぎ爪でロープを切り、俺を回収したのはサダキだ。


 天力の制御レベルが上昇し、腕輪も外した。

 自分の正体を知る彼は、ある程度、変身能力をコントロール出来る。


 しかし、これは天力を消費する行為だ。

 寿命を削る戦い方だ。


 だから避けたかった。でも、俺一人だとビッケに勝てない。


 (必ず、人間にするからな…。)


 迅速にビッケを制圧、無力化し、メタモルフォーゼを行わないと。


 戦闘中にサダキを人間に出来ればいいんだが、それは無理で。


 適当なモノにする訳じゃないんだ。

 かなりの魔力と、集中がいる。それこそ、数時間かかるかもしれない。


 だから、ビッケを放置して進められなかった。進めなくてよかった。


 思った通り、彼は力を隠していたから。

 変質中に妨害されたら終わっていた。


「…あの時は、お互い、よく分からないまま戦ったよな。」


 蘇生岩リバイブロック戦を思い出しつつ、体勢を整える。

 首元を軽く撫でた。


 病室で、皆と一緒に戦いたいと言っていたのを覚えている。

 皆じゃなくて、俺一人だけど。相手も皆に含まれてた奴だけど。


「力を貸してくれ!魔王に勝つぞ!」


 甲高い声で応えてくれたサダキは、ビッケ目指して急降下。


 当然、迎撃の為の突風に襲われる。

 それを躱して、更に距離を詰める。


「ははっ!上手いぞ、サダキ!」


 弟子がこんなに頑張ってくれている。なら、師匠もカッコイイ所を魅せないとな!


 獰猛な笑みのビッケが見える。


 死角から飛んでくる、風の刃。


 反応するサダキ。

 ギリギリで躱す。


 が、それを読んでいたビッケの竜巻トルネード

 サダキも口から竜巻トルネードだ。


 しかし、サダキの動きが止まってしまった。

 竜頭は五本もある。止まるのは不味い、的になってしまう。


 だから、俺は飛んだ。

 サダキが追撃される前に。


 風の隙間を縫うように飛び込んで、ビッケとの距離を更に詰めて。


 奴と、目が合った。

 そして俺は、右手を払う。


 最初は偶然。仕組みは聞いたけど、その次も偶然だった。

 それから、二人で練習した。一人でも練習した。


 今はもう、確実に発動できる。


 俺の輝刃ブレイズブレイドが、ビッケの輝く鎧を斬り裂いた。




 暴風で、飛ばされる。


 地面を転がって、柱にぶつかって止まった。


 舞い上がる砂塵で、状況の確認が出来ない。


 ビッケはどうだ?あれくらいで、くたばるような奴じゃないが?

 サダキは怪我してないだろうか?早く、無事を確認したい。


 立ち上がろうとして、よろめく。

 外傷は、あるといえばあるが、軽傷のはず。


 それよりは、メタモルフォーゼの影響だろう。

 今の所、気分が悪い、くらいだと思うけど…。


「やるねぇゼユウさん。」


 ビッケの声が聞こえた。

 姿はまだ見えないが、思ったより余裕そうだ。


 第二ラウンドが必要らしい。


天竜ヘブンドラゴンの装甲すら斬り裂いた。

 最初会った時、風剣ウインドソードを振り回していただけだったのに。

 この世界で、最強を決める戦いがあったら、トップ10は固いね。」

「…1000年前は、人類最強と呼ばれる事もあったんだ。

 ベスト3は目指したい。」


「ベスト3か。それは厳しいよ?何せ、魔王が4人いる。」

「お前も参加するのか?天使だろ、自重してくれ。

 …てか、魔王ってお前と、クーランにいる2人だけになったんじゃないのか?」


「まあ、魔王の事情は、今はどうでもいいよ。

 ようするにさ、ベスト3を目指すなら、もっと頑張れっていいたいのさ。」


 ようやく、状況が見えてきた。


 ビッケは健在。ピンピンしているように見える。

 それは、まあ、仕方ない。


 問題は別だ。


 サダキがいる。ビッケの隣に。人間の姿で。


 無事だったみたいで嬉しい。しかし、様子が変だ。


 目が虚ろで、棒立ち。明らかに、何か、あった。


「僕は、一般天使より偉いって言ったろ?

 偉いとさ、こういう事が出来るんだよ。」


 ビッケが、サダキの肩を軽く叩いた。


 そして、サダキの絶叫が響いた。

 まるで、獣の咆哮。


 彼の形が、みるみる何かへ変わっていく。


 俺は、見守る事しか出来ない。

 だって変に妨害して、サダキに何かあったら、どうする?


 でも、どこか、本能的な所で。

 この変身は止めないといけない、そう叫ぶ俺もいる気がして。


 結局、サダキの変身は完了した。

 以前の馬ではない。さっきの鳥でもない。記憶にある天獣の、熊でもなかった。


 目の前にいるのは、翼の無い黄金のドラゴン。


 ドラゴンが吠えた。身体が竦み上がる。


 大きさ的には、蘇生岩リバイブロック巨大ジャイアント岩手ロックハンドの方がデカい。

 しかし、あっちの方がよっぽど可愛い。


「僕のは天竜ヘブンドラゴンで、サダキさんは天竜てんりゅうって所かな。

 さあ、ゼユウさん。第二ラウンドを始めよう。」

???「誰が竜頭を二本しかだせない雑魚だって?」

???「あまいな、あれから一年半。俺だって五本くらいだせる。」

???「小さいわね。粋がるのはお爺ちゃんみたく、八本だせるようになってからにしなさい。」


何かが間違うと、あったかもしれない会話。その②

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