表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第三章 王女レフィアラと王国滅亡の預言

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/169

第115話 預言~真相②~

~前回までのゼユウ~


俺はサダキと二人で魔王城跡地にいた。

やってきたビッケに、俺の辿り着いた真相を話す。

王国滅亡の直接原因はサダキで、利用しているのがビッケだ。


◇登場人物◇

●ゼユウ:トリド●ホーメナ:賢者●クーノ:天使●ビッケ:魔王●サダキ:天獣

〇ハナ先輩   :職場の先輩

〇チゴマ    :王宮の偉い人

〇フィアトリーヤ:フレン王国の王女

〇アルテド   :王女の死亡記事を書いた男

〇ドットテカ男爵:ルフロンの町周辺の領主

〇カナミア   :アイーホルの勇者

「裏で糸を引く王国滅亡の真の黒幕。

 いいじゃないか、気に入ったよ。」


 ビッケは手を叩く。拍手のつもりか?


「力業の脳筋というよりは、知能的なイメージでいいね。

 規模感も悪くない。僕は魔王だからね。

 数人殺すぐらいじゃあスケールが小さいし、世界を滅ぼすなんて言い出したら、スケールが大きいというより、バカっぽいし。」


 拍手が止む。ビッケが俺を見る。


「さあ、続けてよ。

 ここまではよかったんだ。最後まで期待してるよ?」


 続き。

 なぜビッケはそれをしたのか。なぜ俺は、ビッケがそうだと思ったのか。

 そして、この後、俺達はどうするのか。


「レフィアラ。」

「…。」


「ビッケは、アンカバーズの雑誌に書いてあって、だから知ってるって言った。

 でも、それは嘘だ。」

「へ~。なぜ嘘だと?」


「雑誌を見た。」

「…どこで?」


「ハナ先輩、覚えてるか?確か、半年前に、姿を見た事があったはず。」

「覚えてるよ?僕を見るなり逃げだした、挙動不審のお姉さんだ。」


「そうなんだ。怖がりなのに、噂とか、情報に詳しくて。

 母親の影響って言ってた。

 ハナ先輩のお母さんも、そういうのが大好きらしい。

 非日常を求めてたんだ。

 だからさ。

 秘密を暴く事をテーマに、強引な取材で有名だった月刊誌とかも読んでたよ。

 家に、バックナンバーがきれいに揃ってた。」


 ビッケが吹きだす。

「物好きっているんだね~。」

「レフィアラって名前は、どこにも書いて無かった。」


「ありゃ、勘違いだったか~。ごめんね~。」

「そうでもないんだよ。」


 ビッケが脚を組み替える。にやけ面のまま。


「チゴマさんに聞いたんだ。

 レフィアラって言うのは、王女の名前の第一候補だった。

 でも、生まれてきた子は、病魔に、カースに侵されていた。

 コア王国残党の仕業だ。

 勿論、女王様も、皆も、王女を見捨てるような事はしない。

 後に、天使を召喚した事からも、愛情があったのは間違いない。

 でも、最悪の事は考えていたはずだ。

 39代続けた名前の法則。

 それで名付けた子供が、亡くなってしまったら?

 伝統が途絶えるとまではいかないが、泥を塗るような行為になるのではないか?

 そういう意見が、少なからずあったみたいで。

 それだけ、大事にされていた願いだったんだ。血脈を、名を繋げるという事が。

 だからこその妥協案。

 一先ず、フィアトリーヤと言う名前で育て、成人し、女王に就くその時に。

 レフィアラという名前も贈られる。そういう事になっていた。」


 結局、フィアトリーヤ様は亡くなってしまった。

 その事は悲しい。でも、今は別の話だ。


「王女は成人時に名前を変える。この話を知っている人はそこそこいるらしい。

 でも、レフィアラという名前まで知っているのは、チゴマさん含めて三人だけだ。

 なんでビッケは知っているんだ?」


「王宮に協力者がいるんだよ。そこから情報を貰っている。」


 ビッケは即答。

 おそらく、用意されていた答え。


「アンカバーズの記者のアルテドを覚えているかい?

 君から聞いた様子だと、彼もレフィアラと言う名前を知っていたみたいじゃないか。

 そこまで秘密にされている内容じゃないんだよ。

 それもそうさ、あくまで候補の名前の一つ。バレたからってなんだい?」


 それは、まあ、そうだ。


「白状するよ。古本屋で、三冊買う前に、一冊買ったのは僕さ。

 そして、買われてしまったと嘘をついた。

 言い訳の為の工作だね。名前以外にも使うつもりだった。

 雑誌で見たよって情報を公開しようとしたんだよ。情報源の存在を隠しつつね。

 疑われてしまったから、存在は明かす。

 でも、誰が情報源かは絶対に言わないよ?

 魔王の眷属だからね。バレたら酷い目にあってしまう。それは可哀そうだよ。」


 王宮にビッケの協力者がいるか、いないか。

 それを調べるのは大変そうだ。


「流石だな、ビッケ。俺なんかより、よっぽど頭がいい。」

「ありがとう。素直に賛辞として受け取るよ。」


「だからさ。」


 気づいたんだよ。


「俺より頭のいいお前が、何であのタイミングで、レフィアラっていう名前を出したのか、疑問だった。」


「…。」


「ちょうど墓の前にいた。折角だから、王宮は隠し事をしているぞって警告した。

 そう考えたから、別に不思議に思わなかった。

 でも、名前を出す必要はない。俺から尋ねた訳でもない。

 王宮は王女の死を隠している、それだけでいいんだ。

 なのにお前は、王女様の墓とは言わず、王女フィアトリーヤ様のお墓とも言わず、王女レフィアラ様のお墓って言ったんだ。」


 ビッケは、一度も動揺を見せていない。

 ずっとニヤニヤしている。


 それでも、俺は続けるだけだ。


「フィアトリーヤ様の名前を知らない?無いよな、レフィアラの名前を知ってるんだ。

 レフィアラの名前まで知っているのに、状況を知らない訳がない。

 あのビッケが、言い間違える訳がない。

 レフィアラという名前には、意味があるんだ。

 理由がなく、口に出す訳がないんだよ。」


「どんな理由があるって言うんだい?」


 ビッケは、いつもの、落ち着いた声だ。


「買い被ってくれるのは嬉しいけど、僕だって間違える時はある。

 あの時は、知ったかぶりたかっただけさ。

 王女の名前まで知ってて、博識だろってね。

 あーあ、カッコ悪い。言わなきゃよかったよ。」


「それでも、言わないといけなかったんだろ?」


 間違う時はあるだろう。でも、あの時は違う。


 真相をドヤ顔で語るのが好きな奴だ。

 ドヤ顔で語った事が間違っていたら、きっと悶絶すると思う。恥ずかしくて。


 だから不十分な状況なら語らない。

 素直に王女様の墓と言えばいい状況で、変な冒険はしない。


 それでも言った。なぜか?


「トリドに、レフィアラ様だと伝えたかった。

 魔法で俺に違和感を与えて、わざわざ墓の前に誘導までして。

 伝える事が、目的だったんだ。」


 なぜ?


 わからない。

 深い事情があるとは思う。


 けど、フィアトリーヤ様はずっと寝たきりで、元気になったあとはクーノと一緒だった。

 ビッケがフレン王国に来たのは、第二次クーラン大戦から逃げてきたからで。


 そんな二人に、接点なんてあるか?


 それでも、深い事情があったなら。

 その理由こそが。


「それこそが、王国を滅亡させる動機に繋がるんじゃないか。と、思う。」


「…話が飛んだね。ゆっくりいこうよ。」


「どうしてお前は、勇者トリドの英雄譚の本のファンになったんだ?

 お前は、よく本を読む。

 でも、ジャンルが違う。

 お前が好きなのは、情報誌とか、考察系なんだよ。

 所謂、物語系は、碌に読まない。」


「たまたま読んで気に入ったんだよ。あるだろ?そういうのも。

 それにあの本は、内容よりも作られた背景に興味がある。

 なぜ書いたのか、なぜ隠したのか。どんな思惑があったのか。

 ゼユウさんには話したじゃないか。」


「王宮にお前の協力者はいない。根拠はない。ただの勘だ。」

「…。」


「半年前、お前は初めてフレン王国にやってきた。

 なのにトリドのファンで、協力者もいないのに、詳し過ぎる。

 魔王だから、じゃあ納得できない。訳の分からない奴なんだよ、ビッケは。」

「…。」


「でも俺達は、そんなお前の状況を説明できるんだ。

 俺達の仲間には、クーノがいるから。」


「聞こうじゃないか。君の、君達の出した結論ってやつを。」


「ビッケ、お前は天使だ。

 こことよく似た、並行世界に行った事がある。

 そこで、この世界ではフィアトリーヤ様という名前だった、レフィアラ様と仲良くなったんだ。クーノと同じように。」


 そこで、レフィアラ様から聞いたんだろう。

 フレン王国の事を、トリドの事を。


 だからトリドに興味を持って、フレン王国に詳しい。


「はっはっは!」


 ビッケが声を出して笑った。


「僕が天使か、それはいい。確かに、色んな事が説明できるよ。

 でもさ、順序が変だよ。

 ゼユウさんの考え方はね、まず、僕を犯人にするでしょう。

 で、僕が犯人なら、どうすれば犯行を行えるかを考えてる。

 それで、僕が天使なら辻褄があうって閃いて、喜んでいる。

 これじゃあ、魔女狩りの魔女裁判。何でもありじゃないか。

 確かに、天使は存在するし、並行世界だって存在する。と、僕達は認識している。

 でも、これだと、僕をホーメナさんに変えても成り立ってしまうんだ。

 いや、コーホである必要すらない。

 東門近くの商店街近くに住む、爺さん。エロジジイで有名だったけど、もう1年くらい大人しいって話だよ。

 きっと、天使に身体を乗っ取られてしまったんだよ。

 その天使は並行世界を経験しているから、この国の内情に詳しい。

 実は悲しい過去があって、この国を恨んでいて、滅ぼしたい。

 裏で糸を引く王国滅亡の真の黒幕は、彼なんだ。」


 思わず吹き出してしまった。

 バカにしていない。素直に、その通りだと思ってしまった。


 しかも、俺が言及していない、天使がやって来た理由まで付け加えてくれた。

 確かに、前世界での恨みを晴らしたいっていう動機も、なくはないな。


「確かにそうだ。そうなると、国民全員容疑者で…。

 …凄いな、ホーメナは。半年前にこの結論を出している。

 まさしく、賢者だ。」


「何、ゼユウさん。諦めるの?次の説はないの?」

「ああ。俺がビッケに口で勝てるイメージが出来ない。」


 俺とサダキは指輪を外していて、俺は魔力遮断効果のある布を被っていたのに、なんでここにこれたんだ?

 きっとサダキの天力を察知して追ってこれたんだ。

 天力を察知できる、つまり、お前は天使だ!


 そんな感じのも用意していたけど、きっと躱される。

 『忘れたのかい?廃城とは言え、魔王城。ここには~』とか言い出しそう。


「でも、いいんだよ。

 ビッケに口で勝てなくても、ビッケを納得させられなくても。」


 初めてビッケが、にやけ面を止めた。


「そうなんだ、証拠なんてある訳がない。

 まだ事件は起きていない。フレン王国は、健在なんだ。

 そして、コーホの目的は、フレン王国を滅亡させない事、そうだろ?」


「そうだね。で、ゼユウさんは何が言いたいのかな?」


「俺とサダキとビッケ。

 三人で、このまま旅行に行こうぜ。」


 満面の笑顔で、告げる。

 ちなみに、真剣だ。


「…詳しく、聞こうかな。」


 ビッケは、数秒考えた後、そう言った。


「サダキに世界を見せてやりたい。

 まずは南下して、オスノとウスーマ。そこでしっかり準備する。

 次の航海は長いからな。

 ガーフィンまで、一気に行くつもりだ。

 まあ、問題があれば、アスゴフソアに寄るかもだけど。

 ガーフィンは、ワイバン大陸最南西。フレン王国とは全然違う文化だ。

 ドンハまで行ったっていい。

 借りた船も新型みたいでさ。ここまで乗ってきたけど、いい感じなんだよ。

 半年かけて、ゆっくり周るんだ。きっと、楽しい。」


「…一つずつ、いこうか。」

「望むところだ。」


 ビッケは立ち上がり、伸びをして、座る。脚を組んで、頬杖をつく。


「僕達は、フレン王国を守らないといけない。国を離れていい訳がない。」

魔法マジック聖域サンクチュアリは完成した。

 かつてないほどの防衛力さ。

 秘密がバレて、暴動が起きる事も当初は懸念されていた。

 でも、もうバレちゃって、しかも、予想より荒れなかったよな。

 コア王国残党の集落も発覚して、監視も開始。

 ドットテカ男爵や、カナミア達も協力してくれるし、賢者や天使が守ってるんだ。

 俺達三人が抜けても、きっと大丈夫。」


「それでも、ヨダーシルやウーイング、勇者隊には対抗できるとは思えないね。」

「調査結果を見た。フレン王国を攻撃する素振りは一切ない。

 半年以内なら、確実に攻められる事はない。」


「僕らは容疑者でもある。野放しにするのが危険だから、国を出るなとも言われているはずさ。」

「野放しじゃない。俺達三人の相互監視は続く。

 定期連絡だって入れる。

 この船についてるヨダーシルの最新通信機は、航路範囲をカバー出来る計算だ。

 壊れたとしても、各都市の伝書鳥を借りればいいし。問題はないんだ。」


「それ、どうするの?」

「ニードルか?連絡して回収してもらうけど?」


「サダキさんは半年以内に死ぬんだろ?

 だからこその旅行だと思うけど、君の推理だとサダキさんは死ぬと大爆発だ。

 フレン王国さえ無事なら、他国は滅んでもいいのかい?」


「そうなんだよ。

 だから、出発前にやる事がある。」


 ずっと繋いでいたサダキの、手を離す。


 その左手をビッケに突き出す。

 そして、巻いてある包帯を外していく。


「説明だけしたよな。俺の新魔法、メタモルフォーゼ。

 変質させる魔法。」


 ビッケはもう笑っていない。真剣に話を聞いてくれている。


「今からサダキを、この世界の人間にする。」

真相の説明はお終い。

今は、解決策の提示の途中。

この後、少々のやり取りを挟み…。

最終決戦へ突入します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ