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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第三章 王女レフィアラと王国滅亡の預言

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第103話 ビッケが捕まった~時系列整理~

~前回までのゼユウ~


ニードルという名の特殊爆弾も大量に見つかった。

王宮は何かを隠している。そして、俺の失われた過去。

これらは、滅亡の預言に関係しているのだろうか?


◇登場人物◇

●ゼユウ:主人公●ホーメナ:賢者●クーノ:天使●ビッケ:魔王●サダキ:天使

 (半年前だけじゃない。

 コア王国の残党は10年前にも、フレン王国を襲撃している。)


 もっと言えば、この200年間で、7回。

 50年間で、3回だ。


 こちらの被害状況としては、最大で、11名、亡くなっている。171年前だ。

 向こうは大体10~20人で、毎回、全滅。


 勿論、数の多い少ないでもないんだが。


 (それだけ、恨みが深いという訳か…。)


 深い、溜息が出る。


 ここは図書館。歴史の勉強中。


 俺の失われた記憶、トリドの血縁疑惑、コア王国の残党疑惑。

 その辺りの手がかりを求めて、時間が空いたら来るようにしている。


 整理すると、だ。


 およそ1000年前。

 コア王国の勇者トリドが魔竜を討伐。

 天上の国が攻めてくる。

 フレン王国が誕生。初代女王はウハルパ様。


 200年前。

 フレン王国によって、コア王国が滅亡。

 ちなみに、女王は32代目のメメルテ様。

 以降、コア王国の残党に襲撃されるようになる。


 11年前。

 39代目女王ルーティル様。現在も女王を続けている方。

 天使クーノが召喚された。

 王宮の願いを叶え、良好な関係となる。

 この辺は、本には載っていない。ホーメナに聞いただけだ。


 10年前。

 コア王国残党、6回目の襲撃。

 関係ないかもだが、ハンネとホーメナが二人で暮らし始めたのも、10年前だ。


 6年前。

 アンカバーズという雑誌に、王女の死亡記事が載る。

 アンカバーズは廃刊となり、ビッケ曰く、これが王宮の陰謀。

 …そういえば、サダキが召喚されたのも、6年前だと聞いた。

 本当に王女が死亡しているのだとすれば関係あるのだろうか?


 2年前。

 俺が、賢者の森でハンネに保護される。

 仮に、俺がコア王国残党だとした場合、前回は8年前。

 ずっと彷徨っていた訳がないから、次の襲撃の準備中に、トラブルが起きたと思われる。

 もしかすると、本来はこの時期に襲撃の計画があったが、トラブルで頓挫したのかもしれない。


 半年前。

 コア王国残党、7回目の襲撃。

 ハンネが犠牲となり、阻止。


 現在。

 コーホ結成から、4か月。フレン王国は、未だ健在。

 クーノの預言だと、あと8か月以内に、フレン王国は滅亡する。


 (…こう見ると、だ。)


 フレン王国の滅亡は、コア王国残党の8回目の襲撃によるものと考えるのが一番ありえるんじゃないだろうか。


 方法はニードル。

 北の島に保管してある、500個の、いや、600個の特殊爆弾。


 半年前に押収した100個も処分に困っていて、王国内で保管してあったと聞いた時はビビった。


 後、400個。どうにか用意すれば、預言に届く。


 (…そして…。)


 考えたくない話だが。


 俺が記憶を取り戻した時、本当にコア王国残党だった場合。


 (俺は、600個の保管場所を、知っている…。)


 そんな事はありえないと、断言したい。

 でも、断言できないのは、あれの所為。


 輝刃ブレイズブレイドを使う時に、たまに現れる荒野のイメージ。


 その時の、抑えがたい、怒り。


 記憶を取り戻すと同時、今の俺の人格が消し飛んで、復讐の鬼が誕生。

 1000個のニードルにて、フレン王国を消す。


 (…。)


 頭を抱える。正に、悪夢だ。

 でも、現状、一番納得のいく筋書きではないだろうか。


 (まて、残り400のニードルを今から用意できるはずが…。)


 一人なら無理だろう。

 でも、仲間がいて、もう準備しているとしたら?


 コア王国は、一度、大陸の三分の一を手中に収めた大国だ。

 その生き残りの子孫達がどれくらいいるのかは不明。


 襲撃の度に、これで全滅だろうみたいな話が上がり、結局、次も襲撃される。

 そして、8回目にして、遂に…。


 (だからって、国民皆殺しは…。)


 資料によると、200年前、コア王国の王都は炎に包まれたらしいから、そこにいた国民は…。


 だって。それは。でも。だけど。


 分からない。言い訳と言われれば、それまでで。


 (…どうして、連中は、フレン王国だけを狙うんだ?)


 混乱した頭に浮かんだ疑問。責任転嫁したいから。


 確かに、王都を攻め落としたのはフレン王国だ。


 でも、切っ掛けを作ったのは、ヨルタムアーの裏切り。

 そして、エフスィの抵抗が激しかった所為でもある。


 この二国は既にないが、それは国が分裂したからで、その子孫は普通に生きている。

 にもかかわらず、コア王国残党の標的は、フレン王国のみ。


 コア王国が滅亡した事より、王都を丸焼きにした事を恨むなら、フレン王国だけを狙うのは妥当か?

 でも、だとしたら、フレン王国の王都を丸焼きにするんじゃないか?


 領土ごと消し去るのも、その為にニードルを1000個、用意するのも。

 過剰だし、手間過ぎる気がする。


 (…記憶が戻れば、その辺の理由を思い出すかもな…。)


 まったく笑えないし、全然楽しくない。


 今日は、ここまでにしよう。




 お昼少し前。予定より早めに帰路につく。


 午後からはサダキの訓練の予定だ。

 彼の天力の制御は、かなり上達している。


 遠距離攻撃なし、輝刃ブレイズブレイドなしの俺や、遠距離攻撃なし、気竜エアドラゴンなしのビッケと、十分渡り合えるぐらいに。


 天法は使えない。能力制限の腕輪もしている。それでも、並みの魔物なら余裕だろう。


 (フフゴケ商会の魔道具には、魔道がなくとも魔法が使えるやつがある。

 試験みたいなのを用意して、クリアできたらプレゼントなんていいんじゃないか?

 サダキは、どんな魔法がいいかな。ビッケにも相談するか。)


 弟子の事で頭がいっぱいだった俺は、気づかなかった。


 いつもの道は、いつもよりも、人通りが少なかったという事に。




 家に着くと、クーノがバタバタしていた。

 広くない家の中を走り回っていたのだ。


 珍しいといえば、そうなのだが、クーノは稀に奇行に走る。

 前は、変な踊りを踊っていたし、突然笑いだす事もある。


 だから一旦放置して、落ち着いたら、事情をきいてあげるのがいいだろう。


「ゼユウ、お帰り。」

 ホーメナだ。


「ただいま。今日のクーノはご機嫌だな。」

 それとなく、事情を知っているか聞いてみる。


「出発の準備をしているのよ。本とか、そういう差し入れをね。」


 差し入れ?


「ひょっとして、また誰か入院したのか?」


 見渡した限り、サダキとビッケがいない。


「ああ、怪我とかじゃないわ。そこは安心して。」


 ホーメナは、ずっと淡々と喋っている。


「ビッケが捕まったのよ。」


 いつかそんな日がくると思ってました。


 そんなふうに、答えようとした。


 だってホーメナの態度が、深刻そうに見えなかったから。

 ギャグみたいな、下らない理由だと思うじゃないか。


 だから皆で迎えに行って、何やってんだよ!って文句を言って、飯でも奢らせるんだなって思うじゃないか。


 でも、なら、なんで差し入れの準備なんてしている?


 え?ガチで捕まったの?勾留されたの?


「…それは、大変だな。」


 詳細の説明を頼む。




「僕は、無実さ。」


 面会室に現れたビッケは、偉そうだった。

 とりあえず、いつも通りで安心する。


「さてビッケ。いくつか質問をするから答えて。」


 対面にホーメナが座る。


 俺と、クーノと、サダキは後ろで見守るような感じだ。

 一応、イスはあるけど立っている。雰囲気的に。


「200個のニードルを所持していたそうね?」


 俺も聞いた時は、悲鳴を上げそうになった。

 これで800個。あと200個で、預言ライン。


「その通りさ。でも、説明しただろ?見つけて、回収したんだよ。

 魔王城付近の浮島、まだ調べてないのがあったからね。」


「調査団が調べる、という事になっていたでしょう?」


「そう言って、三か月経つじゃないか。分かっているよ、余裕がないんだ。

 だから僕が調べて来たんじゃないか。」


「指輪の位置特定範囲を越えてまで?ルールを忘れた訳ではないでしょう?

 フレン王国領土内から出てはいけない。やむを得ない場合は、事前に言う約束よ?」


「その件は謝ったじゃないか。うっかりしてたんだよ。

 範囲を越えるつもりはなかったんだけど、夢中になってしまってね。」


 緊張感がある。

 以前、無断で国外に行くと命の保証はしない、とまで言っていた。


 弁明は聞くとも言っていたけど、ビッケの態度はよくない。

 なんでこいつは、喧嘩腰なんだ?


「…もう一つ。これをバラまいているのは、あなた?」


 ホーメナが取り出したのは、一枚のビラ。


 『天使の預言!八か月以内に、フレン王国は滅亡する!』

 そんな見出しだ。


 王宮の方針として。

 混乱を避ける為、秘匿する事となっている情報。


 それが何者かによって流布されている。


 陰謀論なんて、ある所にはあるものだ。

 だから、信じない人も多い訳だが。


 一部では相当な騒ぎになっているらしい。

 情報に信憑性があるとかで。


 実際、書かれている事は本当だ。俺の知識と一致する。


 よく調べられたと感心するレベルだ。

 ビラを作った奴も、信憑性があるとか言っている奴も。


 勿論、トラブルが起きている訳だから、そんな事いっている場合ではない。


「…何の為にさ?」


「分からないわ。でも、あなたは自分の目的の為なら、これくらいはする。

 この騒動の先に、あなたの望む展開があると考えれば。」


 そこは、同意だ。

 でも王宮の秘密の暴露はやらないと思う。


 『混乱を広げて、よく知らないその他大勢の人々が右往左往する様を眺める。』

 そういうのが好きな奴じゃないと、今まで一緒にいて感じている。


 まあ、ビッケの全部を知っているとは言わないが。


「なるほどねぇ…。」


 ビッケは背もたれに寄りかかる。


「証拠はあるのかな?」


 ちょっとニヤニヤしている。

 この状況を楽しんでいるのか?


「ビラを配っている男の格好が、あなたに似ていたわ。

 帽子とか。」


 それだけかい?とか言い出して、すぐに反論してくるかと思ったけど、そんな事はなかった。

 ビッケは少し考える素振りをして、ゆっくりと口を開く。


「まず、僕はビラ配りの犯人じゃない。

 そして実はね、僕の格好は、ある人物のリスペクトなんだ。

 最後に…。」


 ビッケと目が合った。


「僕はこの状況を知っている。経験した訳じゃあないけどね。

 そう、あれは6年前さ。」


 そう言われると、俺にも心当たりがある。


「王宮の都合の悪い記事が出回った。一部の人は大騒ぎ。

 その記事が載った雑誌の名はアンカバーズ。」


 ビッケは俺達を順番に見て、最後にホーメナに言った。


「当時の記者が、今、王都にいたりしないかい?」


「…OK、探してみるわ。」


 ホーメナが立ち上がる。


 俺とクーノが彼女の後ろをついていく。


「ビッケ。また、一緒に遊びましょうね!

 それまで、お元気で。

 差し入れに、ビッケの好きそうな本、持って来ましたから。

 【魔王カーツアの世界。新解釈版】とか【ヨダーシルの歩き方。最新版】とか!」


 サダキがビッケに声をかけた。

 ビッケは手をヒラヒラさせ、笑顔で俺達を見送る。


 ビッケの勾留理由は三つ。


 指輪の位置特定範囲の外へ、無断で出た事。

 ニードル200個の所持。

 ビラ配りの犯人の疑惑。


 (正直、どうなるか分からないが、ビラ配りの犯人疑惑が無くなれば、立場はよくなる、か?)


 こうして、ビッケ以外のコーホメンバーによる、ビラ配りの犯人の捜索が始まった。

ビッケが捕まった!真犯人を探し出せ!

そんな感じで、新しい話の開始です。

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