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継承英雄譚、担々  作者: シロクロゲンヤク
第三章 王女レフィアラと王国滅亡の預言

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第99話 サダキと幻獣~お見舞い~

~前回までのゼユウ~


賢者の森で、サダキが魔物に襲われた。

しかもサダキの友達が幻獣を見たって?

賢者の森で何か起きている?ホーメナと一緒に調査開始だ。


◇登場人物◇

●ゼユウ:主人公●ホーメナ:賢者●クーノ:天使●ビッケ:魔王●サダキ:天使

〇ハナ先輩:職場の先輩

〇レンちゃん&シン君:サダキの友達。ふれあい教室にも来ていた。

〇カナミア:アイーホルの勇者

 コーホのメンバーは五人。


 サダキは入院で、クーノが付き添い。


 ビッケは数日前から、宝石の原石の採掘に出かけている。


 あいつの城がある島の、更に奥へ進んだ所にある火山島。

 採れそうだという話になって、ツアーまで組んだ。


 周辺の魔物はビッケが何とかして、安全対策の確認をしたホーメナの許可が下りた感じ。


 一応、ビッケが魔王である事は公表していない。

 ルートレスの魔王は、城を放棄して、クーランへ向かった事になっている。


 『手付かずの秘境』なんて触れ込みで、そこそこの人数が集まったらしい。

 放棄されたとはいえ、魔王の城付近に近づこうという人間が、そこそこの数いてビビる。


 (ふれあい教室にきたマダムに、あそこは廃城ではないと説明したのに、一か月と経たずに廃城か。何が起こるか分からないな。)


 まあ、そんな訳で。

 残りのメンバーである俺とホーメナは、賢者の森の調査に来た。


 レンちゃんが目撃した幻獣の捜索と、魔物の捜索。

 それから、事故の確認の為だ。




 ハナ先輩達、バーベキュー大会に参加した人に話を聞いた。


 魔物自体は、変な特殊能力持ちではなく、割と普通のタイプだった。

 にもかかわらず接近を許してしまったのは、監視をしていた王国兵が居眠りをしてしまったから。


 一歩間違えれば大惨事。職務中に居眠りなど、言語道断。


「とはいえ王国兵の負担が大きすぎるのも問題だろ?賢者の森のイベントには、俺がフォローに入るよ。納涼祭にキノコ狩り、流しそうめんだって控えてるし。」


「そうね。そこは、お願い。」


 二人で森を見て回る。


「増えてるよな、明らかに。」


 すでに、四回、魔物と遭遇して倒している。

 おそらく、ラゼン山脈から来たのだろう。


 最初こそ、ルートレスの魔王が町にいる事が原因じゃないかと思っていた。


 けど、それは関係ないらしい。

 どちらかというと、ビッケは魔力の質的に魔物に嫌がられるそうだ。


「…今日はこのまま森を回って、明日は詳しい人に話を聞いてみましょう。」


 それから、何体かの魔物を倒したが、当然のように幻獣は現れなかった。




 翌日。


 午後からはホーメナと一緒に、詳しい人に話を聞く予定だ。

 まだ時間があった俺は、サダキの見舞いに訪れる。


 単純に、様子が気になったから。仲間だから、普通だろ。


「いらっしゃい、ゼユウ。来てくれて嬉しいです。」


 クーノは午後から来るそうだから、サダキ一人だ。

 その彼は、ベッドの上で何かを書いていた。


 アイウエオ、カキクケコ、サシスセソ…。

 カタカナ五十音順、書き取り練習。


 この地方に伝わる大昔の言語。クーノ曰く、異世界の文字らしい。


「こんにちは、サダキ。起きていて大丈夫なのか?」


 一週間の入院と聞いている。


 クーノは、折角入院したのだから、色々と検査をさせたいらしい。

 サダキは特殊だから、分からないでもない。


「大丈夫です。

 早く、また、かくれんぼがしたいです。」


 同じ笑顔でも、サダキとビッケはこんなにも違う。

 心が洗われるようだ。


「それにしても、カタカナとは渋いチョイスだな。」


「知らない文字や言葉を覚えるのは好きなんですよ。

 ゼユウも、カタカナ知ってるんですね。」


「昔の知り合いに、詳しいのがいたんだよ。サダキみたいに、勉強が好きだった。」


 ハンネの事だ。文字というか、歴史全般って感じだったかな。


 ふと、その時のやり取りを思い出した。


「サダキって、クイズに興味ある?」

「え、どんなのですか?やってみたいです。」


 尻尾があったら振り回したんじゃないかと思うほど、興味を持たれた。

 まあ、退屈だろうしな。


「この国の、歴代の女王様には共通点、いや、法則があるのは知ってる?」


「…わからないです。…ごめんなさい、詳しくなくて…。」


 そんなに落ち込まれると悪い事をした気分になるから、やめて。


「大丈夫だ。それがクイズの問題だから。

 流石にノーヒントだと無理なんで、本を持ってくる。

 書き取りの続きをして、待っていてくれ。」


「そんな、悪いですよ。」


「俺も入院した時、ビッケから本をもらった。

 次、サダキがお見舞いに行く事があったら、何か用意してあげるといい。」


 そうして俺は、本屋を目指した。




「今のルーティル様は、39代目…。

 この国って、代々女王様が治めているんですね。」


 俺が買ってきたのは、歴代の女王の活躍がまとめられた本だ。


「最初の病院を建てたのは、19代目のナシーテト様。

 5代目のキティルバーナ様は、賢者の森に最初の木を植えた人!

 凄いです!」


 そんなに喜んでもらえるなら、プレゼントした甲斐があったというもの。

 楽しい、いや、嬉しいな。


「改めて、クイズの問題は、『歴代女王様の法則とは何か?』だ。

 理由は知らないけど、偶然じゃないと思う。

 大した事でもないけど、今のサダキなら、きっと分かる。

 ちょっと、考えてみてくれ。」


 いい暇つぶしにはなるだろう。


「追加のヒント。

 24代目のハルテレッサ様は、今の王宮庭園を造られた人。

 32代目のメメルテ様の時代に、コア王国を滅亡させる戦争があった。

 それじゃあ、頑張って。」


 そう言って、席を立つ。

 待ち合わせの時間には少し早いが、もう行っていても構わないだろう。


「あ、ゼユウ。」


 着席する。


「どうした?」

「えっと、ですね…。」


 ちなみにお礼なら、本を渡した時、四、五回は言われた。


「ゼユウは、幻獣を、倒すんですか…?」


 サダキには珍しく、目を合わせずに、聞いてきた。


「それは、この後、決まると思う。場合によっては、倒すよ。」


 倒せるかどうかは、分からないが。


「あ、あの!」


 サダキは、俺に伝えたい事がある。だから、静かに聞く。


「サ、サダキは、一瞬、見たような気がしただけですし、本に出てくるのと、同じかも分からないんですが、悪いのじゃ、ないと思うんです!

 だから、倒さないで、ほしいです…。」


「サダキは、好きなんだな。幻獣。」


 本に出てくるやつが。


「…助けてもらって嬉しくて、だから、今度は守りたいって思うのは、サダキにも分かります。」


 そう言えば最初のサダキは、そんな感じだったな。

 クーノを守りたかったんだ。


「分かった。ちゃんと伝えるよ。」


 サダキの頭を、ポンポンと叩いて。

 俺は部屋を後にした。




 ホーメナの言っていた、詳しい人というのはカナミアの事だ。


 男爵の件の後も、ずっとラゼン山脈の調査を続けていたらしい。

 前回も、解りやすい説明だったから期待がもてる。


 …まあ、その節は迷惑をかけたから、気まずさは少しあるんだが。


「ゼユウさん、ここでーす。」


 カナミアが手を振っている。


 前回も使わせてもらったお洒落な店、シークレットデイズ。

 そのオープンテラスの席で。


 俺は遅れていない。寧ろ、早い。

 しかし、カナミアもホーメナも俺より早かった。


「…お待たせしました。」


「いえ、またお会いできて嬉しいです。」


 違和感。カナミアは、こんな感じだっただろうか?

 礼儀正しくはあったが、何というか、前回より距離感が近い?


 (まさか、ギリュウと進展があって機嫌がいい、とか?)


 などと考えていると、目の前に資料が出される。


「結論から言うと、原因は、蘇生岩リバイブロックと呼ばれる魔物です。

 ラゼン山脈で、こいつが活動するようになり、魔物が森へ降りてくるようですね。」


「逃げてきている?魔物に知能はないって聞くけど、逃げる事なんてあるのか?」


 魔物に無いものは、生命、知能、慈悲。


「本能で動くと言われているし。

 本能的にヤバいと思えば、逃げる奴はいるんでしょう。」


 逆に有るのは、本能、魔力、生前の習慣。


「その通りです。蘇生岩リバイブロックは、レアな魔物で情報は少ないんですが、今いるのは、かなり攻撃的な奴ですね。」


「私も知らないわ。どんな魔物なの?」


「宝石の原石が、魔力暴走した魔物ですね。

 岩ですから、防御力は高いです。しかも砕いても、再生する。

 おそらくコアがあって、それを壊さない限り倒せません。

 しかも、ラゼン山脈には岩がゴロゴロありますからね。

 魔法で、ガンガン飛ばしてきます。」


「魔法を使うのか!?」


 魔物は魔力で動いているし、所謂、魔力弾を放ってくる奴もいる。

 でも、魔法を使う魔物なんて、聞いた事なかった。


「ええ。鉱石系の魔物に見られる現象ですね。

 魔力を持っている訳ですから、理屈では可能でしょう?

 動物にも魔法を使う子がいるみたいですし。

 聞いた事ないですか?

 遠海の島に棲息する、大猩猩ゴリラっていう動物。」


 ニコニコで語るカナミア。動物が好きなのかもしれない。


「原因は、間違いない?

 蘇生岩リバイブロックも、別の何かに追いやられて暴れている可能性は?」


「ありません。現在のラゼン山脈西側のボスは、間違いなく、こいつです。」


「もう一つ。蘇生岩リバイブロックが活動を始めた理由は分かった?」


 ドキッとした。王国滅亡を企む、何者かの陰謀なのか?


「この一か月の調査では、分っていません。

 元々、自然発生してもおかしくはない魔物です。

 しかし、人為的に生み出された可能性を否定できる証拠もありません。

 討伐を見送っていた理由の一つに、調査が完了していないから、というのはあります。

 でも実害が出ている以上、討伐するべきでしょう。

 勿論、協力します。」


 ホーメナとカナミアが、握手した。


「見送っていた理由は、他にもあるのか?」

「単純に、強いからですよ。」


「討伐すると決めた以上、早いほうがいいわ。明日の午前中でいいかしら?」

「構いません。八時にラゼン山脈の入口に集合、どうですか?」


「了解よ。」


 話はまとまった。これで解散して、明日に備える。

 そんな雰囲気。


 でも、あと一つ。決めておきたい事がある。


「カナミアは、幻獣って知ってる?」

「…幻獣ですか?いえ、分からないですね。」


 簡単に、一昨日の事情を話す。

 子供達が、幻獣を目撃したと。


「幻獣が現れたのは賢者の森だから、今回のラゼン山脈での蘇生岩リバイブロックの討伐には関係ないかもだけど…。

 現れた時の対応を決めておきたい。蘇生岩リバイブロック討伐後も含めて。」


 魔物は危険な存在だ。意思疎通が出来ず、暴れ回り、危害を加えてくるから。

 魔物なら倒さないといけない。


 果たして賢者と勇者は、どんな判断をするだろうか。


「私は、放置でいいと思うわ。」


 ホーメナが言った。


「そうですね。まだ情報が少なく、覆る可能性はありますが、現状では魔物と言うより動物です。

 会ってみたいですね。」


「貴重生物だろ?捕まえて、研究とかしなくていいのか?」


 二人に、凄い顔された。


「…ゼユウ。」

「いや、それは、ちょっと…。」


「失言すまなかった。俺だって、やりたい訳じゃない。」


 何にせよ、サダキのお願いは聞けそうでよかった。


 その他、軽い雑談とかして。注文したコーヒーを飲んで。

 笑顔で手を振りながら、カナミアは去って行った。


「なあ、ホーメナ。」

「何?」


「カナミアって、あんなキャラだったっけ?」


「一か月ぶりの、ちょっとした知り合い。

 前回、自分がどんな感じだったか、忘れちゃったんでしょう。そういう経験少なそうだし。」


 話題を変えよう。


「明日の、蘇生岩リバイブロック討伐、頑張ろうな。」

「ええ。こんな所で、躓いていられないわ。」


 俺は嬉しかった。


 きっと今は、ホーメナと同じ目標を持てていると、確信できたから。

歴代女王様の法則とは何か?

答えは、第102話(予定)!


…たぶん、間違っていないはず。

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