表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お風呂のしあわせ

作者: 窪宮彩

今日は、夜風が気持ちいいので窓を開けてみた。

「か〜え〜るのうたが〜きこえてくるよ♪」

どこからともなく、懐かしい歌が聞こえた。

お向かいの、お風呂場からだろうか。

お湯のサバーンという音にまじって、

元気な声が響き渡る。


ぼくも、お風呂場でよく歌ったなぁ。

お風呂場で歌うと、声が響いてうまく聞こえるんだよな。

そして、大きい声で歌うととても気持ちがいい。

でも、近所迷惑になるから、母さんからはよく叱られたっけ。

「こら、ちょっと声が大きい!もう少し小さな声にしようね」

ほら、やっぱりあの子も叱られている。


「じゃぁ、次はね数字数える。10数えたらあがっていい?」

ああ、また懐かししい。

ぼくも、風呂場でよく数えたな。

「いーち、にーい、さーん、あれ?次はなんだっけ」

次は、よんだよ。がんばれ。思わず、教えたくなる。

「えーと、し、しーだ。んで、つぎがごーお、ろーく、なーな、なーな」

「ななの次は、なんだろうね」とお母さんが言う。

次は、はち、ぶんぶんぶんのはちだよ。

「おかあさん、ヒント!」

「ぶんぶんぶん」

「あーはち!はちだ」

「あたり!じゃぁ、続きからよろしく」

「きゅーう、じゅーう!わーい。ぜんぶ言えた」

「すごいね!あしたは、20じゅうまで数えようね」

「かえるの合唱は歌ってもいい?」

「いいけど、あんまり大きい声はだめよ」

「はーい。わかった」


久しぶりに、ゆっくりお風呂に入ってみようと思った。

大人になってからのぼくは、毎日の忙しさに振り回されて、

お風呂なんてシャワーでいつもすませていた。

今日は、お風呂を掃除して、

お湯をはってゆっくり湯船につかってみようと思う。

そして、かえるの合唱を歌って、数字を数えてみようかな。

でも、ちょっと恥ずかしいから鼻歌にしようかな。


さあ、お風呂が沸いたぞ!

こんな素敵な時間をすっかり忘れていたなんて。

だめな大人だな〜♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ