第六話
彼は集まった長老たちの前で、一つの小石を手に取り、それを空中に浮かべた。次に、その石を室内を自由に飛ばし、そして元の場所に戻すということを行った。このシンプルなデモンストレーションにもかかわらず、長老たちはその制御の正確さと翔太の潜在能力に深く感銘を受けた。
「これでわかったことがあります。翔太様の力は、私たちがこれまでに見たどんな魔法よりも強力で、そして柔軟性があります。この力を使って、確かにこの世界の危機を乗り越えることができるでしょう。」
翔太はその言葉を聞き、自分がこの世界で果たすべき役割がより明確になっていくのを感じた。彼はまだ自分の力に慣れていないかもしれないが、これからの日々で学び、成長していくことを誓った。そして、その夜、星空の下で再び、新たな人生の出発を祝うかのように、彼は深く息を吸い込み、エルディアの大地に感謝の意を表した。
夜が深まるにつれ、翔太の心は落ち着いていった。村の長老たちからの言葉が彼に重くのしかかる一方で、エルディアの人々の暖かさがその重さを和らげていた。彼は自らを取り巻く新しい環境と役割に徐々に適応していくことを決心し、その過程で自分自身も成長していくことを望んでいた。
翌日、リリアは翔太を連れて、村の周辺を探索する冒険に出かけた。この旅は、翔太がこの世界の地理や生態系、そして彼の力の使い方をさらに理解するためのものだった。彼らは森を抜け、山を越え、谷間の川を渡りながら、多様な生物と出会い、異なる景色を眺めた。リリアは彼に植物や動物たちの名前や特性を教え、翔太はそれを一つ一つ心に刻んでいった。
途中、彼らは小さな問題にも直面した。一度は道に迷い、別の時には川で流れが強くて渡れない状況になった。しかし、翔太はその都度、「空間制御」の力を使って解決策を見つけ出し、リリアは彼の創意工夫に感心した。たとえば、川を渡る際には、彼が大きな石を浮かせて一時的な橋を作り、二人で安全に渡ることができた。