第四話
やがて二人は、エルフの村に到着する。木造の家々が巧みに木々と調和して建てられており、村全体が自然と一体化しているように見えた。村人たちもリリアと同じく耳が尖っており、翔太の姿を見ると好奇心混じりに囁き合っている。
「翔太様、こちらへどうぞ。」リリアが案内する家は、村で一番大きな建物だった。家の中に入ると、中央に広いホールがあり、その周りには複数の部屋が配されていた。彼女は翔太をホールの中心に導き、そこで彼女が杖を地面に突き立てると、部屋に奇妙な光が満ちていった。
突然、翔太の体が浮かび上がり、彼の周りには青白い光が渦を巻いている。恐怖と驚きで声も出せずにいると、彼の体中から何かが溢れ出してくる感覚があった。それはまるで、長年閉じ込められていた力が解放されるような感覚だ。
光が収まると、彼は自分が少し変わったことを感じた。体が軽く、心が晴れやかで、何よりも世界が以前よりも鮮明に見える。
「これがあなたの新たな力、『空間制御』です。これにより、あなたは物や人を思いのままに動かすことができます。これが、この世界を救うために必要な力です。」
リリアの説明を受け、翔太は自分が本当に特別な力を持っていることを実感した。しかし、それと同時に大きな責任感も感じ始めていた。この力を使って、本当にこの世界を救うことができるのだろうか。
そう思い悩む翔太に、リリアは優しく言葉をかけた。「恐れることはありません。私たちもあなたを支えます。」