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第一話
朝の光が窓ガラスを通してオフィスビルに反射し、東京の街はまた一日の喧騒を始めていた。高橋翔太は、いつものようにその光景をほとんど意識することなく、満員電車に揺られていた。彼の頭の中は、提出が迫るプロジェクトの締め切りと、上司からの厳しい指摘についての考えで一杯だった。毎日が繰り返しで、彼の人生には何の変化も起こらない—そう思っていた。
しかし、その日、電車が一つの長いトンネルに入った瞬間、事態は予想外の方向に転じた。トンネルの途中で突然、車内が異常なほどの明るさに包まれた。翔太は思わず目を閉じたが、その光はまるで目蓋を通り抜けるかのように強烈だった。そして、次の瞬間、彼は意識を失った。
目覚めた時、翔太は自分が電車にいないことに気がついた。目の前に広がるのは、鮮やかな緑の草原と、遠くに見える山々の連なりだった。空は透き通るような青さで、そこには見慣れない鳥たちが舞っている。彼は立ち上がり、自分の服装を確認した。出勤用のスーツを着ていることに少し安心したが、それ以外の状況は全く理解できなかった。
「ここは一体どこなんだ?」