-第1話 順応していく中で・・・。-
ここで、皆は疑問に思うだろう。
何故、俺がこの世界に順応できているのか。
その答えを言おう。俺は、パターン化している日常が嫌いだ。平日は営業の仕事をして休みの日はサバゲーをする。そんな日々がとてもつまらなすぎたのだ。俺のなりたかった職業は、自衛隊とまでは行かないが、警察官だった。悪い奴らと命を懸けたデスゲームを出来るスリル感を感じてお金を稼ぎたかった。だが、その願いが虚しく散った。
何故なら、家庭の事情で大学や専門学校に通うお金も無く、仕方なく……営業系に就職し、サバゲーにのめり込んだ。
そして、アニメや漫画のような展開を俺は望んでいた。
だから、このような異世界じゃない異世界の展開に気づけたし……着々と順応をしていけた。
神王龍家の家庭の雰囲気は最悪だが……。
このつまらない日常を脱してくれたのは感謝しなくてはな。
一方……とある場所では、俺について話し合っていた。
『ほうほう……? 調子が良さそうやのぉ〜。』
「神様、失礼します。
って、また『あの方』ですか?」
『そうじゃ、幼女になってびっくりするかと思ったんじゃが……順応してしまってな??
儂的は、悔しいのじゃ……。』
「そうですか。変態ですね。」
『何がじゃ!?』
「だって、幼女の着替えとかお風呂やトイレのシーンも覗いてるわけですよね?」
『うっ……。』
「変態ですね。
仮に、中身がジジイでも……変態ですよ。」
『うるさいわ!! 仕方ないだろ。
「あいつ」の能力が、《あの子》に順応してたんだからな!!』
「ハァ……。それが神様の本音なのか……
分かりませんね。」
『あ、儂の趣味でもあるぞい★』
「あ、ダメだ。この駄目神が……。」
そんな会話をしてる事を知らない俺は、父の部屋に入った。
「なんだ? クズ娘よ。
よくも、私の可愛い可愛い優秀な娘を……。」
クズ娘?? 可愛い可愛い優秀な娘??
ちょっと、何言ってるか分からない。
「何言ってるの? 『お父さん』。
そんなに怒って、何かあったの??」
そう言った俺に対して、父は怒鳴りながら言った。
「ふざけてるのか!?
お前は、私の大事な娘である美咲がせっかく、勉強を教えようとしてたのを薙ぎ払ったみたいじゃないか!!」
あぁ〜。なるほど……察した。
恐らく、本当の事を言うと優秀な娘としての株が下がるから騙したんだな。
全く、どっちがクズなんか分からないな。
「んで、何の用だ?」
冷静になった父に爆弾を投下する。
「『僕』、学校に通いたい。
あの、『能力防衛学校』ね?」
その言葉を聞いて、机を叩いた父。
「ふざけた事を言うな!!
あの優秀な美咲でさえ、
受からなかった学校だぞ!?
お前なんかが……。」
父の言葉で少しイラついたので、言った。
「じゃ、逆に言うけど……
僕に何も試さないで、そんな口言うの?
なんの証拠で、そんな事言えるの?
ねぇ? 教えてよ?」
口をごもごもした父は、
何も言い逃れが出来ずに居たが……。
何かをひらめきながら、話す。
「いいだろう。その口を叩き出すなら、通わせてやる。だが、条件がある。」
「……何?」
「美咲と学力テストをしろ。
それで、美咲よりも点数が高かったら通わせてやる。」
これは、有難い話だ。
俺は、父の話に乗っかった。
「いいよ。受けるよ。その勝負……。」
すると、父は嫌な笑みを零した。
嫌な予感がしたので、何を仕出かすのか分からないので構えておく事にした。
「よし、準備出来たら……お前の部屋に持っていく。それまで、せいぜい……勉強してるんだな!!」
……なるほど、ある程度予測はついた。
恐らく、大学入試の試験のテストを仕込む奴だ。
一応、俺というか『姫嘉の能力』で大学入試の試験の範囲を予習しておくか。念の為……な?
そう思いながら、父の部屋から出て自分の部屋に着いた瞬間、大学が出している入試の範囲全てを把握出来る答えも入っている筆記の答案用紙を出して、勉強をした。
1時間ぐらいで完璧に覚え、
そこから父が現れて答案用紙を貰った。
やはり、予測通りだ。父は、俺に大学試験の答案用紙を渡した。
それでも、勝たなければいけないので……少し、『本気』を出した。
『前世』の能力も健在だ。
前世の能力は、完全記憶能力だ。
これを手に入れたのは、幼少期だ。
小さい頃から、ヒーローとかに憧れて、現実世界の戦い方の動画を見て、それを完璧に真似をしていた。お金がなかった為、空手とかボクシングとか格闘技にも通えずに、精神や肉体の鍛え方や体力作りや流派とかは完全記憶能力を使い、完全に模倣してそこから自分だけのオリジナルにして独学で貫き、強くなったのを覚えていた。
それをまさか、現世では勉強に使うなんて思わなかった……が……な?
そして、解答欄全てに記入したので父の部屋に行った。
「出来たよ。お父さん。」
「ふん……クズ娘の割には早くできたじゃないか。
自室で休んでなさい。後は、美咲との解答用紙を貰った後に採点しておくから。」
俺のよりも難しくないのに……苦戦してるのか……。だから、俺よりも優秀じゃないと言ってるんだ。『あの』能力を持ってるのにな。
実に勿体なさすぎて、反吐が出る。
…………………………………………………………………………
その日の夕方、私は旦那に呼ばれて父の部屋に入った。
「やぁ、真由美!! 会いたかったよ!!」
そんな事を易々と言ってきた。
「そんな言葉を言わないでちょうだい。
私が溺愛してる娘の事を贔屓してるくせして会いたかった? ふざけた事を言わないで。本当にあなたの性格が汚らわしい。」
昔は、そんな人じゃなかったのに……。
お付き合いをして後悔したと心の底から思った。
「そんな事を言わないでくれよ〜。
夫婦じゃないか〜!!」
「で、何の用ですか?
私は忙しいのですが?」
要件を問い質す。すると、そうそうと言いながら要件を答える。
「真由美には、あのクズ娘……。」
私は、姫嘉の事をクズ娘と言ってるのを察し……睨んだ。
「すまない。姫嘉の採点をして欲しんだ。
あの子と約束をしたからね。美咲に勝てば、能力防衛学校に通わせると。」
そんなとんでもない約束を……。
姫嘉……あなたは、急激に変わってどうしたの?
今までのあなたなら……ずっと、引きこもっていたのに……。
「えぇ、分かったわ……。
ただし、私も不正がないか
美咲の答案用紙も見させてもらうわ。」
「っ……!? い、いいだろう!!
ほら、これが姫嘉の答案だ。
美咲のは、私がやる。」
私は、30分くらい……丸つけをしていて少しずつ分かってきた。
これは、小学生レベルの問題では無いことを。
大学入試の試験レベルの問題であることを発覚した。でも、おかしい……。姫嘉は、全て合っている。
そして、私は丸つけが終わり再び……旦那の所へ行った。
「やぁ、真由美!!
どうだった?」
私の顔を見るや否や余裕そうな顔をして、そんな事を言われた私はこう答える。
「全教科……100点よ。」
「そんな馬鹿な!!」
旦那は、私が丸をつけた答案用紙を奪って全て見て、絶望をしていた。
「そんな……1番難しい大学の入試問題だぞ……。
そんなの……解けるはずが……。」
などと、1人でぶつぶつと文句を言っていた。
「私は、美咲の答案用紙を見ていないのだけれど?
……見せてくれるかしら??」
私は、旦那が丸をつけた答案用紙を奪おうとした。
「いや、見せなくても圧倒的に勝負は着いている。
姫嘉に伝えろ。学校に通っていいぞ。
て、言うか『通ってくれ』……と。」
……………………………………………………………………
母さんがお父さんの伝言を伝えに来ると……。
やはり、そうだったかと気づいた。
そう。美咲の答案用紙には私立の小学生の全教科テストを受けさせ、俺の答案用紙は大学入試の全教科テストをさせられていた事を今、確信した。
「分かった。ありがと! 母さん!!」
………………………………………………………………………
「クソ!!」
私は、悔しくなっていた。
『ズル』をしたのに、その『ズル』さえも……のらりくらりと躱してしまった。
まるで、『神が見ていた』かのように……。
どうしたらいいのか……。
すると、美咲が入ってきて提案をしてきた。
「お父さん。姫嘉を……」
優しく、まるで女神様な声色で言う。
「無能クラスに入れましょ?」
と…。
………………………………………………………………………
美咲と学力勝負した1週間後……。
俺は、能力防衛学校の試験を受けている。
実技は的を能力で射抜く試験らしいが……。
俺は全能を使って、未来を改変して地震を起こして壊した。そのおかげで、合格ラインを完全に超えてしまった。
筆記も全智と前世の完全記憶能力で、
勉強をしていたので、完全にそして完璧に合格ラインを超えていた。
そして、試験が終わって帰ろうとしていた。
すると……。
「は、初めまして!!」
俺に話しかけてきたのは、お嬢様みたいな女の子とメイドみたいなの女の子達だった。
「わ、わたくしは……十条 純恋ですわ。」
『十条……?? あぁ、十条のお嬢様か……。
じゃ、隣のメイドっぽい人は……?』
「あぁ、次……俺か。」
『え? まさかの、俺っ子!?』
「俺の名前は、神宮寺 那由多。
純恋お嬢様の使いの者です。
あなたの勇姿をしかと見ました。」
「勇姿……?」
俺は、首を傾げた。
すると、那由多は答えた。
「あの実技試験の件ですが……?」
なるほど……。見られていたのか……。
「あぁ、あの場面ですね?
褒めて下さって、ありがとうございます!!
自己紹介が遅れました……。
僕の名前は神王龍 姫嘉です。
よろしくお願いしますね。」
「あなたが、あの神王龍家の……次女。
想像した方とは全然……違いましたね。」
「そうですわね。那由多。」
何か、コショコショ話をしているが……。
どうしたのだろうか?
あ、でも……仲良くなるなら、『あの方』に連絡しなくては……。
「とりあえず、少し……電話しても宜しいですか?」
「えぇ!! いいですわよ!!」
那由多さんと純恋さんはまたコショコショ話をする。俺は、母に連絡する。
「は〜い! もしもし、母よ〜!!」
「もしもし? 母さん?
友達連れてくるから、ご飯用意しておいて?」
「……!! はーい!!
わかったわァ〜!!
わぁわぁぁぁー!!」
そして、電話越しから転ぶ音が聞こえてくる。
う〜ん。なんだろう。
母さんは……天然すぎる所がめっちゃありすぎて困るな。
「って事だから、お二人さん?」
段々と言い合いになってた所を止めて、「はい?」って返してきた。
「とりあえず、僕の家に来ますか??」
と、言うと2人は目をキラキラしながら言った。
「「行きたい!!」」
………………………………………………………………………
純恋さんと那由多さんを僕の家に招き入れた。
「おぉ〜!!
ここが、神王龍様の家だ!!
綺麗だなぁ〜!!」
「わぁ〜!? 凄いですわぁ〜!!」
「これでも、まだ半分だけどね?」
「半分だと!?」
「半分ですって!?」
「はい、まだ半分です。
どうぞ、上がってください。
母が、待ち構えてると思うので……。」
「……お、お母様!?」
「えぇ……。」
嫌な予感しかしない……が……な?
「んー!! 姫ちゃん!!
お帰りなさ〜い!!」
帰ってドアを開けた瞬間……。
抱き寄せて、俺の頬にスリスリされた。
それを見ている純恋と那由多は……
「うわぁ……お母様は、そっち系の人だぁ〜。」
「うわぁ……お母様は、そっち系の人ですわぁ〜。」
…………………………………………………………………………
私は、嫉妬していた。
友達だと連れてきた女の子たちの反応を見る限り、、、絶対に姫嘉の事を好きだってこと。
私は、殺気を出していた……。
そうすれば、、、『即死』するから。
だけど、何故か無効化されていた。
『なんで!? なんで効かないの!?』
私は焦っていた。
………………………………………………………………………
俺は、微かな振動をさせていた。
それは何故か……。
母さんのやる事だ。即死させるに違いないと思い……振動結界を発動させ、即死の振動を無効化する結界を張った。
どうしてこうなったかは、知らないけどな?
そして、俺と純恋さんと那由多さんと母さんの4人で楽しくワイワイと騒いでいた。
まぁ、色んな苦難があったが……。
母さんが色んな方法で、殺そうとしたり……。
それを純恋さん達は対抗しようとしたり……。
それを柔軟に対応する俺で……。
少しは俺を休ませてくれと思って願っていたが……。その対抗戦は夜まで続いた。
そして、2人は帰る時間になって送っていた。
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あの楽しい時間は……もう、来ないのね。
私は、届いた郵便物を見ていた。
その内容に書かれていたのは……あまりにも残酷で、あまりにも……深刻な事だった。
【神王龍 姫嘉様の診断の結果……無能クラスと判明しました】
……神様。何故、あの子が無能クラスなの?
……神様。何故、あの子は普通の生活に戻してあげられないの??
……ねぇ、教えて? 神様。
私の娘である姫嘉は、、、ちゃんとした『人間』なのよね……?
そう思いながら私は、不安になって泣き崩れたのだった。
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