第七話 相棒を信じるのは難しい
ここからは、お色気要素となります。ご注意を。
聖女と別れたロンビンとリーガルは冒険者ギルドでの用を終え、街の通りを歩いていた。
リーガルは武器の骨を体内にしまっていて、ロンビンの横を慎ましく歩いている。童顔のリーガルは性別が女性でも、魔物のスケルトンであり、背丈はロンビンと同じぐらい高かった。
「ご主人さま……。ご質問を、よろしいですか?」
「なんだ?」
「ご主人さまは、とてもお強いです。さいきょうの剣をつかわずに、ギルドで敵をたおしました。ご主人さまには、弱いわたしがいなくても、だいじょうぶなのではないでしょうか」
作られた顔は無表情でも、その声からはリーガルの不安が伝わってくる。
「そうだろうが、強いだけじゃ、孤独は癒せない。それに、おっさんにもお前を大切にしろって言われたしな。……いや、言われたからするんじゃないよな。俺が、お前を大切にしたいんだ」
「ありがとうございます。ご主人さま」
「だから、お前が人質になった時、やれ、じゃなくて、俺の剣技で助けるべきだったのかな。まあ、助けるまでもなく、お前ならやれると思ったんだが」
「わたしはスケルトンで、ヒトではありません」
これは、正しい。
けれど……。
「お前はスケルトンで、俺の相棒だ」
「……はい。ご主人さま」
「今日までずっと感謝している。そして、明日からも感謝したい」
あなたに説明すると、この言い回しは、この国の『ありがとうの最上級形』を意味するものとなる。
「わたしもです、ご主人さま」
「リーガル。今日はお前に迷惑をかけたな。何か欲しいものがあったら言ってほしい」
「では」
正面で組んで重ねていた手を動かし、リーガルはロンビンの手を握った。彼女の手は、骨格が透けている。まだ慣れていないので、ついロンビンは気になってしまう。
リーガルに引っ張られて、ロンビンは公園に入り、ベンチの前に着いた。
「ご主人さま。座ってほしいです」
「ああ……」
「ご主人さま。こちらを、おもちください」
ロンビンはリーガルが右手から出した棒状の太い骨を渡される。
「これをどうする……ん?」
座るロンビンの正面で、リーガルが茶色いワンピースのスカート部分を大きくたくし上げた。靴よりも上の、骨の透けている足はもちろん、白い下着まで丸見えだ。
下着は太ももを隠すほど丈の長いドロワーズを穿いていて、正面上部には小さな白リボンがついているのも確認出来る。ドロワーズはまだ新品同様の品だった。
ドロワーズが丸見えになった以上にロンビンが驚いたのは、――股の辺りの明らかな膨らみである。
「こちらに骨をおしこんで、わたしを、きもちよくしてください」
「いやそんなことよりも――お前男だったのかっ?」
聞いてしまった。
「いいえ。ちがいます」
そう否定されても、ロンビンは信じられない。あなただって、下半身に不自然な膨らみがあれば、性別が男性だと疑うだろう。
「じゃあそこの膨らみはなんだよ!」
大切にしようと思っていた相棒に対し、これだけ感情的になるとはロンビンも思っていなかった。
ヒロインがたくし上げで丈の長いドロワーズを丸見えにする……。これだけをやりたかった作品が、ここまで長くなるとは、作者もびっくりです。
次回が最後となります。今回もお読み頂き、ありがとうございました。