第一章45 『アムル王国』
アルム王国はリアルでいう滋賀園に位置している。俺達がスクロールで飛ばされた場所は、アムル王国の目と鼻の先の街道だった。
「ライト様、これは――」
「あぁ、そうだと思う」
ハンベイの思惟に俺は同意した。俺達がスクロールでアムル王国内に転移が出来ていない――これが意味する事は、アムル王国は転移門を切っている。そして、スクロールなどの転移系をシステムで拒否しているという事だ。
転移の拒否は王国を管理する者が行使できる。だがダンジョンや厄災の黙示録が出現している最中、多くの冒険者が必要な筈なのに、ナガマサはどうして鎖国をしているのか。
そうならざるを得ない、何かが――ナガマサにはあるのか。
「とりあえず、歩いてアムル王国に向かおう」
「はいなのです!」
「はい、マスター」
俺達はアムル王国へと向かった。ここがアムル王国と目と鼻の先にあると分かったのは、アムル王国特有の巨大な門を瞳に映すことが出来たからである。
アムル王国は立派な六角門に守られている。その街の外側でも見れる小高い丘に、ナガマサが居住するお城が建っている。六角形の街の周りには広い塹壕があり、アムル王国に入るには橋を渡らなければならない。
アムル王国への橋は四箇所あり、東西南北入口がある。
俺達が飛ばされたのは南門の周辺だった。俺は見慣れている風景で判断が出来るが、初めて踏み入れる人達は、門に刻まれている記号で判断する。
南門に刻まれているのは丸、西門は三角、東門は四角、北門は星のマークが外と中に大きく刻印されている。
小高い丘があるナガマサが居る北門は、基本的に封鎖をされているので、アムル王国から入るには南門、西門、東門かになる。転移を使った場合は、通常は南門側に飛ばされる。
しかし、不思議なのは今回は転移をだけを切っている状態でアムル王国への大門は開門した状態だった。
「封鎖ではないみたいだな」
「はいなのです。徒歩のルートは問題ないみたいです。これは一体どういう目的で」
「――」
アムル王国がマークが刻まれている大門を封鎖した場合は、人が通れる程の大きさの小門から――検閲を受けた者が街へと入れる。そうなると、アムル王国への橋には人が渋滞になる。
しかし、今回は転移だけを封鎖して、他は通常運転。ナガマサは何からアムル王国を遠ざけようとしてるんだ。
だが、ヤヘイはこの状況を分かっていて、俺達を転移に誘ったのか。随分と性格のいい事である。決められた者しかアルム王国に転移ができないのを俺達に知らせぬまま消えるとは――まぁ仕方ないか。
「これはいい歓迎だな、全く」
「マスター楽しみですね!」
美しい毛並の尻尾をフリフリさせながらシャロはそう言う。しかし、白皙の指先はお腹に当てていた。ハンベイも左手を同じようにお腹に当てている。だいぶ空腹のようだ。
「アムル王国に入ったら、先ずは美味しいものでも食べよう」
「はいなのです!」
「ハイマスター」
俺達は石畳で作られた広幅の橋を歩いていく。アムル王国へと近づくにつれて、橋の上には様々な者達が多く居る。そして、橋で滞在をしてる人達とすれ違う。
「内部からの転移も切られている様だな」
「そのようなのです」
外と中、両方の転移が封鎖されている為、アムル王国から他へ転移する者達は一旦、橋の上で滞在しているのだろう。もう一つは――
「雪原系のダンジョンは消滅したみたいだな」
「あぁ、そうみたいだ。冒険者ギルドが発表した様に、本当に消えたみたいだ。フロスト系のモンスターの遭遇がなくなった」
「後は二つのダンジョンだな」
「速いとこ行こう」
すれ違う冒険者一行は、俺達が消滅させたダンジョンの話をしていた。冒険者ギルドはダンジョンの消滅を認知させたみたいだな。これはジールとミリファが伝えたのだろう。
高レベルのモンスターがダンジョンから溢れ出されて、橋の上で立ち往生していた冒険者達だったが、冒険者ギルドの報告を受け入れ始めると、少しずつ冒険者達は移動を開始した。
「近寄るんじゃねぇ! 汚れるだろうが! だから丸からは出たくねぇんだよ。クソが」
辛辣な怒声が、俺達の前方から届く。俺達は人の流れに逆らって、急ぎ足でその元へ向かう。その場には――――
「すまない。これからはちゃんと前を見て歩く」
「最初からそう言えよ!!」
若い、金髪サラサラヘアの男は強い言葉を放った。男は再度追撃をしようとするが、「ここではマズイ」と仲間の冒険者に諭されながら、その場を後にして行った。
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PN:ミズキ<人族>
LV:47 JOB:ナイト
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俺はすれ違う最中、その男のステータスを確認した。レベルからすると中堅の冒険者だろう。しかし、やけに身なりが綺麗だなこいつ。
「チッ」
俺はミズキにすれ違いざまに舌打ちをされた。それよりも奴の――
「どうしてアルが謝ったんだよ! おかしいだろ……」
「これが最良と判断したからです」
「そんな事……」
そう言い、あの男に罵声を浴びせられていた者は、涙を殺しながらアムル王国の大門の方へと走って行った。その背を見えなくなる迄、見守ったのち、その者は俺に近づいてきた。
「助かりました。感謝です」
俺にそう言い、深く会釈をした者は機械人形だった。
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