第一章40 『ダンジョン』
冒険者がダンジョンに挑む事をアタックと言う。転移門の前に立ち、難易度を確認した後、「転移門しますか?」と表示が現れる。それを承認すると転移される。
ダンジョンによって人数制限はまちまちである。今回のダンジョンは人数制限はない様だ。
ダンジョンはダンジョンコアを破壊すると、自動的にダンジョン内に居るものは外へと叩き出される。そしてそのダンジョンは消滅する。しかし、ダンジョンコアの近くには決まって、それを守護するダンジョンボスが存在する。
今回のダンジョンは雪原地帯だ。見渡す限り雪と氷で覆われた大地である。俺達は真っ白の転移門から転移してこの場に足を踏み入れた。
ハンベイがダンジョンに挑む前にスキル、フロストオーラを唱えてくれたおかげで、全くといっていいほど寒くはない。フロストオーラは寒暑耐性を付与してくれるスキルで、MPは100消費し、スキルディレイは180秒である。効果時間は一時間程である。
「マスター真っ白です。綺麗です」
「確かに綺麗だな。だが、天候が変わる前に早めに先へ進もう」
「はい、マスター」
「はいです」
シャロは雪を踏む度に耳をぴょこぴょこさせている。音と感触が新鮮なのだろう、興味津々みたいだ。
俺はダンジョンコアの場所を確認する為に、メニューからマップを開いた。通常のダンジョンと比べてイージーな理由は、最終場所が確認できる点である。しかし通常のダンジョンと比べて目的地が判る分、その代わりにモンスターが多い。
ダンジョンに降り立つ場所はランダムである。同じタイミングで入れば、だいたいは同じ場所に飛ばされるが、確実に同じ場所に飛ぶ為にはパーティを組むのがベストである。
俺の今のパーティは俺、シャロ、ティア、ハンベイである。ティアはここにはいないがパーティには加入している。
マップを確認しながら俺達は先へと進んでいく。決まって現れるオオカミさん、フロストウルフである。白い毛並みは綺麗だが、かなり邪魔である。群れで行動するフロストウルフは八体現れた。
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N:フロストウルフ L:61
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俺達をこの先に進ませないとでも言うように周りを囲むフロストウルムの群れ。まるで椅子取りゲームでもしているかのように、俺達を睨みながら動いている。
――――ドパンッ!
俺は身体を高速スピンさせ、六発の弾丸を放った。六体のフロストウルフは弾丸を受けポリゴンになって爆ぜた。
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8000G獲得しました
白銀の毛並み×4獲得しました
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ドロップアイテムの通知が現れる。白銀の毛並みか、これは高値で売れる素材アイテムである。残り二体のフロストウルフは仲間が消された事を気づいて、敗走せずにすかさず、俺に襲いかかった。
「消えてください。プチファイヤー」
レーザーのような一条の炎はフロストウルフを消し去った。シャロの唱えたスキル、プチファイヤーが通った後は、茶色の地面が丸裸である。
「すごいなシャロ。分厚い雪が溶けたぞ」
「マスター、ありがとうございます」
「お二人の強さは凄まじいですね」
ハンベイは感嘆の声をあげて俺とシャロを見ていた。
メイジの初期スキルでレベル50前後のフロストウルフでも一撃必殺とは、レベルと強さが全くあっていない。人の事を言えないのだが。しかしここまでは余裕だな。
現れるモンスターの強さがダンジョンの推定レベルよりかなり低い。これはダンジョンボスが強い証拠だろう。
「ライト様、レベルが上がらないのは何かあるのですか?」
ハンベイは少し心配そうに俺にそう告げた。シャロも同調するように心配そうな顔をしている。
ハンベイは俺のステータスを見て直ぐに理解していた。高レベルのモンスターを倒しているのに一向にレベルが変わらないので、そう質問をしたのだろう。
「俺の職業はモンスターを倒してもレベルが上がらないんだ。PKしか経験値を得れないみたいだ。だからなかなかレベルが上がらなくて」
「ライト様は異職ですね。人族では通常使用ができない銃を使用してます。しかし、それならばライト様、ギルドに入られてはいかがでしょうか? そうすれば対人戦は多くなります」
「ギルドか、そうだな! そうしてみるよ」
ギルドかいいかもしれない。またギルドに入る事は全く考えていなかった――しかし、この職業なら入った方がメリットは多いかもしれない。
モグラが動いた後のように雪が動き、雪からぴょこっと現れたフロストリリフ。これはふきのとうの形をしたスイカサイズのモンスターである。
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N:フロストリリフ LV:62
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雪の中を素早く移動できるモンスターで、フロストリリフは他のモンスター呼び寄せる。厄介な奴である。俺はフロストリリフがモンスターを呼び寄せる前に、素早く弾丸を放った。
――――ドパンッ
フロストリリフは雪の中に逃げる前に被弾し、ポリゴンになっていく。
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15000G獲得しました。
ふきのとう獲得しました。
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LUKが高いおかげでアイテムドロップがされた。天ぷらにしたら美味しそうだな。周りの雪に隠れているフロストリリフは、まだ居そうだな。
「マスター、狩りです。プチファイヤー」
フロストリリフが隠れている雪を、レーザーのような火力で全て溶かしていく。そのプチファイヤーはこの気温でも、モノともしない火力無双であった。
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85000G獲得しました。
ふきのとう×5獲得しました。
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こんなにフロストリリフは隠れていたのか。シャロのプチファイヤーは本当に凄まじい。そしてシャロは俺達が進む方向にプチファイヤーを唱え。雪原を消滅させ、歩きやすい道を作った。
「シャロ、すごいな」
「シャロ、すごいです」
俺とハンベイはシャロを褒めまくった。シャロのおかげでダンジョン攻略がスムーズになっていく。シャロは褒められ胸を張っていた。
シャロのスキルを使用しているのにも関わらず、MPゲージは殆ど動いていない。シャロはどれ程のMPがあるのだろう。これも俺と同じバグなのだろうか。
雪原を歩き、目の前に大きく聳え立つ峡谷に近づくにつれてモンスターの数が明らかに減っている。これはダンジョンボスが近い証左だった。
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――――アムル国の城内、謁見の間。
「ナガマサ様!!」
動揺しながら慌てて謁見の間に入る家臣、その家臣はかなり狼狽し表情は真っ青であった。
「――――どうしたんだ! そのように慌てて」
「申し訳ございません……近郊の街道沿いにフッフロストウルフが現れていると情報がありまして――――」
「な……んだと!!! このような時に――」
豪奢な謁見の間に緊張感が走る。話を耳に通した後、ナガマサは横に屹立している家臣を一瞥した。その家臣は少し頷いた後、ナガマサはゴクリと唾を飲み、報告に来た家臣の話を聞き入れる準備に入った。
「群れで行動するフロストウルフが何故か五体がアムル王国の近郊に出現し、先程、Dランク冒険者十二人でようやく処理しました」
「なるほど……しかし、そうなると高レベルのダンジョンが、近くにあるということだな」
「……そうかと思われます」
苦虫を噛み潰したよう表情を浮かべるナガサマだったが。少し目を瞑り、ナガマサは緩りと王座から立ち上がり命令をする。
「直ぐに冒険者ギルドに報告し、ダンジョン消滅の為のパーティ編成をするのだ」
「しかし……他のダンジョンも出現していて……。まだ手が回っておりません」
「高ランクダンジョンから先に当たるのだ! 時間が過ぎれば高レベルのモンスターが溢れ出る!! そうなれば無辜の人達に、多くの被害が起きる! 報酬を多く出して、でも冒険者をかき集めるのだ!!」
「かしこまりました」
「ナガマサ様、私も参ります」
ナガマサの横で睥睨していた男はそう言い、ナガマサに跪き許しをとうた。
「任せた」
「はっ!!」
(雪原タイプのダンジョンだと……かなり難易度が高い。これはかなりの人を割くことになるかもしれん。ヤヘイが同行するのであれば問題ないであろうが)
家臣達が謁見の間を出るのを険しい表情を浮かべているナガサマだった。それを対処しているものがいるとは知らずに――――
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