第一章27 『武器屋』
俺は今、一心不乱に教会へと向かっている。それは俺がHP、MPを回復させないと、シャロは俺にポーションを口に突っ込もうとするからである。
教会に向かう途中の武器屋に寄ろうとすると、追従しているシャロが両手にポーションを持ち始める、余所見も許さないらしい。
アルカディアの教会の祭壇には女性の人族タイプのHDPが居る。その名はマリア。マリアは神官の格好をしており、マリアに5000Gを支払えばHP、MP共に全回復してくれる。
HDP:MOが管理するホログラフィックキャラクター。
俺は教会にお金を払い全回復する。そして教会を後にした。教会を出た後、俺はアイテムボックスエピックのスクロールを使用する事に決めた。
最初のアイテムボックスは種類が30までしか収納ができないが、このスクロールを使うと500種類まで収納できるようになる。俺はスクロールを使用した。
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スクロールが使用されました。
アイテムボックスが最大500になります。
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後はいらない武器を売ろう。やはり武器屋に行った方がいいな。この街から旅立つ為に最低限を購入しよう。俺は行動に移した。
「シャロ! 武器屋に行こう!」
「はいマスター。マスターはあのつよつよモードは隠したいのですか? マスター、隠さない方がいいと思います。マスターの凄さは皆が知るべきです」
シャロは少し首を傾げながら俺にそう告げた。つよつよモードはガンナーの事かな。
「そうだな! そうするよ。ならマントも装備するかな」
俺はそうシャロに促さられると装飾品のノブナガのマントを纏った。これは馬子にも衣装だな。レベルと纏うものがあっていない気がするがまあいいだろう。
「マスターかっこいいです」
その外套を纏うとシャロは目を輝かせ俺を見ていた。この外套は確かにカッコイイ。
そのシャロの言葉は素直に嬉しかった。そして見た目を変えて俺達は武器屋に向かった。
「いらっしゃい〜」
恰幅のいい男が挨拶をする。武器屋には名前の通り剣や盾などが販売されている。乱雑とまではいかないが、様々の装備がかく所に置かれている。
「物を売りたいですが」
俺はそう店主に言いアイテムボックスから、ロッドとショートソードを取り出し、カウンターにそっと置いた。
「マスター私も」
シャロも何故か俺と同じようにショートソードを取りだした。店主その様子をみるとニッコリと笑顔でそれらを受け取った。
「2000Gでいい」
「――」
2000Gはかなり破格の値段である。通常初心者装備なんてひとつ500Gゴールドが平均売価である。
アルカディアにログインした者は必ずアイテムボックスに入っているアイテムである。その武器を四倍の値段で買い受けるとは何かあるのだろうか。
「その価格でお願いします」
「毎度あり、売っている物も安くするから見てってくれ! なかなかいい品が入ったんだ」
「ありがとうございます」
俺の装備はいいとして問題はシャロの装備だな。俺はそう考えながら、メイジに合う装備を探していた。
「俺が見繕ってやろうか?」
「40000Gくらいで魔法職の武器防具って……無理ですよね」
所謂おすすめってありますかである。店主は笑顔をみせバックヤードに向かっていった。
初心者装備を四倍の価格で購入した店主である。自分が選ぶよりも付加価値がある装備を選んでくれるだろうと、淡い期待を持ちながら店主を待っていた。
「兄ちゃん悪いな、待たせてしまって」
バックヤードから戻ってきた店主はそう言い、自身のアイテムボックスからカウンターに見繕った武器などを取り出し見せた。
「これは一体」
「40000Gゴールドでいいかい?」
カウンターに置かれた物に俺は理解が追いつかなかった。俺は内心の動揺を隠し、置かれた武器のステータスを確認していく。
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両手装備:フリューゲル<エピック>
上昇値:INT+1550 DEX+550
アイテム説明:天界から送られたと言われる両手杖。天使の羽が付いた真っ白の杖は決して光を失わない。
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体装備:闇司祭のローブ<レア>
上昇値:HP+150 MP+150 INT+150 VIT+150
アイテム説明:バランス取れた紫のローブ。このローブを纏うものは魔法使いとして免許皆伝と言われている。
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頭装備:魔術師の帽子<レア>
上昇値:HP+100 MP+70 INT+180
アイテム説明:羽のように軽い紫の帽子。この帽子を被るものは魔法使いの矜恃を持つ事である。
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エピックのステータス上昇はエグイな。さすがエピック装備……。
レアは最低でも何十万Gはする。エピックの装備アイテムは何百万、いや何千万ゴールドはくだらない。装備アイテムは強化で使い回しが効く、長年同じ物を使う人が多い。
こんな高額なもの武器屋にざらにある物では決してない……。一体何が狙いだ。
「どうしたんだ! さあ持っていけ。その女の子の為だろ?」
その言葉に俺の後ろにいたシャロはハッとして、店主に直ぐ様近づいた。シャロは自分の装備アイテムを選んでもらっていたのだと、今になって気づいたのだった。
「マスターのマスターの装備アイテムも50000Gでマスターの」
「あぁいいぞ。少し待ってろ」
店主はシャロの言葉に「そうか、そうか」と頷き、バックヤードに向かって行った。
俺は何が何だか分からないまま、事が進んでいった。
そして、最初に見繕った時よりも早く店主はバックヤードから帰ってきた。置かれたのは頭装備と体装備だった。
その店主が俺の為に用意した装備アイテムは異常だった。ステータスを確認しなくとも、判る代物だった。俺の怪訝そうにな目線に気づいた店主は、俺から目線を外して斜め上を見ている。
「この二つはエピックだろう。こんな高額なもの俺は貰えない」
俺はそう言い、シャロと俺の装備アイテムを購入する事を諦めた。それに……これは必ず何か裏がある。
「そうだ! 今日はたまたま俺の誕生日だ。金はいらない貰ってくれ!!」
男は満面の笑みでそう嘯く、なぜが額には冷や汗をかいている。俺の横にいるシャロもジト目をして応戦してくれている。
どんな誕生日だよ……。誕生日だと人タダで物をあげるのか。貰うんじゃないのか。
気づけば、滝のように汗が出ているが俺は訝しむ目で店主を見た。今回は道具屋で起きた事とは違う。サンの頃の恩恵をまた受けたとはそうは思わない。
そして、直ぐに答えに辿り着いた。
「――ノブナガか?」
「えっ……誕生日です」
店主の反応が正解と語るに落ちていた。店主には悪意はないノブナガの指示であろう。
「これは独り言ですが、このマントをつけている男には良くしろとか通達をしたんですよね、ノブナガが。そして、これはノブナガが用意した装備ですよね。」
「なっ――――なんの事かね。これは……俺の誕生日だ」
それを聞いて、真っ青になっている店主。俺がこの武器屋に入るのを事前に分かっているかのような行動だな。ノブナガの凄まじさを改めて感じてしまった。
「とりあえず、必ずクエストは行います。直ぐに処理しますと伝えてください」
「あぁ……誕生日だ」
とうとう、この人は誕生日しか言わなくなった。
懊悩して思考が停止しているみたいだ。俺は素直に装備アイテムを受け取り、武器屋から出るのであった。
俺をつけてる奴はまた別件か――――内心ため息を着きながら。
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PN:ライト<人族>
LV:3 JOB:ガンナー
HP:3894/3894
MP:9753/9753
STR:53
INT:999
VIT:456
AGI:999
DEX:75
CRT:125→275
LUK:999
パッシブスキル:限界突破、神のサイコロ、異常耐性<SSS>
スキル:マジックバレット、リベンジリフレクト、ミネウチ<S>
SP:――
<装備>
左手:ブラッド漆黒
右手:――
頭:冒険者の帽子
体:冒険者の服
足:冒険者の靴
装飾品:ノブナガのマント
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