表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/61

第一章22 『シンメトリー』

 俺はその音に戦慄をする。このゆっくりピーーーンポーーンと音を鳴らす者は一人しかいない。


とりあえず居留守だ。


 その者は居留守されていると気付くと壁を叩く、ドアチャイムを鳴らしまくる。サイコパスな行動を始めた。


「――――お兄様!!」


 縁側で風に当たっていた桜だったが――真っ赤な目をゴシゴシさせながら、急いで部屋に入ってきた桜。


「……桜」

「お兄様!! 戦です!!!」


 俺の心配を吹っ飛ばすかの様に桜は目をキリッとさせた。

 そして、頬をぷくっ〜とさせていた。


 なんて可愛らしい姿だ。


 しかし、鳴り止まないドアを叩く音。きっと玄関の向こうでは裂帛しているのだろう……。


 だが……少し可哀想になってきた。このまま放置すると後が怖い。とりあえず少し……覗いてみよう。


 俺はブレスレットPCから外のカメラの映像を、ホログラフィックで映し出した。


『死ねぇえ!!!!! 開けろ!!!!! 殺すぞ!!!!!』


 その映像と音声で顔が引き攣った。だいぶ怒ってらっしゃる。

 俺は内心ため息をつきながら、遠隔操作をしてドアロックを解除した。


「お兄様! 私が守ります!」


 玄関からドダバタと家の中を走る音。鳴動がだんだんと近づいてくる。


「へぇ〜よくも!!! 居留守を使ったわね!!!!」


 現れると同時に吶喊しながら女は、その場で地団駄を踏んでいた。

 そして、女は桜の方に視線を転じると、凄まじい殺気を俺に向けてきた。


「最低!!!! 女を泣かす!! ゴミクズ!!」


 その言葉にカチンとした桜。

 出ました、桜の後ろに虎が現れた。あれ、伝説の漫画に出てくるス〇ンドかな。


「お兄様は最低ではありません!! 澪!! 何の用ですか!」


 桜が言い放った名前。そう、この女は中神(みお)。中神正堂の妹である。


 150センチの身長にキッと睨む、目付き。苛烈な美少女である。

 正堂が敬愛している初音ミ〇の髪型に金髪カラー。所謂、金髪ツインテールである。


「女の敵!!!!」


 澪はそう言い放ち、高速で飛び膝蹴りを放った。


 俺はまあまあ運動神経はいい方だ――避ける事も容易い。しかし……これを避けると二倍返しになるので俺は素直に喰らった。


「――グッハッ!」

「よくも!!! よくも!!! よくも!!! お兄様を!!」


 俺は飛び膝蹴りの衝撃でぶっ倒れた。仰向けになっている俺のお腹の上には、追撃してなぜか澪がちょこんと座っていた。


「抱っこ! しっ仕方ないから、抱っこで許してあげるわ」


 なぜか少し目線を逸らして。恥ずかしそうにそう告げる澪だが。


 いやいや……なにこれツンデレのつもりか。

 いや……あれがツンなのか、飛び膝蹴りが……っでこれはデレなのか……。


 俺が呆れて無言で澪を見つめている。澪は顔を少しずつリンゴ色に染め上げていく。


「はい、ドーーン」

「ひゃあーー」


 桜の無情の吹き飛ばし技――体重が軽い澪は、石ころの様に吹っ飛んだ。

 しかし、やばい……桜の顔が怖すぎる。ハイライトが完璧に消えてるよ桜。……桜の背後に見える龍は炎を吐いている気がする。


「何するのよ!!!!」

「なに、お兄様に甘えてるんですか!!!」


 見ての通りこの二人は犬猿の仲である。

 しかし、これ以上は……家の中がぐちゃぐちゃになる――――仕方ない。


「はいはい!! 終わり〜終わり! 澪はなんで俺の家に来たんだ」


 桜は頬をパンパンにさせながら、ずっと澪を見ていた。フンっと一言声を漏らした後、澪は落ちついた。

 そして、指先を桜に突き付けて――


「学園へ行くつもりでしょう!!」

「なっ!! どこでそれを知った!!」

「どうどうどう、桜」


 桜が澪に今にも、飛び掛かりそうだったので、俺は桜の頭を撫で撫でした。それを見た、澪は片頬を膨らませる。


「むぅ〜私がもう入学手続きは済ませたから明後日には登校しなさい!! これは決定!!!」


 桜はまるで「いいでしょ? 撫で撫で」とでも言うように、無言でニヒルな顔をして澪を見ていた。

 澪は我慢を我慢をしながら、そういい切った。


 登校だと、しかも二日後……。


 俺以上に驚いているのは桜だった。澪は本当に思い立ったらなんやらだな。


「みお!!!!」

「はっはっはっ! 私の勝ち! ざまぁ桜!!」


 勝ち誇った顔をし、高笑いする澪。――

 いかん、いかん、この流れだと、また桜と澪は喧嘩する。


 俺はすかさず言葉を入れた。


「澪、お前、あんまりコネを使わない方がいいぞ! まぁ、だが、ありがとうな澪。早い方が確かに良かったかもしれない」


「べべべべべ別にたまたまだし、なんとなくだし、流れだし、とりあえず!!! 私もアルカディア初めたからフレンド登録するからね!!」


 澪は髪の毛を指で触りながら俺に目線をチラチラしている。

 澪がアルカディアか――アルカディアを好きじゃない澪がな。


「わかった! 会ったら直ぐに申請をする」

「じゃあ、私は帰るから今日もダイブする予定だし。あっそうそう私のキャラ名()()()だからよろしくね! さようなら」


 そう告げると、そそくさと去っていく澪。嵐のような女である。


 エレナか――――いや、まさかな。


「お兄様、申し訳ありません。多分、私が理事長にお話をしたのを澪は聞き出したのかと」


 なるほどな、そういう事か。


「桜もありがとうな」

「お兄様!」


 桜は少ししょんぼりしながら頭を下げるが、直ぐに喜色を見せて俺にくっつく桜。


 澪と桜は同い年である。二人はシリウス学園と言う所に通っている。

 その学園の理事長は澪の母親である。中神家はなかなかの名家なのである。


「あと――二日か」


 勝手に事が進んでいくのを流されては行けないと思いながらも、内心ため息をまたつく俺だった。



読者のみなさまへ


 お読みいただきありがとうございます! 


「面白かった」

「続きが気になる」


と思われた方は、よろしければ、広告の下にある『☆☆☆☆☆』の評価、『ブックマーク』への登録で作品への応援をよろしくお願いします!


 執筆の励みになりますし、なにより嬉しいです!

 またお越しを心よりお待ち申し上げております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマークと評価ポイントが励みになります│˶˙ᵕ˙˶)ポチっとよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 主人公にもわからないことだらけな上に現在の疑問に補足する形で過去の出来事の設定が追加されてその上でその出来事も不明瞭な点が残されているので不明不明&不明 メインの疑問が解決しないのは作…
[良い点] ゲームのシステムがしっかりしていて、PvPの仕組みなどMMOをやられている方なのだろうと思います。 私も対人要素があるゲームが好きなので、この小説はとても面白いです! [気になる点] サン…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ