表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/61

第一章18 『パーティ』

 このベンチに腰を下ろしてからどれだけ時間が過ぎただろうか。いや実際あんまり経っていないのだろう。食事を終えてから俺とシャロの無言の時間が続いた。


 とりあえず確認してみるか――俺はシャロのステータスを確認した。


 ===============

 PN:シャロ<獣人族(ビースト)

 LV:1 JOB:冒険者

 ===============


 名前はやはりシャロだな。先程からシャロの無言の視線ビームが痛い。


「あのシャロ」

「はい、マスター」


 シャロは表情も声色も一切変わらない。気持ちを読み取る方法は、けもみみとしっぽの動きのみだ。


 俺がシャロと名前を呼んだ後、なぜか尋常じゃないほど、しっぽをフリフリしている。


 嬉しいのだろうか。


「その……なぜ俺の事をマスターと呼んでいるんだ?」

「マスターはマスターです」

「知り合いとか……帰る場所とかないのか?」

「マスターの側が私の帰る場所です」


 と言われて俺は内心、汗がダラダラである。俺の問いに迷いも見せず、当たり前の様に話すシャロ。

 しかしながらシャロの瞳は本当にそう思っている。瞳は雄弁とはよく言ったものだ……。


 とりあえず俺はシャロの事を何も知らない。それだとしてもシャロを邪険にするのは良くない。

 今後もしかしたら、俺の事を嫌ってマスターとか言わなくなるかもしれない。


 これはおむすびの恩恵だろう。シャロの好きにさせよう。もしかしたら、シャロにも退っ引きならぬ事情があるのかもしれない。


「とりあえずシャロ、何かしたいことはあるかい?」

「マスターの側に居たいです」


 いやいや、そんなこと言って……そんな瞳で見られても……。

 けもみみぴょこぴょこでじっ――かっかわいゆい、と思ってしまった。


「そうか――じゃあ俺と一緒に冒険者やるかい?」

「はい、マスター」


 とりあえず俺とシャロは一度ギルドに寄った。シャロはランク登録をまだしていなかったのでそうなった。

 シャロは完璧に初心者、装備もレベルもだ。


 それから冒険者ギルドでFランクの申請だけして、俺達は冒険者ギルドから立ち去った。


 俺は少し気になった。シャロのギルド内での立ち回り方が、なぜか慣れている様な気がする。

 ん〜これは俺の感だが――雰囲気、まるで歴戦の冒険者のように感じだ。


 シャロは種族が獣人族(ビースト)なので、間違いなくNPCである。アルカディアは知ってのとおり四種族存在している。


 ステータスが平均的な人族(ヒューマン)

 INT、DEXに特化している魔法型の耳長族(エルフ)族。

 STR、VIT、AGIに特化している獣人族(ビースト)

 LUKはかなり低いが、人族(ヒューマン)よりもオールマイティで無限のMPを待つ機械人形(メカ)


 これを見たら人族(ヒューマン)が不利なのはわかる。アルカディアは人族(ヒューマン)以外が強いゲームなのだ。


 STR:物理攻撃に影響。

 INT:魔法攻撃に影響。

 VIT:最大HPと防御力に影響。

 AGI:移動速度と攻撃速度と回避に影響。

 DEX:スキル命中と魔法詠唱速度に影響。

 CRT:クリティカル率に影響。

 LUK:ドロップ率などに影響。


 NPCはHPがゼロになるとプレイヤーと同じように、十二時間出現しない。条件や影響などはプレイヤーと全く一緒である。


「シャロはどの職業になりたいんだ?」

「賢者です」


 俺の質問に即答するシャロ。シャロが賢者か……。


「シャロ、スキルポイントの50はもう使った?」

「INTに全て使いました」

「なっ、なるほど」


 本当にシャロは賢者になるつもりだ。

 INT、DEXに振り、少しVITに振る。これが理想のパーティ魔法職。


 初めたばかりの冒険者にはスキルはない。スキルを増やすにはスクロールやクエストによって増える。

 もしくは一次職になれば自動的にスキルは貰える。

 まぁとりあえずシャロを15レベルにして一次職のメイジにするしかない。


 俺はサラを探すのが目的なのに、なぜかこのシャロが放っておけない。

 これは浮気ではない。まぁ……サラは片思いだけど。


 シャロはどこかサラに似ている。無口のところやジト目や感情を表さないところ。しかし、見た目は違う。


 これは何かの縁だ。そうだ。

 こんなの可愛い子がマスターっと言ってくれるんだ。二度言うが浮気ではない。


「マスター行先は草原ですか?」

「あぁそうだ! リーマン草原だ」

 


 ===============

 シャロからパーティ申請が来ました。

 ===============



 ――――早速来たな、さすがシャロだ。


 この表記された名前に関しては、自己申告制である。偽りの名前でパーティー申請する事も出来る。

 パーティ申請をする方法は、目視できる相手にパーティ申請と頭か口頭で唱えるだけである。その時に好きな名前を使える。


 これもアルカディアの不思議な所である。


 パーティに入ると、誰が倒したとしてもアイテムは自動分配され、経験値は平等に渡される。アンコモン以上のアイテムなどはバラバラだが。


 狩りをする前に装備をロッドかショートソードに変えた方がいいな。さすがに武器が銃だとかなり目立つ。

 ステータスが高い俺なら初心者装備でも十分にここのモンスターなら倒せるが。


 俺はメニューからアイテムボックスを開いて、装備をブラッド漆黒からショートソードに変更しようとした。



 ===============

 装備できません。

 ===============


 えっ――じゃあ次はロッドだ。


 ===============

 装備できません。

 ===============


 ――ぇええええええ!!!

 もしかして……この職業は銃しか装備できないとか。



 俺はこの後、知ることになる。

 この職業の縛りを――――




読者のみなさまへ


 お読みいただきありがとうございます! 


「面白かった」

「続きが気になる」


と思われた方は、よろしければ、広告の下にある『☆☆☆☆☆』の評価、『ブックマーク』への登録で作品への応援をよろしくお願いします!


 執筆の励みになりますし、なにより嬉しいです!

 またお越しを心よりお待ち申し上げております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマークと評価ポイントが励みになります│˶˙ᵕ˙˶)ポチっとよろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
[一言]  復讐を誓う敵さんの裏で主人公はカワイイNPCとイチャイチャ、話に起伏が有っていいですね。いくら相手がNPCでも主人公が慕われるのは読み手としてニヤニヤポイントだし、こういう展開はすごく好き…
[良い点] 浮気ではないし、銀髪けもみみ美少女大好きという2度に渡るライト君の宣誓、確かに承りました。 ……ふぅん(ニヤリ) さて、いつもながら世界観や説明を丁寧に書いて頂けているおかげで、初心者の…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ