四天竜の関係
『おいギルシュ、今日もボッチか!』
『違う。考え事をしてるだけ』
『考え事?悩み事だな!オレに相談してみろ!』
『兄さんはいつもそう言って僕についてくるよね。そういうのなんて言うか知ってる?』
『弟想い、だろ?』
『・・・』
『違うか?じゃあ親切だな!』
『・・・・ストーカー・・・・・って言うんだよ?』
『!?や、やめろ、そんな目でオレを見るなぁ!黒歴史がぁ!』
これは・・・?
ああ、弟か。他のやつはどこにいたんだっけ。
『相変わらず騒がしいわぁ』
『姉さん』
『お、テぺス!聞いてくれよ、ギルシュがオレをストーカーって!』
『どっからどう見てもストーカーやろ。ギルシュの言う通りや』
『何だと!?』
これはいつの記憶だったか。最近・・・いや、数年前か。
オレら竜はめちゃくちゃ長生きだから数年は数日くらいにしか感じないしそもそも約束とかが限り時間を気にすることはない。気づけば文明が変わっていたというのもよくある話だ。
話が逸れたがこの記憶はあいつら・・・悪魔に襲撃される前のものだ。
みんなで馬鹿なことをしようとしてたんだっけ。
『・・・・・・うるさい』
『なんだ、モルフェルもいたのか』
ここで整理しておこう。
オレこと長男 炎竜ギルドラド。
オレをストーカー呼ばわりした水色の鱗が綺麗な次男 水竜ギルシュ。
そしてギルシュに続いて変な話し方でオレをストーカーと言った若葉色の鱗を持つ長女 風竜テぺス。
最後に地中から出てきたのが次女で茶色い鱗を持つ末っ子の 地竜モルフェル。
両親はいない。本来ならば一人前になるまでは両親がいるのが普通だが悪魔どもに殺されてしまった。そしてそのままオレたちも悪魔に殺されるはずだったのだが、なぜかオレたち兄妹全員が四天竜に選ばれた。
その頃からそれぞれの個性が出てきて戸惑うことはあったが仲良く静かに暮らしていた。
あの日までは。
「ぐふふ、四天竜が生まれたと聞いて来てみましたがまだ子供じゃないですか」
『ッ!お前は!』
両親を殺した悪魔どもを指揮していたでっぷりと太った気持ち悪い悪魔だ。
「ぐふふ、別に殺してもいいのですがせっかくの四天竜なので使わせていただきましょう。そうですねぇ、そこの若葉色の竜、わたくしの仲間になりなさい」
何言ってんだこいつ。
仲間になるわけが・・・
『ぐあっ!』
弟の悲鳴が聞こえた。見るとテぺスがギルシュの首筋に嚙みついていた。
『おい、何を・・・うぐっ!』
今度はモルフェルがオレに死角から嚙みついてきた。いったいどうなっている?
「あっはははは!家族同士で殺させあうのは実に気味がいい!」
『なにを・・・』
なんとか逃げたが血が止まらない。生命力が強い竜でも出血多量で簡単に死ぬ。
回復できたらいいんだがそもそも魔法が使えない。
「そうですねえ、わたくしの仲間になる前に種明かしをしましょうか。彼女たちの中に眠る憎悪を増幅させてその矛先をあなたやちへ向けただけです。さすがにアスモデウスほど強固で絶対の忠誠を誓わせる解けることのない洗脳は無理ですが少しでも時間があれば継続的に暴走させられる魔物を寄生させることができるので破壊兵器の制作にちょうどいいんです」
こいつ、オレたちのことを道具としか見ていない。
反撃しようと試みたがすでに意識が朦朧としていたため何もできなかった。
「安心してください、気が付いた時にはすべて終わっていますから」
『や・・・やめ・・・ろ・・・・』
あいつの手がオレへと伸びてきて視界と意識が同時に闇に包まれた。
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「・・・・・いつになったら起きるんだ」
誰かの声が聞こえる。
あれ?オレはさっきまで何をしていたんだ?何か夢を見ていた気がするが・・・。
「暴走しすぎて消耗したんじゃろ。しかし、三日たっても眠ったままとはのお」
三日?暴走?
・・・・・・ああそうだ、オレはあの太った悪魔に・・・。
!弟たちはどこだ!?
『みんなどこだ!?』
「うおっ!?」
「ひえっ、耳が潰れるかと思うた」
目を開けると白い髪の人間と年寄り染みた喋り方をする人間の子供がいた。
誰だこいつら?
まあいい、人間からいろいろと聞き出そう。人間から何かを聞く方法は両親が教えてくれた。
『矮小なニンゲンよ、我の問いに答えよ』
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『矮小なニンゲンよ、我の問いに答えよ』
何かいきなり飛び起きたかと思えば偉そうな態度で言ってきた深紅の竜。
低い声だが私には子供が大人のフリをしているようにしか見えない。オートたち人間には竜の顔や年齢が分かりにくいらしいが私には一目瞭然で分かる。
恥ずかしいが転生したばかりの時のようにこっちも偉そうな態度で接しよう。
「ほう、我が何者かと知っての態度か」
『はっ、我ら竜からすれば人間など等しく矮小な存在だ』
「矮小か。我には四天竜でありながら悪魔の手先に成り下がる貴様の方が矮小な存在に見えるが」
『なんだと貴様』
「我は正直者でな、本当のことしか言えんのだ」
シュタットがなぜか笑いを堪えている。
『貴様・・・』
そろそろ種明かししようかな。いろいろと聞きたいことがある。
「言い忘れたが我は人間ではない」
そう言いながら白銀に輝く竜となる。
いきなり自分より一回りほど大きくなった私を見てギルドラドがあんぐりと口を開けている。
『我のことを矮小と言ったな、ならば貴様は我よりも強いようだな?』
ニヤリと笑いながら言うとギルドラドが怯えたような表情をした。
もう少しいじりたいがかわいそうかなと思いやめることにした。
『ふっ、そう怯えるな。取って食おうなどど思ってないぞ。私に何か聞きたいことがあるそうだな』
微笑えみながら(人間からすると表情が変わったことすら分からないらしいが)尋ねるとギルドラドは呆然としながらつぶやいた。
『て・・・天竜様・・・』
やはり私は天竜らしい。天竜って何者なんだろうか。
属性も良く分からない。私は一応全属性使えるしどの属性が使いやすくてどの属性が使いにくいなどがないため分からない。
おそらく光系統だろうと思うがどうなのだろう。
『ああ、別に畏まる必要はない。普段の様子で接してくれ。それとも私が人間の方が話しやすいか?』
『・・・・いえ、そのままで構いませんが、よろしいのですか?』
『構わんよ』
『・・・・じゃあそうさせてもらおう。オレたちが四天竜なのは知ってると思うが、全員がオレの弟や妹なんだ。そいつらも悪魔に操られているに違いねぇ。お前ら人間は悪魔のことに詳しそうだから何か聞けると思ったんだ』
『だそうだが、シュタットは何か知ってるか?悪魔というのはおそらくマモンだろうが』
「知ってるも何も話が分からん。お主らが唸っていることしか分からなかったぞ」
あ、確かに私は『念話』ではなく普通に会話していた。竜語、とでも言うべきもので会話していた。
シュタットに話の内容を説明するとシュタットは頷いた。
「確かに四天竜を操っているのはマモンじゃが、アスモデウスのように命令できるわけではない。ただ暴れさせるだけじゃからの。もしかすると管理のためにアスモデウスが支配している可能性もある」
『もしそうなら・・・』
「もうどうしようもない。アスモデウスの支配は決して解けることはない。支配の上書きすらできん」
アスモデウスが一応味方でよかった。敵の時に騎士団の連中を支配されていては終わりだったな。
「アスモデウスなら詳しいことを知っているやもしれん」
アスモデウスに話を聞きに行くことになった。




