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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
七章 天空世界
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炎獄竜ギルドラド

白銀に輝く竜になり島から離れる。


島が見えなくなるところまで来たので実験をしよう。


進化?してから全体のスペックが上がったので今までできなかったことをしてみようと思う。

今までは魔法の並列同時起動はできるが維持が難しかったが進化してからは簡単になった。これを応用して二つの魔法を組み合わせて特殊な魔法を創ろうと思う。

『創造魔法』でゼロから創ってもいいのだがこれで創るとどんな魔法であろうと行使が難しくなるので二つの魔法を組み合わせて一つにしたほうがいい。


試しに『竜巻』と『火炎』を混ぜると炎の竜巻ができた。さらに炎と水を組み合わせるとゆらゆらと燃える熱さを感じない炎ができた。


少し難しいが創ってしまえば簡単だ。


次は必殺技を試してみよう。


ゆっくり息を吸って口に中に魔力を集めて圧縮する。あとは咆哮と共に全力で吐き出すだけ。

被害が出ないように上へ向けて放つ。


「GRUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


『天竜咆哮・白雷』


口の前から数え切れないほどの何筋もの蒼白の稲妻が辺りを白く染め上げながら天へ放たれる。あまりの威力に空一面を覆っていた雲が全部蒸発した。


「・・・・はぁ」


力を入れすぎたようだ。喉が痛いし体もだるい。

かなり弱めに同じ技をすると今度は目の前で線香花火のように静電気がパチパチしただけだった。調整が難しい。


「むぅ・・・」


当たり前だが魔力消費もかなり多い。威力に関係なく同じ量を消費するようだ。


これに魔法を組み合わせたらどうなるだろう。


「!?GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


痛い痛い痛い!


頭の中から誰かが破壊しようとしているかのようだ。


空中でしばらくのたうち回ってようやく痛みが引いてきた。


感覚で理解できたが必殺技は普通の魔法とは全く別物の何かでありいじろうとすると拒否反応のような物が起こるようだ。確かにデフォルトでもおかしい威力なのにさらに強化されたら冗談抜きで世界が終わる。


あと今気づいたが一回使うと再び使えるようになるまで時間がかかるらしく、一定時間が経過していないにも関わらず使用すると消費魔力が跳ね上がる。

私はよほどのことがないかぎり魔力切れで動けなくなるが使うのはやめておこう。


『・・・帰るか』


疲れた。


「!」


危険を察知して急降下する。私の真上ギリギリで巨大な火球が飛んで行った。


『何者だ』


飛んできた方向へ『念話』で話しかける。


「GURUUUUUUU・・・・」


見ると私より一回りほど小さい深紅の竜がいた。私のように手の部分が翼になっている。なんとなく進化前の私に似ている。

その竜は私を睨みつけながら唸っていた。


『私が何かしたか?』


やったことと言えば空の雲を蒸発させたぐらいだが。


「GAAA!」


『話し合いに応じるつもりはないか』


なんとなくだがこの竜、暴走しているだけな気がする。

目が胡乱で意識がはっきりしている様子もない。


しかしなぜこうなっているのかが分からない。毒でも呪いでもなさそうだ。


とりあえず鎮圧しよう。


風魔法を使い真上へ飛び上がり旋回する。

相手も足元で小さな爆発を起こし追いかけてくる。


二頭の竜が旋回し竜巻が発生する。風のおかげで飛びやすく動きやすい。


「GAAAA!」


相手が嚙みつこうとしてくるのを捻って避けて尻尾を叩きつける。


しかし相手も細かい所は違えど私と同じ竜なので大したダメージにはなっていないようだ。


『むっ』


相手が裏返り私に抱き着き全身が炎となった。私の全身を焼き尽くし飲み込むかのように燃え盛っている。


もがいて逃れるが厄介なことに炎が消えない。かなり熱いし炎のせいで視界が悪い。

水魔法で消火を試みたがまったく消えなかった。ナパームか何かだろうか。

ナパーム弾による炎を消化するにはガソリン用消火器か界面活性剤入りの水が必要なのだがそんなものない。

おまけに超高温で燃焼のために酸素を異常に取り込むため燃えている場所から離れていても酸欠になるという極めて凶悪な兵器の炎である。


この炎はなるべく早く消火しなければ全身が大やけどだ。鱗と皮膚のおかげで耐えているがすぐに限界を迎えるだろう。


・・・・もしかしたら鎮圧できればこの炎も消えるかもしれない。


『火には無酸素だ』


いまだに燃えている敵の竜を中心に『真空結界』を発動させる。


前世ではよく生身で真空の場所にいると爆死するとか凍るとか言われているがそれらは正確ではない。

人間の体は内側から爆発させられるほどの圧力がないし一瞬で凍ることもない。


しかし危険なのは事実なので火が消えたら出すことにする。


「・・・・・・・・!!!」


真空の中で火が消えた深紅の竜がのたうち回っている。はやく気絶してくれないと殺してしまう。

この魔法は対生物ではなく実験用なので手加減できない。


しばらくして動かなくなったので結界の一部に穴を開けて空気を入れる。一気に解放すると空気の流れが大変なことになるかもしれないと思ったからだ。


落下する前に私の背中で受け止める。


『重っ!』


まるで中身がぎっしり詰まった巨大岩石だ。


様子を見ると伸びてはいるが死んではいない。しかし起きてまた暴れられては困るのでちょっと調べさせてもらう。


『・・・・ふむ』


頭の鱗の隙間に小さな魔物がいた。


「ピギッ!?」


私に気づくと一瞬驚いたがすぐに私に飛び掛かってきた。


何をするのかと思ったら私の頭に登って何かし始めた。


『シタガエ!シタガエ!』


頭の中に『念話』のように声が響いてきた。不快な声なはずなのになぜが心が安らぎ従いたくなる。


いかんいかん、さっさと始末しよう。


乱暴に頭を振って落とす。


「ピャアアアアア・・・・・・」


奇声を発しながら落ちていった。


これでこの竜はもう暴れたりしないだろう。


神殿へ持ち帰り月光が差し込む広場の中心に寝かせる。


私も隅で眠ろうとするとシュタットがやってきた。


「なんじゃ、また何かトラブルか」


『何だその私がトラブルメーカーかのような言い方は』


「実際そうじゃろう?アスモデウス、子供たち、そして・・・・」


途中まで言いかけたシュタットが広場の中央にいる深紅の竜をまじまじと見始めた。


『どうした?』


「・・・・お主、この竜は何をしていた?」


なんだいきなり。


『突然私に火球を飛ばしてきたかと思えば攻撃してきて全身が炎になったりしたな』


「やはりそうか・・・」


『何か知っているのか?』


「知っておるとも。この竜は『炎獄竜ギルドラド』という竜じゃ。《強欲》の悪魔マモンが支配していた竜じゃ」


『支配?支配するのはアスモデウスの能力じゃないのか?』


「確かにアスモデウスの能力は支配じゃが大悪魔は全員支配する能力を持っておる。尤も、アスモデウスが一番支配力が強いのはもちろんじゃが悪魔によって支配の仕方が変わり強さも異なる。《強欲》の場合は潜在的な欲望を無理矢理増幅させたのじゃろう」


暴走するような欲望を増幅させたのだろうか?


「なんにせよ、四天竜のうちの一柱を取り戻せたのはいい事じゃ。存分に働いてもらおう」


四天竜・・・基本四属性から来ているのだとすればあとは水、風、地の三つだろうか。


しかしそれなら私はどうなるのだろう。色で見分けるのなら私は白いから光とかになるのだろうか。その場合闇もあると思うが。


「万が一お主が悪魔に支配されれば『天獄竜』になるかもしれんの。そうそう、悪魔に属する竜は皆最初に属性に『獄竜』が付く。例として、水なら『水獄竜』じゃ」


シュタットの言い方に従うなら私は光ではなく天になるのだろうか。天ってどういう属性なのだろう。


「ないとは思うがくれぐれも天獄竜に堕ちるでないぞ。お主が堕ちたらみんな一巻の終わりじゃ」


よほどのことがないかぎりは大丈夫だと思う。


シュタットが帰ったので私も寝るとしよう。


食堂がある方向から賑やかな声が聞こえていた。

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