表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
七章 天空世界
96/121

閑話 通じる(狂気の)思い

「はあ・・・」


「ため息多いですね」


「仕方ないですよ」


アリアちゃんがため息が多いっていうけどアリアちゃんもここへ来るまでに何度もため息ついてたよね。リリアちゃんもけっこうため息ついてたけど。


今いるのはシュラの住処。いや・・・元、かな。


シュラがいなくなって一ヶ月が経ってもうみんなシュラは死んだと思っている。いまだに認めていないのは私たち三人だけ。


時々ここへきてはノートにそれぞれの思いを書いて森の景色を眺めている。シュラと見たときは大自然の雄大さが感じられた景色もシュラが居なければ大事な何かが欠けた不完全な芸術作品に見える。


「・・・リリア女王」


「なんですか」


「そこの変態猫をどう思いますか」


「変態!?」


とうとう正面から言われるようになった。私のどこが変態だって言うの。


「変態・・・ですか?」


「そうだよ!いくらアリアちゃんでも怒るよ!?フシャーッ!」


「ヴヴヴヴ・・・」


威嚇しあうアリアちゃんと私。獣人は興奮すると獣みたいになる。


「いつもいつもこれ見よがしに果実見せつけやがって・・・」


「口調が乱れてますよ。二人とも落ち着いてください。爪を隠して、アリアさんは牙を隠してください。・・・・・・ですがいつも見せつけるのは私も感心しませんね」


だって猫だから動きやすい方がいいし風や気配を肌で感じたいんだもん。露出が多くなるのは仕方ない。


前世の私がいつも恥ずかしいとか言ってるけど今の私、キャロルは気にしてない。


「話がそれましたが、今日もノートに書きに来たんでしょう?」


そう言えばそうだった。今日は何を書こうかな。


爪を隠して逆立った毛を直してノートを開けて筆を取る。


-------------------------


「ううう・・・ひぐっ」


書いてると悲しくなってきた。


書くたびにシュラのことを思い出して、悲しくて、寂しくて、胸が苦しくなる。


本当に、どこへ行ったの。

どうしようもない気持ちをどこにぶつけたらいいの。


ハルちゃんを責める気は微塵もない。あれはただの事故だったから。でも、ハルちゃんが余計なことをしなければとも思ってしまう。


ノートは私だけでなく他の二人の涙も滲んでいて、インクがぼやけたり紙がふやけたりしている。


私が書き終わった後、二人とも暗い顔をしながら書き終えた。


『早く戻ってきてよ。早く戻ってこないと何するか分からないよ?』


『最近王都の犯罪率が増えてきています。部下が無の・・・多忙なのか私に上がってくるまでに情報が整理されておらず毎日大量の書類の山に囲まれています。助けてください』


『早く帰ってこい、さもなければ叩き潰す』


相変わらずアリアちゃんの内容がおかしい。リリアちゃんも部下のことを無能って言いかけてるし。まともなの私だけじゃないかな?


アリアちゃんも最初は『師匠、どこにいるんですか』とか『心配させないでください』とかだったのに、いつからか内容がおかしくなってきた。


会話でも日常生活でも狂気どころか不安しか感じないのに書く内容は若干狂気じみていることがある。


あとリリアちゃん、女王なんだから書類ぐらいで助けを求めないでよ。宰相とか側近とか手伝ってくれる人いるでしょ。


アリアちゃん、闇堕ちしたりしないよね?


-------------------------


「・・・アリアちゃん・・・・」


どうして。


「どうしてこんなことをしたの?」


答えは返ってこない。答える気すらないと思う。


「いくらなんでもやりすぎだよ」


約束したじゃない。


「気持ちは分かるけどさ・・・・」


こんなの。


こんなの・・・・・・・。














「怖すぎるよー!!!!」


ノートには一面びっしりと・・・。


『サミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイサミシイ』


と書かれていた。『サミシイ』が多すぎるよ。


ちなみにアリアちゃんはぐっすり眠っている。それはもう天使のような寝顔で。


約束とはノートに指定された時間以外または一人で何か書くときはみんなに伝えるっていうのと文は短くするの二つだけ。


アリアちゃんは私たちに内緒で書いて一面にびっしりと書いている。


そして最後に小さく『ろこすろこすろこす』って書いてあった。


これって「こ」から逆に読むと「殺す」だよね。


子供が殺すなんて言っちゃいけません!


後で聞いたけど、


「こういうのは狂気的な方が伝わるんです」


と真顔で言われた。


「それに・・・・・す・・・・好きな師匠を殺すわけないじゃないですか・・・・」


軽くうつむいて頬を染めてもじもじしながら言うアリアちゃんは実にあざとかった。


こ、これをシュラに見せると私が負けてしまう・・・・。


・・・・そうだ。


私にはあってアリアちゃんにはない女の魅力。果実だ。


「ふへへへへ」


「なんです急に」


独自開発した豊胸マッサージならぬ貧胸マッサージを受けるがいい!


「ひゃあっ!?」


アリアちゃんが驚いて逃げようとするけど逃がさない。がっちり固定してやる。


「んっ・・・・や・・・・やあ・・・・・・やめ・・・・あっ」


「ほれほれ」


「んん・・・・ふぅ、はあっ・・・・やめ・・・・ひっ・・・・あああっ」


見た目は子供のくせに大人な艶やかな声を出すアリアちゃん。


もっと子供になるがいい。


「ひうっ!」


ビクッと震えるアリアちゃん。そろそろいいかな?


「はあっはあっ・・・んっ・・・はぁ・・・」


「っ!」


こ、こいつ・・・!


ベッドに倒れこんだせいで寝間着のゆったりした服がはだけて肩とか太ももの素肌が見えて顔を真っ赤にして狼耳をぺたんと倒らせて汗のせいで妙に艶っぽい!


尻尾もしんなりしていて全体的に見ると実に艶っぽく保護欲をそそる・・・!


そ、そんな・・・こ。こんな子供に・・・・魅力で負けた・・・・。


悔しくなって獣人の弱点である尻尾とその付け根をくすぐる。


「んあああああああっ!」


何か大げさにビクッビクッと震えたと思ったら急にぐったりして動かなくなった。


「アリア・・・ちゃん?」


私も女だけど何か私がアリアちゃんを襲ったみたいに見える。


ゆすっても反応しないどころか糸の切れた人形のように何の抵抗もなかった。息はしてるみたいだけど心配になる。


・・・・変な気になってないよね?


確認したけど何も問題なかった。あったら大問題になるところだった。


・・・。


とりあえずいつものアリアちゃんだった。今は「いつもの」とは程遠いけど、闇堕ちしていないようでよかった。


-------------------------


『なんだ!?』


「ひっ!?」


『ああすまん、急に怖気を感じたのでな』


「怖気?」


『ああ。誰かがずっと「サミシイサミシイ」って言っている気がする』


「こわ!」


『私もだ』


この世界にも心霊現象があるのだろうか。

アリアの狂気的な思いはちゃんと主人公に伝わったようです。


他のは伝わってません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ