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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
七章 天空世界
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アスモデウスと《純潔》の騎士メタトロン

「シュラさ・・・・」


あ。


「何奴!」


見知らぬ男が美女を踏んずけており、その美女が悪魔なので警戒するのはしかたない。杖を構えている。


竜になった方がはやいかもしれない。


「シュラ様!?」


『アスモデウスが侵入してきたから倒した』


「アスモデウス!?おばば様に連絡してきます!」


「ああ・・・その竜の足で踏みつけてぇ・・・」


何か言っているが無視しよう。


彼女はこれからどうなるのだろう。

私としてはこの悪魔は生かしておきたい。内通者として悪魔の情報を流してもらい、戦いを有利にすることができるかもしれない。

しかし人間たちからすればアスモデウスは大悪魔の一人のうえに仲間を支配されたり殺されたりした者も多いだろう。その者が助命を認めるとは思えないな。


仇を取るか内通者として利用するかの二択。


別に私が悪魔に変装してもいいのだが、本物でしかもトップの悪魔がいたほうが圧倒的に有利だ。


「死ぬのはごめんだわぁ」


『さんざん殺しておいて言うのがそれか』


「ご主人様も同じでしょ?」


『ご主人様はやめろ。私も死ぬのはもちろん嫌だが死ぬべきならば自ら命を絶つぐらいの覚悟はある』


もとより一度死んでこうして転生している時点で普通はありえない。本来ならば『私』という魂はあるだろうが自我や記憶はなくなるはずだった。

殺されるのなら抵抗はするが私が死んだ方がいいのなら死ぬ。


「おばば様、こちらです!」


「・・・・驚いたのぉ。まさか本当にアスモデウスとは」


シュタットの後ろにはこの世界に来たとき攻撃してきたおっさんと数十名の騎士、それと他の者とは違う純白の何の飾り気もないフルプレートアーマーを着た騎士がいた。


「あの野郎・・・」


「隊長、おばば様、俺がやってもいいですか」


純白の騎士が前にでる。


「構わんよ、《純潔》メタトロンよ」


悪魔が七大罪なら人間は七美徳なのだろうか。本来七大罪と七美徳は対となるものではないのだが。


しかしできれば殺してほしくない。


『殺すのはまだにしてほしい』


「・・・なぜじゃ?その悪魔に魅入られでもしたか」


『そういうわけではない。アスモデウスには内通者として悪魔の情報を流してもらったり潜入の手伝いをしてもらう』


私の提案に騎士たちがざわめく。敵のトップの助命を提案されたのだから無理もない。


「ふざけんな!俺の家族はそいつに殺されたんだ!」


「そうだ!俺もそいつが俺の彼女に憑いて悪事を働いたせいで彼女は罪悪感で自殺したんだ!」


「生かす理由などない!」


『・・・ずいぶんと嫌われているな』


「褒め言葉として受け取っておくわぁ」


しかし困った。私の中では悪魔たちの本拠地へ行くのはほぼ確定しているのでアスモデウスが殺されるとリスクを冒す必要がある。


「まあ待て」


「しかしおばば様・・・」


「待てと言っておる」


シュタットは話を聞いてくれそうだ。


「シュラよ、アスモデウスが裏切らないという保証はないじゃろう」


『そのことは私の魔法で何とかするつもりだ。私たちを裏切るのなら命を奪うだけだ』


「アスモデウスが演技をしている可能性は?」


『それはないな』


「なぜ分かる?」


『アスモデウスの態度だが、見せるわけにはいかないし見たくない』


私がドSと勘違いされる可能性がある。


「見せなければ信用できんぞい」


『どうしてもか?』


「そうじゃ」


『・・・』


真剣なので気は進まないが・・・・信用してもらうためなら仕方ない。アスモデウスが期待に満ちた目をしている。


・・・・・・・・・・・。


ぐりぐりぐりぐりぐり。


「あああっだめええええええええっ・・・あんっ」


語尾どころか文字すべてにハートマークがついていそうな声で嬌声を上げて身もだえするアスモデウス。


竜の私は手加減していてもかなりの力がでるのだが余裕で耐えるどころか傷一つつかないアスモデウスの皮膚はどうなっているんだろうか。


「はぁ、はぁ・・・もっとぉ・・・ご主人様ぁ」


相変わらず甘ったるい声とハートの目。


シュタットたち全員が信じられないものを見る目で見ている。


『勘違いされては困るから言っておくが私にそういう趣味は微塵もない』


「・・・」


『・・・・それで信用してもらえたか?』


一番早く我に返ったシュタットが思案顔で考え込んだ後こう答えた。


「いう事を聞かなければ嬲ればいいのじゃな。お主の言う魔法で縛りつければいいじゃろう」


「おばば様!?こいつを生かすと言うのですか!?」


「俺は納得できません!」


「お主らの言いたいこともようわかる。だがな、今は仇を討つよりも利用すべきじゃ。殺すのはすべてが終わってからにせい」


騎士たちはほぼ全員が不満そうだ。中でも一番不満そうなのが《純潔》のメタトロンだ。


「・・・・・・俺は認めんぞ」


殺意のこもった目でなぜか私を見ている。


「お前はどうせ邪竜なのだろう!魔法か何かで偽っているだけだ!」


『何をどう思うかは人それぞれだが私は邪竜ではないぞ。間違ったことを思い込むな』


「黙れ!お前が居なければその悪魔の仇を取れたんだ!」


『何があったのかは知らんが仇を討つのはすべてが終わってからだと聞いたはずだ』


「そうじゃ、少し落ち着け、メタトロンよ」


「・・・」


怒気ではなく殺意をにじませた形相で私を睨んでから神殿から出ていった。


過去にアスモデウスと何があったのかは知らないが私はアスモデウスを利用しようと提案しただけで私を邪竜だと決めつけるのはおかしい。彼は今後注意するべきだろう。


どこかで暗殺されるかもしれないな。よほどのことがない限り私はそう簡単に死なないが。


「すまんな、メタトロンは思い込みがはげしくてのぉ・・・過去にアスモデウスに家族や友人を玩具にされて殺し合いをさせられた挙句最後には他の悪魔によって皆殺しにされたんじゃ。そのことがトラウマになって悪魔や悪魔に味方する者すべてに激しい憎悪を抱いておるんじゃ」


『大丈夫なのかそれ』


「一応騎士としてはトップにふさわしい実力を持っておるし実績もあるからのぉ。メタトロンはアスモデウスが関係することに対しては異常なほどの執着や実力を発揮するから対となる《純潔》の座についておる。お主はメタトロンに完全に敵視されたから気をつけておかねばならんぞ」


『確認だが、もし私が殺されかけたならそれ相応の報いを受けてもらうがいいか?』


「・・・難しいところじゃ。騎士は特殊な法に守られておるからな。しかし殺されかけたなら正当防衛として反撃は許してやろう」


『感謝する』


頼むから変な気を起こして襲い掛かってこないでくれよ。

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