一方その頃
本日二話目です。短いです。
はやく解放されたいです。
今私は学院の会議室にいます。周りには変態猫含む学院の教師陣や数人の生徒、そしてなぜかお城の偉い人とギルドマスター。
なぜ私が呼ばれたのでしょう。いえ、分かっていますがそれを認めたくはないです。
師匠が消えたのですから。
重苦しい雰囲気の中、オスロー先生が口を開きました。
「・・・議題を確認しよう。一週間前にシュラがハルのせいで消えた。それでSランクの消失でギルマスが来た。教師陣はこの件の説明。で、城のお偉いさんはなんだ?」
「私はリリア女王と音声でつなぐ魔道具を持ってくる役目です。公務がある上に簡単に外出できない身分なので」
そう言って黒い四角い箱を机の上に置いて起動させます。
『聞こえますか?』
「聞こえております」
すごい。
「ではまず、今回の件の説明を」
本来ならばハル先生が説明するべきですが、あの件以来ハル先生はすっかり焦燥して生気を失ってしまいました。一応出席していますが目は死んでいます。
説明できないので代わりにクリア先生が説明します。
「事の発端はハル教授の試作品である転移魔法陣の暴走です。暴走した理由は起動時にハル教授がくしゃみをして魔力の流れが狂ってしまったからです。学院でも探しましたが全く見つからず、残された壊れた転移魔法陣を調べてみたところ次元の歪みが観測されました」
「要するに別次元に飛んで行ったってことだな」
「Sランクがまた一人消えた・・・」
ギルマスは師匠の安否よりSランクのことを気にしています。
「師匠がそう簡単に死ぬとは思えませんが・・・」
「分からないよ」
割り込んできたのは変態猫。
「どこに行ったのか分からない。異世界に行ったんだとしても死んでる可能性の方が高い」
「淡々とよくそんなことが言えますね」
「だって仮に異世界に行ったとしてもそこで生きていけるかは分からない。空気がない。とんでもない化け物がいる。空気はあるけどなにもない。生きていける環境なんてあるはずがない」
淡々と何の感情もなく述べる変態猫。
「・・・師匠が生きていると思わないの?」
「思わないね」
「・・・!」
『聞き捨てなりませんね』
この女・・・。
「私だって生きててほしいよ!」
急に大声を出す変態猫。
「一週間、ずっと生きててって、帰ってきてってずっと願ってた!でも異世界で生きられる可能性なんてないに等しいじゃない!」
だから諦めるの?
「そんなの分からないじゃない」
『そうですよ。私は信じています。竜様がこの程度でいなくなるとは思っていませんよ』
「・・・」
悲しそうな顔をしていますが私だって悲しいです。
「・・・なあ、異世界から召喚できないのか?」
オスロー先生の提案でハッとしました。確かに召喚すれば会えるかもしれない。
「無理です」
しかしすぐにクリア先生に否定されてしまう。
「誰かを指定して召喚するのは不可能です。異世界人の彼らは魔族の王が指定したいくつかの条件に合っただけ。狙って召喚したわけではないのです」
「そんな・・・」
『・・・・もし・・・・・・もしこのまま竜様が戻らなければ、ハル教授は起訴される可能性があります』
リリア女王の言葉にみんな驚きました。驚いていないのはハル先生と変態猫と城のお偉いさんだけ。
「王国の法律では一年間行方不明なら死亡扱いされる。ハルちゃんは転移魔法陣による事故で死亡させてしまったということで重過失致死罪になるかもね」
ハル先生は何も反応しません。もうすべて諦めてしまったのでしょうか。
「・・・なんにせよ、俺たちにはどうしようもないってことか」
オスロー先生が疲れたように言います。
私たちにはどうしようもない。
私たちは結局無力なんですね。
・・・。
師匠。
早く戻ってきてください。いいえ、遅くてもいいから私が生きているうちに帰ってきてください。
ずっとそう願っていました。
生徒の出番なし・・・。




