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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
五章 サディルス魔国
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??? 6

『本当に名前を付けないのですか?』


『逆になぜ名前を付けないといけないの?人間に似ているけど人間じゃないし、どうでもいい存在よ』


『だからといってわざと不完全に造るのは・・・』


『うるさいわね。このアンドロイドは私の描くシナリオをフィナーレへと導くだけの存在だから。それにどうせすぐに忘れるし』


『しかし彼はアンドロイドといえどあなたの子と同じです!』


『いいわよ。何度も再起動するたびに記憶は消えるから。大丈夫よ、最重要命令は何があろうと絶対に消えないし破ることもできない。所詮はアンドロイドだもの』


『ですがそれだと最悪の場合・・・』


『舞台を乱す行為だけは容認できない。それだけよ』


-------------------------


「ねえ、どうしたの?」


「・・・」


「おーい」


「ああすいません、考え事をしていました」


「考え事?」


「私は人間ではありませんが考えることはたくさんあります」


「悩み事なら相談に乗るけど」


「・・・・いいえ、大丈夫です。誰に相談しても解決できないし、そもそも答えのない事です。それよりも本日の予定は?」


「研究は順調だけど気分転換に散歩しようかな」


「散歩ですか」


「うん。一緒に行こうよ」


「はい」


-------------------------


「・・・やっぱり虚しいな」


「虚しいとは」


「この世界の幸せのこと。前にも言ったけど造られた幸せなんて何の意味もないよ。そのことに気づかないなんて愚かだね」


「愚かですか・・・確かに愚かですね」


「それだと私まで愚者に聞こえるんだけど」


「未来は枝分かれしているように見えて答えは一つしかないという意味不明なことを言う方がいらっしゃいました。今はもう会えませんが」


「どこで知り合ったの?」


「命令上お答えすることはできません」


「本当に謎だなぁ・・・君はどこから来たのか分からないし、誰が造ったのかも分からないし、誰がそんな命令をしたのかも分からない。本当に何者?」


「・・・・・用意されたシナリオをフィナーレへと導く者。そう答えることしかできません」


「シナリオ?フィナーレ?」


「私のプログラムには私の立場は部外者であり観客であり監督でもあるとされています。私が見る世界とあなたが見る世界は違います」


「分かんないよぉ」


「大丈夫ですよ、今までのすべての方が分からないと言っていましたので」


「・・・」


「どうかなさいましたか?」


「本当に何者?」


「知りたければ自ら手がかりを見つけることです。手がかりを集めて私のことを知るのであれば問題にはならないので」


「手がかり?」


「私が言えることはあなたの選択次第でフィナーレが変わるという事ですね。用意されたフィナーレはいくつかの種類があり、手がかりを集めることによって行き着く結末もある、ということです」


「ヒントはないの?」


「ヒントはあなた自身です」


「私?」


「最後に警告を。舞台を乱す行為だけは容認できません」


「舞台・・・」


「何らかの原因でフィナーレへと行き着くことが出来なくなった場合、その原因となるものを問答無用で排除するように厳命されています」


「例えば?」


「主人公であるあなたを殺害しようとする者がいた場合は私がその者を殺害します」


「え」


「それが命令です」


「その命令をした人って絶対に狂ってるよ」


「・・・おそらくそうでしょうね」


復讐は念入りに。


敬愛する主よ、あなたの理想が、世界が、空へと飛び立った鳥がいずれ地に墜ちるように、ゆっくりと音を立てて崩れていきますよ。


あなたはどんな反応をするでしょう。


楽しみで仕方ありませんよ。

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