合同訓練に向けて
その後もしばらく寝たふりをしてこっそり『造血』の魔法を使って回復したので起きる。
「あ、やっと起きた?」
「長く寝ていたか?」
「十分ぐらい?」
「そんなに長くないな。それよりいつの間に膝枕されていた?」
立ち上がって服に着いた砂などを払う。
我ながら白々しいが膝枕のことに触れなかったら怪しまれるような気がしたからだ。
「師匠が寝てからです・・・迷惑でしたか?」
「迷惑というわけではないが驚く」
「じゃあ許可があればいいの?」
「その許可を出すことはないだろうな」
なんとなく恥ずかしくなる。
「生徒たちの安全確認をしたいから学院へ戻るぞ」
「もう大丈夫なの?」
「ああ」
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「シュラじゃねえか!生きてたのか?」
「死んだと思ってたのか?」
「だってお前蒼い使徒と戦ってたんだろ?その使途が急に大爆発したから巻き込まれたんじゃないのかって普通思うだろ?あ、生徒は全員無事だ」
「あの程度では死なん。生徒の避難は必要なかったな」
アリアと私で対処できたので町には一切の被害がない。
それよりも気になっていることがある。
「冒険者が来なかったのはなぜだ?」
「Sランクのシュラが行ったんなら大丈夫だろうって」
「なんだそれは」
私に面倒ごとを体よく押し付けているようなものじゃないか。
もしギルドが面倒ごとが起きるたびに私に体よく押し付けるならこの町から離れるかどうか考える必要がある。
「それでそのちっこいのは誰だ?」
ちっこいと言われて不機嫌どうな顔になるアリア。オスローも体が大きいのでアリアのような子供はみんな小さく見えるのだろう。
「私の弟子だ。冒険者のランクはCだが一対一ならそれ以上の実力があると私は思っている」
「弟子がいたのか。もしお前が弟子を取ってるっていうのが広まったらいろんな奴が弟子入りを志願するだろうな」
「私は弟子を取っていないぞ」
「は?でも今弟子って言ったじゃねえか」
「アリアは特別な事情があってそのまま弟子になったようなものだ。それに私は格闘と体術しか教えられないから弟子になってもあまり意味がないぞ」
「そうか」
しばらく雑談して生徒たちの野外学習は危険があるということで中止になった。
今日はいつも通りの練習をするらしい。
いつものように近距離で戦う生徒にはコツやアドバイスなど、遠距離で戦う生徒には足さばきや接近されたときに対応するための護身術などを教えた。
アリアは冒険科ではないのだが他の生徒の様子を見て何かを学ぼうとしている。
オスローは相変わらず大声で喝を入れ、孫は一人か数人と模擬戦をしている。
そろそろ模擬戦をしてルールを決めて戦わせるのもいいかもしれない。
オスローも同じことを思ったらしい。
もう基本やアドバイスは大方終わったので次は接近型の生徒は一対一の模擬戦をするが、弓や魔法を使う生徒の練習はどうするかが悩みになった。弓や魔法は対戦相手があまりおらず自分との戦いのため対人練習などができない。
孫やアリアも混ぜて話し合い、一応案が出た。
案とは『自然学科の使う小さな森を借りて殺傷能力のない矢を使って戦う』というものだ。狩人みたいだが生徒たちも的に向かって矢を撃ち続けるのが飽きてきており、集中力をあげるプログラムも効果が無くなってきたためリフレッシュ感覚でやってみようということになった。
学院には自然学科が木々を観察するための小さな森があり、そこで少人数で息を潜めて敵の気配を探りながら戦う。
完全に狩人だが冒険者と狩人は名前が違うだけでやっていることはほとんど変わらない。
自然学科へ連絡すると「木々をむやみに傷つけないなら構わない」と許可を貰えたので弓を使う生徒は自然学科の教授と冒険科の責任者が同行することになり、オスローが責任者として森へ行くことになった。
残ったのは魔法組。
こちらは私がバリアを張って先にバリアが壊れた方が負けということにした。補助魔法専門はバリアの修復や補強、回復魔法専門は疲労回復を担当する。
もちろん弓矢組だけでなく魔法組も全員護身術の稽古をさせる。
以上のプログラムをまずは一週間試すことになった。
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「まさか一週間でここまでとは・・・」
全員が明らかに腕をあげた。まだ魔物の相手はさせられないが、新しいプログラムでやる気が上がると腕がすぐに上がる。
合同訓練の日も近くなっているのでこれはありがたい。
これも一定以上の水準まで行けたら次のプログラムだ。
あまりに早熟では学年が上がった時にやることがなくなるのではと心配されるが学年が上がるごとに実習などが増えるため一年次は腕をあげるだけなら問題ない。
三週間ほどで一定の水準に達したので次のプログラムだ。
これが終わったら合同訓練だ。
合同訓練の日が待ち遠しい。
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合同訓練の日が来た。
冒険科の生徒はみんな嫌そうな顔をしている。戦闘科と魔術科のせいだろう。
だがその仲の悪さも今回の合同訓練で終わらせてやる。




