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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
四章 王立学院での日々
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クリフォト暴走と試練

ボウレイを殺害(解放)したあと孫とオスローに事情を話し、依頼もないので適当に狩りをすることになった。


町をでて手ごろな魔物を探すがまったく見つからない。


「おかしくないか?」


「確かに魔物も動物もいないっていうのはどう考えてもおかしいよね。シュラがやりすぎたんじゃないの?」


「私はそんなバランスを崩すようなことはしていない」


「なら考えられるのは・・・警告だな」


「警告?」


「おそらくクリフォト暴走か試練の前兆だ。レベルか種類はまだ分からんがな」


クリフォト暴走とは魔物の大量発生や活性化することだ。

レベルによって危険度が大きく変わり、事前に発生時刻とレベルを察知できなければ最悪の場合町が壊滅する。レベルが一つ違うだけでも大きく脅威度が変わる。


脅威度Aランクのクラーケンのクリフォト暴走はレベルⅥだ。

レベルはⅠ~Ⅹまであり、Ⅹともなれば天災レベルであり、ほぼ確実に大陸が滅びる。


試練はクリフォト暴走と似ているようで違う。


クリフォト暴走はいつ発生するのか分からないが、試練は黎明、白昼、黄昏、深夜のうちのどれかの時刻に稀に発生し、黎明が最も簡単で深夜の試練はどうしようもない。


またクリフォト暴走は魔物に異変が起こるのに対し、試練は種類によっては未知の魔物が現れたり天変地異が発生したりする。


クリフォト暴走はすべての魔物を討伐しなければならないが、試練は魔物ではなく元凶の鎮圧や時間経過でしか終わらないものもある。


要約すればクリフォト暴走も試練も厄介だという事だ。


クリフォト暴走と試練に共通しているのは発生地域周辺の動物や魔物がいなくなるということだけ。


「すぐにギルドに連絡した方がいいね」


「オスローは生徒たちを探して学院へ避難させてくれ。私も手伝うが、クリフォト暴走か試練が発生したらそっちを優先する」


「分かった。つまりは食い止める係だな」


「私も連絡したら生徒探しを手伝うよ」


話がまとまったので孫がギルドへ急ぎ、私とオスローは生徒たちを探す。

店の手伝いや孤児院の生徒はすぐに見つかって学院へ避難させたが、まだ半分以下の生徒しか見つかっていない。


まさか。


「もしかすると調査や薬草採取で外へ行ったのかもしれん」


「なんだと!」


「私は今すぐに見てくる。生徒たちに被害が出る前に避難させないといけない」


「分かった行ってこい!」


全力で王都の門へ行き外へ出て『気配探知』を使う。・・・やっぱり。


行商人や冒険者以外はほとんど町から出られないから外に憧れていたのだろう。大勢の人の気配がある。


近い気配から確認し、冒険者なら警告、生徒なら学院へ避難させる。

ほとんどの気配が生徒のものだったから、私が外にいる可能性を考えていなければおそらく被害に遭っていただろう。


王都近くの気配をすべて確認し終わり、次は王都から離れた場所の気配の確認をしようとした瞬間。


試練が始まった。試練を見てクリフォト暴走のほうがよかったと思う。


あれは『破滅の使徒』。数ある試練の中で最も厄介とされている。

全員が人に見えるが本性は化け物だ。それぞれがどんな攻撃をしてくるかは直前まで分からない。


試練は出現したものを見ればどういった攻撃や対応をすればいいのか分かるが、『破滅の使徒』は毎回攻撃方法が変わる。


幸い今は白昼なので最悪の組み合わせである深夜と破滅ではないから、なんとか勝てるといったレベルだろう。


出現した使徒は二人。一人は顔に黒い仮面をつけ全身を蒼いローブ付きマントで包んでおり、もう一人は巫女服のようなものを着ている目を閉じた女性だ。


使徒の出現位置は気配よりも奥。このままでは生徒たちが殺される。


『韋駄天』の魔法をかけ、『範囲転送』の魔法を構築する。

気配の元にはすぐについた。ほとんどが生徒たちだ。


「先生!」


「な、なんですかあれは!」


「白昼の試練の『破滅の使徒』。私の魔法陣の構築が終わったらすぐに逃げろ」


「!」


「せ、先生も逃げますよね!?」


「私には生徒全員が学院に避難するまであいつらを食い止める必要がある」


私たちが話している間もゆっくりと使徒が歩いて近づいてきている。


もうすぐで構築が終わる。


「無理ですよ!いくらSランクでも一人では無理です!」


「大丈夫だ。怪我はするかもしれんが死にはしない。ほら、魔法陣の構築が終わった。学院の校庭に繋がってるから入れ」


「で、でも・・って何するんですかせ」


「つべこべ言うなら今みたいに掴んで入れるが?」


生徒たちは渋々といった様子で魔法陣に入っていく。

全員が不安そうな目をしていて、全員が魔法陣に入る時に私を気遣う言葉を言ってくれた。


生徒たちに大切にされていると嬉しく思う反面、責任重大だとプレッシャーがかかる。


なんとしてでも守らないとな。


相変わらず遅い歩きの使徒はまっすぐこちらへ歩いてきている。


先に仕掛けようかと思ったが、マントの使徒はマントの隙間から銃を取り出した。銃!?


バァン!


ギリギリで避けたがあれは本物の銃だ。


私の服に防弾繊維なんてあるわけないので一発でも当たればアウトだ。


巫女の使徒は私と蒼い使徒を気にした様子もなく王都へ向かって歩いている。一対一にさせてくれるのはありがたい。


蒼い使徒はまだ連発している。リロードの隙に武装解除できたらいいのだが。

八発ほど撃つと使徒がリロードしたが、速すぎて見えなかった。


は?と思う間もなくまた連発される。


だが対応は簡単だ。

『思考加速』をかければ銃弾を少しだけ避けやすくなる。銃弾を避けながら近づいていくが、使徒も後ろへ跳んで距離を保っている。


『韋駄天』をかけても追いつけないって、とんだ跳躍力だ。


使徒は銃をマントの中へ入れ、すぐに別の銃を取り出した。あれは・・・ガトリングか。


「ファンタジー世界に銃なんてものを持ち込むんじゃない」


「・・・」


独特の音を響かせながらいきなり撃ってくる。よけきれずに何発か当たってしまう。


「ぐっ」


左足に一発、体に三発か。貫通していないので変に治療すると困ったことになる。


『鎮痛』の魔法で幾分マシになった。

しかしこのままだと負けるな。


『身体強化』をかけダメージ覚悟で突っ込み肉弾戦に持ち込む。また数発食らったが動けないほどではない。


使徒はガトリングをしまうとナイフを取り出してきた。逆手に持つようだ。


ナイフの逆手は手首の可動域を広く使える利点がある。

しかし攻撃のやり方が素手での格闘に似ているため私としてはやりやすい。


先に仕掛けてきたのは使徒で、ナイフで斬り上げをしてきて私の頭上で素早くナイフを回転させて頭に突き刺そうとしてきた。


あまりにも早かったので掠ってしまい、服が裂けて額から血が流れる。この服は防刃仕様だったのだがあっさり貫通されてしまった。


私が顔面を殴ろうとすると体を後ろにそらしてそのままバク転し、足の先についた刃で顎を突き刺そうとしていた。危ないな。


この使徒なにするか分からん。どこにどんな攻撃があるのかが分からないし予想外の攻撃を仕掛けてくる。


バク転が終わる前に踏み込み殴る。アリアの突き、掌底、裏拳を真似させてもらった。


まともに受けたはずなのだがあまり効果は無いようだ。

だが無くてもいい。あくまでも私の目的は増援が来るまでの足止めだ。巫女の方は誰かが足止めしていることを願う。


「『滅脚』」


極戦流の技。


飛び回し蹴りで側頭部を蹴って高く飛び上がりすぐに踵落とし。踵落としで倒れることはなかったが、この技は敵が倒れない場合を想定しているので問題ない。

踵落としから踵をあげて顔面を強打し上を向かせる。そのまま後ろ回し蹴りでもう一度顔面を強打。使徒が吹き飛んだ。


魔力を全身に纏わせてさらに強化しているので威力はすさまじいことになっているだろう。


あれだけやっても仮面が壊れていないがダメージはかなり入ったようだ。

よろめきながら立ち上がり、ナイフを拾って一気に間合いを詰めてくる。まだそんな力があったのか。


ナイフで首元を狙ってきたので左腕で防ぎ右腕で殴るが使徒の左腕に防がれる。

同じことをもう一度繰り返した後使徒の左手を取って後ろを向き引っ張り、右肘で顔面を強打し背負い投げ。


ついでにナイフを奪って喉に突き刺す。


「っ!」


一瞬震えたがすぐにおとなしくなった。死んだか確認のためにしばらく様子を見る。


それが間違いだった。


使徒の体がいきなり大爆発し、近くにいた私は爆発に巻き込まれてしまった。

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