表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
四章 王立学院での日々
55/121

キャロル視点:私と私

前世のことはちょっと忘れた。主に友人関係とか。

それでも自分の名前や人生、家族関係は覚えてる。


女神さまに出会って転生して初めの頃はおじいちゃんに会えたらいいなって思ってた。


自由に冒険できる冒険者としてやっていくために今世の両親に無理を言って憧れの居合の道場に通っていた。前世でも大学で居合道をやっていたから最初から少しはできた。


道場で魔法を知って魔法と刀を組み合わせて放つ技を覚えて、あっという間に師範に勝って免許皆伝を貰えた。


居合は敵に近づく必要があるから危ないけど強い。冒険者になって魔物と戦って少しずつランクを上げて今では英雄クラスと言われるAランクまで上り詰めた。


早々に独り立ちして獣人国のいろんな町を訪れて毎日気ままに過ごしてた。


風の噂で独特の文化を持つ国があると聞いて詳しく聞いていたら日本にそっくりらしかった。

元日本人としてやっぱり気になるし白米が食べたい。国は米がない。


ニホ国は江戸時代みたいで時代も国も世界も違うけど懐かしく感じた。


平和なニホ国で依頼を受けて刊行してたら、偶然おじいちゃんと再会した。


実際に見たときにはすごくカッコよくてドキドキした。最初は特に気にしなかったけど。


でも行動を一緒にするうちに自分がおかしいと気づき始めてきた。

気のせいだと思ってもどうしても気にしてしまう。


決定的だったのはおじいちゃんがリリア王女を燃える城から救い出したとき。シチューを食べさせられて怪我の手当てをされる姿を見て・・・嫉妬した。


驚いて混乱した。嫉妬するなんて、と。


でももう私はなんで嫉妬するのか、とっくに分かっていた。だけど認められなかったし認めたくなかった。でもすぐに認めてしまった。

私は・・・シュラが好きなんだ。家族愛ではなく、一人の異性として。


だけど諦めてそのことを認めたら、私が二つに割れた気がした。


樫山水仙としての私とキャロル・ルーラとしての私。

私の中にいる樫山水仙はもう記憶しかないのだろう。今の私は樫山水仙という人の記憶を持つキャロル・ルーラという人物。

だから感性もキャロル・ルーラとしての感性で、無意識にシュラのことを異性として見ていた。


シュラの言う「精神は身体に依存する」という言葉をその通りだと思った。


私はキャロル・ルーラだと自分に言い聞かせても私の中の樫山水仙が認めない。

苦しくて悲しくて、こっそり泣いたこともある。


シュラのように前世の精神も持っていたいと思ったり、私のように前世の精神はなく記憶だけを持っていてほしいと思ったり。


シュラに「水仙」と言われる度に悲しくなる。私は恋愛対象の女として見られていないんだって。


私を恋愛対象として見てほしい。家族ではなく一人の異性として見てほしい。


そう何度も何度も願った。

同時に願うたびに心が締め付けられた。


ずっと悩んで、シュラに悩みを打ち明けようかと思った。だけどシュラはどうしようもないだろう。

シュラの精神魔法で私の中の恋を消せるかもしれないけど、それは嫌だった。恋と一緒にキャロル・ルーラも消える気がしたからだ。


最終的に私が決めたのは、「恋愛対象として見てもらえるように頑張って、もしシュラに私以外の恋人ができたら応援する」だった。


これならキャロルとしても水仙としても納得できる。


私以外の恋人ができるのは悲しいけど・・・そうなる前に絶対に私に恋をさせる。


私は孫でも水仙でもない、キャロル・ルーラという一人の女の子だ。


私がシュラの心を掴むその日を待っていてね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ