学園の特別講師
三章の始まりです。
作者が学園が好きなので舞台を学園にしました。
「学園?」
「ええ。『王立セベラード高等学院』という名門学校の特別講師になってみませんか?」
「急だな」
「竜様なら生徒にいい影響を与えられると思ったのと、アリアさんに入学してほしいと思ったからです」
「もう国の仕事は大丈夫なのか?」
給料はもらっているが私は臨時雇用なので用が済んだら解雇される。
もう用済みということだろう。
「竜様のおかげで想定よりかなり早く終わりましたよ」
「学院の特別講師って何をすればいい?」
「竜様には冒険科の特別講師になってもらいたいので、生徒の冒険者の知識を教えるのと模擬戦や実戦の監督などをしてもらいます。一人で不安ならキャロルさんもどうですか?」
「それなら特に問題はないが・・・」
「給料もいいですよ」
「暇つぶしにちょうどいいな」
その後もいろいろと話して孫と私が冒険科の特別講師になり、アリアが試験を受けて入学することになった。
試験は筆記試験と実技試験があり、片方が不合格でももう片方で優秀な成績を取れば入学できるらしい。
学院は実力主義で貴族の権威を振りかざすことは厳禁とされており違反した場合は厳罰に処され、最悪退学処分になる。成績によるクラス分けはない。
時間割は午前中が座学で午後から自分が選んだ専門科目の授業を受ける。受ける専門授業は授業時間がかぶらなければ受ける数の制限はない。
学院は冒険科の他にも戦闘科、魔術科、魔道具科、鍛冶科、貴族科、文芸科、政治科、法学科など、総合大学のようにたくさんの専門科目がある。
キャンパスを数個建設して学科を分けるといったことは行われていないため全学科が一つの学院に集中しておりとんでもなく大きい学校だ。
冒険科と戦闘科と魔術科は似ているようで違う。冒険科は冒険者で戦闘科は騎士を目指し、魔術科は宮廷魔術師と呼ばれる国の精鋭を目指す。
貴族科は貴族に必要な知識や礼儀作法、政治について学ぶため貴族の必修科目となっている。
政治科は外交官など、法学科は前世の大学の法学部とほぼ同じである。
試験は一か月後に行われるらしく、それまでに私たちの準備を整えておかなければならない。
学院は全寮制で制服や食事などは学院が負担するらしい。なので準備するのは試験に必要な道具と私たちの服、入学料と授業料だ。
入学料と授業料は他の学校と比べて高いが私としては大したことない。
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「・・・そういうわけで私と水仙は特別講師、アリアは試験を受けることになった」
「冒険科の特別講師か~。私はできれば法学科がよかったなぁ」
「学生生活ですか。楽しみです。ですが、試験が不安です」
二人とも反対はせずむしろ乗り気だった。
「アリアちゃんが落ちるわけないでしょ。確かに名門と言われるだけあって試験は最難関らしいけど、筆記が悪くても実技で受かるでしょ」
「今は落ちるとかネガティブなことを考えない方がいいぞ」
「はい」
学院か・・・楽しみだ。
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時の流れは早いものでもう学院の入学式の時期になっていた。
学院は前世の名門大学を軽く超える敷地を持っており、正門には『学院に身分なし』と書かれている。貴族も平民も関係なく、良き友であれという願いが込められているらしい。
私と孫は教師の席にいる。青い制服に身を包んだ高校生くらいの生徒たちやスーツを着た教師はみんな真剣な顔つきだ。
アリアは筆記は不合格だったが実技でトップの成績を取ったため入学できた。
新入生は五百人だ。倍率はなんと3倍以上あったらしい。
私も筆記問題を見たが、まあまあ難しかった。
解いて自己採点したら余裕の合格点だったが。
それと今知ったのだがリリアは学院の理事長らしい。
学院長、在校生代表、新入生代表の挨拶が終わり、理事長であるリリアの挨拶が始まる。
一通り終わった後最後にこう言った。
「今年は冒険科に特別講師が二人います。特別講師の方はなんと、Aランク冒険者キャロル・ルーラさんとSランク冒険者《調律者》シュラさんです」
その瞬間、新入生だけでなく在校生や教師まで騒ぎ出す。
「では特別講師の代表としてシュラさん、御挨拶をお願いします」
いきなりだな。挨拶なんて考えていなかったんだが。
しかも挨拶って私が最も苦手とするものだ。
とりあえず壇上に上がると私に視線が集まるのを感じた。壇上から見るとみんなの髪の毛が色とりどりでカラフルだ。
「ご紹介にあずかりました、Sランク冒険者の」
「ブッ!」
リリアと孫が噴き出した。理由は分かる。
私が敬語を使うのが面白かったのだろう。
生徒たちもなんだなんだと騒ぎ出す。
「あー・・・おそらく私が敬語を使ったのが面白かったんだろう。私は敬語なんて普段使わないからな。もういつもの口調で行くか・・・私はこういった場での挨拶なんてしたことはないから間違っていることがあるかもしれないが許してほしい。では気を取り直して、Sランク冒険者のシュラだ。君たちは新たに始まる学院生活をキャンパスに例えると何が書かれているだろうか。希望に満ちていたり、かすかな不安が残っていたり、あるいは真っ白でこれから描いたり。人それぞれだが全員に共通していることがある。それは生徒は全員優秀で平等だということだ。君たちは全員、身分に関係なく自分の学びたいことを学ぶことが出来る。身分の壁を越えて良き友と切磋琢磨し、最高の自分を創造してほしい。それが私の願いだ。特別講師代表、シュラ」
前世ではダメダメな挨拶だったろうな。
拍手の中自分の席へ戻る。なんとなく全体の緊張した雰囲気が和らいだ気がする。
「おじいちゃん・・・」
「言わないでくれ。私は挨拶が一番苦手なんだ」
何を言えばいいのか分からない。
その後も入学式は何事もなく進み、アリアたち新入生は施設案内、私と孫はリリアに詳しい設備の説明をされた。
すべての設備が前世の名門大学並みに整備されており、カフェテリアからは美しい人工庭が見れる。
学び舎は空調が整備されており夏は涼しくなる。王国は冬でも温暖なためストーブなどは必要ない。
各専門科目の実習室や実習道具も揃っており非の打ち所がない最高の環境だった。
職員用の寮もあるということなので私と孫は一人用の寮に住むことになった。
明日から授業が始まるとのことなので軽く森で狩りをしておいた。
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「冒険科多いな・・・」
「おじ・・・シュラ、良かったんじゃない?冒険者が増えるのは良いことだし」
孫にはちゃんと学院では冒険者名で呼ぶように言っておいた。私も孫をキャロルと呼んでいる。
私の目の前には五十人ほどの生徒がいる。他学年と一緒にしたらどれほどになるのだろう。
学院は四年まである。
そこから更なる高みを目指すのであれば大学院へ進学することになる。
前世の大学と同じだ。
学年ごとに名札の色が変わる。
一年は白、二年は緑、三年は赤、四年は黒だ。
閑話休題。
五十人ほどの生徒たちをどうするか、ずっと前から講師をしていた老いを感じさせない体つきの老人と相談する。
「まずは基礎からの訓練じゃない?」
「いや、まずは基礎知識からじゃ」
「そうだな」
一瞬で決まったので初日は冒険者の基礎知識を教えることになった。
早く戦い方を学びたいとの声があがったが私が知識の大切さを説いたら納得してくれた。
これから彼らがどれだけ成長するかが楽しみだ。




