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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
三章 旅
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再会

なぜ、ここに孫がいる。


認めたくないが、目の前の現実から目をそらすことはできない。


「師匠?」


「おじいちゃん?」


「本当に水仙か?」


「そうだよ?おじいちゃんなら分かること教えようか?」


「いや、ここではやめておこう、アリアに聞かれると面倒なことになる」


「聞こえてますよ」


アリアがジト目で見てくる。

なにか勘違いしてないか。


「師匠、孫ってなんですか?子供がいるんですか?」


「どう考えたら私に子供がいるという結論にたどり着くのかが聞きたいな」


「一人称が変わってますよ」


混乱しているんだよ。


私は見た目は二十歳ぐらいだ。二十歳で孫がいるって、私が生まれる前から子供がいたことになる気がするんだが。


「おじいちゃん、その子誰?」


「色々あるんだ。いったん場所を変えよう。私にも聞きたいことがある」


ギルドを出て人気のない場所へ移動する。


「私が聞きたいのは、なぜ水仙がいるのかということだ」


「私はその子についてとおじいちゃんのことかな」


「私はその獣人と師匠のことです」


全員一人称が私で分かりずらい。


「誰から話す?」


「師匠から」


「おじいちゃんから」


私から?


なにから話そう。

水仙もいるし、転生した時から話そうか。


「アリアは信じられないかもしれないが、私は異世界から転生してきた」


「はい?」


「信じられないと言われても物的証拠がなにもないからどうしようもない。転生したら竜になっていた。転生特典みたいにいろいろとスキルをつけられそうになって、つけられたスキルの中に『人化の術』があったから人里へ降りるときは人になって過ごしている」


「竜?」


「ほれ」


翼をだす。

そして手と足も竜にする。


「師匠・・・人間じゃなかったんですか?」


翼を収納し手と足を元通りにする。


「そうだ。それで続きだが、竜になったあとは適当に狩りをして静かに暮らしていたんだが、近くの王国と関わったせいで王位継承と戦争に巻き込まれた。戦争のあとなんとなく旅をしたくなって、途中で闇奴隷商人と関わって生き残ったアリアと共に行動するようになって今に至る」


「おじいちゃん、竜なの?人外転生じゃん」


「水仙も一応人外転生じゃないのか?」


「獣人も人だよ。・・・次は私が話していい?」


「ああ。前世のことも教えてほしい」


「どうぞ」


「えっと、私の前世の最後は弁護士の合格発表場所から帰る途中で飲酒運転に撥ねられて死んだの。弁護士は合格だったよ」


なんてことだ。


予想していた通り、孫は前世で若いうちに死んでしまったことになる。


嫌な気分になったのは孫が若いうちに死んだのかと思っていたからだ。


「それで気づいたら目の前に女神さまがいて、私にスキルを与えてこの世界に転生させたの。私のスキルは『言語理解』と『剣神』だよ。あ、あと『神の使徒』って称号もつけられたな。あ、そうそう、おじいちゃんって分かったのは女神さまにおじいちゃんの姿を見せてもらったからだよ」


使徒?

皇帝の言っていたという使徒だろうか。


それとなぜ女神は孫に私の姿を見せたのだろう。


「私はファンタジーが好きだったから喜んで転生したよ。かわいい猫の獣人になれたし。ある程度成長したら居合の道場に通い始めたんだ」


「居合?」


「日本人って言ったらやっぱり刀でしょ。居合だったらもっと格好いいもん。両親に無理言って遠く離れた場所にある道場に通ってたの。独り立ちした後は討伐の冒険者になってランクを上げてたよ。私はAランク。すごいでしょ?」


「私は初試験でSランクまで行けたからAがすごいかどうか分からん」


そう言うとアリアと孫がこちらをぎょっとした目で見てくる。なんだ?


「師匠・・・初試験でSランクって本当ですか?」


「おじいちゃん、嘘でしょ?」


「いや本当だ。これがカードだ」


白金のカードを見せると孫が固まってしまった。


「ほ、本当に邪神の眷属に勝ったの?」


「あんな力任せに攻撃してくる敵なんてたいして強くなかったな。悪魔の方が強かったぞ」


「魔法はどうやって対処したの?」


「私の魔法の『魔力分解』で封じたが」


「・・・ずるい」


ずるいと言われてもな。文句は女神にでも言ってくれ。


「とにかく、私はこの若さでAランクまで行ったんだからけっこう有名なの。居合も免許皆伝もらってるし。私の話はもう終わり。次はアリアちゃん」


「・・・」


アリアがじっとどこかを見つめたまま動かない。


「どうした?」


「・・・敵」


「?」


どうした急に。


アリアの視線を追ってみると、孫の体に向けられていた。意味が分からない。


「そ、そんなに見ないでよ」


体を隠す孫。・・・。


あ、そういうことか。


孫は美少女でスタイル抜群だから嫉妬しているのだろう。露出も多く、色気が出ている気がする。

だが私は今は血は繋がってないとはいえ、孫に欲情するなど天地がひっくり返ってもあり得ない。


「アリア、何か聞きたいことがあったんじゃないのか?」


「あ、はい。えっと、師匠が竜なのは本当ですか?さっきのも魔法か何かで誤魔化したわけじゃないですよね?」


「信じられないなら全身竜になるがそれをここでやったら大騒ぎになるぞ」


「じゃあ騒ぎにならないところで変身してください。次、二人はどんな関係ですか?」


「前世では私が祖父で彼女が孫だ。今は血の繋がりはないが今でも孫として見ている」


孫として見ていると言うとなぜが孫がこちらをジト目で見てきた。なんだ?

転生しても孫は孫だ。


「信じられないです」


「そのについてはさっきも言ったが物的証拠がないからどうしようもない。知識ならあるが」


「そうだよ。おじいちゃんは前世はものすごく賢くて偉い人だったんだから」


褒められるのはうれしいが偉い人というのは裏工作まがいのこともあったので素直に受け取れない。


「分かりました。賢くて偉い人というのは疑問ですが」


脳筋みたいに殴りまくる戦い方だからな。

これでも魔法も使って頭を使いながら戦っているのだが。


「おじいちゃん、疑問に思われてるよ?」


「私の戦い方は格闘メインだからな」


「脳筋ってことだね」


「私は脳筋ではない」


こんなやり取りをするのは久しぶりだ。


やはり彼女は孫なのだろう。


「そんなことより、私もおじいちゃんが竜になるのが気になる」


「私もです」


二人からせがまれたので、渋々了承する。絶対騒ぎになる気がする。


「森奥へ行くぞ」


江戸時代のような国だが地形は全然違う。

少し歩けば深い森へ着く。


奥へと進んでいき、少し開けた場所に出た。


竜になるときにまわりの木が少し折れてしまいそうだが、気にしないでおこう。


「いくぞ」


体が繭のようなものに包まれ、体の形状が変わっていく。繭に包まれなくても変身はできるのだが変身がなんかグロいので誰かに見られるときは繭に包まれている。


繭が消える。


「すごい・・・」


「こ、この竜は・・・」


二人とも驚いている。


「ヴィッツ・ヴェルナード!?」


「なにそれ?」


なんで知らないんですかとでも言いたげな顔をするアリア。


「伝説と言われる竜の種族ですよ」


いつも思うがどこが伝説なのだろうか。


「へえ、すごいね、おじいちゃん!」


孫はあまりピンと来ていないようだ。

私にもなんで伝説なのかさっぱりわからない。


『もう人になってもいいか?』


「すごい威厳のある声だね。空を飛んでみたいからまだ人型にならないで」


『人を乗せるような竜じゃないんだが。それに見つかれば大騒ぎだ』


リリアを乗せたときに文句言われたし。


「えー」


『えーじゃない。戻るぞ』


人型に戻る。


「もう何か聞きたいことや言いたいことはないか?」


「うーん。ないかな」


「今のところはないです」


アリアは度胸がある。

だいぶ前に竜の時の私をみた人々は怯えまくっていたからな。驚くだけで済むとは。


「じゃあ戻るか」


「はい」


「ねえねえおじいちゃん」


「なんだ?」


「私も仲間に入れてよ」


はい?


「なぜだ?一人でもやっていけるだろう」


「そうだけどおじいちゃんのことが好きだもん」


そう言われると私は弱い。


「・・・分かった」


「わーい、ありがとう」


もしかすると他にも前世の知り合いがこの世界に転生しているのだろうか。

・・・さすがにないだろうな。

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