ニホ国
章タイトルを変更しました。
変更前:三章 一人旅
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クラーケンを討伐できたので再び船が出港できるようになった。
ニホ国へ行きたいので運賃を払おうとしたら
「昨日戦った冒険者の料金はタダだぜぇ!全員大活躍したからなぁ!」
ということで無料で乗ることができた。
ここからニホまでは五日ほどかかる。
途中で魔物が出るかと思ったがクラーケンのせいで魚や魔物が一匹残らず逃げてしまったため何も起きなかった。
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「ヒャッハー着いたぜぇ!」
五日目の朝ニホ国の船着き場に着いた。
町は細かい所は違うが江戸時代の街並みとほぼ同じで、一番気になったのが文字だった。
日本の古語が使われていた。
やはり昔私以外の転生者がいたのだろうか?
文字と住民の服装、街並みからもそうとしか思えない。
町を散策してみよう。
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「拙者親方と申すは、お立会いのうちに、御存じの方もござりましょうが、お江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町をお過ぎなされて、・・・」
早口でまくし立てる外郎売がいた。
台詞や町の名前まですべてが一緒だ。
外郎売は前世でも歌舞伎で見ていた。私は好きだった。
だがいったい誰がここまで発展させ、町の名前まで再現したのだろう?
この町は江戸時代だから、徳川家康以降の人物か?
分からないことばかりだ。
これもあの女神が関係しているのだろうか。
地球で死んだ私の魂を呼び出し、この世界へ転生させたのだからなにか知っていそうな気がする。単に日本が好きだからという理由もありそうだが。
今は何を考えても憶測にしかならないな。しばらくこの件は保留にしよう。
「師匠」
アリアが声をかけてきた。
「師匠はこの国で育ったんですか?」
厳密に言えば違う。
だが前世の話は信じないだろう。
曖昧にしておくか。
「違うが、よく似た国で育った」
「よく似た国・・・?こんな独特な文化を持つ国が他にありましたっけ?」
何かに気づきかけている。
「そんなことよりギルドへ行こう。この国にしかいない魔物がいるはずだ」
「はい」
誤魔化せただろうか。
モヒカンにギルドの場所を聞き、向かう。
ギルドも予想通り木造の大きめの一軒家で、看板が剣と盾ではなく刀になっている。掲示板には依頼書の代わりに木簡が、酒場の代わりに寿司屋がある。おいしそうだ。
木簡で良い依頼がないか探しているが、雑用ばかりだった。それだけ平和な証でもあるのだが。
とりあえず孤児院の世話でいいか。報酬もそこそこ良い。
「アリアもこれでいいか?」
「文字が読めません」
「孤児院の孤児の世話だ」
「いいですよ」
「決まりだな」
木簡を取ろうとしたとき、横からの手とぶつかった。
「あ、すいませ・・・」
見ると白いショートボブの猫の獣人の綺麗な翡翠色の瞳の十八歳ぐらいの美少女だった。
軽装で露出が多い。見ないようにしよう。
だが私の顔を凝視するのはなんだ。何か変だろうか。
「なんだ?」
「あの・・・瀬木風間さんですか?」
その瞬間、私は目を見開いて固まった。
なぜならその名前は・・・
私の前世の名前だったのだ。
少女は私の反応を見て「やっぱり・・・」とつぶやいた。
どこでその名前を知った?なぜ私の名前だと分かった?いや、それよりも・・・。
私はこの少女に見覚えがある。
些細な仕草や雰囲気・・・まさか。
「お前は・・・樫山水仙か?」
私がその名を言った瞬間、少女が満面の笑みになる。
まさか。
認めたくなかった。
「やっと会えたね・・・おじいちゃん」
彼女は・・・私の前世の孫。
なぜだ。
私は再会したと言う喜びや懐かしさなんて微塵もなかった。
むしろ、不安、焦燥、疑問、悲しみ、怒りなどといった感情しかなかった。
今さら前世の主人公の名前が明らかになりました。
短いですが、今日中にもう一本投稿する予定です。




