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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
三章 旅
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Sランク冒険者

「これはどういうことだ?」


依頼完了の札と討伐した猪をカウンター前に置く。


「ウルボアの依頼と書かれているが出てきたのは違う魔物だ。村長に聞いたらこの魔物がウルボアではないと知っておきながら嘘をついていたぞ」


「またあの村ですか・・・」


ため息をつく狐の受付嬢。またって、前にも同じようなことしてたのか。

まわりの冒険者も猪をみて驚いていることからそれなりにランクの高い魔物なのだろう。


「あの村はよく依頼内容をごまかしたり別の魔物を討伐対象の近くに誘導させてついでとして討伐させたりするんです」


「ならなぜそのことを知っておきながら何も言わない?村で村人に襲われたんだが」


「そうですよ。弱かったけど、全員が武装してました」


アリアも加わり詳しいことを説明する。

受付嬢がまともに対応しなければ別の職員を呼ぶがSランク権限でギルドマスターに会わせてもらうつもりだ。


説明が終わり、受付嬢は信じられないといった顔になった。


「そ、そんなにひどいんですか?ウルボアはDランク推奨なのに・・・この金色の猪はキングボアといってBランク推奨です」


「そうなのか?それより、ちゃんとした対応を取ってもらいたい。言いたくはないが悪事を知っておきながら放置するこのギルドに不信感を抱いている」


「それにはいろいろとあるのですが・・・今回はさすがに見過ごせません。冒険者を襲うのは一般人に暴力をふるうのと変わりません。しっかりとギルドマスターに話しておきます」


「そのギルドマスターは信用できるのか?」


「ええ。公明正大な方ですよ」


なら一層なぜあの村を放置していたのかが気になるが、聞いても答えてくれなかった。


報酬と猪の素材を売り、金貨二枚と銀貨一枚を受け取った。


私はSランクにしてはあり得ないほど貧乏らしい。


高ランクほど金持ちらしく、Sランク冒険者なら白金貨を大量に持っているのが当たり前で家を持っているのが当たり前だそうだ


ついでにSランク冒険者のことを聞く。どうやらこの大陸にはSランク冒険者は私を含めて七人いるらしく、私以外はそれぞれを象徴する二つ名を持っており、それぞれ


《一閃万斬》キルク・バース

《完全食》スズ・アール

《狂科学者》エルラ・ヒル

《嘆きの歌声》ボウレイ

《フェンリル》ラギラ

《黒霧》ダク・クルス


となっているそうだ。

《嘆きの歌声》とは何なのだろう?ボウレイだから亡霊?


・・・。


盛大に滑るから言わないでおこう。


「そういえば師匠も最近Sランクになったんですよね?師匠の二つ名はどんなのになるんでしょうか」


「二つ名はどうやってつくんだ?」


「自分のあだ名がそのまま二つ名になったり別のSランク冒険者がつけたり国がつけたりします。元になるものも戦い方だったり性格だったりと様々です」


「なるほど」


私は格闘と体術で戦うから《武術人》か?

それとも私の本質である《竜》とか。


二つ名をつける人の感覚が変でなければいいが。


「そういえば師匠はSランクにしては変わってますね」


「貧乏ということか?」


「いえ、そういうことではなくて。Sランクの冒険者はみんな変人なんです。完全な個人主義というか・・・」


前世でも天才は個性的だと言われていたな。

学問ではなく戦いでも天才は個性的なのだろう。

いや、《狂科学者》は学問の天才か。


「その点、師匠は常識人です」


「魔物の肉を平気で食うやつが常識人に見えるか?」


苦笑しながら答える。

王に対して敬意も払わず魔物の肉を平気で食べる奴が常識人なわけがない。この世界では魔物の肉を食べる習慣がない。習慣がないと言うか、そもそも食用じゃない。

他人から見れば私も変人だろう。


「まあ、確かにどこにでもいる常識人かと問われれば答えられませんが、そういうところに自分で気づくだけでもSランクにしては変わっているんです。みんな指摘されても全く気にしませんし、自分も常識人だと思ってますよ」


「ほめられているのか貶されているのかよく分からないな」


しかし他のSランク冒険者は個性的すぎないか。


会ったこともないのでどこまで信用できるかわからないが、変わっているというのは信じてもいいだろう。酒場でもたまにSランクがまたやらかしたらしいとかやっぱり変わってると聞くからだ。


「それとSランク冒険者は定期的に大国の本部ギルドに召集命令がかかるのですが、ほとんどの場合無視しますね。命令に応じるのは何もやることがなくて暇な時とかたまたま集合場所の近くにいたとか、そういう場合です」


「そんなのでいいのか」


「ギルドも来てくれると思ってませんから。いつも『冒険者は自由だ』とかなんとか言って屁理屈をこねられるので相手にするだけ無駄だと理解してます」


「ならなぜ召集命令をかける?」


「国から『Sランク冒険者をまとめること』と命令されているからです。Sランク冒険者は一人で町一つ壊せるほど強いので団結して反乱などを起こされてはとんでもないことになります。それを防ぐためにSランク冒険者同士の交流を深めさせたり相談に乗ったりとするのですが、個人主義なので交流はあまり深まりませんし悩み事があっても自力で解決するのでありません。ですがちゃんとまとめているという体裁を維持するために定期的に召集命令をかけてまとめていると嘘をつくのです」


「だがそんな嘘すぐにバレるだろう」


「ギルドは政治や戦争に関わらない中立の立場なので権力は関係ありませんしギルドの冒険者のおかげで魔物から町や国を守れているので嘘と分かっていても強く出られないのです」


この世界では騎士は治安維持のために働き、対人を想定した訓練がメインなので魔物討伐には向いていない。

冒険者は魔物と戦うので対魔物の専門家だから冒険者がいなければ魔物の脅威から町や国を守れない。


だからSランク冒険者を管理できていなくともギルドがないと困るから黙認しているのか。


国も大変だな。

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