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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
二章 予兆
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絡み酒

作者にお酒の知識は全くないので間違った描写があるかもしれませんが、ご容赦ください。

翌日、私は城の巨大な庭で軍の幹部や兵士たちを交えた宴会に参加していた。


城の庭は色とりどりの花が咲き乱れており、非常に幻想的だ。花見をしているような気分になる。


宴会の料理の内容は城の料理人総出で全力で作った絶品の料理に国内外の高価な酒だ。

ただ、一部の酒は強すぎたり混濁しておりあまり美味くなかったりと、値段の割に品質が低い。


たくさんある酒の中で私が一番気に入っているのは日本酒に似た竜汞酒という酒だ。

色調は青冴えで、水仙のような爽やかな香りにサラサラとした飲み口、しっかりとした旨味。

前世で飲んだどの酒よりも比べ物にならないほど美味い。


欠点としては、けっこう強いところだろうか。

肝が弱い人や酒が苦手な人にはきついかも知れない。


一人で酒を飲みながら料理に舌鼓を打っていると、


「りゅうさま~」


と、後ろから声が聞こえた。


振り返ると、顔を赤く染めたリリアが少しフラフラしながらこちらへ来ているところだった。


「リリアか。この景色は最高だな」


「りゅうさま~」


「?」


「りゅうさまはひどいですぅ~」


なんだいきなり。

若干舌足らずで間延びした喋り方。もう酔ったのか?


「わたしは~、もっと早く助けてほしかったですぅ。なのにりゅうさまは遅れてきてわたしのあられもない姿をみたじゃないですかぁ~」


絡み酒か。


リリアは「帝国軍に攫われたときにもっと早く助けに来ていればあられもない自分のあられもないを見られずに済んだのに」と言いたいのだろう。


「知らん。手遅れでなかっただけマシだろう」


「そういう問題じゃないですぅ~。わたしの体をみてもなんとも思わないのはそれはそれで傷つくんですぅ」


「痴女だからか?」


あられもない姿を見られて喜ぶ=変態。

これが私の考えである。


我ながらかなりひどいとは思うが、竜とかは高圧的でストレートに言う、というイメージがあるため、なりきりをしているとこういう言い方になってしまう。


「ひ、ひどいです!一国の王女にたいして、痴女はないですぅ!」


彼女は酔いとは別の意味で顔を赤らめ叫んだ。

酔っ払いは声が大きいので、近くにいた人たちがなんだなんだとこちらを見てくる。


リリアはその視線に気づいていないのか、盃を取って酒を飲む。それ私の盃なんだが。


「りゅうさみゃはちゅよしゅぎるんでしゅ~いちゅも敵になったりゃどうにゃるのか怖くにゃってりゅんでしゅ」


「敵対しない限りこちらからは何もしないぞ」


「そりぇはそうでしゅけど~」


頭ではわかっていても心は納得しない、というのだろう。

よくあることだ。私が彼女の立場だったとしても、同じことを考えるだろう。


「リリア、酒ほどほどにしておけ。もう呂律が回ってないしだいぶフラフラしてるぞ。それにさっきからじろじろと見られてる」


酔っ払ったリリアは予想外に艶やかだ。色気が普段より増している。

そんなことより、十分酔っ払っているのにまだ飲むのはやめたほうがいい。二日酔いになるぞ。


ところがリリアは私の言葉を勘違いしたらしい。

それと前半の部分だけしか聞いていなかったようだ。


「わ、わたしもおしゃけにちゅよいでしゅ!」


そう言って盃に残っていた酒を一気飲みした。私の酒が。

いや、一気飲みは危険だ。だがもう全部飲んでしまった。


「ぷはぁ」


なんかエロい吐息。

そのままリリアは私の方に倒れてきた。


「うおっ!?」


避けるわけにはいかないし、受け止めようにも体勢的にいろいろと不味い気がする。魔法も間に合わない。

仕方ないので踏ん張って倒れないようにする。意外と衝撃はなかった。


「おいリリ・・・」


「すぅ・・・すぅ・・・」


寝た。

文句を言おうとしたが、リリアが寝てしまった。起こすのも気が引けるし、また絡まれるだろう。


しかし、リリアの顔を見ていると文句を言う気持ちはなくなってきた。

安心しきっていて、前世の孫を思い出させる。


前世の孫も私の家に来たときはよく私に抱き着いてそのまま眠っていた。

懐かしい気持ちになったが、このまま放置するのも不味い。


さっきから好奇や殺意や怨嗟の視線がこちらを見ている。

この視線に晒されながらでは宴会を楽しめないし、新しい盃と酒を持ってくる必要がある。


ついでにリリアもどこかへやってしまおう。


-------------------------


リリアをおんぶしてリリアの私室にやってきた。

見張りに事情を説明して入れてもらう。

部屋は奇麗で、無駄なものがない。少し気になるものがあるが。


私の大小さまざまな人形がいっぱい置いてある。

人型や竜のものも。どこで手に入れたのだろうか。


気になったが、あまり女性の部屋に長居するのもだめな気がするのでベッドにリリアを寝かせる。


「ん・・・りゅうさまぁ・・・」


起こしてしまったかと思ったが、ただの寝言のようだ。

夢にまで見るとは、リリアにとって私はどういう存在なのだろう。


考えても意味はないか。


今は宴会だ。


このあと兵士たちに滅茶苦茶絡まれたが、楽しい宴会になった。

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