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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
二章 予兆
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救出

戦闘シーンをうまく書けるようになりたいです

近づきすぎてバレると困るので、帝国軍から離れたところで人間になる。


兵士の装備を奪って何食わぬ顔でリリアのいる場所を聞けばいいのだが、そう簡単にはいかないだろう。

常に最悪の場合を想定し、何が起きてもすぐ対応できるようにしておく。事件屋に教えられたことだ。


素早くどう動くかを考え、倒してもバレなさそうな兵士を探す。


見回りの兵をやってもいいのだが、帰ってこないことを不審に思われても困る。

ならどうするか。


簡単だ。一人の兵をおびき出せばいい。


拠点のテントに近づき、一人で誰からも見えない位置にいる兵の後ろに静かに近づいてガサガサと茂みを揺らす。


「ん?」


釣れた。

確かめようと近づいてきたところを茂みの中へ引きずり込んで言葉を発する前に首筋に手刀を落とす。

気絶した兵の装備を剥いで着る。サイズが微妙に合わない。

ついでに兵の顔を覚え、『模倣』の魔法で顔を真似る。

窮屈な装備を我慢して着て何食わぬ顔で拠点の中へ入る。


拠点はたくさんのテントがあり、寝床や商店などがあった。

兵に顔を見られてもバレることはなかった。

近くの兵にリリアの居場所を聞く。


「すまない、王国の王女がどこにいるか聞いてもいいか?」


「なんだ、聞いていなかったのか?あのテントだよ。いいよな、攫い人は王女を好きにできるんだから。俺たちみたいな下っ端は遠くから見ることしか許されてねぇ。お前も遊ぶつもりだったのか?残念だな、近づいたら追い返されるぞ」


もう少し高位の者の装備を奪った方がよかっただろうか?

いや、高位の者は少ないし顔や癖なども覚えられているはずなので、なりすますのは難しい。

かといって強行突破しようものなら大騒ぎになる。

しかしさっき気絶させた兵が起きる前にリリアを救出しなければならないから時間をかけすぎてもいけない。


どうしようか。


魔法で姿と音を消してもいいが、ある程度の実力があったり勘がいい者にはバレてしまう。気配を消す魔法はあるにはあるが大した効果は無いのだ。

勘のいいガキは嫌いだよ、という言葉があったが、別にガキでなくとも勘がいい者はこういう時は嫌いだ。


そんなことより、まずは入り口の警備兵をどうにかしなければ。


人目があるため倒すのは論外だ。


少々強引だが、魔法で姿と音を消して一気に行くしかない。

移動して誰もいないことを確認し、姿と音を同時に消す『透霧』を発動する。

複数の魔法をいちいちかけるのは不便なので二、三個の魔法を複合させた魔法があり、『透霧』もその一つだ。


リリアがいるらしいテントの入り口にいる兵が横を向いた瞬間、幕を少しだけ上げて素早く入る。

案外簡単に行けた。

テント内は変な道具や薬品など、いかがわしいことに使う物がたくさん置いてあった。


前を見ると、男と手を縛られ服を破られたリリアがいた。まさか手遅れだったか?


「私を辱めるつもりですかっ・・・」


「ひひひ、そうさ。お前のその顔が屈辱と恥辱に塗れる姿を想像しただけでたまんねぇぜ。リーダーに頼んで俺が一番になったんだ。ついてるよなあ」


まだだったか。

安堵すると同時に、怒りがこみあげてくる。

この男、許せん。


殺すのはさすがに不味そうなので背後からの不意打ちで気絶させようとした瞬間、


「けどせっかくのお楽しみを邪魔する奴がいるんだよな。まったく。バレバレだぜ?そんな敵意むき出しにして、バレないとでも思ったか?」


男が呟き、いきなり投げナイフを投げてきた。

テントの外へ出るとまずいので手甲ではじく。


「もうバレてるんだ。姿を見せたらどうだ?」


『透霧』の魔法を解く。ついでに奪った装備も外す。動きづらくてかなわん。


「おいおい、下っ端の兵じゃねぇか。お前が俺にかなうとでも?」


「さあな」


私は男に殴りかかったが、しゃがんでよけられてしまう。

男はそのまま足払いをかけてきたが耐える。人型でも力はかなりあるのだ。


私は胴体へ蹴りを放つが、インパクトの瞬間に後ろへ跳んでいなされてしまった。

それでもそれなりにダメージはあったらしい。男は一瞬目を見開いていた。


一瞬で距離を詰め、顔面を力任せに殴る。


「ぶぺっ!?」


奇妙な悲鳴を上げ、硬そうな壺に頭をぶつける男。痛そう。やったのは私だが。


あとはリリアを連れて逃げるだけだが・・・リリアはなぜか私を恐怖を含んだ顔で睨みつけている。


「ここの男共は変態しかいないのですか・・・」


「変態とは失礼な」


「変態でしょう!実際、順番を無視してそこの男を殴り倒したではないですか!」


冗談なのか本気なのか。

おそらく後者だろう。

私をずっと睨み付けているのだから。

しかし、なぜ睨まれているのだろう?


「・・・」


私の沈黙をどう受け取ったのか、リリアが怯えた表情になった。


「あ、そうか」


『模倣』の魔法を発動したままだった。

顔を手で覆い、『模倣』の魔法を解除する。


「りゅ、竜様!?」


「助けに来た。さっさと逃げるぞ」


そういって近づいたのだが、なぜかリリアは私から距離をとる。


「わ、私を襲うつもりではないですよね・・・?」


「・・・なんだと?」


ちょっと傷ついた。私も変態と思われていたのか。


「そうかそうか、貴様にとって我は変態だったのだな」


「え?えーっと・・・」


「何度か手助けをしていたつもりだったが、貴様はなんとも思っていなかったのか。この状況で我を変態呼ばわりとは。・・・死にたいようだな」


最後はもちろん嘘だ。

しかしリリアは本気にしてしまい、


「ご、ごめんなさい!冗談です!助けてください!」


と、必死になって許しを請うてきた。

そんなに必死にならなくても、見捨てたりしない。


しかしこの状況でも冗談を言えるとは。

度胸があるのか、図太いのか。


「そんなに必死にならなくとも助ける。怒ったふりをしていただけだ。・・・ほれ」


言いながら手首の縄をほどいて魔法で作ったマントを渡す。

リリアはきょとんとしたおり、なぜ渡されたのか分からない、といった顔をしている。言いたくないのだが、気づいていないのなら言うしかない。


「マントを着てそのあられもない姿を隠せ」


そう言うとようやく気付いたようで、顔を真っ赤にしてすごい速さでマントを身に着けた。

マントを着た後ジト目で見られたが、気づいていないふりをする。


「我はそういうのに全く興味はないぞ」


「・・・そうですか」


私は今は竜でもう人間ではないし中身は百歳越えの爺だ。


それよりなぜ少し残念そうなんだ。

まさかリリアは隠れ痴女?


もしそうならかなりのショックだ。

前世の孫に似たこの娘が痴女だったとは。


血のつながりなどは全くないのだが、どうしても前世の孫と重ねてしまう。


「なんですかその目は」


「いや、ちょっとな・・・それより不審に思われる前にさっさと逃げるぞ」


私とリリアに『透霧』の魔法をかけ、テントの裏側から森の中へ逃げる。


帝国軍の拠点からある程度離れたところで魔法を解き、竜に戻る。


『我の背中に乗れ』


尻尾を地面につけ、背中に乗れるようにする。


「ゴツゴツしてて、鱗の尖った部分が当たって痛いです」


『仕方ないだろう。乗騎するための物がなにもないし我は人を乗せるための竜ではない。飛ぶぞ。しっかり捕まっておけ』


翼を動かして少しずつ上昇していく。


ある程度の高度まで上昇したところで、翼をたたんで急降下と同時に加速する。


「ひゃあっ!?」


加速しすぎると風圧で呼吸困難になるしあぶないのでいつもより遅めに飛ぶ。それでもかなり速いが。


「わあ・・・すごいです」


ちょうど今は薄明なので、美しい景色が見れる。


快適?な空の旅と一緒に美しい自然の景色を見れるなんて、最高だろう。


しばらく飛んで、王国軍の拠点へ戻る。


私とリリアに気づいた兵たちが歓喜の声を上げる。


拠点から少し離れたところへ降り立ち、歩いて拠点の傍へ行く。

尻尾を地面につけ、リリアが降りたのを確認する。


「皆さん、心配をかけてしまい申し訳ございません。攫われたのは私の責任です」


「とんでもない!責任は攫い人に気づけなかった我々にあります!」


「ですが・・・」


責任の押し付け合いならぬ取り合いになりそうだったので止める。


『責任の取り合いは後にしろ。今は帝国軍の動きに注意すべきだ』


「そういえばそうですね。二日後に森の一部を平地にして、そこで戦います。竜様、森の一部を平地にしてもいいですか?」


『やりすぎるなよ』


二日後に決着をつけよう。

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