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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
二章 予兆
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リリア=孫

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王国軍拠点


「着いたぞ」


「案外早かったな。で、どうする?相手は王女だ、警備も厳重だし護身術ぐらいは修めてるだろ」


「大丈夫だよ、護身術っつても相性がある。女王はおそらく攻撃を捌いたり、応援がくるまで相手を行動不能にするぐらいだろう」


「この状況でそれやられたら一巻の終わりだぞ」


「大丈夫だよ。やられる前にやればいい。俺は攻撃特化の武術を修めた。お前らは警備の注意をひけばいいんだ」


「だがそれだと俺たちが最初に王女を好きにできねえじゃねえか」


「ちゃんとお前らにもまわすさ。失敗して殺されるよりはマシだろ」


「そうだな。へへへ・・・王女が泣き叫ぶ姿・・・たまんねぇ」


帝国の攫い人がリリアのいるテントの後ろに隠れていた。


「いいか、警備が厳重って言っても探知網と誰かに見つからなければ大丈夫だ。テントの前に二人いるが、一撃で殺れ。首を捻り折ればいいんだ。お前はテントに『無音』の魔法を。騒がれたら終わりだ。・・・準備はいいな?スリーカウントで行く。3、2、1、行け」


二人が音もなくテント前の兵士の背後を取り、首を折る。


リーダー格の大柄な男が正面から堂々と入る。


「何者です!」


「知る必要はない。叫んでも無駄だからな」


言い終わる前に男が左手で突きを繰り出す。


リリアは冷静に右腕で攻撃を捌き左手で男の顔面を殴った。

鈍い音が鳴るが、男は気にしたそぶりもなく足払いをかける。


リリアは下がるのではなく少しだけ跳んでかわし、投げ技をかけるために掴みかかる。

しかし男は投げられる前にリリアの両腕を掴んで力任せに握り始める。


骨が折れる音が鳴り、リリアが手を離した一瞬の隙をついて背後にまわり、首筋に手刀を落とした。


「弱いな。技を使わなくても勝てたぜ」


一瞬で決着がつき、男は仲間を呼んでリリアと共に森の中へ消えていった。


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帝国軍の者に襲撃・・・といってもダメージは全くないのだが、攻撃されたことには間違いないので参戦することを両軍に告げる。


『拡声』で『念話』が届くようにする。


『帝国軍と王国軍の両軍に告ぐ!我はヴィッツ・ヴェルナード!我はこの戦争に参戦するつもりはなかったが、帝国軍の者に襲撃された!よって我は防衛と報復のためにこの戦争に参戦する!』


これでいいだろうか。


本当は今すぐ帝国軍の拠点を燃やしてもいいのだが、まだ一度も戦闘が起こっていないので本格的に戦闘が始まってから参戦することにした。


それと胸騒ぎがまだ収まらない。


胸騒ぎ・・・。何か仕組まれているのだろうか?


-------------------------


王国軍拠点


「おい、聞いたか、あのヴィッツ・ヴェルナードが参戦するらしいぞ!」


「ああ、俺も聞いた。大丈夫か?俺たちも襲われたりしないよな?」


「大丈夫じゃね?俺たちなんもしてねぇし」


「そうか?一言も王国軍に味方するとか言ってなかったが」


「確かに。もしかしたら・・・」


兵士たちが雑談していると、別の兵士が走ってきた。


「た、大変だ!お、王女が・・・リリア様が消えた!」


「・・・な、なんだって!?」


「おいおい、不味いぞ!」


「くそっ、探せ!王女が見つからなかったらどんな処分が待ってるか・・・」


王国軍は混乱していた。


-------------------------


攫い人たち


「へへへ、美人じゃねえか」


「おい、今は任務に集中しろ。そろそろいなくなったことがバレるころだ。楽しむのは連れ帰って順番がまわってきてからにしろ」


「相変わらず真面目だなお前は。こんな美人で、しかも王女を好きにできるんだぞ?二度とねえチャンスなのに、なんでなんとも思わないんだ?」


「興味ないからな」


「じゃあ順番譲ってくれよ!俺のセンサーがもう反応してんだよ!」


「相変わらず下品だな。こんな変態に好き勝手されるとは・・・敵国の王女とはいえ、少し同情するな」


「戦争中だぞ、同情なんぞ要らん。皇帝に今の発言がバレたらヤバいことになる」


「分かってる」


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参戦するのは本格的に戦闘が始まってからと言ったものの、胸騒ぎが収まるどころかどんどんひどくなってきた。


とりあえず王国軍に動く許可をもらおう。


王国軍に味方するとは言っていないが、自分のせいで戦況とか作戦が滅茶苦茶になったら困る。


最初は軽い気持ちで王国軍へ向かっていたが、王国軍の様子が変なことに気づいてからは軽い気持ちで許可をもらおうとは思わなくなった。


兵士は驚いていたが気にせず聞く。


『この騒ぎはなんだ?』


「ひ!じ、実は、王女がいなくなりました!」


『なに?』


「門番の兵士が殺されてて、王女が消えたんです!」


胸騒ぎはこのことだったのだろう。


杜撰ずさんな警備だな。王女一人も守れないのか』


「ひ!も、申し訳ございません!」


『今は謝るより王女の行方を追え。考えられる可能性は?』


「え、えっと、帝国の者に連れ去られた可能性が高いです!おそらく人質として、または慰み者とするためだと思います!」


『慰み者だと?』


前世の孫に似ているリリアを?

孫ではないが、内心孫のように思っている。


そのリリアを、慰み者に?


「ひいいいいいいい!?」


ずいぶん怖い顔をしていたらしく、兵士を怖がらせてしまった。


もう許可などどうでもいい。


孫のように思っているリリアを取り戻してやる。


助けたあとは拠点を消し炭にしたやりたいが、そこまでするのはやりすぎだろう。


あくまでもリリアの奪還が目的だ。


『我はリリアを奪還してくる。総帥にでもリリアのことは任せて戦闘の準備をしろと伝えておけ。いいな?』


「は、はいいいいいいいいい!」


テントが風圧で壊れないようにある程度離れてから飛び立つ。


絶対にリリアを奪還してやる。

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