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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
二章 予兆
15/121

??? 2

「空気がきれいだね」


「     」


「確かに町の空気も澄んでるけど、それって大気完全浄化システムできれいにされた空気でしょ?私はね、人工的に作られた澄んだ空気より、自然が作り出す空気の方が好きなの」


「     」


「ここへ君をつれてきた理由?うーん、君は愛想はまるでないけど一緒にいると妙に安心するんだよね。それに君の知識と私の技術があれば上手く行くから、信頼関係を築いておきたかったから、かな」


「     」


「確かに、今の理由だとわざわざ遠く離れたこの小さな森に連れてきた理由にならないね。うーん。ここに来ると自然と一体化できるから、かな?」


「     」


「ほんとに君はロマンチックのかけらもないねぇ。一体化って、土に還るとか、植物の養分になるとかじゃなくて、自然と心を通わせるってことだよ。まあ、そういうところも君らしくていいね」


「     」


「ここに来ると、不思議な気分になるんだ。来るたびにかわって、落ち着いたり、リラックスできることもあれば、嫌な気分になることもある」


「     」


「言い表すのが難しいけど、大海原にたった一人浮いているっていう孤独感とか、理性で自分を押さえるあまり壊れてしまった人の叫びとか」


「     」


「それでも来る理由?なんだろう。ここが唯一、負の感情を思い出せる場所だからじゃないかな。それより、『人類救済計画』だけど、君の意見を聞かせてほしいな。常に現実的に考える君の意見なら参考になるはずだよ。・・・なんで人は不幸や負の感情から逃げたと思う?」


「     」


「人は理解できないものに本能的な恐怖を感じ、また、負の要素を消し去れば幸せになれると思ったから、か。それに、幸せに近づいていると誤解しており、本当は幸せから遠ざかっているから、か。難しいね」


「     」


「参考になったよ。じゃあ次。・・・理性で自分を押さえていた人は、なんで壊れたの?」


「     」


「強すぎる理性が自分の心まで押しつぶしてしまったから、か。じゃあ次。・・・私たちは、不幸や負の感情を忘れてから、何を失ったんだと思う?」


「     」


「むしろ失わなかったものを数えた方がはやい?そうかもね。さっき君が言ったように、私たちは幸せに近づいていると誤解していて、本当はどんどん遠ざかっていった。そして今は求めていた幸せがどこにあるのか、そもそも最初の目的はなんだったのかすら忘れたってこと?」


「     」


「幸せだけでなく、未来へ羽ばたくための翼があったことすら忘れた、か。・・・よくわからないよ。私の専門は人間心理の抽出・分離工学だし」


「     」


「人類は光があったことすら忘れた?ごめん、本当に何言ってるか分からない」


「     」


「これ以上私を混乱させないでよ。さっき君は失わなかったものを数えた方がはやいって言ったけど、それは何?」


「     」


「本能、技術、か。それ以外のすべてを失ったってこと?」


「     」


「・・・確かに造られた幸せよりも、本当の幸せを探求し続けていた昔の方がよかったかもね。だけど時空法で過去または未来への移住は禁止されてるし、バレるから今となっては記憶の中にしか存在しないんだけどね」


「     」


「どうだろう。計画が成功すれば古き良き時代が蘇るし、失敗すれば世界が滅ぶかもしれない。あるいは・・・」


この時はまだ自分は彼女とこの世界の行く末に興味を持っていた。


だが、今になって思い返せば、すべての始まりは自分がこの計画に加担した時から始まっていたのだろう。

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