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本日二話目です。
「私はね、みんなを助けたいの」
「 」
「なにを助けるかって?みんなの成長する力のことだよ」
「 」
「違うよ。君の言う成長は肉体的な成長。私の言う成長は、人々が進化するほうの成長よ」
「 」
「うん。私はその進化を可能にしたいの。今の世界はすべて機械で成り立っている。みんな機械のおかげで幸せに暮らして、不幸とは無関係なの」
「 」
「私はこれを幸せとは考えない。善がなければ悪もないって言うでしょ。それと同じで、不幸がなければ幸せもないの」
「 」
「うん。言ったでしょ。私はみんなを助けたいの」
「 」
「怒った?そうかもね。君からしたら、私がやろうとしていることは不幸を世界にばらまくことだから。でもね、私は絶対に止まらない。私にはこの世界が色彩を失った何もない世界に見えるよ」
「 」
「考えてよ。この世界の何がいいの?人々は不幸を恐れ、目に見えるものだけを信じ、未来を切り開く力を失った。これは病気なんだ。魂の病気だよ。治療するには私たちが忘れた感情や不幸と向き合う必要があるんだよ」
「 」
「君の言う通りだよ。傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、強欲、暴食、色欲・・・うまく言い表したものだね。せっかく言葉にできたのに、人々は存在しないものにした」
「 」
「邪神、か。物語によると存在することすら許されなかった、哀れな存在だね。でも私は、邪神にこの病を治療するヒントがあると思うんだ」
「 」
「できるよ。実際に治療の手がかりがあるんだから。ほら、これだよ。どす黒くて、ねばねばして、見るだけで嫌な気持ちになる。これが嫌悪感っていうものなんだね」
「 」
「これ?私から抽出したの。私の無意識の中に眠る負の感情を抽出する機械を作って動かしてみたら出てきたの。君からも同じものが抽出できるかもね」
「 」
「安全性?どうだろ。私が使ったときは嫌な気分になって、欲望の・・・えっと・・・アレを抽出するときはすごいムズムズして気が付いたら裸になってたから、そういう意味じゃ安全じゃないかもね」
「 」
「でもさ、これを全世界の人を一斉にできるようにしたら、きっと治療できると思うんだ」
「 」
「確かに混乱するだろうね。でもね、混乱を乗り越えて、不幸と負の感情を思い出せれば、絶対に上手く行くよ」
彼女の顔は、絶対の自信と希望であふれていた。
今思えば、この時に彼女を止めるべきだったのかもしれない。




