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竜は静かに暮らしたい  作者: イエス・ノー
七章 天空世界
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それぞれの四大天使

遅くなりました。申し訳ございません。

「ねえねえ、もしかしなくても《暴食》のベルゼブブ?アタシたち天使の間ではベルゼブブは蠅って伝えられてたのに、実際は黒い腐った団子だね」


『誰ダ』


目の前のベルゼブブ・・・腐り団子でいいや。見た目はそのまんま真っ黒に腐った団子みたいで、表面にいくつもの仮面のようなものがついている。


ベルゼブブの《暴食》ってどんな能力だったっけ。いろんな物を食べるのかな?


「ねえねえ、いつもどんなもの食べてるの?《暴食》って言うくらいだから、美味しいものいつもいっぱい食べてるんでしょ?」


『何ダコイツ』


「何って四大天使の一柱、ガブリエルだよ」


『四大天使・・・何ノ用ダ』


「鈍いなぁ。殺しに来たに決まってるじゃん」


不意打ちで攻撃。アタシの武器は鞭。自由自在に動かして対象をじわじわと痛めつける。


「蛟打ち!」


手元の魔力操作で鞭の軌道を変える技。予測不能に近い滅茶苦茶な動きをしながら腐り団子を攻撃する。


『イタダキマス』


仮面のようなもののうちの一つが呟いたかと思うと、おもむろに口を開けて、閉じた。口を閉じると同時にアタシの鞭が消えた。


「は?」


仮面のようなものはもごもごと咀嚼してしばらくして嚥下した。

食べられた。アタシの鞭が。


『不味イ』


は?

アタシの鞭が不味いって?は?あの鞭を作るのにどれだけ時間と労力が時間がかかったって思ってんの?

神に仇なす堕天使どもの肉片を混ぜて作った、アタシの汗と涙の結晶が詰まった鞭を、不味いって?


・・・あ、そう。


「汝は願う。己の生は一体何なのかを知らんと願う。今一度、生きることへの答えを示せ。『空虚な生』」


現れたのは全身がズタボロで所々に血が付着した何か。


見た目はグロテスクな粘液でできた化け物かな。アタシはこの気味の悪さを表す言葉をしらない。それほどまでに醜悪だった。

あのシュラとか言う熾天竜はなんでアタシたちがこんな化け物を使って残虐に殺すのか疑問に思ってたみたいだけど、理由はない。ただ利用するだけ。

こいつらは遥か大昔、神々の余興で作られた生物。本来であれば世界の停滞を防ぐために作られた存在だったけど、堕天使どものように欲を知り自我を得て神々に背いた。


今ではほぼすべて回収できたけど、神々に背いた罪により終わることのない苦痛を与えられることになった。


奴らに意思などない。あるかもしれないけど、実際はないに等しい。

奴らは自分の意志関係なしに天使に操られ、戦いに身を投じる。奴らは戦いでいくら身を引き裂かれようと死なない。死んだところで肉体が滅ぶだけで魂と精神はなくならず、殺される恐怖と苦痛を受け続ける。


アタシたちは残酷だと思うことはない。それが神々に背くということ。罪人に同情などありえない。


「ガ、ガア、ガアアアアアアアアアアアア」


あ、食べられられちゃった。


『・・・ホウ、ナカナカノ美味ダ』


「だって、よかったね、化け物。それで生きていくことの答えは・・・『生きてゆくことは苦痛だった』?あっそ。つまらない答えだね」


化け物は使い物にならないから、アタシが本気で戦うか。


「『天装』」


光り輝く大天使用の白い甲冑が身を包み、青く光る弓矢が手に握られる。


「『ホル・ガーツ』」


放たれた一本の矢が腐り団子のもとへ光の速さで飛ぶ。


『無駄ダ』


食べられる。


「『ホル・ダーツ』」


『フン』


また食べられる。


『大天使ト言エド、所詮ハ子供。単純ダ』


「あ゛?」


アタシが子供だって?


「『ホル・バン』」


『ガ八ッ!?』


腐り団子が爆発する。うええ、気持ち悪い粘液が飛んできた。


『ナ、ナゼ・・・』


「分かんないの?」


仕組みは単純明快。さっきアタシが放った矢が体内で爆発しただけ。


天使の矢は破壊することができない。いかなる手段でも神でない限り傷つけることすらできない。《暴食》はほぼ全てのものを喰らい糧とする能力みたいだけど、天使の矢という悪魔を殺すことに特化した攻撃には無意味。


「じゃ、さっさと死んでね」


-------------------------


「嫉妬しちゃうわぁ。いいわねぇ、天使は強くて」


「我は戦う準備が整っていない者を襲うようなことはせぬ。得物を抜けい!」


「はいはい、面倒だわぁ。何がお望み?」


「望みだと!?今望むは、貴様を打ち倒すことのみ!」


「堅苦しいわね」


この大悪魔はなぜ戦わない?油断している今ならば不意を突けば傷をつけることはできるだろう。しかし我は戦う準備のできていない者を襲うような卑怯な真似はしない。


『何かと由を付け躊躇う。それを腰抜けと呼ぶ』


かつての師匠の言葉がよみがえる。師匠なら今の隙をついて全力で打ち倒していただろう。実際、師匠は勝つためには何でもするような性格だった。


『天使とて死ぬときは死ぬ。戦いとは生き残るためにすべての手段を尽くすことじゃ』


我がすべての手段を尽くすのは戦いが始まってからである。


「得物を抜くがいい。それとも貴様は素手で戦うのか?」


「分かったわよ、相手してあげる」


「ほう、爪か」


どうやら得物は爪のようだ。


長さや威力では我が勝るが取り回しや機動力では劣る。近づかれぬように戦えば良いか。


「参る!」


槍の穂先を手元に引き寄せ、魔力で覆い素早く突きを繰り出す。


「まあ怖い」


気持ちのこもらない読み方であっさりといなされてしまう。しかしそうなることは予想済み。


魔力を操作し穂先を飛ばす。ガブリエルの蛟打ちのように魔力の操作で動きを自由自在に変化させられる。しかしこの程度で攻撃が命中するはずもない。


『夢幻刃』


飛んでいた穂先からいくつもの同じ穂先が現れる。


それらはすべて幻であり実体でもある。それぞれが滅茶苦茶に動き回り、悪魔の体を傷つけていく。


「・・・嫉妬しちゃう」


小さな声なのに嫌に響く声。たしか嫉妬した能力を模倣できたはず。


「『夢幻刃』」


悪魔が我と同じ技を使う。我の武器は槍の穂先だったのに対し、悪魔の武器は何本もの鋭利な爪によるものだった。


「くっ」


槍を振り回し一つ一つ落としていく。面倒だ。


「その隙が命取りよ」


「むっ」


いつの間にかかなり接近されていた。しかし好都合。

足払いをかけて転ばせる。


「なっ」


「得物のみで戦うと思ったか」


我の信条に少々反するが命あっての物種という言葉がある。負けて死んでは意味がない。勝つためならば多少汚い手を使おうと我は構わない。


「あら、あなたがその気ならこっちにも考えがあるわよ」


不意に背後から殺気を感じた。気づいた時には手遅れだった。

我の胸を貫き、悪魔の爪が生えていた。


「がはっ!」


引き抜くときに肉を抉られ、口から血がる。

全身の力が抜けてその場に倒れてしまった。


「ふう、大天使って言っても大した脅威じゃなかったわね・・・」


「相手の息の根を完全に止めるまで気を抜くな」


「え?」


「そう簡単に天使は死なん。さらに参るぞ!」


不意を突き悪魔の胸を貫く。すぐに抜き、今度は首を貫き地面に突き立てる。

慎重に生きているか確認するが死んでいた。生き返らないように焼却する。


「ううむ・・・」


胸の大穴はかなりの大怪我だ。なんともないように振る舞ってはいたが、治療しなければ。


少し戻るとしよう。

天使と悪魔の能力を全然引き出せませんでした・・・戦闘は早めに終わらせよう。

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