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ep.2


門にはパネトーネと書かれていた。

門を越え、初めて見た街の景色にアリスは立ちすくんでいた。

(どこもかしこも、日本とは全く違う西洋風の街並み。これぞ、ゲーム!という雰囲気にわくわくしちゃう!)

「アリス様、どこに向かわれますか?」

「最初は冒険者のための施設かな。情報も欲しいし。」

「わかりました!パネトーネの冒険者施設は街の中心にあるようです。行きましょう!」

白兎がアリスの前を歩き始めた。


少し歩くと立派な建物が見えてきた。建物に近付くとプレイヤーと思われる人も増えてきた。

(この辺りになるとNPC以外もいるのね。)

アリスは気付かなかったが、周りのプレイヤーはアリスと白兎を物珍しそうに見ていた。アリスは建物に入るとすぐに受付の女性に話しかけた。

「少し教えて貰ってもいい?」

「いらっしゃいませ!冒険者支援組合へようこそ!何かお手伝いできることはありますか?」

「この街に来たばかりでまだ何もわからなくて。冒険者ってどんなことができるの?」

「ようこそ、パネトーネへ!駆け出し冒険者の方ですね!冒険者の方は、あちらの掲示板から様々な依頼を受けることができます。レベルによって依頼は区切られていますので、御自身に合ったものを選択ください。さらに冒険者の方は、御自身のギルドを立ち上げることもできます。どこかのギルドに所属するのも、御自身で立ち上げるのも自由です。他に何かわからないことはありますか?」

(ギルドは所属より立ち上げがいいな。楽しそうだし、何より自分で家具をカスタマイズしたい。)

「自分でギルドを立ち上げる時は、どうしたら良いの?」

「ギルドの本拠地となる場所を何処にするかでギルドルームの金額が変わります。現在はまだどなたもギルドを立ち上げていない為、選び放題ですが、早い者勝ちで好立地な場所はなくなっていくと思います。依頼でゴールドを稼ぐのがギルド立ち上げの近道ですので、高レベルになり難易度の高い依頼を受けることをオススメします!」

「一番高いギルドルームの金額はいくら?」

「1億ゴールドになります。ここは庭が広く、ギルドルームの後ろの森で採集もできる一番の好物件です!このギルドルーム以外では、屋敷形態をとっている場所はなく、部屋割りとなります。また、庭・採集機能があるギルドルームもここだけになります。」

(これは買いかな。一文無しになったとしても、ここで購入を先延ばしにするのは有り得ない。)

「では、その1億ゴールドのギルドルームを買います。」

「え!?あ、はい!では、こちらにサインをお願いします。サインをいただいた時点で、ゴールドの所有権がこちらへ移動いたしますので御注意ください。」

アリスがサインをしたと同時に、所持金が0ゴールドと表示された。

「はい、間違いなくお支払いが完了いたしました。ギルドルームの所有権をアリス様に移行したのですが、ギルド名はいかがなされますか?」

(ギルド名は、アリスだし・・・。)

「不思議の国、ギルド名は不思議の国でお願いします。」

「はい、それではこれで手続きは終了です。では、こちらの鍵をお渡しいたします。こちらの鍵を使用することで、どこからでもギルドルームへと行くことができます。所有権はアリス様にしかなく、アリス様しか使用できません。ギルドメンバーが増えた際は、こちらの鍵から小さな鍵が出てきますので、それをお渡しください。機能は同じです。」

受付の女性は、手のひらサイズのクリスタルでできた鍵をアリスに渡した。

「ここまで親切にありがとう。せっかくだから、依頼も受けてみるよ。」

「はい!いってらっしゃいませ!良い冒険者生活を!」

アリスは依頼板の前まで来た。

「白兎さん、どれがいいと思う?」

「そうですね。アリス様に合うものとなると難しいですが、試しにレベル50程度のものを受けるのはどうですか?」

「初っ端から!?ほら、冒険者の登竜門スライム討伐とか良いんじゃない!?」

アリスはレベル5以下推奨のスライム討伐の依頼を指差した。白兎は、首をフリフリと横に振った。

「これはダメです。報酬金額が安すぎます。宰相としては、国庫を潤すことが最優先だと主張します。」

白兎はモノクルをくいっと肉球のついた手で押し上げた。

「うっ・・・。それを言われるとそうよね。わかった、じゃあこれは?」

アリスが指を差したのは、レベル50以上推奨の街の外れにある教会の掃除依頼だった。

「掃除依頼で報酬が500万ゴールド!とっても良くない?」

「怪しい気もしますが、我々なら問題がないでしょう。さっそく行かれますか?」

アリスは早くと言わんばかりに、白兎の手を引いた。


(初めての依頼・・・!どんな依頼だろう!)

アリスは軽快な足取りで教会の重厚な扉を開けた。

「お邪魔します。依頼を受けた冒険者です、どなたかいらっしゃいませんか?」

奥から神父と思われる男性が慌てたように出てきた。

「依頼を受けてくださったんですね!ありがとうございます!私は神父のマーセルと申します。」

「私はアリスです、よろしくお願いします。お掃除の依頼でしたが、何処を掃除しますか?かなり綺麗なように見えますが・・・。」

「冒険者の方に頼みたいのは、掃除は掃除でもモンスターの掃除です。実は教会の裏にある墓地にスケルトンが住み着いたようでして。そちらのお掃除をお願いしたく!」

「な、なるほど。そっちのお掃除・・・。スケルトンということは、日没後に討伐開始となりますかね?」

「そうなりますね。もう日暮れなのでそんなにお待たせすることは無いと思いますが、教会の中でもぜひ見て回って時間を潰してもらえればと思います。」

そう言ってマーセルはまた奥へ戻って行った。

「危険そうかな、白兎さん。」

「どうでしょう。レベル50以上推奨ですから、我々にはそこまでではないと思いますが、稀に出没するというキングスケルトンが出たら面倒臭いかもですね。」

「強いの?」

「再生能力が厄介なんです、キングスケルトンは。」

「え、それはどうやって倒すの?」

「そうですねぇ。再生できないくらいの大きなダメージを与えるというのがよくある倒し方です。」

「それ、私できる・・・?」

白兎はにっこりとアリスに向かって笑いかけた。


日が暮れて日没となった。

「アリス様、行きますか?」

「行こう!白兎さん、よろしくね!」

「後ろはお任せください。」

アリスと白兎がこっそりと墓地を覗くと、スケルトンが五体彷徨っていた。アリスと白兎は頷き、それぞれスケルトンに襲いかかった。スケルトンのレベルは30と二人に対して低く、一発当てれば光の粒子となり消えてしまっていた。

「こんなにすぐ死ぬの!?スケルトン!?」

「レベル差がありますから・・・。」

スケルトンを全て倒し、一段落ついた瞬間、白兎が叫んだ。

「アリス様!来ます!!」

白兎が見た方向をアリスもすぐに見た。暗闇から先程より大きなスケルトンが現れた。

「王冠つけてるってことは!」

「キングスケルトンです!」

白兎が言い終わる前に、アリスは理の大鎌でキングスケルトンを斬った。

「いけた!?」

「まだです!ギリギリHPが残っています、これでは再生してしまいます!」

「急所でこれなら、どうしたらいいの!?」

白兎がポケットから時計を取り出した。

「アリス様、何が起きてもキングスケルトンを攻撃し続けてくださいね。」

「言ってる意味はわからないけど、わかった!」

白兎はアリスの前に立った。そして、時計をキングスケルトンに向けて掲げた。

「時計の針、止まれ!」

その瞬間、アリス以外の時が止まった。

「え!?時間を止めるスキル!?」

アリスは叫びながら、キングスケルトンへ大鎌で連続攻撃を行った。何度大鎌を振るったかわからなくなった頃、時間がまた進み出した。

「白兎さん!?」

「アリス様、攻撃し続けられたようですね。止まった時間の中で行われた攻撃はモンスターに蓄積されています。そのため、時間が進み出したら一気にモンスターにダメージがはいるのです。」

キングスケルトンは苦しそうな悲鳴をあげながら、光の粒子となって消えていった。

「キングスケルトンが何かドロップしたようですよ!」

「ほんとだ。なにこれ?紙切れ?」

キングスケルトンが消えた地面には、3枚の紙切れが残されていた。

「これはスキルページです。こちらを読むことで、新しいスキルが手に入ります!アリス様、読んでみてください!」

アリスはスキルページに目を落とした。

「リンクヒール、サンクチュアリ、デモニックヒール?」

【スキルが追加されました。確認はステータスをご覧下さい。】

「白兎さん、3つのスキルが追加されたよ。多分、回復系のスキルかな。」

白兎の目が輝いた。

「それは幸先が良いです!回復系スキルは珍しいため、かなり重宝します!かなりラッキーです!」

(あとでスキルの内容は確認しようっと。それよりも・・・。)

「白兎さん、さっきのは何!?時間を止めることができるの!?」

白兎はそ〜っと目を逸らしながら答えた。

「私の固有スキル時計の針は時間に作用するスキルなのです。止める、進める、戻る、遅らせるなど大体のことは少しの時間ならできます。」

「いや、すごすぎだよ・・・。」

「白兎(宰相)ですから、この位は朝飯前です!」

白兎は耳をぴょこぴょこ振りながら、胸を張っていた。


朝日と共に、依頼達成の報告に冒険者支援組合へアリスと白兎は足を運んでいた。

「無事、初依頼を達成されましたね!おめでとうございます!こちら、報酬の500万ゴールドになります。」

「ありがとうございます。」

(懐があったまった!良かったー!)

「白兎さん、そろそろ気になってこない?」

「ギルドルームですか?」

アリスはにっこりと笑った。

「私たちのお家へ行ってみよう・・・!」

そう言ってアリスは鍵を握った。



ステータス

アリス(人族****)Lv99

HP:100+999

MP:100+999

STR:10+999

INT:10+999

VIT:10+999

AGI:10+999

DEX10+999

LUK:∞+999

【スキル】

リンクヒール:自身と味方を回復する。

サンクチュアリ:自身と味方を守る結界を張り、時間制限付きで無敵状態を付与する。

デモニックヒール:敵に対して攻撃・防御力の減少と毒状態を付与する。

【固有スキル】

理の大鎌:鏡に映る世界Lv1

【祝福】

幸せを掴む者:運がとても良くなる。一日一回即死攻撃をなかったことにできる。(特別ステージクリア報酬)

咎人を処せし者:理の大鎌での攻撃がすべて急所判定となる。(赤の女王撃破報酬)

玉座に座る者:ネームドペット白兎(宰相)の主人となる。(赤の女王撃破報酬)

【所持金】500万ゴールド

【所有ペット】

白兎(宰相)

レベル制限のためステータス開示不可***

【固有スキル】

時計の針Lv***

【祝福】

時の神に仕えし者:時の神クロノスの力を分け与えられる。時空干渉能力を得る。

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