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第二話:天使の説教は長い

作者、やる気不在のため、不定期です。

第二話

「いいですか、天使などを呼び出すときはきちんと手順を踏んで目的あってこそ呼ぶべき存在なんですよっ。お遊び程度で呼び出せば使役できない存在だって出てきます。きちんとそのことについて勉強したのですか。魔術師の基本ですよね」

 もうかれこれ三十分ほど同じようなことを繰り返されているだろうか。その間俺はずっと正座なのだ。

 そろそろ………いや、既にお昼を過ぎようとしている。

「あ〜話を腰をおるようで悪いんだが………」

「………何ですか」

 不機嫌そうにこちらを見やる天使さんに俺は告げた。

「ちょっとおなか空いたから昼飯を作らせてくれ」

「何を悠長な………」


ぐーっ………


 どこからかそんな音が聞こえてきて、この場に静寂が訪れた。

「………認めます。私の分も作ってくれますよね?」

「まぁ、一応………」

 正座三十分しただけで俺の足は麻痺っていた。もやしっ子なので仕方がないと思ってほしい。その結果、よたよたとなりながらそのまま天使さんを巻き込んで倒れこむ。

「あいたた………すまん」

「いえ………その………」

 気がつけば俺は天使さんに覆いかぶさっており、天使さんの胸の上に右手が置かれていて股の間に体を割り込ませていた。

「その、こ、こういうことを所望しているならわざわざ『昼飯』という暗喩を取らなくても………」

 顔を上気させてこちらをあまり見ないようにしている天使さん。そんな彼女に俺は頭の中がピンク色に染まっていくのを感じた。

「誤解だ」

「その右手は………私の胸を捕らえて離していません」

「ま、まぁ………そうだが………」

「どうぞ、ご自由に………」

 何の覚悟を決めたのか………とうとう天使さんは目を瞑ってしまった………しょうがない、俺も男だ!

 俺は天使さんの二つの穴に指をつっこんだ。


プスリ


「ふがっ」

 天使さんが奇妙な声を出す。

「………残念ながら俺はぺちゃぱいは好みじゃないんだ」

 人差し指と中指を天使さんの鼻に突っ込んでいるこの状況。

「へ、へちゃっ」

 ぺちゃぱいという言葉に反応したか、顔が真っ赤になって怒り出すか?と思ったので俺はさっさと鼻から指を抜いてから天使さんを立たせテーブルについておくよう命じた。

「ほら、そこに座っててくれ」

「…………」

 ぶすっとした表情だったが、俺の言うことを素直に聞いてくれて天使さんは席についたのだった。



――――――



 昼食後、未だにぶすっとしている天使さんにどうしたものかと思った。

「なぁ………結局、どうやって天使を呼べばよかったんだ?」

「………どうせ私はぺちゃぱいですよ」

 あちゃ〜これは完璧にあれだ、拗ねてるよ。さて、どうしたものか………と考えているとやはり、こういうときは何かものでつるのが最適だろう………ところで、天使がという種族が欲しがるものって何だ。

 考えた結果………

「ほら、新しい………白卵だよ〜」

「………何しているのですか」

 侮蔑のこもった瞳をこちらへと向けてくる天使さん………あんた、それでも天使か。まぁ、天使さんが白いから白っぽいものを渡せばよかったと思ったのだがどうやら違ったようだ。

「………プリン」

「え」

「プリン一個で機嫌をなおしましょう」

「………」

 プリンで自ら買収されにきただとっ。さすが天使………人間には理解できないようだ。どういう思考を持っているのだろうか………

 幸か不幸か、俺のデザートのためにプリンを買っていたのだ。プリンを渡すとまるで獲物に飢えた獣みたいにプリンにありついている天使さんを俺は眺める。

「うん、このプリン極上ですね。世界がプリンになってしまえばいいのに………」

「………」

 きっと、そんな世界で生き残っているのはこの生命体ぐらいだろうな………地球侵略にやってくる宇宙人も消えてなくなるに違いない。天使全員、プリンが好きというのならこの世界は確実に終焉を迎えるだろう。

「さて、午後の講義を始めましょうか」

「講義ってなんだよ」

「ええ、何か私に聞きたいことがあるのでしょう」

 おっと、確かにそうだった………先ほど聞いても無視されてしまったことを聞くことにしよう。

「あのさ、きちんと天使を呼ぶにはどうやったらいいんだ」

「まずですね、天使召喚の呪文を唱え、清めた水を温めてこの本にかけるのです」

 面倒くさそうだ。

「術者の力量に見合った天使がその術者のもとへとやってくるのです。まぁ、簡単に言うなら使役できる範囲でないとここにはこれませんけどね」

 つまり、その術者でもなんでもない俺が呼ぶ事が出来たという目の前の天使さんは………

「ん、なんですか、その目は」

「なぁ、あんたってパシリか」

「………し、失礼なっ」

 俺が言うと天使さんは激昂し始めた。

「そりゃまぁ、確かにあちらでは色々と先輩たちからいじめられたりしましたが私はパシリではなく善意から先輩たちのお手伝いをしていましたっ。二回に一回は失敗もしていましたが愛と勇気で乗り切っていましたよ。こちらに呼ばれるとき先輩たちが『ああ、やっとこれで少しの間は仕事がはかどる』とかいっていたような気がしないでもないですがきっと気のせいです」

 あ〜らら………やっぱ、一般市民の俺が呼び出した天使さんはそんなものなのね。きっと能力的に全部がっかりな感じなのだろう。

「じゃあさ、天使って言うからには何かできるんだろ」

「勿論ですよ」

 胸を張ってそう答える天使さんに俺はあまり期待をしていなかったが一応たずねてみた。

「何が出来るんだ」

「私は愛の天使です」

 どっちかというと『哀の天使』だな。

「このラヴ・アーチャーさえあれば修羅場寸前の恋人たちもラブラブに戻せます」

 白く輝く弓矢を取り出し、自慢する。なるほど、道具は本物そうだな………怪しいものだが。

「あ、その顔は信じてませんね」

「まぁ、道具だけ見せられても信じれないな………」

 実際にその道具を使ってみて本当にラブラブになるのかどうか調べたいもんだな。まぁ、こんなぼろい家の中で修羅場っている能天気な連中はゴキブリぐらいなもんじゃないかね?

「じゃあ、実際に使ってみましょう」

「あのな、悪いがこの家の中には俺とあんたしかいないぞ」

「任せてください、そこは私が何とかしてみます。えっとですね、私が貴方の彼女役をして今から修羅場をつくります」

 ふんふん……

「そして、ああ、そろそろ破局だな〜ってところで私(天使)が登場します………そこで、ラヴアーチャーを使うんです」

「あ〜成る程な〜」

 なんとなく、どうでも良かったので俺は鷹揚に頷いたのだった。

「でも、お前って俺の彼女役だろ。天使役も兼ねるのなら難しいだろ」

「まぁ、そこは頭を使ってフォローします」

 どんなフォローなのだろうか。期待しておこう。


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