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第十六話:強襲、チェーンソー日和

第十六話

 基本的に黒金さんは俺と行動を共にしている。何故、いつも行動を共にしてくれえいるのかはわからないが、あのチェーンソー女、佐藤日和の襲撃に備えて一緒にいてくれると俺は考えていたりする。

 しかし、黒金さんも常に一緒にいたりしないので当然、俺から離れることがある。そんな時は白銀が一緒にいてくれるのだが雨が土砂降りの梅雨のある日、二人とも出かけてしまったようだった。

 恨みを晴らすかのように地面へと振り続ける雨。雨の音は俺一人しかいない家の内部にも当然聞こえるし、うるさくて仕方がない。

 特に何かをしようとも思わなかったため、仕方がないので勉強でもしようと自室を開けようとすると雨の音に混じってなんだか久しぶりに聞くような音………



ヴゥ………ン



 それは、聞く者を不安にさせるような音だった。



ヴゥーン、ヴゥーーーーン



 チェーンソーの唸り声だと気がついた時には既に遅く、窓ガラスを破って一人の女子高生がやってくる。まるで血のようなワンピースに、真っ赤なチェーンソー………。雨をものともせずやってきたおかげでワンピースは透けて、下着を確認することが出来た。って、俺は何を考えているんだっ。

「久しぶりだね」

「ひ、日和っ。お前、何しに来たんだよ」

「呼び捨てなんかにしないでよ、馴れ馴れしいっ」

 チェーンソーを振り上げて襲いかかってくる。改良されているのか知らないが、やつの持っているチェーンソーは以前より小回りが利くように小さくなっているようだ。

 当然、けんかの心得や超接近戦、CQCなど使えない俺は回れ右をして屋外へと逃亡することにする。黒金さんがいない今、俺が出来ることは逃げて、逃げて、逃げ続けるだけだ。

 勝てない相手に挑戦するのも男の浪漫だが、浪漫と命を天秤にかけるとどうしても命のほうが重くなったりするわけなのだよ。

 走るほうにも余裕があるのか、家を出るときに後ろを振り返るとにやけたつらで俺のことを日和は見ていた。まぁ、もしかしたら見逃してくれるかもしれないと思って走っていると、街へと続く途中の何もない空間に俺はいきなりぶつかった。

「いたたたた………」

 発泡スチロールみたいな感じの壁にぶつかったのだ。しかし、向こう側の景色はしっかりと目に見えている。

 不思議に思ってその空間に手をくっつけてみるとやはり、何か見えない壁があった。

「無駄だよ、そこには結界を張っているから」

 結界と言われてペットボトルの結界が頭に浮かんだがこいつがする結界とはそういったものではないだろうな。

「四方に結界用の藁人形、そしてその藁人形を守るために結界を張っているから合計、十二体も使ったんだ。ここまで本気を出さないと魔王は倒せないからね。あ、言っておくけど内側からじゃ絶対に壊せないから」

 にこっとほほ笑みながら近寄ってくる。ちなみに、結界がどういった形をしているのかわかるだろうか。紙とペンを準備して………

「さぁ、ペレッペ星人の名のもとに魔王にさばきを食らわせようかっ」

 紙とペンを準備する前に俺が逝く準備をしなくてはいけないようだ。

 これは本当にダメかもしれない、俺はそう思って振り上げられるチェーンソーを眺めていた。唸りをあげ、俺に振り落とされるチェーンソー。



 でも、そのチェーンソーは俺を貫くことなく、粉微塵になって雨と共に大地に降り注いだ。



「黒金さん………って、あれ、いねぇ」

 てっきり、黒金さんが俺のことを助けてくれたのかと思ったのだが、そうではないようだ。周りには日和を除いて誰もいない。

「くっ、さすが魔王だ………」

「誰が魔王だよっ」

 魔王はあんたの母親だろうと突っ込もうと思ったのだが、日和は俺を睨みつけるだけだった。

「魔王、ペレッペ星人やフィー星人はあたしの味方だから時間はかかるかもしれないけど討伐してやるわ」

 そういって雨の中走って消えてしまった。一体、あいつは何を言っているのだろうか。そして、電波内容もなんだか人を殺めそうな雰囲気に変わってきている。

「と、ともかく屋内に入って黒金さん達が帰ってくるのを待つしかないな」

 ずぶ濡れの体は雨に冷やされてしまい、くしゃみが出てしまう。俺は家の中へと入ろうとして家の裏にある林にふと、目がいってしまった。

「ん」

 それは、やけに色白の、いや、青白い肌をしていて黒いローブをまとった女性だった。女性の手には黒い煙を吹きだしている大鎌が握られている。

 絶望を感じさせる表情は歓喜へと変わり、唇が歪な形を作りだす。



 悦んでいるのだ、獲物を見つけたから。



 死神が俺のもとへと地面を滑ってやってくる。俺は、それをただ呆然と見つめるしかできなかった。


日和はたぶん、ヒロインじゃありません。まだ、結構話せるということはまだましなほうじゃないかな、そう思えてきます。ま、ともかく今後も更新を進めていきますので読んでいただけて評価していただければ幸いです。

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